質が上がればお値段も上がる。これをカネで解決という。
「高くて旨いは当たり前」という言葉があり、しばしばこのウエブサイトでも言及されている。
しかしながら世の中には高くてもアレな、という「味わいや食感以外のところ」に注力し、結果、値が高くなっているモノ、或いは希少性という、ある種の人には猛烈に効く「おクスリ」をドーピングして高値を狙う商いというモノもあり、決して「高いから旨い」とも限らない、というのが #冷徹な事実 であり、 #冷酷な現実 であり、社会通念であり、ワールド・ヴァリュー(世界基準©️副島隆彦)である事、いうを待たぬ。
一方、旨いものを食わせようと、材料に凝り、割烹を極め、一つ一つ丁寧に仕上げれば、そりゃ奥さん、コストはかかりまさぁね、というのも避けることの出来ない資本主義社会の事実であり、逆にコレを無闇矢鱈に買い叩くというのは、ひとの仕事に対して敬意を払わぬ行為であり、ノブレスオブリージュ、ジェントリー、ギャラントリー的観点からは、感心できるさまとも言い難い。
世の中とは合理と矛盾、そして義理とニンジョー、更には薄情とソクインのジョーが混在しているモンである。
文句、ある?
と、言うわけで(って、どういうわけだ?! )鈴廣のかまぼこ、アゲイン。
かまぼこの潔い白さ、口に含んだ時の香り、噛んだ時のいわゆる「足の強さ」というのは、中高年の晩酌の場に潤いをもたらし、まこと結構なものであり、新幹線でエチゴに帰郷する前、大丸東京店の中に入ったこちらでしばしば買い求める。
その折、売り子の姐さまが、「一番人気ですよー」と宣うのに付和雷同するカタチで、求めやすい値の「謹上」を選び、持ち帰り、拙宅で肴にするのが常であったが、先日、敬愛するoggeti209 さまが、小田急OX 小田原駅名産店のレビュー*1 で、格上の「特上」につき評価をされていた。
そしてその名文、名調子、「読めば読むほど」旨そうである。
謹上と特上、値を比べれば確かに五割近い差がある。
しかし食ってみたくてしょうがなくなる。
と、なれば、義を見てせざるは勇無きなり、スウェーデン喰わぬは侠のハジ! まなじりを結し、出張帰りの時間を切り取り、こちらのコーナーに飛び込むや
「とっ、トクジョー・プリーズ! 」
と、叫び、姐さまが「はいはい、白でよござんす? 」と返してきたのにひたすら首肯し、勘定を済ませ、上越新幹線「とき」に飛び込み、スワロー惨状(仮 ステイションに到着するまでの二時間弱を座席でジリジリと待ち、駐車場に停めておいた2リッター4気筒DOHCターボチャージャーエンジン搭載四輪駆動のタコメーターを、ここでは少々申し上げ辛いほどの回転領域まで回し、拙宅に到着。
近所のスーパー*2 で売っている、中指ほどの「使い切りわさび」をおろし金ですり、かまぼこは猪口いっぱいの燗酒に丁度いいひとくちサイズに切り、徳利は当然、ひと肌+αの温度領域に加熱し、
いただきます!
!
!!
!!!
謹上ではたまに、鼻腔にわずかに拘るフィッシーなニュアンスがまるでなく、わさびのもつ揮発性物質の働きで活性化されたおさかなの旨味には不自然なところなく、味蕾を喜ばせ、ぷるんクッキリとくる「足の強さ」は寒天やゼラチンのそれとはまるで異なる質の感触を歯の先に、歯茎に与え、調子が上がり、ここにエチゴ魚沼の銘酒「雪男 純米」*3 をぐいとやると、欣喜雀躍ここに極まれり、であり、オトウサンご満悦、「旨くて高いはありがたい」という文句をひねってひとり悦に入らない、事もない。
みなさま、鈴廣は「特上」ですゾ、いや実際、本当に!
*1 https://tabelog.com/kanagawa/A1409/A140901/14071044/dtlrvwlst/B343743797/?lid=unpickup_review
*2 https://tabelog.com/niigata/A1501/A150102/15018549/
*3 http://www.kakurei.co.jp/sake/yukiotoko/yukiotoko01/
おまんまのお供。
カマボコの板はなんで付いてるの?
