福島で味わう銘店仕込みの天ぷら…『しおや』
江戸前の天ぷらを求めJR福島駅東口から徒歩10分程の位置に佇む『てんぷら しおや』さんへ。用意されていた席は三浦店主の真正面の特等席。飲み物はビールでもなく日本酒でもなく今回は『Chardonnay』を所望してのスタートです。料理は炙り(アブリ)『蛸(タコ)』と白菜(ハクサイ)のサラダの前菜から。この炙り蛸が絶妙に美味。揚げ油の温度が充分に上がった頃合いにて天ぷらへと移行。先ずは王道の活けの『車海老(クルマエビ)』×2から。続いて『車海老(クルマエビ)』のくも×2、『墨烏賊(スミイカ)』と続き白ワインには良く合うと思います。と供されたソレは『クリームチーズ』の大葉巻(オオバマキ)、『白鱚(シロギス)』、会津産の『ホワイトアスパラ』、早春の訪れを告げる『蕗の薹(フキノトウ)』、仕上げに鍋肌で焼いて供される江戸前の『穴子(アナゴ)』、『山芋(ヤマイモ)』、肉厚のどんこ椎茸に海老のすり身を詰めた『椎茸真薯(シイタケシンジョウ)』に『厚焼き玉子』の十一種13品の天ぷら。〆の食事は通常は天丼か天茶の二者択一のところ三浦店主に無理申しあげて『天バラ』を所望。『芝海老(シバエビ)』に『小柱(コバシラ)』、『烏賊(イカ)』のかき揚げを丼飯の上に載せ自らの手でバラバラにして塩で味を調えたっぷりの山葵とともに味わうのが『天バラ』の醍醐味、天丼よりは軽く天茶よりは個人的に好きな『天バラ』を赤だし椀、香の物とともにいただき〆に『紅玉』のグラニテ風の水菓子で口直しをして焙じ茶にてお任せコースはひと通り。食事へと移行する前に未だボトルのワインが未だ少し残っているので良かったらアテにして下さい。と供された『鮪(マグロ)の中落ち』も何気にうれしい配慮。最初に供される『車海老』二尾は一尾は25秒でレア気味に揚げられ、もう一尾は40秒とややしっかりめの火入れたものというように揚げ時間を微妙に変えて食味の違いを愉しませてくれる等、當代屈指の天ぷら名人とも称される『みかわ是山居』の早乙女哲哉氏直伝の素材に眠る風味を引出す揚げ技で天種を昇華させた江戸前天ぷらをカウンター越しに堪能させていただき満足させていただきました。
銘店『みかわ』仕込みの江戸前天ぷら …『しおや』。
『天ぷら専門店』が成り立つ街は総じて文化水準が高いと言われますが當店『しおや』さんと『ひら井』さんの二軒の天ぷら屋さんを有する福島市はそういう意味合いでは非常に民度の高い街と言えると思います。『ひら井』さんでは『太白胡麻油』を使った上品で軽やかな天ぷらを『しおや』さんでは銘店『みかわ』さん直伝の焙煎強めの胡麻油が香る江戸前の天ぷらというように全く異なるタイプの天ぷらが味わえます。當日も『おまかせ』のコースで。火の入れ加減を微妙に変えた二尾の『才巻き海老』からはじまり頭とくも。『鱚』、ゆきのした、『蛤』、蕗の薹、『海胆』紫蘇包み、山芋、『墨烏賊』、ホワイトアスパラ、『くもこ』、椎茸真薯の順に海のモノと山のモノが交互に揚げられ供されました。當日はウリである『穴子』の一本揚げを口にすることが出来ず残念ではありましたが『活けの材料』のみ使われているので、こういう日もあるのでしょう。〆の食事は今回は『天丼』、小海老がたっぷりと使われたかき揚げは香ばしくその匂いが食欲を掻き立てます。副菜の香の物に赤出汁も良き役回りを演じられ口直しの水菓子で口中をさっぱり。やはり『しおや』≒『穴子の一本揚』という方程式が頭の中に刷り込まれているのでこれが口に出来ないとなると残念ですが次回に期待して、、、、。
*******************************************************************************************
2014/09のレビュー
