Restaurant name |
Miyoshiya
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Categories | Tonkatsu (Pork cutlet)、Cafeteria、Ramen |
Phone number (for reservation and inquiry) |
03-3863-3448 |
Reservation Availability |
Reservations available |
Address |
東京都中央区東日本橋2-10-4 |
Transportation |
180 meters from Higashi Nihombashi. |
Opening hours |
Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting. |
Budget(Aggregate of reviews) |
¥1,000~¥1,999~¥999
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Method of payment |
Credit Cards Accepted (AMEX) Electronic money Not Accepted |
Private dining rooms |
not allowed |
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Private use |
not allowed |
Non-smoking/smoking |
− |
Parking lot |
not allowed |
Occasion |
This occasion is recommended by many people. |
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中央区東日本橋2丁目。東京に限ったことなのか、ここ東日本橋や、東麻布、東長崎、東中延と、東がつく地名や駅名にはなぜか寂寥感が漂う。江戸時代、東海道など五街道の起点と定められたお江戸、東京、日本橋。まさに東都を代表する住居表示だが、その隣に東日本橋があると思いきや、都営地下鉄浅草線で2駅も離れた、女性情報誌『オズマガジン』の取材候補にさえ上がらない地味な街並み。とはいうものの、東日本橋2丁目はかつて日本橋両国と呼ばれた由緒ある土地。古典落語の題目『お藤松五郎』の舞台、両国広小路もこの辺りだ。
この界隈は実は前職時代より、何度か仕事で訪れる機会があって、昼時はいつも頭を悩ましていた。東日本橋駅に面した幹線道路、清洲橋通り沿いには、ほとんど飲食店が見あたらず。この付近のサラリーマンは、仕出し弁当の利用率が高いのだろうか。6月に入ったばかり、得意先への商談終わりの平日。東日本橋駅へと戻る道すがら、ランチをどうしようか考える。
清洲橋通りを一本奥に入った路地をキョロキョロ歩いていると、KINCHOと赤い文字で描かれた白地の大型看板が視界に飛び込んできた。鶏の顔がロゴマークの、大日本除虫菊㈱東京支社の社屋のようだ。まさかこんな目立たない場所に支店を構えているとは思わなかった。とはいうものの周囲を威圧するような迫力、エントランス前の駐車場には社用車が数台。日産のワゴン車だが、全面スカイブルーに塗られて東南アジアで見かけるタクシーのようだ。営業車なので、都内各所でも走行しているはずだが、まったく記憶にない。恐らく広告塔としての役割をも担う戦略かもしれないが、宣伝効果はいかほどのものか。
社屋の向かい側では新築ビル工事の真っ最中。立ち会いのガードマンにジロジロ見られて、金鳥だけに少し緊張しながら撮影画像を数枚収めておく。特に文句も言われず、ほっとしたのもつかの間、前方に飲食店を発見。白いプラスチック樹脂の庇が特徴的、近づいてみると何とあの三好弥が、マンションの一階にて営まれていた。私のレビューを今年の初めからご覧になられた人なら、すっかりお馴染み。東京における洋食屋の一大グループ。愛知県三河地方出身の長谷川好弥氏が、上野黒門町で開業したのが東京でのはじまりといわれ、三河の三と名前の好弥が屋号の由来とも言われている。元祖と思われる店は既にかの地には存在しないが、都内川の手エリアを中心に同名の店をいくつか見かけることができる。
店頭にはラーメンと書かれた赤いのぼりが置かれている。基本とんかつを中心とした洋食メニューが中心でも、まれに中華料理を供する三好弥も存在。こちらもそのタイプのようだ。自動扉手前にはランチメニューを記した黒板。ランチは700円と、この界隈にしては手ごろな値段か。洋食弁当やラーメンセットのようなメニューも並んでいる。外観の写真を収めようと後ずさりしていると、庇に書かれた電話番号に振られたルビに気付く。下4桁の番号が3448(ミヨシヤ)と、無理のない語呂合わせでばっちり。この番号を狙って取得したくても、そう簡単ではないだろう。何件か都内の三好弥を調べてみても、同じ番号の店はほとんどなさそうだ。
店内に入ると、店内は奥行きがあって思った以上に広々。右手にテーブル席が並び、奥の左手はカウンター席になっている。12時15分前だというのに誰もいない店内、一番手前のテーブル席に腰掛けた。襟付きの白い調理服の上着を着た、40代半ばのおかみさんがコップに入った水をもってきてくれる。ここは無難にランチ(700円)を頼む。入り口に置かれた黒板には、ランチはメンチカツと鯖の塩焼き、ポテトサラダと書かれていて、それを見た時から半ば決めていた。
料理が出来る間にメニューを眺めると、洋食や中華のメニューを中心に、単品料理も充実している。夜は居酒屋としての使い方が主流なのだろう。前方には食堂らしからぬビールサーバーが置かれて、その隣には銀色に鈍く光るビア樽が。見たところ20リットルの容量はありそうだ。おかみさんは私の注文をカウンター奥の調理場に通すと、ビールサーバーの定期メンテナンスか、雑巾で取っ手部分を拭き始めた。
店内にスポーツ新聞や漫画が見当たらないので携帯電話をいじっていると、厨房からコップの水を出してくれたおかみさんより高齢な女性の声。「昨夜はデーブイデ―(DVD)を夢中になって観ていたら、夜中の3時になっちゃって~」と話しかけている。会話のやりとりから、どうやら中身は韓国ドラマのようだが、その分野にまったく興味がない私にはどうでもいいこと。すると電子レンジのチンする音が聞こえて、嫌な予感。鯖の塩焼きかメンチカツのいずれかを温めているようだ。もし両方とも温め直しているのを知ったら、おいおい勘弁してくれよと思わず世界の中心で愛を叫ぶ、もとい東日本橋の中心で脱・出来合いを叫ぶかもしれない。
ほどなくして、私の頼んだランチがおかみさんの手により、運ばれてきた。私の目の前に置かれた瞬間、思わず言葉を失う。多角形の小皿に乗った鯖の塩焼きとメンチカツは、ご飯の盛られたお皿の1/3ほどの大きさ。ポテトサラダの小鉢も小さいので、メインとなるべきおかずの皿が見当たらない。しばし呆気にとられるも、気を取り直してメンチカツから。こちらは揚げたてのさっくさくでまずは安心。ただし大きさがコンビニで販売しているコロッケ並みの大きさなので、あらかじめ包丁を入れる必要はないだろう。味は決して悪くないのに、ひと切れが更に小さくなって食べた気がしない。
鯖の塩焼きは電子レンジで温めたのだろう、脂がすっかりと身に回ったありふれた味わい。私にとってのエナジーチャージも、残念ながら不活性のまま。最後の頼みの綱かポテトサラダを口に入れると、珍しいことに薄くスライスしたリンゴの食感。幼少のころ、母親が作ってくれたポテトサラダを彷彿とさせる、懐かしい味がよみがえる。これが唯一の救いかもしれない。大きな皿に平たく盛られたライスをちびちび食べつつ、ほどなくして完食。小食の私でさえ、物足りない食後感。中央区ならば、この金額相応のボリュームなのだろうか。
すると厨房から外にでてきたのは、深夜までデーブイデ―を観ていた女性のようだ。60過ぎで茶色く染めた短髪パーマ姿。先代おかみなのだろうか。私の方を気にとめることなく、またすぐに調理場に引っ込んでしまった。