Restaurant name |
Tsuruya Hachiman
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Categories | Japanese sweets |
Phone number (for reservation and inquiry) |
03-3263-7766 |
Reservation Availability | |
Address |
東京都千代田区麹町2-4 |
Transportation |
189 meters from Hanzomon. |
Opening hours |
Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting. |
Budget(Aggregate of reviews) |
~¥999
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Non-smoking/smoking |
− |
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Occasion |
This occasion is recommended by many people. |
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Service |
Take-out |
Website |
麹町あたりで和菓子を探すなら,もっとも古くから続く不動の老舗は鶴屋八幡です。
鶴屋八幡は,江戸時代1702年創業の大坂(現大阪)の和菓子屋である虎屋伊織を,1863年に継いだ大阪の老舗和菓子店です。東京進出も早く,麹町の東京店は1960年の開設で,すでに半世紀超。京都の某老舗和菓子店が麹町のお店を閉めてしまった現在では,気がつけばこのあたりで最も歴史ある和菓子店となってしまいました。(もっとも,斜め向かいには,京都の戦後派が出店されましたが)
その重みを感じさせないのは,現在の店舗が上階をオフィスに賃貸している9階建自社ビルだからでしょう。このビルの完成も1990年ですから,現在の店構えでも20年以上が経過し,すっかり自然な風景です。自社ビルだけあって,入口も別の店舗として,2階に軽食もある鶴屋八幡茶房があり,1階がこの和菓子店です。
150年続く本店が大阪でありながら,東京のデパ地下の多くに,上生菓子も含めて出店できているのは,東京でも生菓子を製造しているからです。東京の本拠がこちら東京店。その甲斐あって,こちらでは上生菓子も含めて,ほとんどすべての品が手に入ります。
今回は,新年を迎える上生菓子の,午の干支菓と御題菓(静)も含めて,写真の何点かを買い求めました。生命線の餡のお味としては,小豆の配合が多く,その質感と風味が楽しめる甘味です。また,上生菓子でもこし餡と粒餡をうまく使い分けておられ,とくに,こし餡のきめ細やかさが,同規模の他店に比べ頭一つ出ている感じです。こうした技法のよさは,御題菓の断面のように,貴重な白小豆を粒状にしてちりばめるといった,丁寧な細工からも読み取れます。
永年大阪で続く老舗であることからか,餡の甘さは東京の他店と比べ,強めといえますが,最近の和菓子で大福などで塩味(しおみ)でごまかす傾向よりも,和菓子好きのもともとの期待である餡のおいしさの追究に応えていて,はるかに共感できます。また,写真の老松のような玉子餡では,黄味あんのまったりとした口当たりとこくのある風味が,なかなかに記憶に残るものです。個人的には,このお店の餡は甘くても直截的であり,好きになれます。それは,後味が爽やかに消えてゆくことで,納得できます。
そうした甘さが実現できている理由は,和菓子の大手でありながら,自社でつくる餡でしょう。製餡は小豆に関する手作業が多いため,大手の会社ほど,別の製餡所から仕入れるようになりがちなものですが,現在でも兵庫県伊丹市の自社工場で小豆から餡をつくっておられます。当店で多用される丹波大納言の産地から近いことも,それは好都合な点です。和菓子が選べるときは,結局,関西のお店のものを選びがちな理由の一つかもしれません。
この餡と現在の上生菓子の丁寧な技量が続く限り,麹町周辺の和菓子店では一番信頼できるお店であり続けるでしょう。