彼岸の墓参り後の精進料理ではなく、仏教の殺生禁断を傍に置いて鰻の蒲焼きを食べる : Shinkawa En

Shinkawa En

(信川円)
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5.0

JPY 6,000~JPY 7,999per head
  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
2022/03Visitation24th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 6,000~JPY 7,999per head

彼岸の墓参り後の精進料理ではなく、仏教の殺生禁断を傍に置いて鰻の蒲焼きを食べる


イタリアに滞在して間もなく二ヶ月目を迎えます。航空会社の都合により帰国が遅くなり、次に「信川円」の鰻を食べることができるのは、父の命日(六月下旬) 以降になります。過ぎ去った四十七年間の歳月を振り返れば一瞬のことのように思えてなりません。

***

私の最終投稿 https://tabelog.com/rvwr/000124517/rvwdtl/B450571916/ (2022/06/08 訪問) は、海外レビューなのでスマートフォンでは開けずパソコンでしか読むことができません。

***

彼岸の入りに姉夫婦と一緒に墓参りを済ましてから「信川円」へ向かいました。
殺生禁断である仏教の寺をお参りしてから鰻の蒲焼きを食べることに一抹の後ろめたさがあります。

 義兄 「出発前に〇〇ちゃんは鰻を食べたかったのでしょ。」

 私  「そうですね。すしは自分でも握ることができるけれど鰻の蒲焼は無理です。」

 姉  「帰りは、私が運転してあげるから〇〇さんもお酒が飲めるわよ。」

いいですね、姉弟というのは。子供の頃から常に優しく、美しい姉です。

***

料理については、何度も書いていますので添付写真とキャプションと過去レビューをご覧いただければ嬉しいです。

ところで、今回の撮影に使ったカメラは LEICA Q ではなく、iPhone 13mini のカメラ機能です。ようやくこの使い方に慣れてきて「写真モード」より、遠近感が強調される「ポートレイトモード」を使うことが多くなってきました。今回は人物が写らないように「写真モード」に設定して撮影しているのですが、どうしても画像がハッキリし過ぎて違和感があります。人間の目で感じる絵になっていないのです。Apple 社の技術(ハード、ソフト)は凄いと思うのですが、VR( virtual reality) を多用した映画を見ているようで馴染めません。


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  • Shinkawa En - 「菊姫」ぬる燗

    「菊姫」ぬる燗

  • Shinkawa En - 肝焼き、ひとり一本ずつ

    肝焼き、ひとり一本ずつ

  • Shinkawa En - 一口目は串を持って、ふた口目以降は箸で串から抜いて食べる

    一口目は串を持って、ふた口目以降は箸で串から抜いて食べる

  • Shinkawa En - 肌理の細かい白焼き一尾を三人で分ける

    肌理の細かい白焼き一尾を三人で分ける

  • Shinkawa En - 私に半串を分けてもらう

    私に半串を分けてもらう

  • Shinkawa En - うな重(い)、義兄は少食

    うな重(い)、義兄は少食

  • Shinkawa En - 私のうな重(は)

    私のうな重(は)

  • Shinkawa En - 一串半、ご飯の量はうな重(ろ) と同じ

    一串半、ご飯の量はうな重(ろ) と同じ

  • Shinkawa En - 眼福 (今日の焼きは大親方)

    眼福 (今日の焼きは大親方)

  • Shinkawa En - 木生地の本漆塗り重箱

    木生地の本漆塗り重箱

  • Shinkawa En - 小上がり

    小上がり

  • Shinkawa En - 春の彼岸参り。山門をくぐる多くの檀家

    春の彼岸参り。山門をくぐる多くの檀家

2022/02Visitation23th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 6,000~JPY 7,999per head

"うな重" とは関係ないのですが、iPhone 13mini で撮影した画質は好みではありません


「月の輝く夜に(Moonstruck)」https://dayslikemosaic.hateblo.jp/entry/2017/02/19/050000
               https://www.youtube.com/watch?v=LySTnNxMRzY

シェール、ニコラス・ケイジ、オリンピア・デュカキス主演。アカデミー主演女優賞、助演女優賞、脚本賞受賞作品。「ディナーラッシュ(Dinner Rush)」のダニー・アイエロも出演しています。https://www.youtube.com/watch?v=rDOkCE1S5B4

女に対して常に成功を収める男の武器は、美貌でもなく教育程度でもなく、ましてや社会的地位や経済力ではまったくなく、ただただ言葉の使いようにあると思っているのは、私だけではないにちがいない。… 「おしゃれしてくれてありがとう」とは、ニクイ台詞だ。 - 塩野七生 著「人びとのかたち」より -

***

 「今日はメガネじゃないのですね。」

 「ええ、こういう日もあるのですよ。」

今の時代、セクシャル・ハラスメントになり易い言動はしないようにしているのですが、この程度であれば許されるでしょう。
約束の待ち合わせ時刻に少し遅れて到着した相手の顔に普段より丁寧な化粧を認めた時、心の中で『おしゃれしてくれてありがとう』と、言いますが、これを口にすると 一線を超えてしまうような気がして、普段の私にそんな勇気はありません。(笑

***

今回、料理の写真撮影に使ったカメラは、iPhone 13mini の " iPhone史上、最も先進的なデュアルカメラシステム" です。
 https://www.apple.com/jp/iphone-13/

以前にもお知らせしましたが、私は日本政府が公式に提供する新型コロナワクチン接種証明書を取得するためにスマートフォンを買い替えました。デジタル庁の https://www.digital.go.jp/policies/posts/vaccinecert にはアプリのインストールに必要な動作環境が示されていて iOS 13.7以上とのこと。八年間愛用していたスティーブ・ジョブス好みの角っぽい iPhone SE (初代) では取り込むことができません。仕方なく Apple Store から iPhone 13mini を購入した次第です。

ポケットに入る iPhone 13mini は持ち運びに便利であり、"外食" ではこれを使って料理の写真を撮ることが多いのですが、写り過ぎてリアリティに欠けるのではないかと思います。 ICチップに組み込まれたソフトウェアによって処理される画像は「すべてがプロ。」なのかもしれませんが、人間の眼で感じる実際の姿ではありません。また、拡張子が食べログに投稿できない「.HEIC」High Efficiency Image File Format であり、都度、「.jpg(. jpeg)」Joint Photographic Experts Group に変換するのも面倒です。

