昭和のいい空気を感じる店 : Kouetsu

裏赤坂の「口悦」を訪問。
昔、赤坂で料亭が元気だった頃、一番華やかだったのが口悦だった、と少なくとも私は思っていた。料亭には到底行けないから、行くとしたら「口悦こしかけ」。料亭と同じ建物だが、別の入口から入るカウンター割烹で、常連客が一時間くらい時間があるとちょいとつまんで帰るような店だった。国会や経済紙で見たことのある顔がカウンターに座って好きなものを頼んで帰るのを何度も見た。
そんな料亭は世の常でなくなり、それでも女将が頑張ってくれた料理人のために、こしかけ風のカウンター割烹「口悦」を近所に作った。
基本的にはこしかけと一緒。お造りもあれば、アジフライやカツ丼もある。私が入ったときにいたカップルは料理も終盤だったらしく男性のほうがコロッケを注文していた。
付き出しは梅酒と鮑とろろとしじみ汁。しじみ汁がいい味で客の肝臓への配慮になっている。ここの名物はキャベツのからし和え。茹でたキャベツをからし醤油で合えただけだが、こんなところに肩の力が抜けた料理があるのが嬉しい。カラカラになるまで水分を抜いたこんにゃくの煮物、甘辛い里芋の煮ころがし、こういう料理が美味しいのがこの店のすごいところだなあと思う。
最後はポテサラ、アジフライ、コロッケで締め、なつかしい昭和のいい店の気分を味わった。