ポッポやの妻が丹精込める、新金谷名物駄菓子屋おでん!
東海道線の金谷から、家山、千頭を経て奥大井や寸又峡を結ぶのが、大井川鐵道。
蒸気機関車が牽く列車の旅が売り物で、懐かしい昭和の旅情を求めて、関東、関西から遥々お客さんがやって来ます。
汽車の始発駅・新金谷に来ると、何時も立ち寄るのが「かんとんや」さんという駄菓子屋さん。
店を守るおかみは、大井川鐵道で働いたご主人に先立たれるずっと前から、細腕で店を切り盛りしてきました。
店頭の角鍋には旨そうなおでんがグツグツたっぷり。
真っ黒い出汁の、正真正銘「しぞーかおでん」です。
好きなものを、好きなだけ。
一本たったの50円で、鶏皮だけ80円。
近所の子供たちも常連さんです。
鶏皮、じゃがいも、たまご、昆布、黒はんぺん・・
どれもちょうどよく出汁が染みていて、どんどんお代わりをしてしまいます。
でも、このお値段ですから、みんなで1,000円食べるのだって大変ですね。
出汁は、継ぎ足しで使ってきた魚介ベースの真っ黒なご当地流。
静岡市内などでは牛スジの店も多いけれど、おかみはあくまでも削り節や昆布にこだわります。
店の一方の売り物が、ところてん。
西伊豆・土肥(とい)の岩場で採れた、良質な天草を自分のところで煮ています。
懐かしい、木製の天搗きで2本分(160円)を。
節粉に酢醤油をたっぷりかけて。
弾力が自然な感じで優しい、正真正銘無添加の自然食品です。
ところてんを搗いてくれたのはおかみの妹さんでしょうか?
西伊豆からご当地に嫁いでこられたのだと。
店内には、所狭しと駄菓子が並んでいて、どれも子供のころにみた、懐かしいものばかり。
アイスもジュースもあって、文字通り、昭和の時代から続いてきたご商売。
汽車旅とセットでお伺いするには、うってつけのお店ですね。
ぽっぽ屋の妻が長年守る、あっさりすっきり秘伝出汁のおでん!
昔の東海道金谷宿も近い、大井川鐡道新金谷駅。
蒸気機関車がこの駅に待機していて、観光バスでやってくるSL乗車ツアーは、ここの駅前広場で中継になります。
江戸時代、東海道筋は江戸防衛の見地から天領になったり、あるいは親藩、譜代大名たちで固められたのだそう。
さらに大井川は、江戸の防衛のみならず、家康の隠居城であった駿府城の外堀の役割も果たすため、架橋はおろか渡し舟も禁じられたのは有名な話。
東西からの旅人が大井川を渡るには、馬や人足を利用して輿(みこし)や肩車で渡河する「川越(かわごし)」の必要があったわけです。
なので大井川は東海道屈指の難所とされ、「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」と詠われたのは有名ですね。
島田と金谷の両岸に川会所が設置され、それぞれに渡河のための宿場が置かれました。
増水時、人足の肩を超えると全面的に渡河禁止となり、何日にもわたって旅人は足止めを食い、そのために、この金谷宿はたいそう賑わったらしいのですが、今やあまり面影を偲ぶことはできません。
さて、新金谷駅に入っていく交差点の角にある駄菓子屋さんが、「かんとんや」さん。
引き戸を開けると、土間の柱に寄りかかるように置かれた七輪火鉢に、四角いおでん鍋が柔らかな湯気を上げています。
アイスやジュースを置くのは時代の流れにしても、なんとも懐かしい昭和の駄菓子屋がここにあります。
狭い所にごちゃごちゃとあるのではなく、どちらかと言うとがらんとしていて、これがまた何とも言えない雰囲気を醸します。
人の良い優しいおかみがいつも店番をしています。
常連は近くの子供たちと、おでんをおかずにするご近所の方々。
だから、おでんは一本45円で玉子は50円。
おでん種の仕入れ業者から勧められて数年前から鶏皮を入れるようになったのですが、それだけやむなく80円にしています。
ここでも、長年大切に世話を続け、継ぎ足してきた出汁は真っ黒。
昔から牛スジなどの動物質に頼らないのが信条で、魚介や昆布の優しい味が染みています。
艶々に煮上がった昆布の何とも旨いこと。
それに、出汁の染みわたったジャガイモのほっくりした食感も、これまた絶品。
おかみが「本来じゃない」という鶏皮が、おかみには悪いが最高に旨い。
じっくりと軟らかく煮られて、出汁がたっぷり染みて、言うことありません。
今は亡きおかみの旦那さんも、もとは大井川鐡道で働いていたのだと。
保線の職場で、風雨昼夜分かたずに大変な苦労だったとか。
さらに祖父は機関車の技術工で、蒸気機関車の復活に尽力したと。
鉄道一家を支えるために、職場にも近いこの場所で始めたおでん屋も、来年で50年。
あっさりすっきりの出汁とともに、変わることなくご近所で愛され続けて欲しいものですね。
Restaurant name |
Kanton Ya
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Categories | Oden |
0547-45-2308 |
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Reservation Availability |
Cannot be reserved |
Address |
静岡県島田市金谷泉町1122-5 |
Transportation |
大井川鐡道新金谷駅から徒歩1分。 137 meters from Shin Kanaya. |
Opening hours |
Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting. |
Budget(Aggregate of reviews) |
~¥999
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Method of payment |
Credit Cards Not Accepted Electronic money Not Accepted |
Private dining rooms |
not allowed |
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Non-smoking/smoking |
No smoking at all tables |
Parking lot |
OK |
Occasion |
This occasion is recommended by many people. |
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東海道線の金谷から大井川を遡り、接岨峡(せっそきょう)や寸又峡(すまたきょう)など奥大井を目指す、大井川鐵道。
2022年の秋、台風による土砂崩れがあって、川根温泉笹間渡という駅から先が今でもずっと不通になっています。
ご当地名物の蒸気機関車が牽く観光列車が出発するのは、金谷の次の新金谷という拠点の駅で、此処に皆さん観光バスでやってきて、SL列車に乗り込みます。
必ず立ち寄る新金谷のおでん屋さん。
というか駄菓子屋さん。
かつてこの鉄道に勤めた方の奥様が昔からやっているお店です。
かんとんやさんのおでんは、一本たったの50円。
※2024/02現在変わらず。
駄菓子はよりどりみどり。
今は少子化だから、お店で子供たちに会うことはあまりないけど。
イワシのすり身で作る黒ハン。
こんにゃく、昆布、たまご、じゃがいも。
それに、今回はたまたま売り切れだったけど、ここは鶏皮(仕入れ商品なのでこれだけ特別100円)が旨い。
選んで皿に盛ったら、魚粉をかける。
スープはよそわないのが静岡の流儀、お約束。
だからおたまも置いてません。
程よい煮込まれ具合、熱々、ふーふー!
黒ハンペンは好物で、要はツミレを平たくしたようなヤツなんだけど、トースターで軽く炙っても旨いから、近くのスーパーでまとめて買い込むのがいつものことです。
おでんの傍で売っていたご当地の青島蜜柑をお土産に。
1袋たったの100円!
金谷界隈では、日当たりの良い斜面が蜜柑畑になっています。
冬に訪れたなら、地元特権のおすそ分けをいただくことをお忘れなく。