料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。

この日は、「紀ノ国屋 国立店」での買い物を兼ね、La macchina も一緒でしたので昼酒を楽しむことはできませんでしたが、同行の美しい人が食べたいと言う肝焼きも注文しました。やっぱり、冬の鰻 それも一番寒い一月末から二月末までの鰻がじっと餌喰いをせず、体内の脂肪を燃焼しながら枯れてきて香りが強くなった頃の鰻はおいしいです。(山椒を掛けたら勿体無い)
写り過ぎる iPhone 13mini の絵をご覧いただき お分かりだと思いますが、こちらの店が使っている "細口" の鰻は身の肌理が細かいです。「尾花」の https://tabelog.com/imgview/original?id=r8943565445853 の白身魚のように粗く、グラマラスな鰻は食べてみると香りが無く脂っぽいだけでおいしくありません。

「わっかるかなぁ、わかんねぇだろぅなぁ、ウェーイ♪」©松鶴家千とせ師匠 (©︎ムササビヒンソーさん) 巷では、これの分かる方を「通人」と、言うのだそうです。


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  • Shinkawa En - 自家製こんにゃく

    自家製こんにゃく

  • Shinkawa En - 肝焼き

    肝焼き

  • Shinkawa En - うな重(は) 一串半 5,650円(内税) 天然木に漆塗りの重箱

    うな重(は) 一串半 5,650円(内税) 天然木に漆塗りの重箱

  • Shinkawa En - "細口" の鰻は身の肌理が細かく凄くおいしい! タレの掛かったご飯粒をゆっくり噛んで分かるのですが、少し反発しながら抗しきれず潰れていく。最高!

    "細口" の鰻は身の肌理が細かく凄くおいしい! タレの掛かったご飯粒をゆっくり噛んで分かるのですが、少し反発しながら抗しきれず潰れていく。最高!

  • Shinkawa En - シェール、ニコラス・ケイジ、オリンピア・デュカキス主演「月の輝く夜に」

    シェール、ニコラス・ケイジ、オリンピア・デュカキス主演「月の輝く夜に」

2021/12Visitation22th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 6,000~JPY 7,999per head

酒処 北陸四県 (新潟県、富山県、石川県、福井県) のおいしい酒「菊姫」で鰻を愛でる


現役の頃、米巨大IT企業のエンジニアが「oggeti、キクヒメ、シッテマスカ。 ワタシ、ダイスキデス。」と、教えてくれたのが、菊姫合資会社 https://www.kikuhime.co.jp を知る切っ掛けです。私はこれを "ぬる燗" にして手酌で盃を重ねるのが好きです。

ドイツにはワインにスパイスを加えて温めたグリューヴァイン(Glühwein) があり、クリスマスマーケット(Weihnachtsmarkt)には欠かせない身体を温めてくれる飲み物です。San Jose Almaden の研究所でミーティングを行った後、海外へ出たついでだから息子の様子を見に行くために米西海岸から大西洋を越えてドイツへ行ったことがあります。(世界一周) この時初めてクリスマスマーケット(Weihnachtsmarkt) を体験しました。
冬の南ドイツは冷たい空気がアルプスから吹き降りてくるため、北海にメキシコ湾の暖流が入り込む北ドイツより寒くなります。息子が住んでいたシュヴァルツヴァルト(Schwarzwald、黒い森) 地方は、昼間でもマイナス25〜30℃になり、凍った木の葉が風に揺れて擦れると チリン チリン と薄ガラスが触れるような音を立てます。迂闊にも米西海岸仕様の防寒服と手袋で出掛けたため、クリスマスマーケットの中でひとりガタガタ震えていると息子の友人の美しいフィアンセが、身に着けていたカシミアのマフラーを外して私の首に巻いてくれました。「私はドイツ人です。冬の寒さに慣れているから大丈夫です。」何と優しく逞しいのでしょうか。暖かく良い香りがしたのは グリューヴァイン(Glühwein) だけが理由ではありません。

***

 「今、JR立川駅にいるのですが、お伺いしても良いですか? 私、一人です。」

 「はい、どうぞ。準備しますのでお召し上がりは何でしょう。」

 「ありがとうございます。それでは、うな重 (は) をお願いします。」

午後一時を過ぎようとしていた時刻でしたので休憩時間(14:00〜17:00) 前に入店できました。
『そうね、今日はどういうものだか朝からうな重を食べたい気がしていたんだけれど。』(https://www.youtube.com/watch?v=yxfPWV9a9mk の 3:30/4:11 辺り) と身体が欲した時に食べることができる店というのは良いですね。何ヶ月も前から予約しなければならない "超高額予約困難各馬一斉ゲートインおまかせカウンター割烹料理" では味わうことのできない飲食の歓びがあるというものです。

料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。


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  • Shinkawa En - 柔らかい冬の陽射し

    柔らかい冬の陽射し

  • Shinkawa En - 菊姫一合 550円(内税)

    菊姫一合 550円(内税)

  • Shinkawa En - きも焼き 一串 420円(内税) で酒一合では足らない

    きも焼き 一串 420円(内税) で酒一合では足らない

  • Shinkawa En - 串は左側に持ち手

    串は左側に持ち手

  • Shinkawa En - 天然木に漆塗りの重箱

    天然木に漆塗りの重箱

  • Shinkawa En - うな重(は) 一串半 5,650円(内税) 表面が黒くなっているのは焦げているのではなく、姥目樫の備長炭で "焼けて" いるからです

    うな重(は) 一串半 5,650円(内税) 表面が黒くなっているのは焦げているのではなく、姥目樫の備長炭で "焼けて" いるからです

  • Shinkawa En - お椀とお新香

    お椀とお新香

  • Shinkawa En - 二本目の菊姫(ぬる燗)

    二本目の菊姫(ぬる燗)

  • Shinkawa En - 右下の蒲焼を肴にコピリンコ(©︎小泉武夫センセ)

    右下の蒲焼を肴にコピリンコ(©︎小泉武夫センセ)

  • Shinkawa En - 背景は出入り口の引戸

    背景は出入り口の引戸

  • Shinkawa En - 品書き

    品書き

  • Shinkawa En - 古地図に武蔵国

    古地図に武蔵国

  • Shinkawa En - JR国立駅前の大学通り。正面に三角屋根の国立駅舎

    JR国立駅前の大学通り。正面に三角屋根の国立駅舎

  • Shinkawa En - 広い歩道

    広い歩道

  • Shinkawa En - 大学道路を挟んで東西に一橋大学の広大なキャンパスが配置されている

    大学道路を挟んで東西に一橋大学の広大なキャンパスが配置されている

  • Shinkawa En - 開設当時の旧省線 国立駅

    開設当時の旧省線 国立駅

  • Shinkawa En - 平成に開業した多摩都市モノレール

    平成に開業した多摩都市モノレール

2021/09Visitation21th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 6,000~JPY 7,999per head

冬の鰻 それも一番寒い一月末から二月末までの鰻がじっと餌喰いをせず、体内の脂肪を燃焼しながら枯れてきて香りが強くなった頃の鰻が好き


皆さんは、食べた料理がいまひとつ気に入らず、同じ料理を別の店で食べ直すということはありませんか?

