鯛の塩竈焼き、メバルの煮付け
2015年は5年振り2回目の訪問です。予約名を告げると離れの個室に案内されました。この部屋が素晴らしいんです。6畳の和室なのですが一言でいうと落ち着くのです。
障子で仕切られた離れの個室なのですが、築100年の古民家の為か、風の通り道[=隙間]がいたる所に見受けられます。空調も使ってはいるのですが、真夏の日差しを遮るだけで古い日本家屋は涼しさを取り戻すことにビックリしました。
本棟の個室では別のお客さんの嬌声が響いていますが、離れには無縁です。障子1枚だけの仕切りですが、離れには蝉の声しか届かないです。 また、6畳を2人で利用するので広~く使えます。仲居さんは食後の私達を放置してくれるので、食休みでゴロゴロ寝転がって仮眠もしました。極楽です。
2015年はミニ懐石コースを1ランク(+\540)上げて料理の変化を楽しみました。
ミニ懐石コースは+1ランク贅沢な為か、なんと"鯛の塩竈焼き"が登場。それも普通の鯛の塩釜焼きとは別次元の料理でした。 一般的な鯛の塩釜焼きは"粗塩/卵白/昆布"を使うのは知っていましたが、お多津の場合は、鯛を桜の葉で包んで蒸し焼きにしているので、鯛の身に桜の香りが染み込んでいて、とても美味しゅうございます。
また"メバルの煮付け"は、甘くなく生姜が効いていて美味です。お多津は初回訪問時に食べた"鯛の甘浸し"みたいなアマ~い料理が有名かと思いきや、銀平みたいな醤油焚きもレパートリーなんですね。
ランチのシステムに対する評価です。
今回も、点心コースとミニ懐石コースをそれぞれ1人前ずつ予約しました。ミニ懐石コースは品数は増えるものの料理内容は点心コースと重複します。どちらのコースも品数が多く、CPは優れているのですが、コースを変える事で料理内容が大きく変わる事を期待していると肩透かしを喰らいます。料理内容にバリエーションを求める方は、昼より夜の方が良いかもしれません。
帰る時は、御主人と女将が駐車場までお見送り。ホスピタリティに包まれた優雅な一時でした。
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点心コース(\2,160):
前菜5品<炊合せ,白和え,モズク酢,素麺瓜,茗荷寿し>
お造り<鯛>,胡麻豆腐の茶碗蒸し
天麩羅4品<鱧,エビの大葉巻き,茄子,しし唐>
御飯,お新香,味噌汁,抹茶,桃のコンポート
ミニ懐石コース(\4,320):
点心コースに5品追加
食前酒,メバルの煮付け,鯛の塩竈焼き
牛肉の石焼きステーキ,パイナップルのアイスクリーム
点心コースから2品変更
お造り<鯛>→お造り<平目,鯛>
桃のコンポート→葡萄のコンポート
Restaurant name |
Bekkan Saryou Otatsu(Bekkan Saryou Otatsu)
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Categories | Japanese Cuisine |
Phone number (for reservation and inquiry) |
0865-62-6262 |
Reservation Availability |
Reservations available |
Address |
岡山県笠岡市東大戸3953-1 |
Transportation |
笠岡駅より車で約10分 |
Opening hours |
Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting. |
Budget(Aggregate of reviews) |
¥2,000~¥2,999
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Private dining rooms |
OK |
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Non-smoking/smoking |
No smoking at all tables |
Parking lot |
OK |
Space/facilities |
Comfortable space,Wide seat,Tatami seats |
Occasion |
This occasion is recommended by many people. |
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Location |
Beautiful scenery,Secluded restaurant |
