Restaurant name |
BUNDAN(BUNDAN)
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Categories | Cafe |
Phone number (for reservation and inquiry) |
03-6407-0554 |
Reservation Availability |
Reservations available |
Address |
東京都目黒区駒場4-3-55 日本近代文学館 |
Transportation |
京王井の頭線「駒場東大前」駅徒歩8分 532 meters from Komaba Todaimae. |
Opening hours |
Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting. |
Budget(Aggregate of reviews) |
¥1,000~¥1,999
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Method of payment |
Credit Cards Accepted (VISA、AMEX、JCB) Electronic money Not Accepted QR code payment Accepted |
Table money/charge |
チャージ料なし |
Number of seats |
42 Seats ( 室内(禁煙席)24席・テラス(喫煙席)18席) |
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Private dining rooms |
not allowed |
Private use |
OK Up to 20 people |
Non-smoking/smoking |
Smoking / Non-smoking area separated 室内(禁煙席)24席・テラス(喫煙席)18席 Please check with the restaurant before visiting as the law regarding passive smoking countermeasures (revised Health Promotion Law) has been in effect since April 1, 2020 and may differ from the latest information. |
Parking lot |
not allowed 近隣のコインパーキングをご利用くださいませ。 |
Space/facilities |
Stylish space,Comfortable space,Sofa seats,Outdoor/terrace seating |
Drink |
Japanese sake (Nihonshu),Wine,Cocktails |
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Occasion |
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Location |
Secluded restaurant |
Website | |
The opening day |
2012.9.8 |
Remarks |
文豪の愛したお酒や食事が提供される、本好きにはたまらない場所。 |
本棚。
窓の外。
机と椅子。
全て木だったさ。穏やかな静けさ。微かなジャズの心地よさ。近代文学館の片隅でさ。
失った恋のしっぽを追いかけて乗り込んだ井の頭線の各駅停車だった。
ゆったりと余裕のある図書館で、彼は低い椅子に座って世界の終わりと名付けられたプレートを味わっていた。
賑やかなプレートだった。
チョリソソーセージはジューシーで脂はあまく、チリソースは爽やかな酸味と穏やかな辛味で、それを弾力が心地よいシニフィアンのバケットですくった。
良い素材で丁寧に作られた料理。
驚きや興奮こそないが、きちんとした食事をしているという実感があり、「世界の終わり、、」そのメニューをなぞったおいしいストーリー。
全てが活動の終わりを迎える前の食卓に、こういう気をてらわない料理も悪くないと彼はナプキンで口を思った。
一事が万事キザな男だ。
本や映画や音楽が大好きで、いつかモニターの向こうのファンタジーが自分にも訪れると信じて疑わないドリーマー。現実の彼は意中のあの娘に触れることもできずに見捨てられたロストラバー。
彼はケチャップがちょこんとついたシャツの襟を立てて席を立った。
その時だった。
彼の向かいに、一人の綺麗な女性客が座った。
モデルのようなスタイル、個々のパーツの輪郭がハッキリしたクールビューティー。
彼の鼓動、リズムが一気にテンポを早めた。
彼は電池が切れたおもちゃのように椅子に直下し、コーヒー飲むフリしながら彼女をチラ見し、さりげなく送る熱いラブビーム。
「声をかけろ、声をかけるんだ・・」
彼は何度も自分に言い聞かせた。
でも、出来なかった。
彼は自分と彼女の間に立ち塞がる、透明な壁を乗り越えられなかった。
それは傷つく恐怖のレンガでできた壁だった。
すぐに割れてしまう卵のように脆いボクらの心を守るための無関心のバリアーは誰も救わなかった。
ぼくらは生きている。
ぼくらはみんな、生きている。
脆い肉と危うい心がいつも軋んでいる。
だが、割れるのを恐れて飛び越えなければ、ずっと今の場所にしか居場所はない。それは牢獄のような日々の苛立ち。
結局、彼女は昼食を終えると、そそくさと席を立ってしまった。
その後ろ姿を呆然と見つめる彼に、見えない壁は語りかけた。
「もう充分だろう」、と。
「おまえはいつまでそこで悶々としているのだ」、と。
「オレを越えない限り、おまえの未来が輝くことはないのだ」、と。
例え壁にぶつかり割れてしまっても、生きているかぎり、また力を蓄え壁に立ち向かえばいいのだと。
そのためにおまえは生きているのだと。
生きるためにおまえは食べているのだと。