さすが同じ日にこれを敢行するということはできませんが、若い方ならラーメンのはしごを三軒やったとか、ハンバーガー店を五軒回ったとか、フルーツパフェ三軒+ソフトクリーム三軒という甘党の方もいらっしゃることでしょう。「いえいえ、私なんか朝九時から夜八時までケーキ屋を渡り歩いて三十個以上食べました」という強者まで出てきそうです。いいですね、これができるというのは若い時の "宝" です。

"量" で稼げない歳になると "質" で欲求を満たすのですが、おいしければ少量でも大満足でき、健康のために良いです。
そうでないものをいくら食べ続けても満足できず、結果としてアメリカ人に多い体形になる キガシマス (©︎KYTさん) ← お久しぶり。

  http://inoyo.net/wp-content/uploads/2013/09/8737d4f07a54a02e76c6c62752ba20c4.pdf

  https://www.youtube.com/watch?v=0RAt74v5S-s

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紀ノ国屋で買い物する回数は、月三回と決めているのでこのタイミングを計って「信川円」で二週間前の食べ直しをしました。

私は、冬の鰻。それも一番寒い一月末から二月末までの鰻がじっと餌喰いをせず、体内の脂肪を燃焼しながら枯れてきて香りが強くなった頃の鰻が好きです。一般的には、活動が活発になる秋から初冬の脂肪を蓄え、冬眠状態(天然物にに限る)になる手前の鰻が一番おいしいと言われていますが、太って脂ギトギトの蒲焼きというのが苦手です。同じく香りで食べる すし でも鮪(しび)のトロ、中トロ、鰤の腹身などは食べませんし、江戸前ではない喉黒の炙りは写真を見ただけで気持ち悪くなります。が、 "好みの問題" ですから、これらを好きな方は気になさらないでください。

料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。


今回、一週間前に他所の店で食べた同じ料理をこちらで食べ直したのですが、馴染んでいる味ということを差し引いても「白身魚の蒲焼きみたいな鰻の蒲焼きでない」肌理細やかな細口の鰻は、九月に食べてもおいしく、一串半(ご飯の量は同じ)のうな重を一人でゆっくり味わい満足しました。


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  • Shinkawa En - こんにちは

    こんにちは

  • Shinkawa En - 九十九里産の "いわしの胡麻和え"

    九十九里産の "いわしの胡麻和え"

  • Shinkawa En - 天然木の重箱

    天然木の重箱

  • Shinkawa En - うな重 (は、一串半)

    うな重 (は、一串半)

  • Shinkawa En - いつも通り、ここの蒲焼から食べ始める。ご飯は一緒に食べない。

    いつも通り、ここの蒲焼から食べ始める。ご飯は一緒に食べない。

  • Shinkawa En - これは八月末の孫が食べた白焼きご飯

    これは八月末の孫が食べた白焼きご飯

  • Shinkawa En -  夏の鰻は香りが弱い

    夏の鰻は香りが弱い

  • Shinkawa En - 夏仕立ての建具もそろそろお終い

    夏仕立ての建具もそろそろお終い

  • Shinkawa En - 文化出版局「魯山人の料理王国」

    文化出版局「魯山人の料理王国」

  • Shinkawa En - 「鰻はいつ頃がほんとうにうまいかと言うと、およそ暑さとは対照的な一月寒中の頃のようである。」(偶然、私と同じ意見だった)

    「鰻はいつ頃がほんとうにうまいかと言うと、およそ暑さとは対照的な一月寒中の頃のようである。」(偶然、私と同じ意見だった)

2021/07Visitation20th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 6,000~JPY 7,999per head

鰻の白焼きで酒を楽しむ


この日、二回のワクチン接種を終えて充分な日数を経過した私は、JR立川駅南口ターミナル四番でバスに乗り、店近くの停留所で下車して徒歩二十秒の「信川円」の暖簾をくぐりました。目的は鰻の白焼きで酒を飲むことです。(いつもは車を使っているので)

 「この時季、営業開始を店の外で待っているお客さんがいらっしゃいますので、十一時半にお越しください。」

指定された時刻ちょうどに到着すると既に四組七名の客が、暖簾が出るのを待っていました。繁盛で何よりです。

***

ところで、私が使っているカメラは最終的にこの二台です。↓

・iPhone SE (2016JUN.〜) + iCloud
・LEICA Q (Typ116) (2018 FEB.〜)
  SUMMILUX 28mm F1.7 ASPH. フルサイズCMOSセンサー 有効画素数:2420万画素
  参考:http://yamashingallery.main.jp/blog/?p=7890

訪問した飲食店での撮影がプロ並みに上手な方が多いこのSNSにおいて、カメラオタクでもなく、料理店で写真を撮るのが苦手な私は、古い iPhone SE を HDR (High Dynamic Range) モードに設定し、大きなシャッター音がしないようにして撮影しています。この小さな iPhone は、Steve Jobs が存命中にデザインされ、彼のアイデンティティーが凝縮したシンプルで角張ったスマートフォンです。iPhone 12 https://www.apple.com/jp/ も "早い話" これに回帰したデザインとなり、しかも先進的なハードウェアに最新のソフトウェアが搭載され、カメラ機能が充実していることは多くの食べログレビュアーの投稿写真を見れば明らかです。が、古いモノに拘る私は、今のところ買い換える気になりません。

LEICA Q はコンパクト・デジタル・カメラ (通称コンデジ) ですが、ポケットには入りません。テーブルの上には置かず、空いている椅子に待機させ、給仕に気付かれないようにさっと構えて撮るのですが、これが結構難しく、照度の足らないフランス料理店懐石料理店では被写体にAFの焦点が合わず苦労しました。その後、一年半の間、キャビネットに眠っていたのですが、「南禅寺 瓢亭 日比谷店」「蕎麦懐石 無庵」に続き、今回の「信川円」が五回目の登場となりました。設定と撮影のコツを掴むと iPhone 12 搭載カメラのデジタル処理された作為的な画像とは異なり、Leica SUMMILUX 28mm f/1.7 レンズによる画面の歪みが少ない臨場感ある自然な描写力に驚かされました。

