Restaurant name |
Saryou souen(Saryou souen)
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Categories | Ryokan、Japanese Cuisine |
Phone number (for reservation and inquiry) |
022-398-2311 |
Reservation Availability |
Reservations Only |
Address |
宮城県仙台市太白区秋保町湯元字釜土東1 |
Opening hours | |
Budget(Aggregate of reviews) |
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Method of payment |
Credit Cards Accepted (AMEX) Electronic money Not Accepted QR code payment Not Accepted |
Private dining rooms |
OK |
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Private use |
not allowed |
Non-smoking/smoking |
− |
Parking lot |
OK |
Occasion |
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Website |
秋保温泉は仙台から快速バスで30分ほどのところにあり、千年以上前から続いているという由緒正しき湯治場。今回目を付けたのはお料理の評価が高い全26室のこちら。以前から好きな宿はこぢんまりしたゆっくりできるところで、(すでに営業をやめてしまいましたが)箱根湯本の「恵比寿屋」がお気に入りでした。どんなに評判が良くても大箱に泊まる気がしないのは、恵比寿屋で受けた心づくしの思い出が強いからかもしれません。
バスを「薬師下」で降りると、目の前に「ずどーん」と立派な塀が目に飛び込んできます。塀沿いを歩くと「どどーん」と登場したのが巨大な入り口。自動車用の入り口の大きさに比べて小さな歩行者用の通路が「バスなんかで来るやつはいらんわい!」と言わんばかりの威圧感を与えてくれます(笑)。「こ、これはしくじったか・・」と、思わず後ずさりする二人。ええい、こちとら客だぃ、と覚悟を決めて門をくぐると、法被を着た男性が入り口からすっとんできて案内してくれました。そしてゴージャスな入り口を入ってロビーに案内されてゆったり作られたロビーにまた絶句。ロビーから見える大きな池には立派な鯉の大群、そして大きなガラスの内側にはお約束の「超特大」胡蝶蘭・・
チェックイン時間より前に到着したにもかかわらず、ほどなくして客室に案内されました。ながーい廊下を歩くと、総ガラスのゆったりした通路から広大な中庭や池に目を奪われます。「うーん、昭和バブルだ」
この建物ができたのはバブルが弾けた17年前で、まさに「バブルの発想」ですね。贅を尽くした建物とお庭は「維持費が・・」と余計な心配が。こういうところにお金をかけすぎているのは、銀座のど真ん中に自社ビルを建てちゃうお店と同じで内容が伴わないことが多いのです。「失敗か」といやーんな感じが漂い始めます。
部屋はそれほど広くありませんが、中庭が素晴らしい。サービスもきちんとしています。夕食の相談をしていて日本酒に不満があった(本醸造と吟醸酒しかない)ので「持ち込み料を払ってもいいから買ってくる」と言ったら「どうぞ。かまいません」と酒屋さんまで教えていただきました。結局、散歩ついでに美味しい純米酒(「一の蔵」のノーラベルの原酒)をゲット。
温泉はとても広いメインのお風呂と露天風呂。全体的に開放的ではありませんが、ゆったりと入れる雰囲気です。平日でお客さんが少なかったこともあるのでしょう、お風呂は2日ともほとんど「貸し切り」状態でした。
部屋に戻るとお夕食。
先付:毛蟹と菊、オクラ、生姜酢
蓋向:いちぢく田楽 胡麻豆腐
膳菜:海の幸 山の幸 色々
土瓶:松茸土瓶蒸し
造り:鮮魚いろいろ あしらい一式
焼もの:牛肉ときのこ バターホイル焼き
蒸し物:甘鯛蕪蒸し
強肴:黒蚫柔らか焼
飯汁:キノコ汁(仙台芋煮)、香の物
水菓子
この献立を見て「やばい」と感じた方は、和食に慣れてます(笑)。ほとんど「予想された顔ぶれ」なんですね。高級とされる食材のオンパレード。このようなメニューだと「こういう料理を出せば安心」という「素材は一流、料理はうーん」てなことが多いのです。しかも2泊。ここでこれだけ食材を使い尽くすと明日はどうなるのだろう、と別の不安もよぎります。
結果的に予想は良い方に外れました。「ありきたり」の料理なのですが、きちんと作られています。意外な発見はありませんが、これならゆっくりすごす休暇の食事としては合格。それにしても量が多い(笑)。
先付けは、たっぷりの毛蟹に叩いたオクラ、菊の花をまぶし、さらに蟹味噌とショウガが乗せられた酢の物。蟹も立派なものでしたが、蟹味噌とショウガを混ぜて食べると「あー、日本人に生まれて良かった」と思える味になります。
いちじく田楽は、ごま豆腐にいちじくを煮たものと味噌がかけられています。これもよくあるお料理ですが、味噌が立ちすぎることもなく美味しい。
「膳菜」には、3つのお皿が登場しました。
