Official information
This restaurant is registered on Tabelog as a corporate member. Business information is released by the staff.
本陣房グループでは最も古い店
日曜日の夜に、上野の東京文化会館で「東京音楽コンクール」のピアノ部門の本選が催された。
本選はオーケストラと共演するコンチェルトであるため、5.6年前までは毎年出かけていたが、ここのところちょっとご無沙汰。
今年は演目自体が面白そうなので、3年ぶりに足を運んでみることにした。
開演は17時からと、一般的なクラシックコンサートにしては中途半端な時刻。
その前にちょっと入れておこうと、この近辺の食事処を模索する。
思いついたのが、年中無休で土・日は通し営業のこの蕎麦屋。
こちらは今や都内の蕎麦屋の中では一大勢力となっている、本陣房グループの中でも最も古い方の店で、「竹泉」なども今では経営は分離されているのに対し、こちらは依然として直営店のようだ。
場所は「多慶屋」の角から、昭和通りを南に少し進んだビルの地下。
最近はこの辺りにも本陣房系の店が次々と誕生しているが、こちらは昔から同じ場所で暖簾を掲げ続けている。
グループ内の店は、味も店構えも判で押したようなスタイルであり、わざわざ訪れる意味は無いような気もするが、懐かしさも手伝って地下への階段を降りて行った。
実に20年振りである。
時刻は4時前のため、店内は閑散としている。
花番の女の子に促され、2人掛けのテーブルに通された。
まずは生ビール(ヱビス)をもらう。
お通しは「小粒の帆立と若布の煮もの」が付いたが、薄味でさっと煮てあるため、若布の食感も生きていてなかなか美味い。
こういった気の利いた一品が出るので、本陣房系の店の特徴。
肴は蕎麦屋の定番も有るが、目に付くのは多種多様な料理が並ぶ「本日のおすすめ」である。
大いに迷ったが、「鱧と茄子のたれ焼き」を選択。
少し時間が掛かったが、出て来た緑釉の角皿には、きちんと骨切りされた小振りの鱧一尾分と、色鮮やかな茄子が盛られている。
やや甘めの照り焼き風の味付けが程良く美味い。
後のことが有るので酒は控え目に、120ccのグラスでもらう。
多くの銘柄の中から栃木の「鳳凰美田」を選んだが、なかなかの満足感。
蕎麦は3種が常時打たれているが、変わり蕎麦は「ゆず切り」とのこと。
昔は季節に応じて変えていたが、冬場の「ゆず切り」が好評でこれ目当ての客が多いため、今では年間を通して出すようになっている。
今回は「せいろと田舎の二色もり」にする。
小さめの蒸篭に盛られ、時間差をおいて出すスタイルも、この系統の昔からの流儀。
スタンダードな二八の「せいろ」、野趣と歯応えが楽しめる「田舎」、いずれも良かった。
つゆも相変わらずのバランスの取れた仕上がり。
おろし立ての山葵を含めて、薬味もきちんとした仕事。
自然体の蕎麦湯も好ましい。
この系統の店は何処も敢えて大きな構えにはせず、しかも地下店舗が多いため、閉塞感やせせこましさは否めない。
こちらも落ち着きや高級感は乏しく、ゆっくり寛げる雰囲気は無い。
花番は若い女性陣だが、案外しっかりとしている。
休日ながら4時半を過ぎた頃から、予約客を含め続々と後客が入店してきた。
呑みだけでなく、食事目的の客も結構見られる。
うどんやご飯物は出しておらず、蕎麦のみでは値段は決して安いとは思えないが、確実に常連客を掴んでいる様子が窺える。
本陣房は蕎麦屋でなく居酒屋と揶揄する人もおり、中には客単価を上げるために、料理や酒を充実させているのではと言った声も聞こえる。
しかし単に居酒屋が〆に蕎麦を出しているような処とは、仕事のレベルが違う。
江戸前ならではの「蕎麦前文化」を延長させると、こちらのようなスタイルも有りであることを示している。
直営店だけでなく、こちら出身者の蕎麦屋で評判店が多いことでも、きちんとした技術が貫かれていることがわかる。
「蕎麦屋酒」の幅広い可能性とその楽しさを世に広めた功績は、大いに評価したいと思う。
Restaurant name |
Kichisen(Kichisen)
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Categories | Soba (Buckwheat noodles) |
Phone number (for reservation and inquiry) |
050-5592-1870 |
Reservation Availability |
Reservations available
※ご連絡なくご予約時刻を15分以上過ぎた場合キャンセル扱いとさせていただきます。 |
Address |
東京都台東区台東4-8-5 T&T御徒町ビル B1F |
Transportation |
