京都の若摘山椒ちりめんを京焼・清水焼の染付け小鉢に盛って夏を楽しむ
ルネサンス期の中心的存在メディチ家の四代目ロレンツォ・デ・メディチ (Lorenzo de' Medici、豪華王 Lorenzo il Magnifico) は優れた詩人でもありました。
Quantè bella giovinezza,
che sia fugge tuttavia,
Chi vuol essere lieto, sia:
di doman non cè certezza.
青春は美しき哉
されど儚い
ならばこの美しさ愉しむ可し
明日の日は確かならねば
日本でも「ゴンドラの唄」として
いのち短し 恋せよ乙女
紅き唇 褪せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを (作詞:吉井 勇、作曲:中山晋平)
として親しまれています。
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京丹後に広がる "和久傳ノ森" には山椒畑があり、木の芽、花山椒、若摘山椒、山椒が大切に育てられ客に振る舞われています。
人間でも年齢相応の美しさはありますが、男女とも十六歳から二十歳までの煌めくような麗しさと感性の頂点ともいえる時は短く儚いです。この間に無駄な受験勉強ばかりしているとツマラナイ人間になってしまいます。文武両道、よく遊びよく学べが大切です。
この日、ISETAN新宿店で買った "若摘山椒ちりめん" を京焼・清水焼の染付け小鉢に盛って夏を楽しみました。この小鉢は清水坂で代々陶器屋を営んでいる大先輩から購入しました。
"もの" を作っているところに技術は宿ると言われますが、今、京都の伝統工芸界は中国からの廉価な大量生産品の流入によって大きな問題を抱えています。活躍する場が少なくなれば職人や窯元の数も減り、熟練の心と技の伝承が途絶えようとしています。良い "もの" を作っても、正当に評価してくれる人が少なくなり、「器で味が決まるのではない。MSG (Monosodium Glutamate) をぶち込めば客は喜んで食べてくれる時代だし、扱いに慣れないアルバイトが直ぐに割るから安物でいいんだよ。」という飲食店が増えたことは、グローバル・サプライチェーンが進んだデジタル社会のツマラナイ部分です。
せめて、この小鉢のような "柿谷上石" を使って焼かれた上質な手書きの染付けを楽しむ心を日本の若者には失わないで欲しいと切に願うばかりです。
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母さん、今年のあの "花山椒"、どうしたんでせうね?
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。 − 西條 八十「ぼくの帽子」−
https://www.youtube.com/watch?v=9ZICynshw1g
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母さん、ほんとにあの "花山椒"、どうなったでせう。
そのとき傍らに咲いていたスミレの花と一緒に
もうとうに散ちゃったでせうね。
今年のコロナ禍で「ISETAN新宿本店」は、営業を自粛しています。来週25日以降には開いてくれると良いのですが、このレビューは昨年、妻が訪れた時のものです。私はイタリアに居ました。
「あなた、鱧と花山椒よ。いいでしょー。」
「うん、おいしそうだけれどイタリア料理も凄くおいしいから写真を見ても食べたいと思わないよ。」
と、悔しがってみせましたが、本当は『イタリアで日本料理を見ても食べたいと思わない。』でした。ところが、コロナ禍によって海外へ出ることができず日本にいる今年、「この季節になったら"花山椒" の料理を食べてみたいなぁ。」と、なるところが不思議です。日本に戻って二ヶ月ぐらいが過ぎると体内酵素(消化酵素と代謝酵素)が、元の日本人のものに入れ替わるので和食や日本酒がおいしくなります。逆にイタリアへ行って二ヶ月間ぐらいは本当のイタリア料理のおいしさが分からないということです。短期の旅行や出張ベースでは表面的な味しか体験できません。
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随分と高価なものになってしまったそうですが、今年の "花山椒" も例年通り、私たちの知らない世界で京都の食通を唸らせていたのでしょう。
昨年、和久傳総料理長を長年務めた藤山貴朗氏が開いた「銀座ふじやま」では、
【完全予約制のデリバリー”-SAWANI- 爽煮”を始めました】
●花山椒と黒毛和牛サーロインスライスのセット(2人前)23.000円
京都大原野産朝ぼり竹の子(ボイル)を付ける場合プラス3.000円
●うなぎ大一本.花山椒.青山椒(要冷蔵商品)5.500円
の案内があります。
京都でお会いしていた頃は、「凄い料理人がいるものだ。」と感心していたのですが、現在、これを東京で食べることができるとはいえ、ロケーションがビルの七階では『何だか違うなぁ。』との思いがあり、未訪問のままです。そのうち伺ってみようかな。
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笹ほたる(白小豆の抹茶あんとほうじ茶の寒天)を水出し煎茶でいただく。
(四回目のコメント)
今の季節の和菓子は、「笹ほたる」です。
中秋に入ると「月あかり」、師走から正月にかけて「まどの雪」、桜の季節に「夜さくら」が揃います。
どれも仄かな灯りをイメージさせる佇まいと上質な甘みがあり、目で楽しみ舌で味わう日本の文化です。
(三回目のコメント)
花山椒と青山椒が収穫できた頃に販売されるちりめん雑魚と鱧茶漬けを買いました。
京焼の磁器に盛ると一層お酒が進みます。
私の好きなお酒は、伏見の「キンシ正宗 」金閣超特撰1.8L(単価2,637)円です。東京には出回っていないので、いつも酒造元にお願いして送ってもらいます。京都の料亭で飲む温燗が一番美味しいですが、夏の間は冷や(常温)でも香りが立ち、このような肴があればグイッと喉を潤し空きっ腹に沁み渡ります。
(二回目のコメント)
季節の和菓子「わたぼうし」を買いました。
薄緑色のうすい豆を風味や甘みが残るように裏漉しして、その餡を柔らかな求肥で包み込んだ和菓子です。
指で触ると赤ちゃんの肌のようです。
六月末までの限定販売です。
(一回目のコメント)
新宿に用事があり、ひとりで七階にある正月屋吉兆の「東山」をゆっくり食べてから地階の食品売り場へ降りました。
