Restaurant name |
Nankichi
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Categories | Dumplings |
Phone number (for reservation and inquiry) |
0952-25-1803 |
Reservation Availability |
Reservations available |
Address |
佐賀県佐賀市中央本町8-1 |
Transportation |
佐賀市営バス「中の小路」停留所から徒歩5分 1,253 meters from Saga. |
Opening hours |
Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting. |
Budget |
¥1,000~¥1,999 ~¥999 |
Budget(Aggregate of reviews) |
¥1,000~¥1,999
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Method of payment |
Credit Cards Not Accepted Electronic money Not Accepted |
Non-smoking/smoking |
− |
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Parking lot |
OK 近隣に有料で |
Occasion |
This occasion is recommended by many people. |
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ご夫婦かと思われる熟年男女お二人が営まれる小さな餃子屋さん。
雨の平日20時頃、一人で訪問。
店内は狭い。客席は、小上がりに小さな座卓が二つ、カウンターに長腰掛二つ。二つの長腰掛はそれぞれ無理すれば三人、通常は二人用というところだろうか。カウンターと小上がりとの間も狭く、通行の際に客同士の心遣いが自然に交わされる。
「ビイル」(500円)をお願いすると、できればご自分で取っていただけますと助かります、とのこと。奥の冷蔵庫からキリンクラシックラガーの大瓶と冷えたコップを取り出し、冷蔵庫の左側の壁から生えている固定式栓抜きに瓶の先を突っ込んでこじ開ける。王冠は、傍らに吊るされている回収ケースに入れる。
「酢もつ」(350円)、「焼ぎょうざ」(500円×2人前)、「水ぎょうざ」(500円)をいただいた。この三品にはすべて小ネギがたっぷり添えられるのが嬉しい。練り赤柚子こしょうも合う。
「酢もつ」のもつは、主に鶏の腸管だろうか。つめたく、さっぱりとしている。暑く湿気た鬱陶しい夏の雨の中を歩いてきた後の人心地を取り戻すビールのお供としてよいものだ。
ぎょうざは、注文に応じて一つ一つ皮を展ばして餡を載せて閉じるという作業を、実直に、丹念になさる。ぎょうざ一つの大きさは全国的に見れば小さめかもしれない。九州人の自分にとっては見慣れたサイズ。
「焼ぎょうざ」は鉄鍋で焼かれる。黒々とした年季の入った厚みがありそうな円い平底の鉄鍋だ。途中でのひっくり返しを行わなわない片面焼。鍋には木蓋を被せ、蒸すように焼く。鍋の縁と木蓋との間に割箸を挟んで少し隙間を空けるところなどには、ちょっとした極意があるのかもしれない。焼時間は砂時計を目安にされている。
焦げ目がけっこう黒く、焼き加減はこれでいいのだろうかというような見た目だが、口にしてみると不思議とまったく悪くなかった。
皮は、自分好みの薄め。餡は、舌の上で展びのよいペースト感と挽肉の粗い粒状感とがともに良い。強い癖はなく、やさしい旨みと軽快な食感で、いくらでも食べられそう。ちなみに、1人前は10個である様子。
「水ぎょうざ」は、茹でて茹汁に浸かった状態で出される。これも1人前10個のようだ。
なるべく早く茹汁から引き揚げてください、とのこと。表面の滑らかさとモチモチ感がいい。薄い皮ながら大きな存在感がある。厭な粉っぽさはない。タレの味がよくなじみ、舌に感じるストレートな刺激が緩和されているのが好ましく感じられる。
小さな餃子専門店のカウンター席に腰掛けて、いくらでも食べられそうな外連味のない餃子とビールをいただけば、これ以上何が要るだろうか、と問いたくなるような幸福が感じられる。福岡市博多区の「宝雲亭」でも似たようなことを思ったが、こちらでは目の前で小さな餃子を一つ一つ丁寧に手作りしていらっしゃる様子を見たせいか、ますますそう思った。
日本流の大衆的な餃子は、戦争に敗れて何もかも失って満州からやっとの思いで引き揚げてきた人たちによって戦後復興期に工夫して生み出されたと聞く。先人のご苦労のおかげで感じられる幸福だともいえるかもしれない。