Tokyo Metro Hibiya Line [Naka-Okachimachi Station] 1 minute walk JR Yamanote Line/Keihin Tohoku Line [Okachimachi Station] 3 minutes walk Toei Subway Oedo Line [Ueno Okachimachi Station] 3 minutes walk Tokyo Metro Ginza Line [Ueno Hirokoji Station] ] 5 minutes walk 83 meters from Naka Okachimachi. |
Opening hours |
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Budget |
¥6,000~¥7,999 ¥1,000~¥1,999 |
Budget(Aggregate of reviews) |
¥6,000~¥7,999¥1,000~¥1,999
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Method of payment |
Credit Cards Accepted (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) Electronic money Not Accepted QR code payment Not Accepted |
receipt |
Invoice-compliant receipts can be issued Registration NumberT4010401002615 *For the latest registration status, please check the IRS Invoice System Qualified Invoice Issuing Business Publication website or contact the restaurant. |
Table money/charge |
お酒を飲まれるお客様には席料として御会計の10%頂戴しております。 |
Number of seats |
40 Seats ( table seats only) |
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Maximum party size | 50people(Seating) |
Private dining rooms |
not allowed |
Private use |
OK For 20-50 people |
Non-smoking/smoking |
No smoking at all tables |
Parking lot |
not allowed Coin parking available within 1 minute walk |
Space/facilities |
Comfortable space,Wide seat,Wheelchair accessible |
Drink |
Japanese sake (Nihonshu),Japanese spirits (Shochu),Particular about Japanese sake (Nihonshu),Particular about Japanese spirits (Shochu) |
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Food |
Particular about fish |
Occasion |
With family/children |With friends/colleagues This occasion is recommended by many people. |
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Service |
Extended party hours (more than 2.5 hours) |
With children |
Kids are welcome(Babies are welcome,Preschool children are welcome,Elementary school students are welcome),Baby strollers accepted |
Website | |
Phone Number |
03-5688-1200 |
Remarks |
