Restaurant name |
Hinotohitsuji SAKA(Hinotohitsuji SAKA)
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Categories | Soba、French、Japanese Cuisine |
Phone number (for reservation and inquiry) |
011-688-5117 |
Reservation Availability |
Reservations available |
Address |
北海道札幌市中央区南1条西22-2-15 シーズンビル 1F |
Transportation |
318 meters from Maruyama Koen. |
Opening hours |
Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting. |
Budget |
¥10,000~¥14,999 ¥1,000~¥1,999 |
Budget(Aggregate of reviews) |
¥1,000~¥1,999
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Method of payment |
Credit Cards Accepted |
Private dining rooms |
not allowed |
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Private use |
OK |
Non-smoking/smoking |
No smoking at all tables |
Parking lot |
not allowed |
Space/facilities |
Stylish space,Comfortable space,Counter |
Drink |
Particular about wine |
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Occasion |
This occasion is recommended by many people. |
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Website | |
The opening day |
2019.12.9 |
ダークウッドでシックなファサード。こちら「丁末 坂」は、お江戸からの移転店。フレンチエッセンスのある和懐石や創作料理を提供する店だが、ランチタイムには蕎麦を提供している。何だかあれもこれもな感じだが、存在としては面白いし興味を惹かれる。
インテリアも、ダークウッドとホワイトのコントラストがシンプルで落ち着いた印象。L字カウンターと二名掛けテーブルのこぢんまりとした構成。
蕎麦メニューはグッと絞っており、もりは十割、セイロや種物は九一と、熱との相性を考慮して分け隔てるこだわりぶり。他には蕎麦前向けの一品メニューが割と豊富だ。しかしながらメニュー表が黒塗りで消してあったりは、スタイリッシュな雰囲気の店としてはマイナスポイント。
ランチタイムは接客から調理までを一人こなす。ご主人はとても穏やかで腰の低い接客。その客あしらいからはワンオペには不慣れさも感じたが、お金を扱う際の基本的な行動がしっかりと見られたので、当然の事ながらも安心出来た。
もり蕎麦は大中小の3種。g数は大で普通の一人前程度という江戸前風。ちなみに中で小盛、小でお弁当屋のおむすび一個程度の分量。そしてどの蕎麦にも言える事だが、このタイプは特に秒単位で変化するので、素早く写真を撮り、手繰り始めたい。
■もりそば(中)90g 1,000円(税別)
立体的に綺麗に盛られた蕎麦は、基本に忠実な優等生タイプ。蕎麦粉は実の中心部とその周りに限って使用した明るい灰色。極細で切り口は美しく瑞々しいが、水切りはやや緩め。このタイプならもっとタイトな水切りが好みだ。適性に茹でられていてしっとりと歯切れの良い食感。しかし若干切れが目立ち、風味甘味に関してはそれ程では無くて肩透かし。但し自家製分では無く、粉を仕入れて使うアドバンテージはあるが、粉の選択や使用部位割合で向上させる事は可能だと思う。
汁はパッと広がりスッと消える出汁の余韻。上質な鰹をシンプルにひいた、シャープで華やかな出汁の旨味に、スッキリ目の返しがバランス良く融合する中濃、辛さは中口~若干辛めで旨味重視のトレンドを追ったスタイルで辛口にあらず、北海道でのウケは良いだろう。私自身も好みなタイプの一つだが、蕎麦前需要を担うならより江戸前汁…とも思う。そして汁は少し若いというか、馴染みにやや欠ける印象もあり。
薬味は青い部分を水に晒した葱は上々、山ワサビと辛味大根をあらかじめ混ぜたものは面白いとは感じるが、逆に言えばお互いの特徴を消しあっている。出来れば別の方が良いだろう。私は山葵は繊細な蕎麦の邪魔になるので使わず、もし気分転換を図るなら大根を推奨する。ワサビは蕎麦湯を飲む際にチビリチビリとつまむ程度が私のスタイルだ。
蕎麦湯は開店一番客だったので透明な釜湯。汁の出汁感が良いので、割って楽しむにはふさわしいと思う。私は長葱はこのタイミングで汁に浮かせて使う。
こちらの蕎麦は、店の見方で印象は変わる。第一線の本格蕎麦屋と比較すれば、もう少しな印象だが、蕎麦も提供するフレンチ和食店として見れば案外上々。この手の和食店は、これでもか!の調理技法で攻めて、結局のところ蕎麦や汁(特に出汁)が浮く事が多いが、こちらはこだわりはしっかりとしながらも、蕎麦・汁共に控えめな感じで基本に忠実なタイプ。私自身の経験と知識から色眼鏡で見てしまった事は反省したい。
そして円山エリアにはここ15年でも、意識高めで差別化のある蕎麦屋が出来ては消えていった。何故か定着しないのだ。私が当時北海道で一番好きだった「艸庵」もそう。このエリアの需要にマッチした二大巨星、志の家や東家寿楽の存在等、色々な理由はあろうが、円山エリアとは言え、様々な客層にとっては高めの価格帯にも要因があると思う。北海道でも本格派蕎麦の品質や、価格意識の醸成は図られてきていると思うが、まだまだ蕎麦とは安くてお腹いっぱい食べるものというイメージに固執している方々のほうが圧倒的に多いからだ。勿論それも間違いでは無いが、蕎麦にも色々なジャンルがある。そしてこの店は蕎麦屋にあらず、性質も異なるのだが、おやつ代わりに手繰るような蕎麦も、もっと認知されて欲しい。
結論的には、本格派蕎麦と蕎麦前を提供する楽しい店が増えた事は嬉しい限り。末長くご商売を続けて美味しい蕎麦と時間を提供して頂きたい。そしてやはりこちらでは、蕎麦前(お酒や小料理)を楽しむスタイルが一番有効かつ魅力をより感じる事が出来るだろう。私も次は蕎麦前を楽しんで蕎麦で〆よう。
粋な蕎麦前利用、もっと増えると、もっともっと楽しい。ワクワク。