1:菊の花をあしらったお寿司(糸づくりのイカを菊の花に模したもの)、大根と人参のなます、卯の花和え、みずの身の和え物)
2:子持ち鮎、サーモンロール、ヤマトイモと紫芋、粟麩
3:フォアグラ、蝦、オリーブ、オクラなどをゼリー寄せにして柑橘系の皮に詰めてゼリーにしたもの
菊の花をあしらったお寿司はとても手が込んでいるのに美味しく仕上っています。イカはいじくりすぎると食感が大きく損なわれるのですが、そんなこともありません。何となく食べるのがもったいないくらいきれい。「みず」は季節もの。子持ちの鮎はパンパンに卵が詰ったものです。比較的上品に煮てあって食べやすい。サーモン、粟麩は「こんなもの」という感じですが、芋はとっても「甘く」て珍しい。
夏向きかと思われる「ゼリー寄せ」は、かなり冒険した一皿。柑橘系の中をくりぬいてフォアグラなどを詰めてゼリー寄せにして1人サイズに切り分けたものですが、柑橘系の皮独特の「苦み」がかなり強いのです。この苦みが苦手な人も少なくないでしょう。そして、中にフォアグラや海老を入れる必然性は・・わかりません(苦笑)。
土瓶蒸しは、松茸、スズキ、かしわ、銀杏、糸三つ葉などが入っています。さかなが「スズキ」というところが意外。さすがに松茸はかなり美味しいものでしたが、出汁も魚も昨日の千松しまの「アカガラ」の方が美味しかった。
お造りが、これまた「お決まり、ゴージャス」。大間のマグロ、平目の納豆巻き、ホッキ貝、鯛の松皮作り、うに、というラインナップ。マグロが昨日の「ひがしもの」とは違ってとても美味しい。鯛がこの時期なのでどんなかなぁ、と思いましたが、比較的良いものでした。
ありきたりですが、焼き物の牛肉も良いものでした。添えられたキノコも美味しい。蕪蒸しも蚫も同様に美味しい。
こういう料理を食べたのはとても久しぶりです。この手の高級旅館では「創作」的な面白さは全くありませんが、こうした「おきまりの高級食材を使った料理」が期待されるのでしょう。「高級だが没個性的」な料理はかえって新鮮でした。
朝食も「高級旅館でとってもありそうな」盛りだくさんの和食です。サケ(これはあまり美味しくありませんでした)の焼き物、野菜の炊き合わせ、湯葉刺し、イカの糸造り、お浸しなどの野菜と湯豆腐。湯豆腐はお風呂のような木製の入れ物で運ばれてきた豆乳仕立てです。全体的に野菜の量が多く、我々にはうれしい誤算でした。
2日目は部屋をチェンジ。露天風呂が部屋についている「離れ」です。「離れ」は本館より高くてとても二泊はできません。カードの「優待」があって少しお得なのですが、それでも私たちが普通に泊まれる値段の宿ではありません。ところが部屋に入ると連れ合いが不満そうな様子。どうも露天風呂が気に入らないらしい。確かに、旅館の写真に登場する露天風呂は中庭にぐっと張り出してとても景色のよいものですが、案内された部屋の露天風呂はかろうじてお庭が「ちらり」と見える程度。仲居さんに聞いてみると、写真の「ゴージャスな」露天風呂がついているお部屋は我々が泊まった部屋の倍の値段だそうです・・そりゃ、バスで来るような私たちには縁がありません(笑)。
二日目の夕食は、献立が手書きでした。昨日、あれだけ食材を使い尽くしてしまって、果たして何が出てくるのか楽しみ。
向付:焼き松茸 柚子
凌ぎ:姫にぎり寿司
椀盛:相並葛打ち 玉子豆腐
造り:平目薄造り
焼もの:吉次一汐焼き
田舎鍋:牛肉鍋
揚物:海老天婦羅
飯替:稲庭うどん
水菓子
1日目が「高級旅館の王道」だとすると、2日目は「まだこれだけおなじみの高級料理があるぞ」という感じ(爆)。創作性を完膚なきまでに排除した「王道料理」が続きます。ところが、これがまた意外に美味しいのです。和食のフルコース4日目ですからさすがに効用は下がっているはずなのですが、お肉の鍋以外はほぼ完食しました。
松茸はまだ小振りですが充分な味と香りで満足。次の寿司はとても小振りなのですが量が多い。1人分が大トロ2、イカ1、鯵1、貝割れ菜1、海老、縁側ですが、どれも合格の素材です。
アイナメの椀も「王道料理」ですね。出汁はかなり強めでした。そして平目の薄造りが・・・ひとりずつ「どーん」と出されてびっくり。キンキも半身が姿で焼かれてきます。このあたりでお腹の方はかなり悲鳴を上げています。
牛肉鍋は「高級牛肉で牛鍋を作ったらこうなりました」という料理。「極めて濃い」味つけではなく、食べやすい。
一番興味があったのは「海老の天婦羅」です。海老の天婦羅と言えば、10年ほど前に「Danchu」ご推奨の城崎温泉の宿で大敗北を喫して以来、旅館料理としてはトラウマです(苦笑)。果たしてどんなものが出てくるのか興味津々でしたが、出てきた天婦羅は「普通」でした。特別美味しい訳でもない(部屋食で天婦羅がおいしい訳がない。このあたりは発想が「料理を食べさせる」旅館じゃないんですね)のですが、食べられました。
最後は稲庭うどん。これはせっかくですから「白石うーめん」にしてほしかった!
翌朝はやや苦しい朝食(笑い)。かますの干物やら煮物などの他に湯豆腐の代わりに目玉焼きが二つ。でも野菜が多かったこと、平目の縁側とマグロのやまかけが美味しかったので合格点。
このお宿、もちろんお金に余裕がある人向きですが、和食の王道料理を食べたい人なら「本館」の方なら良いかもしれません。平日のシーズンオフであれば、各種の割引もあるようです。離れは・・・さすがに高すぎますね。
細かい記録はこちらの旅行記で
http://blogs.yahoo.co.jp/tamakinyanko/7784871.html
http://blogs.yahoo.co.jp/tamakinyanko/7831500.html