初回訪問は2010年。5年振りの3回目の訪問です。店に到着すると、御主人がわざわざ駐車場まで迎えに出て来ます。御主人のお迎えは3回連続です。ちと珍しい接客です。
ちなみに今回は本館奥の8畳の和個室に案内され今回も大当たり。女将に「なぜ大当たりが続くの?嬉しいけど」と問うと、女将曰く「夏休みに入ると親戚や家族連れが多いので、お二人のお客様は離れの確率が増えます」との事。なるほど。離れを指定しての予約も可能らしいです。
さて料理に対する評価です。今回美味しかったのは"炊合せ"と"鯛の骨蒸し"と"胡麻豆腐の茶碗蒸し"です。
"炊合せ"は、もみじ生麩/高野豆腐/玉子焼/蒟蒻/ヤングコーン/南瓜/里芋/がんもどきが木桶にて"笹寿司"と共に提供。5年前にもいただいた料理なのだが、なぜだろう今回は妙に激しくウマいぞ。煮含まれた潤沢なダシが滴る炊きもの達に目を丸くします。
調理する御主人は既に技量が完成している良いお歳なので彼の味が変わったとは思えず。となると、やっと私の舌が御主人の妙味を理解できるようになった。という事になりますね。ちと嬉しいような、昔の自分が恥ずかしいような。。。そんな再会の一幕でした。
因みに"笹寿司"はモチ米の中に漉し餡が待ち構えていて、ボリュームも甘みも前菜っぽくない構成。女将に「これって笹餅ですか?笹団子ですか?」と聞いたけど「笹寿司です」との返事だったので不思議な気持ち。新潟/長野/金沢とも異なるスイーツ笹寿司ってチョー異文化遭遇。日本はまだまだ広いものです。
"鯛の骨蒸し"は一言でいえば"鯛の酒蒸し"なんだけど、特筆すべきは火入れ加減の絶妙さ。柔らかく蒸された鯛の身は脂のノリも酒の染み具合も塩分の抑え具合も完璧。御主人の顔を思い浮かべながら、ほろほろとした鯛料理に舌鼓です。
"胡麻豆腐の茶碗蒸し"も5年前に食べた料理だけど、今回の方が美味しかったです。なぜだろう?見た目フツーの葛あん掛け茶碗蒸しだけど椎茸や銀杏は入っておらず、蒸し卵を食べ進むと中に黒胡麻豆腐が待ち構えてます。胡麻よし、柚子よし、山葵よ~し♪
5年前と同じ料理なんだけど、この黒胡麻の味わいがより強くなっている気がします。前回との違いを画像で見比べると、葛あんのお供が黄柚子に代わって風味が良くなってるのは分かるけど、きっと黒胡麻にも変化の秘密があるハズ。推測だけど。。。
そうそう食欲を引き寄せるビジュアルと遊び心にも触れておかねば。
"お造り"は鯛なんだけど梅雨明け前なので、鯛の刺身をとろろ山かけにしてゼリーをのせて朝顔風。朝顔の葉にチョコンと座った空豆とグリーンピースのアマガエルが愛らしいです。
"鴨方の素麺"に至っては、素麺の上にはカニが登場して周囲の金魚を狙ってます。カニの居場所として"つみれの岩場"も用意されてます。どちらの料理も小芝居の効いたご愛嬌ですが、これらの遊びを和室でいただくと涼しげで贅沢な気持ちになるものです。
また、鴨方の素麺ってば結構太いんです。思わず仲居さんに「これってヒヤムギですか?」と聞かざるを得ませんでした<恥>。岡山県[備中]と兵庫県[播磨]って近くても異なる文化圏なんですね。勉強になります。
更に驚いたのは飯し物で提供された"ぬくずし"。"温ずし"とも"蒸し寿司"とも書くけど、要は"セイロで蒸したバラ寿司"で近畿/瀬戸内海の冬の料理だとばかり思ってたので、夏場に提供されてビックリした次第。
ところが、これまた和室でゆっくり時間を掛けていただくととても上品な味わい。椎茸も薄揚げもゴボウも丁寧にダシで炊かれていて美味。ひと手間/ふた手間を感じます。ぬくずし=冬。という固定観念はイカンねぇ。目から鱗です。
料理の最後のデザート配膳時に「このお部屋は14時半までご利用いただけます」と案内され、時間を確認するとまだ13時半。12時に入店したのだから1時間半のフルコースな時間配分で良いペースだけど「う~む。この離れを愉しまないのは阿呆だよなぁ」と前回同様、大の字で1時間ほど食休み&仮眠してから店を後にしました。
料理も時間も空間もご馳走様でした。また寄らせてください。
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点心コース(\1,650):
前菜5品<炊合せ,笹寿司,煮豆,モズク酢,小鯵の南蛮漬け>
お造り<鯛刺身の山かけ朝顔風-空豆のカエル添え>,胡麻豆腐の茶碗蒸し
天麩羅4品<ままかり,スナップエンドウ,茄子,エビの大葉巻き>
鴨方の素麺-カニとつみれ岩場,ぬくずし,お新香,無花果のコンポート,抹茶
ミニ懐石コース(\3,850):
点心コースに4品追加
田楽ナス,鯛の骨蒸し,百合根まんじゅう,バナナのアイスクリーム