いつものコースでぐるっと廻って紫野和久傳に寄ると“酒肴”と“春のにがみ”が私を呼んでいました。L型のガラスケースの短い辺の側に陳列されています。午後1時半頃だったのでまだ残っていましたが、夕方近くに行くと入手することが難しくなる人気商品です。
たくさんの写真を掲載しましたが、どれも丁寧に調理され、素材ひとつずつの味と香りが生きています。折に入っているのでコンパクトに纏まっていますが、これを取り皿に盛り付けると3~4人の酒肴としては充分な量があります。(日本酒は、キンシ正宗 超特撰金閣が好きです)
自宅に戻ってから、清水焼の名門「松谷」(ショウコク)の染付け皿に盛りました。
「料理は器で決まる」と私は思っています。 味の良し悪しは、もちろん素材と調理人の腕によりますが、料理を出すタイミングと共に重要なのが器です。良い器は値段が高いので資金が潤沢な店や老舗といわれている歴史のある店でしか使えません。また、資金があるからといっても器を作る職人が居なくなってしまった現代は、もう永久に手に入らないのです。日本の伝統工芸もしっかり後継者を育てて技術を伝承していってもらいたいものです。それには食文化にお金を掛けることのできる社会全体のゆとりが必要です。
効率一辺倒で「早い、安い、旨い」だけを追求していては食文化は衰退してしまいます。
ニュース番組を見ていると芋煮会や豚汁を振舞うイベントがありますが、そこで使われる器は殆ど発泡スチロール製の丼です。コストと後片付けの手間を考えれば致し方ないことなのでしょうが、陶磁器の器で供すればもっと美味しいのにと思います。
器を持った時の重みとか汁を飲んだ時の唇の触感が、料理の美味しさを引き立てます。
Restaurant name |
Murasaki No Wakuden(Murasaki No Wakuden)
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Categories | Delicatessen、Japanese sweets |
Phone number (for reservation and inquiry) |
03-5367-8218 |
Reservation Availability |
Reservations available |
Address |
東京都新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿店 B1F |
Transportation |
東京メトロ丸ノ内線 新宿三丁目駅徒歩1分 64 meters from Shinjuku Sanchome. |
Opening hours |
Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting. |
Budget(Aggregate of reviews) |
¥1,000~¥1,999¥1,000~¥1,999
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Method of payment |
Credit Cards Accepted (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) Electronic money Accepted |
Private dining rooms |
not allowed |
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Private use |
not allowed |
Non-smoking/smoking |
No smoking at all tables |
Parking lot |
OK |
Space/facilities |
Comfortable space |
Occasion |
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Service |
Take-out |
Website |
赤色のMI card (三越伊勢丹カード) を我が家ではフットボール審判が反則者に掲げる「レッドカード」と称して、使い過ぎると妻から即退場と言われます。(笑 これには VISA 機能を付けているので海外へ行った時には何処でも使え、とても便利です。プレミアム・カードと呼ばれている「A」とか「D」の黒色のカードを持っていても海外で有効なのは一部でしかなく、なんのステイタスにもならず、逆に心の中で軽蔑されるだけですから MI6に所属するジェームス・ボンド以外は持たない方が良いでしょう。(経済学者:伊■元重 氏) #だからワタシは嫌われる (© MSSBHNSさん)
この日、誘われて中野区のそば屋でゆっくりしてから La macchina をスルスルと ISETAN 本館駐車場地階へと滑らせ、いつものコースを歩きました。それにしてもコロナ禍以前と変わらぬ人の賑わいに驚くやら困惑するやら、ワクチン接種済みとはいえ、長居は無用と短時間で買い物を済ませました。(スイーツや惣菜売り場では若い方が行列を作っていました)
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京丹後に広がる "和久傳ノ森" には山椒畑があり、木の芽、花山椒、若摘山椒、山椒が大切に育てられ客に振る舞われています。
山椒の実の収穫期間は約二週間と言われ、皮の柔らかい若摘山椒が珍重されます。アゲハチョウは四月から山椒や柑橘系の葉に卵を産み付け始め、我が家でも成長した青虫を箸で摘んで捨てます。この時、小さな角を出すのですが、レモンや蜜柑の香りが漂います。山椒の葉は柔らかく小さく、幼虫の恰好の食べ物でありますが、人が好んで食べる花山椒〜実山椒の頃は農薬を使うことができず、小鳥が食べきれず残された幼虫の駆除は大変な作業です。
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今の時季ならではの「若摘山椒ちりめん」を毎年楽しみにしています。
ご飯に載せると一層 爽やかな辛さと清々しい香りが立つのですが、私はこれを清水焼の染付け八角小鉢に盛って、少しずつ箸で摘んで盃を重ねるのが好きです。口に含むと、ゆっくり若摘山椒の香りと浅く炊かれた ちりめんの旨みが広がります。これをやさしく嚥下し、口中に旨味だけが残っているところに伯耆国 (ほうきのくに、鳥取県) 「大谷酒造」の <鷹勇> 「純米吟醸なかだれ」のひや (常温、室温) をコピリンコ(©︎小泉武夫センセ)すると『そうだ 京都〜鳥取、行こう。』と思うのでありました。
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