***

さて、冬の鰻が好きだと言っている私が、土用を間近にした夏の鰻を食べるのは "味比べ" をする為なのですが、夏の鰻には別のおいしさがあることに気付きました。冬に餌食いが少なくなり体内脂肪を減らしている細口の鰻の凝縮された香りが好きなのですが、細口といえども水温が上がり餌をたくさん食べて太った鰻は食べ応えがあります。鰻食いが好きな方の殆どは、脂の乗った肉厚の "フワっとろっ" の蒲焼がお好きなのです。ガツンと来る旨味と口いっぱいに感じる甘塩っぱい脂塗れの幸福が好きなのでしょう。

鮪 (しび) のトロも中トロも、鰤の腹身も食べず、鰹は戻り鰹よりサッパリした初鰹を好む私こそ「アンタが変なんだよ!」と、言われるのを承知しているのですが、食べ物は "好みの問題" ですから致し方ないことです。

この日のハイライト "夏の鰻の白焼き" は、これも冬の鰻に比べてふっくら肉厚で食べ応えがあり、ぬる燗よりも冷酒 (常温でなく、冷やした酒) で口中の脂を拭いながら食べると「もう一本、ください。」と、言うことになり『そこの小上がりで横になりたいなぁ。』と思うのでありました。

料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。

いつもは使わない山椒も夏の鰻には効果的であることが分かりました。なるほど、そうだったのか。


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  • Shinkawa En - まずは、焙じ茶(妻は "取敢えずビール" (とりビー) だったので手を付けなかった)

    まずは、焙じ茶(妻は "取敢えずビール" (とりビー) だったので手を付けなかった)

  • Shinkawa En - 九十九里産の "いわしの胡麻和え" で "菊姫" ぬる燗を一盃

    九十九里産の "いわしの胡麻和え" で "菊姫" ぬる燗を一盃

  • Shinkawa En - 自家製こんにゃくで一盃

    自家製こんにゃくで一盃

  • Shinkawa En - 冷たく歯応え良く喉を抜ける

    冷たく歯応え良く喉を抜ける

  • Shinkawa En - 山葵で

    山葵で

  • Shinkawa En - 白焼きで一盃

    白焼きで一盃

  • Shinkawa En - 隠し味はナイショ

    隠し味はナイショ

  • Shinkawa En - 多摩の酒「澤乃井」冷酒

    多摩の酒「澤乃井」冷酒

  • Shinkawa En - 鰻重 (は) 一串半

    鰻重 (は) 一串半

  • Shinkawa En - 蓋を取ると夏の鰻の優しい香りがする

    蓋を取ると夏の鰻の優しい香りがする

  • Shinkawa En - 冷めるので肝吸椀の蓋を戻す

    冷めるので肝吸椀の蓋を戻す

  • Shinkawa En - 右下方の蒲焼から食べ始める

    右下方の蒲焼から食べ始める

  • Shinkawa En - ご飯もおいしいが、蒲焼とは別々に食べる

    ご飯もおいしいが、蒲焼とは別々に食べる

  • Shinkawa En - 本日の串打ちは五本

    本日の串打ちは五本

  • Shinkawa En - 珍しく山椒を振ってみるか

    珍しく山椒を振ってみるか

  • Shinkawa En - 最後のご飯に山椒。イケるね、コレ。

    最後のご飯に山椒。イケるね、コレ。

  • Shinkawa En - 手前は妻が食べた鰻重(ろ)の蓋。写真奥の重箱(は)の蓋は "本物" 木生地に漆

    手前は妻が食べた鰻重(ろ)の蓋。写真奥の重箱(は)の蓋は "本物" 木生地に漆

2021/02Visitation19th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 6,000~JPY 7,999per head

秋から初冬の脂の乗った鰻より、冬に餌食いが少なくなり体内脂肪を減らしている細口の鰻の香りが好き


食は "好みの問題" であり、一緒に暮らしている家族でも各人それぞれの好き嫌いがあります。まして他所さんと一致するはずもなく、こちらがおいしいと思って贈った品でもお気に召さないことはあり、その逆もあり、推奨された店へ行ってもSNSで評判の良い店へ行っても期待外れであることの方が多い気がします。万事において育った背景が異なるのですから気にしても仕方のないことです。自分の味覚を信じることが大切です。

こちら「信川円」は、南千住の有名店のように開店前から大行列ができ、大衆受けする店ではありませんが、永く営業を続けられているということは、この店の鰻の味に馴染んだ客によって支持され続けているということです。

***

マタギに仕留められて "月鍋" にされる脂の乗った熊もいますが、四ヶ月間もの冬眠から目覚めた熊がブレックファスト (break-fast = 断食を破る) として最初に食べるのは "蕗の薹" だと言われています。ほろ苦い山菜は漢方薬のように作用し、体調を整えるのに適しています。私は冬眠明けの熊肉を食べたことがありませんが、冬眠から目覚めた天然鰻のように枯れた良い香りがするかもしれません。

私は、この店のレビューに何度も「冬の鰻が好きだ」と書き、その理由を「冬場の鰻は、水温が冷たくなり動きが緩慢になり、餌喰いが少なく(天然物だと冬眠するともいわれる) 秋に貯めた脂肪を燃焼しながら生き長らえていますので、寧ろ、香りが良くなってきます。それは鰻本来の香りであって、餌の香りが残る脂が浄化され、洗練された香りです。」と記しています。

【この日 (二月中旬) いただいたもの】

・九十九里産の "いわしの胡麻和え"
・白焼き (半串)
・うな重 (は) 一串半

やはり、冬の鰻は おいしい!