Even if online reservations are full, we may be able to accommodate you if you call us to confirm. |
正月4日にこちら方面に出掛ける用事が有り、その帰りに足を運んだのは安定した蕎麦屋酒が約束されたこちら。
新橋を本拠として45年ほど前に誕生した「本陣房」が上野・御徒町方面い進出した一号店で、こちらを発端に現在ではこの近辺にはこの系列店が5.6軒ほど在る。
何処も小規模店でメニューは概ね同様のため他の店を選ぶ手もあったが、「多慶屋」でちょっとした買い物も有ったため久々にこちらを選択。
17時の開店直後に懐かしい階段を降りて行くが当然ながら一番客で、何処でもどうぞの声に端の方の4人掛のテーブルを使わせてもらう。
まずはビール(サッポロ黒ラベル)で始める。
お通しには「松前漬」が小鉢で出された。
出来合いと思われるが、結構たっぷりと数の子が入っている。
肴の種類は相変わらず豊富で、季節ものの刺身や天ぷら、珍味類などが数多く品書きに並んでいる。
こちらなどは仕入れには怠りないと思われるが、一応河岸の初荷は明日なので刺身類は外して、限定品の文字が目立つ「あんこうの唐揚げ」をもらう。
少し時間が掛かったが、運ばれた皿には4個の5㎝角ほどの塊が盛られている。
添えられたレモンを絞って頬張ると、しっかりした旨味のある白身で中央に鮟鱇ならではの軟骨があり、少し硬いがサクサクとした食感で、ほど良い下味が付いているのでそのままで十分に美味い。
酒の品揃えにも定評があり色々と迷うが、まず無難に「浦霞」をもらう。
提供方法は今では方々の店で見かけるが、塗りの升を袴代わりに履かせたグラスに、客の目の前で花番さんが一升瓶から受けの升も溢れんばかりに注いでくれる'本陣房スタイル'。
昔はガラス製だったが、最近はこの手法なのか薄手の陶器のグラスが使われている。
肴の追加は「あぶり明太子」。
丸のまま一本の明太子が、焦げ目が付けて炙られている。
外はカリッとしているが、中はレアで食感の対比が面白い。
酒にも「上喜元」を追加してこれに合わせ、暫しの蕎麦前を楽しむ。
この日は仕事始めの会社も多いようで、18時近くになると予約客も含めて次々とテーブルが埋まっていく。
早めに蕎麦を頼んでおこうと、ちょっと欲張って「鴨せいろの三色そば」を注文。
本陣房系では基本的には「せいろ・田舎・変わり蕎麦」を打っている。
3種類を用意するのは大変なのか、田舎が無かったり変わり蕎麦を出していない処もあるが、こちらは人気の「ゆず切り」はじめ3種が揃っている。
小さ目の蒸篭が一枚ずつ時間差を置いて出される手法も、こちらが始めたこと。
最初に大き目の小鉢にたっぷり張られた「鴨汁」と「ゆず切り」が登場。
鴨肉はほど良い厚さの抱き身がかなりの枚数入っており、歯応えも旨味も楽しめる。
焼き目を付けた葱もたっぷりで、それらが加わったつゆは濃厚な味わいとなっている。
これらを摘まんで残りの酒を流し込みつつ、ゆず切りは繊細な味わいを賞味するためつゆに浸けずにそのまま手繰る。
黄の色合いは思ったほど出ていないが、香りはしっかりで食感も良好。
合間につゆを少し口に含む手法で、するすると平らげる。
ついで「せいろ」さらに数分を置いて「田舎」が運ばれる。
せいろは'二八'のスタンダードな仕事。
田舎は以前はもっと太くてゴツゴツした印象が有ったが、色合いや舌触りには野趣が感じられるものの啜れないほどでは無い。
こちらは蒸篭2枚が通常の量なので、3枚は大盛りに相当するが難なく完食してしまった。
蕎麦湯は口開け早々の為ほとんど白湯状態だが、何ら問題ない。
割りやすいように空の猪口も用意されるが、深い旨味を湛えた浸けつゆを残すなど考えられないので、最初は濃いが少しずつ足して味の変化を楽しみながら、全てを飲み干して満足感に浸る。
ドロドロの蕎麦湯ではこうは行かず、そのためにもサラッとした自然体が相応しいことを改めて認識。
最後に緑茶が出されるのも、本陣房が始めたこと。
茶のタンニンが蕎麦の味を阻害するという理由で出さない主義を貫く老舗も多いが、多少迷信めいた言い伝えなので、そんな旧習を打破する意味でも本陣房が創業当時から画期的な蕎麦屋だったことが判る。
期待通りの充実したひと時を過ごせた。
蕎麦前も良かったが、蕎麦の出来もしっかり印象に残る。
お勘定は8,000円を少し越えた。
お通し500円、ビールも790円は正直言ってやや高いと思うが、それでも賑わっているのは単なる居酒屋では無い証拠。
本陣房は仕事帰りのサラリーマン向けに「蕎麦居酒屋」と言うスタイルを始めた元祖だが、昔から肴の出来や酒の品揃え、さらに蕎麦の仕上がりまでが高いレベルで併存させている。
この系統は直営店以外にも、独立して一軒を構えた名店が多く、さらに多くの優秀な蕎麦職人を輩出した功績も大きい。
私は二十歳代からの付き合いだが、これからも安定した「蕎麦屋酒」を楽しみに方々の店を巡りたいと思う。