福島浜通りにて『いとう』さんの鮨、『魚栄』さんの鰻を堪能した後に向かった先は福島県福島市。福島と言うと郡山、会津、いわきの名はすらすらと出てくるものの意外に『福島市』は忘れられがちと思うのは自分だけであろうか?地元の方の言葉を拝借すると商業の街は郡山、役人の街が福島ということになるらしい。福島の県都であり許認可の実験を握る庁舎が立ち並ぶ街ゆえそのように揶揄されるのであろう。さて、突発的な福島食べ歩る記の三軒目に寄せて戴いた店は江戸前の天ぷら名人の異名を持たれる『みかわ』さんの早乙女さんの下で修業を積まれた『三浦直樹』氏が営まれる天ぷらや『しおや』さんです。福島駅東口から徒歩10分程、老舗地元百貨店や件の庁舎群を横目に並木通りと名付けられた趣のある通りを下り福島稲荷神社を目指しました。手水舎で清めた後、参拝を済ませ身も心も清らかになったところで、いざ『しおや』さんへ。神社周辺にはプチ門仲風の風情がある通りがあり鮨や河豚の店とともに當店が店を構えられていました。暖簾をくぐると10席程のL字型のカウンター席が設えられており名を告げますと油鍋が置かれた斜め前の特等席へと案内されました。先ずは小さなグラスにビールを注いで戴き渇いた喉を潤しひと呼吸。待望のコースのはじまりです。つきだしには『うざく』風の穴子の白焼きと若芽と胡瓜の酢の物が供されましたがこのつきだしが思った以上に美味で掴みは上々。天ぷらは『才巻き海老』からのスタートで『海老』二尾と殻揚げ、『墨烏賊』、『鱚』と続き奥会津産の『松茸』、『椎茸の真薯詰め』、『穴子』、画像はありませんが銀杏、アスパラ、○十が供され〆の食事は『天茶』、水菓子という内容でした。揚げ油はその香りと味からサラダ油に胡麻油が加えられたものであろうと思われる食べ易く油切れの実に素晴らしいものでした。天紙に油が滲むということは殆ど皆無であったということは画像を見ていただければお判り戴けるかと。才巻き海老や墨烏賊は中がほんのりレアな加減の火の通し具合で甘さと美味さが引き出され殻揚げはパリパリと小気味良い。鱚は天然物の『シロギス』が使われています。天然物の鱚は冷凍品と違い火を通すと身がふっくらとし甘くて美味。身薄な冷凍輸入モノの鱚とは全くの別物であり身はホックホクで旨味自体が別格に違います。穴子は一本揚げにし皮目の部分を焼き切り目前で揚箸を身に刺し込み右の揚箸の先端で縦に割られた瞬間にジュッという音とともに湯気が上がります。表面はサクッと中の身はふっくらという理想的な揚げ加減でした。椎茸の真薯詰めは肉厚のどんこの美味しさを活かしつつ白身魚のすり身と卵白と山芋で作られた真薯が寄り添い醸し出す食感と味わいはなかなかのもの。そして當日圧巻だった種は奥会津産の『松茸』です。穴子同様に一本を丸ごと揚げた後に半分に割かれ供されます。立ち上がる湯気と松茸の香り。一見、強靭な食感のように目に映った松茸は途轍もない逸品でした。適度な歯切れと柔らかさが楽しめ同時に良くここまで水分を残して揚げられるものだと感心させられることしきり。頭よりガブリとかぶりつくと口の中に広がる松茸の香りと旨味、噛み締めると香りは鼻腔に抜け旨味は喉を駆け抜けてゆくという至極の口福感で満たされました。それにしても立派な松茸。3.11の震災以降セシウム等の問題で福島産の茸類は規制され客筋からも敬遠されていることは聞き及んでおりましたがこんなにも美味しい松茸を口にしたのは今までに数える程しかありません。此れだけでも足を運んだ甲斐があるというもの。その後の銀杏、アスパラ、○十ともにそれぞれ美味しいものでしたが後にも先にもこの『松茸』が今日一の種でした。〆の食事は天茶、天バラ、天丼の中からの三者択一で天茶を所望、小柱と小海老の甘みと添えられた卸したての山葵の辛みと出汁の旨味が渾然一体となりサラサラと胃袋の中に収まりました。店内は瀟灑な造り。天井を見上げるとご実家の呉服やさんの名残、店名の『しおや』はその呉服店の屋号からつけられたとのこと。東北で『天ぷら』となりますとと仙台の『水谷』さんと秋田の『醍醐』さんぐらいしか思い浮かびませんが新たに記憶に残る店が一軒増えたことは個人的に悦ばしいこと。呑んで食べて諭吉さん一枚程の支出は食後感の良いものでした。
Restaurant name |