脂が痩せていると言ってもパサパサになっているのではなく、ギトギトした滴るような鰻の蒲焼ではなく、しっとり全体を覆う適度な脂は香りが良く、匙で食べた方が良さそうな "フワっトロっ" ではなく、箸先を意識しなければ崩すことのできない程度の状態に焼かれた身を少しずつ口に運び、目を瞑ると春の香りが広がります。私はこれが好きです。

今回、車で来た為、酒も飲むことができないのに頼んだ "白焼き (半串)" は、予め温められた磁器の皿に盛られていました。当然と言えばその通りですが、このさり気ない配慮があることが一流の鰻屋である証です。姥目樫の白炭で丁寧に焼かれた白焼きは一手間かけられ、二倍も香りが良く、『次回は車ではなく、多摩都市モノレールを立川南駅で降りてバスに乗って来よう』と、心に誓うのでありました。


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  • Shinkawa En - 九十九里産 "いわしの胡麻和え"

    九十九里産 "いわしの胡麻和え"

  • Shinkawa En - 白焼き (半串) 皿も温められている

    白焼き (半串) 皿も温められている

  • Shinkawa En - うな重 (は) 一串半

    うな重 (は) 一串半

  • Shinkawa En - ここから、このように食べ始める。無理してご飯と一緒には食べない。箸先で重箱をコツコツ突くこともせず、音を立てないように静かにゆっくり味わう。

    ここから、このように食べ始める。無理してご飯と一緒には食べない。箸先で重箱をコツコツ突くこともせず、音を立てないように静かにゆっくり味わう。

  • Shinkawa En - 本棚に見つけた 2009年の雑誌に浅草「紀文寿司」の先代親方の写真が載っていた

    本棚に見つけた 2009年の雑誌に浅草「紀文寿司」の先代親方の写真が載っていた

2020/12Visitation18th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 5,000~JPY 5,999per head

今年最後の "外食" は、「信川円」鰻の蒲焼でした。


今年、八回目の「信川円」レビューです。
"外食" の少ない私ですが、この鰻屋は投稿していない訪問もあり、季節毎に二回以上訪れたことになります。

この日、「紀ノ国屋 国立店」でお節料理の食材を仕入れるために出掛けました。嫁 (長男の連れ合い) と孫二人を誘って買い物を兼ねた "鰻食い" です。


冬場の鰻は、水温が冷たくなり動きが緩慢になり、餌喰いが少なく(天然物だと冬眠するともいわれる) 秋に貯めた脂肪を燃焼しながら生き長らえていますので、寧ろ、香りが良くなってきます。それは鰻本来の香りであって、餌の香りが残る脂が浄化され、洗練された香りです。

他所の人のことは知りませんが、私が好きな鰻の蒲焼は、二月から三月に掛けての脂が少なくなって香りが強くなった鰻であることが、一年間通して同じ店でうな重を食べ続け分かりました。来年も正月から毎月食べてこれを再度確認してみよう。

さあ、三日がかりのお節作りが始まる。我が家では代々引き継がれた味を守るのは司令塔の母を始めとする女性陣の仕事だ。
私の役目は例年通り、「買い物」「包丁研ぎ」と「大量の一番出汁、二番出汁 引き」だ。


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  • Shinkawa En - キミノマンリョウ

    キミノマンリョウ

  • Shinkawa En - きも焼き

    きも焼き

  • Shinkawa En - 白焼き

    白焼き

  • Shinkawa En - うな重 (は、一串半)

    うな重 (は、一串半)

  • Shinkawa En - 白焼きご飯を食べる孫 (五歳男児)

    白焼きご飯を食べる孫 (五歳男児)

  • Shinkawa En - 内径290mmの大鍋でお節用の一番出汁を引く

    内径290mmの大鍋でお節用の一番出汁を引く

  • Shinkawa En - 香深の利尻昆布は、60℃-30分で旨味成分を抽出。

    香深の利尻昆布は、60℃-30分で旨味成分を抽出。

  • Shinkawa En - 山のような鰹節削り節 (まるてん製の血合い抜き)

    山のような鰹節削り節 (まるてん製の血合い抜き)

  • Shinkawa En - 紀ノ国屋に用意してもらった慈姑

    紀ノ国屋に用意してもらった慈姑

  • Shinkawa En - 牛蒡の下茹で完了

    牛蒡の下茹で完了

  • Shinkawa En - まる三日間かけて炊いた丹波黒豆。これから薄蜜に漬け、その後、濃蜜で仕上げる。

    まる三日間かけて炊いた丹波黒豆。これから薄蜜に漬け、その後、濃蜜で仕上げる。

  • Shinkawa En - 香深の利尻昆布

    香深の利尻昆布

  • Shinkawa En - まるてん有限会社

    まるてん有限会社

  • Shinkawa En - 初春を迎える準備万端かな

    初春を迎える準備万端かな

2020/11Visitation17th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 5,000~JPY 5,999per head

鰻の蒲焼には 瓜の奈良漬だけでなく、ハヤトウリ (隼人瓜) の糠漬も合う。うなぎ、うり、うまい。


このSNSにおける私の食べ物のジャンル別訪問件数を調べてみたら、鰻屋が 27件、すし屋(江戸前)が 17件でした。
気に入った店は複数回訪れているのですから随分食べ歩いたものだと自分でも感心するのですが、"よく行くジャンル" のトップが "イタリアン" の114件、2位が "その他(食材)" で81件、鰻屋とすし屋は、どちらもトップ10に入っていません。

四十代までの若い頃と違って五十歳を越える頃から新しい店を開拓してまでも馴染みになりたいとは思わず、自分にとって居心地の良い、落ち着いた雰囲気の店を繰り返し訪れるようになりました。それらの店に共通するのは、代替わりしながら長く営業を続けているか、しっかりした後継者が育っていることです。中でも四百年続いている「瓢亭 本店」の十五代目当主は、十四代目高橋英一氏のご子息 高橋義弘氏です。日本料理の伝統を守るとは、暖簾にしがみ付くことではなく「伝統と革新」のバランスをとりながら時代に即した料理を作ることだと教わりました。

江戸前の鰻料理の歴史は江戸城を中心とした江戸の町造りのため全国から人が集まった頃に始まり、東京湾の干拓が行われ(日比谷一帯は入江だった)、たくさんの鰻が獲れ、これが地廻り醤油 (関西からの下り醤油に対して安房、上総、下総で作られた醤油) の生産と共に広まったと言われ、凡そ二百五十年の歴史があります。これに対して江戸前寿司(早寿司) は酒粕を原料に使った赤酢が生まれた後のことですから鰻の蒲焼より五十年ほど歴史が浅くなります。現在、すしの代名詞となっている「江戸前」という言葉は、早寿司ではなく鰻の蒲焼に冠されていました。

