オトナの隠れ家で味わうプチリッチなステーキランチ…『香月』 : Kougetsu

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い今年の盆休は帰省もせず､また何処かへ旅行に行った訳でもなく静かに盛岡の地で単身生活を慈しんみつつ過ごしました｡夏休みも終盤となった當日のランチにはFacebookに投稿されていた『石垣牛(ｲｼｶﾞｷｷﾞｭｳ)』の鉄板焼ステーキのランチセットをいただきに山岸店長が腕を揮われるオトナの隠れ家的 鉄板焼ステーキの店『香月』さんへ久しぶりに寄せていただきました｡凹型のカウンター席へ席を取らせていただきアペリティフにはノンアルコールカクテルの『サマーディライト』を料理は『トウモロコシ』のマスカルポーネ和え､花巻産のベビーリーフを使った『グリーンサラダ』､スープには暑い日には何気に嬉しい冷製スープの『ヴィシソワーズ』と続きメインは『石垣牛(ｲｼｶﾞｷｷﾞｭｳ)』のウチモモ肉の『シンタマ』の鉄板焼ステーキです｡目の前の鉄板に立ち上がる炎を纏わせるパフォーマンスを愉しみつつ焼き上がったステーキは8等分にカットされ皿の上に｡ガルニには肉とともにソテーされたヤングコーンと茄子(ﾅｽ)とズッキーニ､薬味のガーリックチップと山葵(ﾜｻﾋﾞ)をオニオンソース､岩塩(ｶﾞﾝｴﾝ)､ポン酢を使い分け味わいまし｡『石垣牛(ｲｼｶﾞｷｷﾞｭｳ)』は日本三大黒毛和牛のひとつに数えられる『松阪牛(ﾏﾂｻﾞｶｳｼ)』等の元牛であり九州･沖縄サミットの晩餐会でメインディッシュとして供され世界の主要国の首脳から絶賛され賞賛を浴びたことでその名が全世界に広まった沖縄産の黒毛和牛のブランド牛です｡そのモモ肉の中の稀少部位の『シンタマ』は柔らかさの中にも適度な咀嚼感が楽しめ噛み締める度に口中に溢れるさっぱりとした脂の甘みと赤身肉の旨味を『ガーリックライス』と『滑子茸(ﾅﾒｺ)』と『溶き卵(ﾄｷﾀﾏｺﾞ)』の『玉子スープ』とともに受け止め食後にマンゴーソースで味わう『ヴァニラ』アイスとキウイで口内をリセットし『石垣牛(ｲｼｶﾞｷｷﾞｭｳ)』の鉄板焼ステーキのランチコースはひと通りです｡ビル4Fのオトナの隠れ家で味わう鉄板焼はハレの日に最適な高級感を満喫出来ること間違いなしの空間｡この道20年の山岸店長の目の前で繰り広げられるワザも必見です｡自分と山岸店長との出逢いは今から22年前｡千葉出身の山岸店長が某日本料理店の店長をされていた頃からのこと｡日本料理店から鉄板焼ステーキ店への転身は意外に思われる向きも居られることでしょうが大阪の関西割烹で研鑽を積まれた経験を持たれ日本料理店時代から肉に精通されステーキ等も供されていた山岸店長は和食も洋食も勿論､鉄板焼もお手のものです｡夏休み最終日にプチリッチなランチをいただいて意気揚々で店を後にしたのでありました｡

當店の山岸シェフより『伊勢志摩』産の300㌘級の『天然』ものの『活鮑』と『MOET&CHANDON』の夏季限定の泡『ICE IMPRIAL』が入荷したので､久しぶりに如何でしょう？との嬉しいお誘いのメッセージをいただき『香月』さんヘ｡カウンターの真ん中の席に予約席のプレート｡その特等席が用意されており先ずはお目当ての泡で喉を潤します｡前菜には薫香を付けられた帆立の貝柱を手ほぐしされた小鉢｡ひと呼吸置いて早速､伊勢志摩産の天然鮑が鉄板の上で調理が開始されます｡流石に300㌘アップというだけあって､その特大サイズの鮑に目は釘づけです｡通常供される三陸産の鮑がトコブシに見えてしまう程､立派な大きさ｡程無く供されたソレは塩コショーされた後に蒸し焼きにしバターで風味づけされたもので身の厚みがあります｡レモンの厚みと比べてみると良く判りますが4㌢程の厚みがあり暗緑色をした鮑の肝もやはり身の大きさに比例した特大サイズ｡焦げたバターの芳ばしい香りが鼻腔を通し食欲中郵を刺激､これには､さわやかな酸味でやや辛口の『Dom. Alain Brumont Gascogne Blanc』を合わせ戴きましたが､このペアリングはなかなかのもの｡続いて『フォアグラ』のサイコロソテーは鉄板の上で香ばしく焼かれたものを6分割にカッティングしイチゴのバルサミコソースで味わうもので濃厚なフォアグラと酸味のあるソースが奏でる味わいは口福感を齎してくれます｡合間に『カチョカバロ』の焼きチーズを挟みつつ赤ワインへと移行｡スペイン産の『ESTE de BODEGAS ALTO ALMANZORA』は芳醇な果実味が楽しめるもので一本3,000yen程で供される手頃な値段ながらキャセイ･パシフィックのファーストクラスに採用されているという知る人ぞ知る価格以上に価値あるワインです｡新たにメニューに加えられた『特製ハンバーグ』はオーナーよりのサーヴィス｡岩手が誇る『前沢牛』とブランドポークの『佐助豚』の合挽肉を使い､つなぎを最小限に作ったというハンバーグは肉々感がありナイフを入れると溢れ出す肉汁｡これをデミグラスソースに『黒酢』を加えて作られた特製ソースで味わうのですがジューシーな肉とソースの隠し味の酸味のバランスが秀逸でした｡そして〆の食事は『ガーリックライス』にスパイシーな『カレーソース』を掛けた欲張り版｡添えられた福神漬も良き役回りをしておりましたが１＋１は３＋αの味わいでした｡シェフに全てを委ねるコース仕立ての料理も悪くはありませんが此処ではアラカルトで楽しむのがオトナの愉しみ方かと｡客の心をくすぐる接客や客あしらいもスマートでなかなかのものであり非日常的な満足感が得られる盛岡で数少ないオトナの隠れ家が『香月』さんです｡
