素晴らしい蕎麦美庵 : MONOMI YUZAN

初冬の朝、京北はもう寒く空気が澄み、薄っすら靄が掛かった北山杉は静寂の中、凛と佇む。予てから訪れたいと思っていた周山に登城、壮大な城の本丸、天主台に立ち、十兵衛に想いを馳せる。

城跡から麓に降りて、直ぐ近くの慈眼寺へ参拝、ひと仕事終えた気分。お昼もまわり、ぶらぶらと散策をしていると、蕎麦庵に出会う。

暖簾を潜ると先客は一組、奥の座敷に座らせて頂き、メニューを見る。ランチは、Ａ、Ａ’、Ｂの３種で、Ｂの（前菜５種、旬のサラダ、主菜、蕎麦、デザート）1980円をお願いする。さすが蕎麦処、日本酒の種類も揃っている、直ぐ近くの羽田酒造の初日の出も美味そうだが、車の為、渋々オーダーを断念…

◆前菜５種は、左から、セロリと人参、玉ねぎの和え物にミント添え、真ん中が、カリフラワーと人参のオイル和え、右がキャベツのコールスロー、左上が大根の煮物、右上が赤かぶの煮込みと、前列が地元採れたて野菜のサラダ、後列が煮物。どれも美味しく、煮物はしっかり煮込んで、濃いめの味だ、益々酒が欲しくなる。

◆旬のサラダは、蛸のカルパッチョ。蛸が大きくて、柔らかい、野菜は瑞々しく、新鮮。

◆主菜には、ひげ鱈ときのこの治部煮を選ぶ。やって来た治部煮は、灰色の趣のあるシチュー皿の焼き物に、きのこ、赤かぶ、キクラゲ、ラディシュなど旬の野菜と鱈が入って、春菊が添えられ、色鮮やかだ。出汁が効いて少しとろみのある甘めのスープが美味しい。

◆十割蕎麦は、福井産永平寺在来種の玄蕎麦の粗びき、蕎麦の香りがはっきりしていて、スッと鼻に入ってくる。蕎麦切りは、中細、エッジは立っていて、水切りも良いが、十割の粗びきとあって、短い。蕎麦の喉越しを求める人には向かないが、蕎麦の甘味もあり、味わい深く、硬さも丁度よく蕎麦だけで食しても大変美味い。薬味は山葵とねぎ、辛汁は本返しで甘めのものを使い、主張を押さえている。また鰹や昆布の出汁もよく効いているように思う。蕎麦を辛汁にしっかり浸けて美味しく頂く。最後に徳利から辛汁を足して、蕎麦湯で割る、蕎麦湯との相性も良く飲み干す。

◆デザートは、キウイと豆乳のアイス。これがまた、まったりとしていて、豆乳がチーズのような味わいを出していて実に美味い。

午後の昼下がり、ゆっくりとした時間が流れる中、地元の旬の新鮮素材の数々を、物見遊山な気分に浸り、存分に楽しませて頂いた。ご馳走様。素晴らしい蕎麦美庵との出会いに感謝。次回は是非泊まりで、地元の日本酒を料理と一緒に愉しみたいものだ。