Shioya
|
---|---|
Categories | Tempura、Ten-don (Tempura Bowl) |
Phone number (for reservation and inquiry) |
024-521-0678 |
Reservation Availability |
Reservations available
夜のみ予約可。 |
Address |
福島県福島市上町2-14 |
Transportation |
JR福島駅東口 徒歩13分 810 meters from Fukushima. |
Opening hours |
Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting. |
Budget(Aggregate of reviews) |
¥10,000~¥14,999¥6,000~¥7,999
|
Method of payment |
Credit Cards Not Accepted Electronic money Not Accepted |
Table money/charge |
なし |
Number of seats |
14 Seats ( カウンター10席、小上り4席) |
---|---|
Private dining rooms |
not allowed |
Private use |
not allowed |
Non-smoking/smoking |
No smoking at all tables |
Parking lot |
not allowed 近隣にコインパーキングあり |
Space/facilities |
Comfortable space,Counter |
Drink |
Japanese sake (Nihonshu),Japanese spirits (Shochu),Wine |
---|
Occasion |
With family/children |Alone |With friends/colleagues This occasion is recommended by many people. |
---|---|
With children |
Kids are welcome
制限なし |
Dress code |
なし |
The opening day |
2013.9.20 |
Remarks |
ランチメニューと金額が変更 |
仙台を後にして次に向かったのは福島県福島市です。福島県と言えばいつもは経済の中心である郡山市へまっしぐらですが今回は県庁所在地であり文教の中心の福島市へ。昼は福島稲荷神社の門前に店を構えられ天ぷらの神様とも称される早乙女哲哉氏に師従研鑽を積まれた三浦直樹店主が腕を揮われる『てんぷら しおや』さんにて昼餉のお任せコースをいただきました。逆L字型のカウンター席のコーナーに席をいただき先ずはギン冷えの瓶ビールで渇いた喉を潤します。デフォルトで供されるつきだしには『鯨(クジラ)』と大根(ダイコン)の剣のサラダからスタート。全8席のカウンター席は開店時間の11時半には全席満席。油の温度が適温に上がり銅鍋からキンキンといった金属音にも似た音が発せられたところで天ぷらの出番です。王道の活けの『車海老(クルマエビ)』に海老(エビ)の蜘蛛(クモ)からはじまった天ぷら、順に『鱚(キス)』、檸檬(レモン)が挿まれた大粒の『帆立貝柱(ホタテカイバシラ)』、茄子(ナス)、山芋(ヤマイモ)、椎茸真薯(シイタケシンジョウ)、三陸産の『牡蠣(カキ)』×2、江戸前の『穴子(アナゴ)』と続き箸休めの『絹海蘊(キヌモズク)』の酢物、締めの食事は『芝海老(シバエビ)』が八尾程使われたかき揚げを使った『天茶』と香の物、デザートには福島名産の『あんぽ柿』の天ぷら、更にはリンゴのジェラートで口中をさっぱりとさせて昼餉の終了。久しぶりにいただいた『みかわ是山居』さん仕込みの江戸前天ぷらに満足。