アセンブルの妙
創作料理というと、和食の材料を西洋の割烹で食わせたり、その逆の手法を取ったり、材料をあえて手を加えず放り出したような真似をしたりで、目や舌には新鮮だが、実際の食味が佳良であるかはどうなのよ? と首をかしげるものも少なくない。
一方、当店の御菜の組み立ては、所謂会席、宴会料理としての和食の文法からは自由である。
が、その構築はいちいち論理的かつ適切。
粗組し接着したプラモデルの部品一つ一つの端面に、都度サーフェサーによる研磨を加えなくとも、既にツライチに仕上がっている、といった風の過不足なく調和のとれた状態で、食い進め、酒を使っていると素直に旨いなあ…という言葉が漏れる。
冬の割烹ではひれ酒に決めている。
決めているのに理由はない、あったとしても忘れてしまった。
もしあるとすれば、当店は殊更に椀で出てくる汁物仕立てのものが旨いのであるが、そこに滋味あぐれるもとい溢れるひれ酒を加えてやると、さらに汁物が一つ追加されたようで豪勢な気持ちになるから、とは、気持ちの割に書いてることはビンボーくさいから黙っている。
そう思いながらトロトロの、熱が通るギリギリに雲丹を温める茶碗蒸しの熱さに舌を焼き、成体のマグロのように濃厚ではないが肌理の細かいヨコワの皮目を炙って塩で味を決めたもので口腔を刺激し、寒ブリの傍若無人な脂を湯びきポン酢でさらりと食わせるさまにウットリとなり、王道にして正宗な鯛の兜煮に舌鼓を打っていると、こりゃたまらん! と、手のひらで額をピタピタと叩く、ショーワなオトウサン・スタイルで我が口福を祝賀しない、事もない。
Restaurant name |
Nihon Ryouri Araragi(Nihon Ryouri Araragi)
|
---|---|
Categories | Japanese Cuisine |
Phone number (for reservation and inquiry) |
025-226-7772 |
Reservation Availability |
Reservations available |
Address |
新潟県新潟市中央区東堀通6番町1050-1 石田ビル 1F |
Transportation |
1,620 meters from Hakusan. |
Opening hours |
Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting. |
Budget(Aggregate of reviews) |
¥20,000~¥29,999¥5,000~¥5,999
|
Method of payment |
Credit Cards Accepted (JCB、AMEX、Diners) Electronic money Not Accepted |
Number of seats |
25 Seats ( カウンター10席、個室4席、個室6席) |
---|---|
Private dining rooms |
OK |
Private use |
OK |
Non-smoking/smoking |
No smoking at all tables |
Parking lot |
not allowed |
Space/facilities |
Comfortable space,Counter |
Drink |
Particular about Japanese sake (Nihonshu) |
---|
Occasion |
Business |With friends/colleagues This occasion is recommended by many people. |
---|---|
Website | |
Remarks |
【新潟市中央区弁天2-3-35 コートホテル新潟1F より移転】 |
日本式の割烹を能くする店については、目の前には折敷が用意されており、出汁がしっかりひいてあり、目を剥くような派手な事(素材であったり、組み合わせであったりで)が施されておらず、ひと皿ひと鉢に盛り込まれる量が過剰ではなく、鶴首ないし外連のない、落ち着いた徳利とそれに調和する猪口が用いられていれば、それほど文句を言う筋合いでもないかなと思うたち。
自らすすんで社交の精神を発揮させるタイプではないし(やり出すと営業職あがりの悪癖で「キリがないほど」だから)、側から弄り回されるのを接待と感じる方でもないので、客あしらいに関しては、こちらが目を合わせる、軽く手を挙げたら応えてくれるといった水準で過不足を覚える事はないし、そもそもおしゃべりがしたければ、初手から「そう言う店」でお金を落とすのが作法であろうと心得ている。
その上でゆっくりと杯を傾けている事が出来れば、酔漢冥利につきる
とまぁ感じる次第です。
これらが充足しているこちらへ、ちょい久しぶりに。
「家のもの」と四半世紀一緒に過ごしたお祝いに、いっぱいやろうじゃないか、という魂胆で訪問。
せせこましさや不衛生を全く感じさせないカウンタ席に大人数を詰め込む事はせず、ゆったりと構えさせてもらい、静かなご亭主が必要な時だけ出てきてさかなを引いているのを眺めながら、傍らの同居人とぽつり、ぽつりと言葉を交わしては、酒器をつかい、箸を動かし、舌鼓を打っていると、一連の御菜がで尽くすまでの三時間弱は
「あっという間に」
流れていき、昨今の「食はエンターテイメント」という風潮も楽しかろうが、こういうのがわたくしどもには具合がいいねと、首肯しあわない、事もない。
尚、具体的な御菜の詳細は、別掲の写真ないし写真のコメント欄に当たって頂きたい。