坂
冬枯れの夕刻
なんか、、さっぱりしたいな、、体内のアルコール抜きをしたいなぁ。。。
銭湯に行くか。。雑然としている小物入れからなんとか自転車の鍵を探り出す。
土曜の夕刻、4時過ぎに冬枯れの桜並木に沿ってペダルを踏み込む。
並木は600mほど続く。。。年が明け、日が徐々に柔かく延びてきた。
桜の樹はとっくに坊主ではある。しかし無尽蔵に空に向かう枝の粒たちはそろそろ準備にかかっている。
並木の道中に書道家、熊谷恒子の記念館がある。高台には三島由紀夫邸が現存している。
並木を抜け、川端龍子の記念館を横目で見ながらペダルを踏ん張り続ける。
サウナと水風呂、、最後は熱い湯船、、うん、、さっぱりしたね。。。
さっきの道を引き返す。。
ちょいと喉が渇いたね。
並木に入れば蕎麦屋の暖簾が薄暗がりに揺れている。
無意識にブレーキレバーを引いている。
蕎麦屋って酒の類、高いよね。
ビールはよして蕎麦屋ご用達、ピッチサワーでいこう。それでも1杯450円。
つまみは板わさ。
ピッチ、ピッチで2杯を空ける。
さぁーどうする??
『燗酒ください』
2切れ残ったかまぼこ相手に、、旨いもんだね。
あぁーすっきりした。溜飲。
ペダルをこぎだす。
我ながら呆れちゃう。
不治の病だねぇ。
暗がりの桜の粒も笑ってる。。
Restaurant name |
Matsu toku(Matsu toku)
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Categories | Soba、Udon |
Phone number (for reservation and inquiry) |
03-3775-0400 |
Reservation Availability | |
Address |
東京都大田区南馬込4-48-15 |
Transportation |
847 meters from Nishi Magome. |
Opening hours | |
Budget(Aggregate of reviews) |
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Method of payment |
Credit Cards Not Accepted Electronic money Not Accepted |
Non-smoking/smoking |
No smoking at all tables |
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Occasion |
This occasion is recommended by many people. |
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大田区は武蔵野台地の東端に位置して坂の多い土地である。
例えば上池台地区には猿坂、蝉坂、鸛の巣坂と生き物の名前の坂があり、その由来を説明する木製の標識についついと目が行き、歩を止めて由来を読んでしまう。
今にも落ちて来そうな灰色の陶器の様な空の下、池上本門寺の五重の塔の裏手から寺院を抜けるとめぐみ坂と呼ばれる急勾配の坂に出逢う。
その由来はめぐみ教会の敷地に沿った坂だかららしい。。
確かに急勾配を降りると高い屋根の上にそびえる十字架を目にする。
標識にはその昔はめぐみ坂では無く曙坂と呼ばれていたとも記されている。
由来は明治から昭和初期に鉱泉の湧く料亭として賑わった曙楼がこの坂に面していたことからであるらしい。曙楼は著名人の多くが訪れ、日露戦争の祝勝会も此処で行われたと言う。
また谷崎純一郎の「痴人の愛」では魔性の女、ナオミが浮気相手との密会の場所にこの曙楼を使った場面もある。。
その坂を降りて暫らく進み、今度は汐見坂と呼ばれる坂を降り始める。
標識には「かつてこの坂から大森の海や舟の白帆、海苔ひびなどがよく見えたため、この名で呼ばれるようになったといわれます。」とある。
海苔ひびとは海苔を付着させるため、海中に立てておく木や竹の枝をたばねたものであるらしい。。
汐見坂を歩いていると空からぽつぽつと落ちて来る。
坂を降りて桜並木の緑に沿って歩むと松登久の店が見える。
前置きがそばの如くに長くなってしまった。話ものびない内に。。
昼前の暖簾をくぐる。
ピッチサワーでゆく。
つまみはカツ丼の頭。
坂を上り下りで喉も急坂になり腑に落ちて行く。
ピッチ、急ピッチで2杯目、空。
次、燗酒に板わさ。
梅雨の燗酒は汗が引く。
最後は、もりそば。
ずるりするりと喉に落ちる。
店を出る。
桜並木を右に折れて住宅街に入ると突如、崖の縁から細く夢のように現実離れをした坂道が蛇のようにあらわれる。
標識のない名も無い坂に誘導されるように歩を進める。
細すぎる坂を上った先は大きな屋敷が続く。
そして門柱に有名な小説家の表札がある。
庭先にはギリシャ彫刻の白い像が格子の鉄の扉越しに見える。
今年の11月が来れば市ヶ谷の駐屯地で自決して丁度50年が経つ。