***

 「買い物の前に信川円で鰻の白焼きを頼んで一杯やろうよ。」

 「あら、いいわね。寒くなるからコーヒーの鉢を植え替えようと思ったのだけれど、付き合うわ。」


【久振りの夫婦揃って外食 "鰻三昧" でいただいたもの】

・東京青梅市小澤酒造の酒 "澤乃井" 冷酒 300ml(妻だけ)
・自家製こんにゃく
・九十九里産 "いわしの胡麻和え"
・漬物 (大根、人参、胡、隼人の糠漬とキャベツの一夜漬け)
・鰻の白焼き (一串)
・うな重(ろ)× 2


妻のショーファー (chauffeur お抱え運転手) である私は、一滴も飲めず、只管、ロボットよろしく右肘関節の内側95度回転に努め、「東京のお酒もおいしいわね。」と、自家製こんにゃく、九十九里産 "いわしの胡麻和え"、漬物 (大根、人参、胡、隼人の糠漬とキャベツの一夜漬け)、鰻の白焼き (一串) で盃を傾けている妻の嬉しそうな顔を見ながら、『次は、ひとりで多摩都市モノレールに乗って来よう。』と、隼人の糠漬をパリパリ音を立てながらお茶を啜りました。

鰻蒲焼に奈良漬(瓜) を合わせるについて科学的根拠を示した諸説ありますが、私が一番気に入っているのは単なる 語呂合わせ、言葉の遊び「う」の付く食べ物同士であるというやつです。信川円ではの奈良漬は付かないのですが、代わりに胡の糠漬けが小皿に載っています。これは毎日お内儀さんが手入れしている大きな甕に漬かっています。この日は、特別に隼人も出してくれました。なぎまし。


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  • Shinkawa En - 矢印 : ハヤトウリ(隼人瓜)、 左 : 九十九里産の "いわしの胡麻和え"

    矢印 : ハヤトウリ(隼人瓜)、 左 : 九十九里産の "いわしの胡麻和え"

  • Shinkawa En - 白焼きの表面から漂ってくる甘い香りは蒲焼と趣が異なり、心をほっと落ち着かせてくれる。

    白焼きの表面から漂ってくる甘い香りは蒲焼と趣が異なり、心をほっと落ち着かせてくれる。

  • Shinkawa En - 先鋭的な香りとコリッとした歯触りが酒好きには堪らない 肝焼き

    先鋭的な香りとコリッとした歯触りが酒好きには堪らない 肝焼き

  • Shinkawa En - うな重 (ろ) 一串。この重箱は合成樹脂 (他は木地に漆塗り) 一番注文が多いからかなぁ。

    うな重 (ろ) 一串。この重箱は合成樹脂 (他は木地に漆塗り) 一番注文が多いからかなぁ。

  • Shinkawa En - ご飯の量は、うな重 (は) 一串半と同じ。だったら (は) にすれば良かった。

    ご飯の量は、うな重 (は) 一串半と同じ。だったら (は) にすれば良かった。

  • Shinkawa En - コーヒーの鉢を植え替えようと思ったのだけれど、付き合うわ。一年前、紀ノ国屋のコーヒーショップでもらった苗がこんなに大きくなった。

    コーヒーの鉢を植え替えようと思ったのだけれど、付き合うわ。一年前、紀ノ国屋のコーヒーショップでもらった苗がこんなに大きくなった。

2020/09Visitation16th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 5,000~JPY 5,999per head

夏が過ぎ、さらにおいしくなってきた九月の鰻


静かな店内に響く微かな鈴虫の音。
私たちが奥のテーブルに座って暫くすると入り口付近に置かれた甕から流れてきました。人の気配を敏感に感じるのでしょうか。

***

脳と身体を行き来する神経は脳の下部にある延髄で左右が交差しますので、左半身不随になった方は右脳に損傷があります。また、左耳から入った情報は右脳へ、右耳から入った情報は左脳へ行くとのことです。さらに日本人は左脳 (言語脳) で虫の音を「声」として聞いているに対して、西欧人はこれを右脳 (音楽脳) で「ノイズ」として処理するか排除して聴こえないとのことですが、これは本当なのでしょうか?  参考:https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/nakaniwa/keisoku/brain.htm

これに対して目の構造はレンズの役割をする水晶体が凸レンズですから網膜で受けた視覚情報は上下左右逆になっていて、両眼とも上下左右が入れ替わってそれぞれ左脳と右脳に伝達されます。結局、両眼の視覚情報は右脳と左脳の両方で処理されます。

今年も八月末頃から私の家でも夜になるとコオロギの鳴き声が聴こえます。
ベッドで寝返りを打った時に左耳を塞ぐとコオロギの音が途絶える(右耳では聴こえない)ことに気づきました。上記の理屈からすると私の耳からの情報伝達構造は西洋人と同じということになります。コオロギ以外の同じ周波数の音は左右の耳でも感じる事ができますので難聴ということではないのですが、とても不思議です。ご専門のドクターにご意見をお伺いしたくなりました。

***

さて、この日、嫁 (長男の連れ合い) を誘って「紀ノ国屋 国立店」で買い物をしました。

 「買い物の前に信川円で鰻を食べようか?」

 「コロナ禍で全く "外食" をしていないので嬉しいです。」

店は換気のため、入り口と窓が開け放されていて天井からのエアコン冷気が一層爽やかに感じます。

 【いただいたもの】

・石川県の酒 "菊姫" ひや(常温のこと)(嫁だけ)
・自家製こんにゃく
・九十九里産の "いわしの胡麻和え"
・鰻の白焼きとご飯セット(孫向け)
・うな重(は、一串半)× 2


 「うなぎはね、ゆっくり食べた方がおいしいよ。」

と、孫に伝えると箸を上手に使って少しずつ食べ始めました。

 「〇〇ったらノンノに言われて、わざとゆっくり食べているのよ。」

と、母親に言われ、親子二人で顔を見合わせ、ニッコリ。

久し振りの三人での "外食" です。

帰宅後、嫁から WhatsApp にお礼のメッセージが届きました。こういう時期だからこそ、心のリフレッシュのできる "外食" の効用を感じた次第です。外食代は、"内食" では味わうことのできない「気分」のための舞台使用料かもしれません(©︎ MSSBHNSさん)


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  • Shinkawa En - うな重 (は)、一串半 (5,650円)

    うな重 (は)、一串半 (5,650円)

  • Shinkawa En - この日は、親方が焼いてくれた。

    この日は、親方が焼いてくれた。

  • Shinkawa En - 九十九里産の "いわしの胡麻和え"

    九十九里産の "いわしの胡麻和え"

