料理のみならず会話も楽しむ劇場型イタリアン : Commedia

2月は結婚記念月。お伺いしたのはミシュランガイドセレクテッドレストラン2024に選出された此方。

4ヶ月振りの訪問ですが、予約したのは12月上旬ですので、益々予約が難しくなっています。

平日は19時一斉スタート。10分前に到着し6席有るカウンター席へ。本日2名のキャンセルが出たので私達を含め4名でスタート。

最初は生ハムの盛合せとブッラータチーズ
生ハムのお披露目とシェフの説明後、風味の違う生ハムを楽しみます。熱々のフォカッチャとブッラータチーズ、生ハムの塩味でワインが進みます。

常盤産ヒラメのカルパッチョ
味付は少しのオリーブオイルのみ。素材の旨味だけで勝負しています。

フランス産ホワイトアスパラのフリット
揚げ立てで味つけは塩のみ。シンプルながらホワイトアスパラの風味を味わいます。

米沢牛のトリッパ
イタリア料理では必須のにんにくを味付に一切使わず、玉葱、人参等の香味野菜で煮込んでるそうです。何処まで削って素材の旨味を際立たせるかに拘っている様子。

ズワイガニとトマトのタリオリーニ
鹿児島県産の温泉水で作った自家製パスタに、北海道産ズワイガニとトマト果肉が入っています。

和牛テールのラガーネ
太くてもっちりした自家製ラガーネは和牛の旨味が出たソースに良く絡みます。

ムール貝のリゾット
下には甘い蕪。ムール貝の出汁とオリーブオイルの柔らかい味付け。

菊芋のココット焼き
ココットで2時間加熱調理しただけで味付け無し。菊芋本来の甘味だけ。素朴で美味しい。

熊本の菊池源吾牛のグリル
農薬や化学肥料を使わない循環型畜産農業で自然の恵みで育てられた菊池源吾牛。この希少肉は自然の甘味と旨味で、脂も乗っていますが、しつこさは有りません。

ペペロンチーノ
隣のお客様からのリクエストで提供。赤と青唐辛子、ニンニクを細かく刻んで、オリーブオイルを煮込み過ぎず手早く仕上げました。風味と辛味の豊かな一品。

アラビアータ
トマトソースとオリーブオイルを程良く煮詰め、唐辛子を加え締めの一品として。

デザートはパンナコッタ　群馬県産のブランド苺のやよいひめ　レモンシャーベット
結婚記念月なのでデコレートして頂きました。恥ずかしい。やよいひめは甘味が強く円やかな酸味。

いつもながら見た目はシンプルですが、食材の持つ味わいを如何に引出し、活かすかに拘り抜いた料理の数々。水、塩、オリーブオイル、果ては食材を調理する鍋にまで拘っているそうです。

それでいて畏まって頂く料理ではなく、ご夫婦共に明るく、話上手、聞き上手でお客様とのコミュニケーションを大切にされています。テーブル席は有りますが、距離感が有るので使わないそうです。

料理を提供しながら、お客様との一体感も大切にされている。だから料理の美味しさのみならず、リピートされる方が多いのでしょう。

本日も料理のみならず、ワインと会話も楽しんだ山口ご夫婦の劇場型イタリアンの3時間半でした。ご馳走様でした。

昨年12月リニュアールオープン以降、多くの食べロググルメファンを引き寄せて、既に高評価で人気のイタリアン料理の此方。

元は2020年1月Inettoと言う店名で営業していましたが、コロナ禍でお客さんが来ず、カレーのテイクアウトをしたり、お店の欠陥工事で裁判沙汰を経て、今の完全予約制、18,000円のコース料理1本、基本定員6名カウンター席のみ、一斉スタートに変えたのが昨年12月。

お店はビストロフレンチのラポルトルージュ、人気ラーメン店の麺屋吉左右と同じ建物に有ります。少し離れて人気インド料理店のタンドールバルカマルプールも有り、地元では「洲崎の奇跡」と言われています。

19時前に到着。本当は別の日に予約を入れてましたが、お店の電気がショートした為、営業出来ず、日をずらして欲しい、との依頼で3日後の平日に訪問。

外観からは店内暗めで看板も見当たらず。営業しているか心配しましたが、入店すると奥様がお出迎え。実はまだ完全には復旧しておらず、特に厨房は複数の小さなタッチライトで営業（敢えてお店の演出かと思っていました）。先客は男性2名と私達で本日は4名。

先ずは私はイタリアのビールバラデンイザック、連れはお任せワイン6千円で最初はアメリカのDIATON。

19時になり、山口シェフの挨拶と簡単なコース説明から始まり料理スタート。シェフはイタリアはもとより、国内の複数の名だたるミシュラン1つ星店でご経験を積まれた方。

先ずは熟成ハム肉のお披露目から。
丁寧に産地と肉のご説明。フランス、スペイン、イタリア、八ヶ岳等のハム。産地毎にハムにも色々な味わいがある事を知りました。ハムの塩味がワインと良く合います。

佐渡ヶ島のイチジクとイタリア産ブッラータチーズ
上にはアンチョビ。イチジクの爽やかな酸味、濃厚で弾力の有るチーズ。

自家製フォカッチャ（写真撮り忘れ）
出来立て。表面はカリッと中は柔らかく風味有り。充分な一品として成立つ程に美味しい。

福島産ヒラメのカルパッチョ
最近ハマっているヒラメだそうです。しっとり酸味が効いてカイワレ大根と酢橘が味を引立てます。

赤茄子と北海道産雲丹の冷製カッペリーニ
赤茄子は長時間茹でて、トロッとした自然な甘みに雲丹が絡みます。只、私には少し冷た過ぎて味の良さが伝わり難いか。

岩手産松茸のフリット
味付は塩のみ。サクっとした風味豊かな香りの中に松茸の弾力を感じます。

米沢牛のギアラ、ハチノス他臓物煮込み
玉葱、人参、ウイキョウ等の野菜を長時間煮込んで臭みや雑味を除き旨味だけ抽出。後味もアッサリしています。

イタリア産ボルチーニ茸入りの自家製タリアテッレ
ボルチーニ茸の旨味と香りがアルデンテのタリアテッレと合います。

イタリア産カボチャを使ったニョッキ
もっちりしたニョッキに口溶けが良いカボチャの甘味がコーティング。

熊本産黒毛和牛炭火焼き
わずか数件しか市場に卸されていない希少肉を、じっくり焼き上げています。しつこさは無く、あっさりした肉の旨味と甘味を感じます。

ズワイガニと蕪と下仁田葱のリゾット
円やかでやんわり優しい味わい。

締めのパスタはアラビアータ
ピリッとした辛味と香ばしいにんにくの香り。パスタも歯切れが良い。

デザートはバスクチーズケーキとバニラアイス
濃厚なチーズの風味。アイスも濃厚。

以上圧巻の13品。
料理全般的に言える事は、多くの素材や味付けを掛け合せてデコレートされた料理、と言うよりは素材の持つ良さを引き出す為に手間暇掛けた料理、との印象。

一品一品の料理に対するこだわりと思いを熱っぽく語られ、料理に対する情熱や造詣の深さを感じました。また奥様との掛け合いも面白く、飽きのこない3時間でした。正に劇場型イタリアン。

ワインもイタリアのみならず、フランス、アメリカ、イスラエル等のワインも有り、美味しく頂きました。美味しいモノに国境は無いとのポリシーなのでしょう。地元にこんなお店がある事は誇らしく思えます。ご馳走様でした。