************************************************************************************
2007/07のレビュー
黒系統の色彩で統一されたシックな感じの店内にはジャズが静かに流れ照明もギリギリまで絞り明かりを抑えられた小洒落た雰囲気を感じさせる『香月』さん｡凹型の鉄板焼カウンターを囲むように配置された席が10席余りの『鉄板焼』をウリにされた『大人の隠れ家』として盛岡の医療関係に従事されている先生方に圧倒的な支持を受けている人気店です｡確かに価格の設定から見ても多少､懐に余裕がないと気軽に行けるという店ではありません｡基本的にはコース料理が主体で7,500yen､10,000yen､15,000yenの3コースが店のオススメの模様｡3,000yen､5,000yenといった手軽な設定のコースも用意されていますが其れは有料試食的な意味合いのお試しのミニコースのようで､やはり此処での真価は7,500yen以上のコースをいただくか『アラカルト』の中より戴くのがベストと思います｡使われる素材の質にはとことん拘られており『鮑』や『伊勢海老』等は産地よりの直接仕入れられ『前沢牛』や『活車海老』等は肉の等級や海老の大きさに特に拘りを持たれているようです｡メニューにはそれらの厳選素材を使ったメニューとともに『お好み焼』といったファーストフード的な文字列が一緒に記載されているのが意外性がありなかなか面白い｡當日戴いたものはコースではなくアラカルトにて『活車海老』に『前沢牛のステーキ』を100㌘と當店手造りの『比内地鶏のウインナー』｡そして､意外性の高い『お好み焼』に〆にはいつも通りの『ガーリックライス』｡『車海老』は頭と尾の部分もプレスして供されます｡相応な言葉が見当たらないので不適切な表現やもしれませんが子供の時分に食べた懐かしい海老入りの煎餅の満月と言う菓子のような味がします｡『前沢牛のステーキ』は100㌘から50㌘刻みで150㌘､200㌘と肉塊からお好みの量をオーダーカットして焼いてくれます｡肉質は流石に幾度となく全国一と評された『前沢牛』だけに脂のサシは素晴らしい肉ではありますが脂もキツイので､自分には､せいぜい100㌘が分相応の量｡それ以上の量となりますと折角の味にも途中で口飽きしてしまいますし値も張るので胃袋と懐勘定と相談すると必然的にそうなってしまうのやもしれません｡しかし100㌘でオーダーしても供される量はどう見ても100㌘より多く感じます｡山岸シェフに､これで本当に100㌘なの？と言葉を向けても笑っているだけで返答はなし｡前沢牛の格付けA5クラスの霜降りの極上の部位で､どう見ても150㌘はあったように思います｡和牛の濃厚な旨みと脂の旨みが渾然一体化し歯を立てずとも口の中の熱だけで肉が消え去っていく感じで､しばし口福の時間と後味の余韻を愉しみます｡肉質や火の通し具合には一切､文句なし｡食べログから恵贈されたデジカメの設定の仕方がイマイチ良く判らず画像はグロい写りになってますが実際の色合いは垂涎ものですので美味しくなさそうと思わないでやってください(笑)次の料理は自家製の手作りされているという『比内地鶏のウインナー』｡噛むとポッキンという音とともに口の中で弾ける｡比内地鶏の持ち味の強い旨みも充分に凝縮されていましたが何よりも小気味良いその食感が印象的｡意外性のある『プレミアム焼』にはプレミアムの名に相応しい贅沢な具がたっぷり｡當店のシックな雰囲気の中で『お好み焼』はミスマッチな感じもしないではありませんが具材には『伊勢海老』や『前沢牛』などの豪華な材料が惜しみなく使われているので一般的なソレとは別格の豪華版｡シェフの手で､ふっくらと焼きあげられた『お好み焼』は不味い訳がありません｡そして〆にいつもの通り『ガーリックライス』を少量リクエスト｡隣席の医療関係に従事されている方々もガーリックと醤油の焦げる芳ばしい香りに敏感に反応されたようで､こちらにもソレ作って戴けませんか？とシェフに囁かられていましたが此れがメチャクチャに美味しいのです｡ステーキを焼く際に切落された牛脂付きの端材の『前沢牛』と田子参の『にんにく』をローストしたものが加えられ目の前で作られます｡普段使いで頻繁に通えるような店ではありませんが価格に見合った満足感は間違いなく得られる店やと思われますので､ここ一番という時の切り札に當店を抑えて置かれると何かと重宝すると思います。