そこに居るだけで癒される、下井草駅近の小さな和菓子舗。 : Mo Ichiya

気付かずに通り過ぎてしまいそうな、実に慎ましやかな佇まいのお店である。お邪魔したのが夕方で、オレンジ色の灯りに導かれてワタシは運良く気付くことが出来た。３、４人も人が入れば一杯の、小じんまりとした店構え。店内は小さいながらも凛とした和の空間で、何故だか判らないがとても落ち着く。


店の入り口近くに、『人形焼』の文字が見えた。餡入りと餡なしがあるようだ。餡の有無を選択出来る場合、ワタシはポリシーとして餡なしの方を選ぶことにしている。別にカロリーなんて気にしていない。デフォルト的位置付けの商品の方が、本来の味わいが判ると（勝手に）考えているからである。で、今回もそれに倣って、餡なし220円を購入した。他に、レジ前に置かれていた煎餅が美味そうだったので、のり味70円と七味味70円もそれぞれ買ってみた。


餡なし人形焼は内容量250㌘と書かれている。袋にぎっしりと詰められ、持つと結構な重量感だ。食べてみると、意外にもかなり甘さは控えめである。仄かに甘い、とでも言おうか。今川焼のような褐色の生地は、これまた意外にもしっかりとコシのある、芯は強いが優しい味わいだ。浅草や雷門辺りでよく見掛ける様な、カステラの如き甘ったるくてソフトな歯触りの人形焼とは完全に別モノである。余計な味のしない、人形焼としての純度の高い美味さとでも言おうか。色々な野菜や木の実を型どった細部への拘りもまた、和菓子ならでは。不思議とほっこり癒される。


煎餅も際立った特徴こそ無いが、海苔や七味の味わいがしっかり活きた美味い煎餅だ。人形焼同様、こちらも余計な味の無いシンプルな作りだが、逆に肩肘張らない気楽さが魅力である。お土産にも良さそうだ。


店で癒され、食べてまた癒される。小さいながらも大変に魅力的な和菓子舗である。人形焼の好きな方には是非お勧めしたい。