海ン中泳いでる時に溺れないようにさ。
…ではなく、本当の理由はこう言う事なんだそうな。
「カマボコ好き」である。
子供の頃は正体不明でボヨンボヨンと足が強いだけで一体ナニが美味いのかと思っていた。
しかしながら、酒を近づけるようになると「腹一杯になる事より飲んでいる時間が楽しくなって」くる。
そうなると、お蕎麦屋さんでとる、「板わさ」の佇まいというか、小宇宙というか、「ありよう」に、なんとも言えぬ妙味みたいなものを見出すようになり、このスティームド・フィッシュ・ケイクに並々ならぬ愛情を持つに至り、拙宅でも、晩酌どきの「もう一品」に登場することが、少なくない。
と、いう訳で冷蔵庫にカマボコは欠かせない。
ハウエヴァ、しかしながら、である。
我がエチゴ県、一正、堀川、竹徳と、練り物会社はそこそこあるのに、スワロー・惨状地域(仮 ではいわゆる山型の白いカマボコがあまり流通しておらず、あっても外側をコチニール色素で染め上げた、赤板ばかりが目に付く。
蟲で色付けされていようが食味が変わらなければよさそうなものであるし、第一断面が紅白でめでたいじゃないか、というご意見もあるかとは思うが、そうもいかない。
中高年のオトウサンが徳利と猪口を玩弄しながら、じぶんひとりの時間を「切り取って」いるとき、カマボコの色は透けるような純白でなければならぬ、というのは極めて私的嗜好であり、ワールド・ヴァリュー(世界基準©副島隆彦)とは言い難いかもしれぬが、「わかるひとはわかる」というものである事、いうを待たぬ。
かくして旅商いの帰り道、新幹線に乗るまでの間を調整し、こちらに寄り、売り子の姐さまに「これ、一番人気ですヨ」と言われるまま、謹上蒲鉾(白)を一本包んでもらい、イソイソと帰路に向かう。
イソイソしているときには、ワサビ漬けに決めている。
決めているのに理由はない、あったとしても忘れてしまった、
もしあるとすれば、カマボコを切り、ここに本わさびを添えると、いい「酒の肴」になるが、本わさびが常に手元にあるかというと、夫婦とも留守がちな拙宅「兵站」は甚だ心もとなく、となれば保存性が高く、ホースラディッシュに風味を担保した「チューブわさび」よりは、まだしもなものであるから、とは、いかにも次善の策という感じで風流とは程遠いから、黙っている。
そう思いながら、カマボコを好みの形に切り、ワサビ漬けを添えてみると、酒の肴としては次善かもしれぬが、朝食の米飯には滅法界調和するという事に、改めて気づき、原勇から配達してもらった魚沼コシヒカリを炊き、これも地元惨状(仮 のものながら全国高シェアを誇る車麩と葱なりで「おみおつけ」をつくり、カマボコを、ワサビ漬けを御菜に茶碗タップリの「おまんま」をわしわしと食らうと、ああ、今日も一日頑張っちゃうゼ! と勤労意欲に火が付かない、事もない。
Restaurant name |
Suzuhiro Kamaboko
|
---|---|
Categories | Delicatessen、Other |
03-3212-8011 |
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Reservation Availability |
Cannot be reserved |
Address |
東京都千代田区丸の内1-9-1 東京大丸 B1F |
Transportation |
JR東京駅隣接大丸地下1F 96 meters from Tokyo. |
Opening hours |
Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting. |
Budget(Aggregate of reviews) |
~¥999
|
Method of payment |
Credit Cards Accepted (VISA、Diners) Electronic money Accepted |
Private dining rooms |
not allowed |
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Private use |
not allowed |
Non-smoking/smoking |
No smoking at all tables |
Parking lot |
OK |
Space/facilities |
Comfortable space,Wheelchair access |
Food |
Particular about fish |
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Occasion |
This occasion is recommended by many people. |
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Service |
Take-out |
With children |
Kids are welcome |
週末の酒盛りが終わった。
年に数度、友人の家に伺ったり、こちらが招いたりで宴をはる。
酒類、肴は持ち寄り、或いは/及び主催者が調理提供、又は、腕自慢が材料、コンディメンツ、調理機器を持ち込み、厨房を分け合って作る
…と、まあ、さまざまなのであるが、昼過ぎから始まり、タクシーが深夜料金に振りかわる頃まで続く。
今回は拙宅にて。
六人でシャンペーンとゼクト各一、白はリースリングとグリューナフェルトリナ各一、赤は節操なくイロイロ五本、その間、手羽元や牛の背肉を焼いたり、パスタやパエリアなどのデンプンをガブガブと食い散らかし、さらにショーチューを飲み出す奴、ウヰスキーで〆る、どころか船を漕ぎだす奴が出てきたりで、大団円、というか沈没。
翌日は夕方まで、まともに食事ができなかったほど。
洋食に飽きたら、と、用意していた酒(ここでは清酒、日本酒のこと)と、ツマミになりそうなもの、は、手をつけぬまま繰越し、拙宅熊猫亭の冷蔵庫に残る。
週が明け、それほど日持ちするものでもないので、鈴廣で求めた伊達巻(ハーフ」と特上かまぼこ(白)を切り、わさびを擦り、客人の「お土産」に持たせた余りの宮尾酒造謹製「つるカップ」のプルトップを開き、独酌と洒落込む。
伊達巻と板わさで酒、というと、なにやら正月の二日目午後、テレビも観飽きて残った御節を持て余しているような風景であるが、おさかなのすり身を含ませ、甘くふっくらと仕上げた伊達巻を箸で小さく毟り、そのままで、わさびだけを少し添えて、わさびは付けずに生醤油を少しだけショマせて*1 …とチマチマやりながら「つるカップ」を口にぐい、と運ぶと、箱庭趣味というか盆栽的というか、或いはプラモデルを弄っているような面白さがあり、悪くない。
俳諧の、一種の四畳半趣味の事を、正岡子規は「月並調」と例えたそうだが、ツキナミで型が決まる、というのが大人(たいじん)の風格だゼ! と嘯きながら「かまぼこ」をポイと口に入れると、やや利かせすぎたわさびの辛さに、目頭に涙がちょいと浮かび上がり、まわりが少しぼやけ、月に叢雲花に風、わかるかなぁ、わっかんねぇだろうな〜ウェ〜イ♪ *2 と、風流人を気取らない、事もない。
*1 エチゴ弁:浸みこませ
*2 ™️松鶴家千とせ師匠