  • Shinkawa En - 私の二尾

    私の二尾

  • Shinkawa En - 夏仕立ての建具は彼岸まで

    夏仕立ての建具は彼岸まで

  • Shinkawa En - 孫の白焼き

    孫の白焼き

  • Shinkawa En - 【追加】

    【追加】

  • Shinkawa En - 【追加】

    【追加】

2020/08Visitation15th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 5,000~JPY 5,999per head

子母澤 寛 著「味覚極楽」竹越三叉氏の話「蒲焼の長命術」


食べ物に関する私の愛読書、子母澤 寛 著「味覚極楽」に竹越三叉 (歴史学者 竹越 與三郎) 氏の話「蒲焼の長命術」という項があり、お土産でもらった鰻の蒲焼を工夫しておいしく食べる方法が記されています。↓

「土鍋へいい酒をいれて、強い火の上にかけて、はしでどんどんかき廻している。熱くなるに従ってアルコール分がたって来るのを待ち、そこへマッチで手早くさっと火をつける。青い火がめらめらと燃えるが、またぱっと消える。また火をつける。それを幾度も繰返しているうちに、いくらマッチをつけても火が出ぬようになる。この前後が約三分から五分位。その熱いところへ蒲焼を入れて約一分。引き上げたら、静かにたれをかけて食べる。あたたかく、やわらかく、なかなかうまい。ただこれをやると、うなぎの味が少し軽くなる。私のようなやや淡白な味の好きなものはこれが一層結構であるが、味の濃いものを好むものは、中ぐしを食いたいのなら大ぐしをこうしたほうがよい。これによると、午前中にもってきたものを午後に食べても、少しも変わりない。」

***

2020年は、1月23日、4月16日、4月28日、7月21日、8月2日、10月25日、11月6日と七回の土用の丑の日があり、夏季の7月21日「一の丑」も 8月2日の「二の丑」でも鰻の蒲焼は食べず、立秋を過ぎ鰻屋が落ち着いたこの日、母とふたりで「信川円」の暖簾をくぐりました。

 「前回、鰻の蒲焼きを食べた後、とても身体の調子が良かったのよ。」

母の苦手な食べ物は、鶏肉、蟹、貝類、そして鰻だったのですが、91歳になった去年、この店で生まれて初めて "うな重 (い、半串)" を食べてからとても気に入り、豊富なビタミンA、ビタミンB群、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸) を吸収することによって頭脳明晰、記憶力抜群は衰えることなく、福耳は益々大きくなり、孫や曾孫たちにとってもたいへん結構なことであります。

私は、いつも通り うな重 (は) 一串半を注文し、出来上がるまでの凡そ三十分間を自家製こんにゃくを摘みながら母と四方山話をして待つのですが、この "待ち" が鰻食いの醍醐味であります。

独りで座った時は、店に備え付けの雑誌や手持ちの文庫本を読むことはありますが、スマートフォンを開いてこれを操作しながら出来上がりを待つというのはビジネスライク過ぎて風情がなく、やったことがありません。
複数人で入った場合は、当たり障りのない話題がよく、お金に纏わる話、政治・経済・宗教に関する話題、病気の話、人事、他人や飲食店の悪口は顔つきが悪くなるからご法度です。

 「おまちどうさま。」

母のうな重 (い) の載った盆が先に運ばれ、続いて私のうな重 (は) です。

鰻を食べるのを急いてはいけません。まずは、眼福。
盆の全容をしみじみ眺め、肝吸いの入ったお椀、その上方にひっそり佇む香の物の盛られた小鉢、そして堂々と鎮座在します大きな重箱 (一串半入り) 。これらをひと回り二回り眺め、『まず、何処から手を付けようかなぁ。』と考えると同時に両の手は重箱の蓋に伸び、ゆっくりこれを開くと芳しくも醇なる正統派蒲焼の香りが立ち上り、思わず箸をつけたくなるのですが、ぐっと堪え、匂いによって呼び起こされた大脳皮質にある味覚野の記憶を辿り、前回食べたもの前々回食べたものとどのように違いがあるのか比較します。

この店のレビューは今回で十五回目です。訪れているのはその三倍ぐらいあると思いますが、八月に食べる蒲焼はこのレビューを手繰ってみても今回が二回目です。如何に私が天邪鬼だか分かります。
八月を避けている理由は様々あるのですが、今回いただいた蒲焼を一言で表すならば「瑞々しい」であります。焼いて蒸してタレ漬け焼きをして供される鰻が "瑞々しい" とは、これ如何に。生の夏野菜や果物のような瑞々しさとは異なり、敢えて例えるならば皮ごと焼いた "焼き茄子" のように火が通っているのですが、鰻の身からじわっと溢れる旨味は、一般的に表現される「フワっトロっ」とした脂が先行するものではなく、蒸し工程で蓄えられた水分がタレ漬け焼きの段階で表皮に閉じ込められ、箸を入れた時に溢れ出てきた感じなのです。これは、おいしい!!!!!

***

一緒に来れなかった妻のため "お持ち帰り" うな重 (ろ) 一串 をぶら提げて、

 「ただいまー。」

 「わぁー、ありがとう。私の夕飯はこれとお酒ね。」

となり、昼に滋養をたっぷり蓄えた私たちも軽く "冷やしきつね" で済ませ、冒頭の「味覚極楽」竹越三叉氏の話「蒲焼の長命術」に従って、 "お持ち帰り" うな重を温めると「昔の人は食いしん坊だったね。」と、皆で口を合わせることとなりました。

現代は、スチーム機能付き電子レンジという便利なものもあるそうですが、私は調理をするのに電磁波で水の分子を振動させ短時間で加熱するという原理が好きではなく、これを使うと素材の香りや味が減衰してしまうので使いません。明治・大正・昭和初期に活躍した歴史家 竹越 與三郎が存命であったらならどのような顔をしたのでしょうか。


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  • Shinkawa En - お茶

    お茶

  • Shinkawa En - 小さな醤油差しは、手作りこんにゃく用

    小さな醤油差しは、手作りこんにゃく用

  • Shinkawa En - うな重 (は)、一串半

    うな重 (は)、一串半

  • Shinkawa En - 妻への土産 "持ち帰りうな重"

    妻への土産 "持ち帰りうな重"

  • Shinkawa En - 発砲プラスチックの重箱入り

    発砲プラスチックの重箱入り

  • Shinkawa En - 鰻だけ温めてそのまま食べる

    鰻だけ温めてそのまま食べる

  • Shinkawa En - 妻は粉山椒が好き

    妻は粉山椒が好き

  • Shinkawa En - 子母澤 寛 著「味覚極楽」を読みながら KILCHOMAN

    子母澤 寛 著「味覚極楽」を読みながら KILCHOMAN

  • Shinkawa En - 竹越三叉氏の話「蒲焼の長命術」

    竹越三叉氏の話「蒲焼の長命術」

  • Shinkawa En - 日本の料理としては本当に自慢できるものは、まずこのうなぎ、それから天ぷらにさしみ。

    日本の料理としては本当に自慢できるものは、まずこのうなぎ、それから天ぷらにさしみ。

  • Shinkawa En - 3

    3

  • Shinkawa En - 端っこの

    端っこの

  • Shinkawa En - 一口をもらう。おいしい!

