やるじゃん、デニーズ。 : Denny's

５月になると夏の様相を呈してくるが
まだまだ肌寒い日もあったりと体温調節が難しい時期である。
家族で散歩をする段になると息子に何を着せていいやら
ちょっとわからないものだ。

妻と私の間で手をつないだ息子はぴょんぴょん跳ねたり、
走ったり、急に止まったりとせわしない。
だが、夫婦で息子を観察していて分かったことがある。
眠いか、お腹が空いているかで、この行為をする（笑）

「そろそろかしら？」と妻が言う。
「そろそろかもね」と僕も言う。

これから仙川沿いの祖師谷公園に出ようかと思っていた僕たちは
ひとまずこの近くでご飯を食べられるところを探す。
するとあったのが、

オレの敵、デニーズ…（笑）

デニーズの店前で舞い上がる僕の２０年前の記憶。
プルーストもビックリだ（笑）


僕が大学生だった２０年以上前、
どんなところでご飯を食べていたんだろう？
ふと思い出す、昔の記憶。。。

大学の近くに安い定食屋があって、５００円も出せば色々食べることができた。
その当時、消費税はまだ３％になったばかりで小売も大して危機感を募らせてはいなかった。
（消費税が導入されてから１年くらいは「消費税をいただきません」なんてお店もあったっけ…）

外食は、
マクドナルドはバリューセットを始めておらず、ポテトなんかつけたら、学生にとって高級なランチだった。
マックで食べるとき、大学生の僕はハンバーガーとコーヒー（ポテトなし）という粗末な食事をしていた（笑）
ましてや、
宿敵のファミレス、デニーズなんて高値の華だった。
例えば和風ハンバーグランチだったら、
ハンバーグ単品とライス・味噌汁は料金が別の単品であり、それぞれ頼むと１０００円を優に超す値段設定だった。
（冷凍品をオーブンで焼くだけなのに…と訝しく思っていた）

２０年前は「ランチセット」なんて概念すらなかった。と、までは言わないが、
ランチに敢えて、安くして、夜も来てもらうという昼間（ちゅうかん）帯での価格可変を行っている店は少なかった。
ましてやファミレスチェーンなら尚更で、
ファミレスでは、夜だろうが、昼だろうが、値段は一緒だったから、
貧乏な学生だった僕はコーヒー１杯で粘るくらいしかできなかった。
（後年、ドリンクバーが一般的になるが、初めは信用できなかった…笑）

今でこそ、そんな金太郎飴的なファミレスチェーン店で
貴重なお小遣いを使ってたまるか（笑）と思うけど、
貧乏学生時代は、そんなものが食べられるわけもなく、
限りない憧憬のまなざしで見ていたのである（笑）

そんな僕が２０年前に何を食べていたのかといえば、
粗末な肉屋の2階のコロッケ定食や、大盛りにしても５００円の水っぽいカレーだった（笑）
安いけど、学食を利用することは憚られた。別に、大学と対立する立場ではなかったが、
ペラペラなカツや冷めたコロッケが非人間的なものに思えて、個人的に嫌だったのである。

みんなそうしたことを忘れている。
食べログみたいなＳＮＳが安易に情報を垂れ流し過ぎる。
外食をあまりに安易にとらえ過ぎなんだ。
実際、ＧＤＰだって下がっているのに、ルサンチマンが無さすぎなんだ（笑）

近頃ではいいものが安く食べられるようになったねぇ～なんて
いい時代になったもんだねぇ～なんて、死んでもやるかー！　ボケぇー（爆）

「何しているの？入らないの？」と妻の声。

もう十数年ぶりに「デニーズ」へ入るわけだ。
この十数年ぶりに入店するという行為が、僕の心のひだをピンコ立ちにさせる（笑）

オレの敵、デニーズ…（笑）

息子が、どーん！と扉を開ける。
「ダメよ！　そっと開けなさい」と僕は言うが、本心では入り口を蹴破りたいくらいだ（笑）

妻と息子とテーブルに座る。早速、手の平サイズのポータブル呼び鈴を見つけた息子は押したがる（笑）
呼び鈴をとりあげた僕はポケットに入れてしまう。そして、アタマの上に。
それを見つけた息子は「貸してー」というが、手のひらに隠して、目の前から消してしまう。
下手な手品だ（笑）その度に息子は「おー！」と反応してくれる（笑）

「なにやってんのよ、いつまでも頼めないでしょ？」と妻に諭されて、仕方なく息子に呼び鈴を押させる。

妻と僕は「和風ハンバーグ」をライス付きで頼む。
このあたり、定食を標榜せず、わざわざライスをつけないといけないというシステムが謎。
確かに単品で頼んでお酒を飲む人もいるんだろうけど、
圧倒的にごはんを食べに来る人が多いんじゃないのか？という疑問はある。
マーケティングとしてどうなんだ？と店長を問い詰めてみたい。。知らないか（笑）
息子はお子様ランチ。山本のハンバーグ下北沢店のようなお得感はない。先の店のお子様ランチに敵うものはない。

「和風ハンバーグ」にライスと味噌汁、それと食後の飲み放題のコーヒーをつける。それにパンケーキ。
まあ、特段感動もしない味だ。まさに、最大公約数的な、オーブンレンジで温めたＴＶディナー的な、
少し塩気のある醤油ソースをハンバーグが吸っている、おそらくパックに入ったものであっただろう的な、、、
形容する言葉は止めどもない（笑）まさかこれを美味しいという人がいたら、どうかしてる。

ただ、おっ？　子どもの取り皿に紙ナプキンのようなものが乗っかっている。
それを拡げてみると、エプロンである！　敵としては天晴な歩み寄りである（笑）
いやいや、騙されてはいかん。文字通り、子供だましである。
こういったばら撒きかたは、最近の権力が行う大衆への擦り寄り方なのだ（笑）

食後にパンケーキもやってくる。

「あ、パンケーキ！」と息子がはしゃぐ。
おや？　これはきちんとフライパンで焼いているのね。
なかなか生地も悪くない。粉をといて、焼くだけのわりにダマダマもないし、わりと仕事は丁寧だ。
最大公約数の割に、なかなかの歩み寄りである。

おやっ？　やるなデニーズ。

自意識よりも空腹感（笑）


連帯を求めて孤立を恐れず、
力及ばずして倒れることを辞さないが、
力尽くさずして挫けることを断固拒否する

ポンコ。