    一口をもらう。おいしい!

  • Shinkawa En - 昼に鰻を食べた母と私の夕食は、冷やしきつね と

    昼に鰻を食べた母と私の夕食は、冷やしきつね と

  • Shinkawa En - 「魚谷 清兵衛」の 蒲鉾、しらす干

    「魚谷 清兵衛」の 蒲鉾、しらす干

  • Shinkawa En - 食後に KILCHOMAN 【マキヤー ベイ MACHIR BAY】に

    食後に KILCHOMAN 【マキヤー ベイ MACHIR BAY】に

  • Shinkawa En - 「青柳正家」の天下一羊羹を合わせる

    「青柳正家」の天下一羊羹を合わせる

2020/05Visitation14th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 5,000~JPY 5,999per head

"五月の鰻" を食す。臨時休業中かと思っていたが、昼のみの営業を続けていたことを知る。


「吾唯足るを知る」「吾唯知足」

京都の臨済宗妙心寺派大雲山龍安寺にある「知足の蹲踞 (つくばい) 」に彫られています。
この蹲踞は徳川光圀の寄進によるものと伝えられ、仏陀の最後の説法の記録「仏垂般涅槃略説教誡経」の「知足」= 何でも得たもので満足すること (分相応のところで満足すること) の教えです。

過度の快楽 (美食、貪食を含む) が不適切であるのと同様に、極端な苦行 (絶食、貧食を含む) も不適切であると悟り、毎日を平穏に暮らすことができればこんな幸せはありません。除夜の鐘を百八回衝いたぐらいでは煩悩を滅することができない私は、この歳になっても身も心も乱れることが多く嘆かわしいかぎりです。

この日、母を連れて 同病相憐、同じ主治医の検診を受けました。

「お陰さまで元気に暮らしております。」と、謝意を伝えると、

「今は、何がおいしいんでしょう?」と、先生に問われ、

「アスパラガスがおいしいです。」
https://tabelog.com/imgview/original?id=r68154130173924 のようにして食べるのが一番です。」と、答え、

「シュパーゲル (Spargel) ですね。」と、返され、

『さすが、先生!』と内心驚き、煩悩に気づきつつもこれを避けることができない己の愚かさに嫌気がさしてしまいました。


「診察が終わったら、何を食べましょうか? 信川円のうな重 (い、半串) がいいかしら。」と、検査のため朝食を抜いた母。

てっきり臨時休業中かと思っていたのですが、電話で外出自粛期間も昼間だけ営業を続けていたことを知り、ハンドルを国立市へ切りました。(休まず営業を続けることで技を維持していた)

***

毎年この時期は日本を離れているので "五月の鰻" を食べたことがありません。

餌食いの細い "冬の鰻の香り" が好きな私は、その理由を下記のように考えます。

「春の苦味」として多くの美食家に好まれる天然物の山菜は、冬に積もった雪を割り芽を出し、大地に染み込んだミネラル分を吸い上げているから苦味があるように、"冬の鰻” は、寒く動きが鈍いだけに同じようにミネラル分を体に蓄えていて独特の香りがあるのではないかと思っています。

私が嫌いな 北大路魯山人の文章に「うなぎはいつ頃がほんとうに美味いかというと、およそ暑さとは対照的な一月寒中の頃のようである」の行があります。(前々回のレビューに書きました)
 https://www.aozora.gr.jp/cards/001403/files/49959_37782.html

では、 "五月の鰻" はどうかと言うと「水が温み動きが活発になり、アクが抜けて味が穏やかになった。」です。どうも煩悩を滅することができない鰻の方が、私の好みのようです。


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  • Shinkawa En - 九十九里産の "いわしの胡麻和え"

    九十九里産の "いわしの胡麻和え"

  • Shinkawa En - 品書き

    品書き

  • Shinkawa En - うな重 (は) 5,650円

    うな重 (は) 5,650円

  • Shinkawa En - 米の一粒ずつまで おいしい!!!!!

    米の一粒ずつまで おいしい!!!!!

  • Shinkawa En - 我が家のオリーブ cipressino 種の開花も進んだ

    我が家のオリーブ cipressino 種の開花も進んだ

  • Shinkawa En - グミも色付き始めた

    グミも色付き始めた

  • Shinkawa En - 龍安寺 (2016年1月訪問時に撮影)

    龍安寺 (2016年1月訪問時に撮影)

  • Shinkawa En - 龍安寺「知足の蹲踞 (つくばい) 」はこの画面の左側にあるが写っていない

    龍安寺「知足の蹲踞 (つくばい) 」はこの画面の左側にあるが写っていない

  • Shinkawa En - 秀吉の植えた侘助椿

    秀吉の植えた侘助椿

  • Shinkawa En - これは、近くの公園にある「知足 (吾唯知足) の蹲踞」(撮影地は東京)

    これは、近くの公園にある「知足 (吾唯知足) の蹲踞」(撮影地は東京)

  • Shinkawa En - 蹲の隣では、小鴨が水中の藻を啄んでいた

    蹲の隣では、小鴨が水中の藻を啄んでいた

2020/03Visitation13th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 5,000~JPY 5,999per head

国立市大学通りにも「桜咲く」


国立市は、JR国立駅から南に延びる広い大学通り沿いに一橋大学と私立の名門 桐朋中学校・桐朋高等学校を抱え学園都市と言われています。通りの両側に植わっている桜の花が満開になるのは暖冬の所為で今年はかなり早そうです。
 https://sp.jorudan.co.jp/hanami/spot_147.html

皆さん既にお気付きだと思いますが、この春は日本の空気の透明度が上がって何十年振りかの強い陽射しになっています。新型コロナウイルスの蔓延によって中国の経済活動が停滞し火力発電所を初め多くの生産工場が停止しているお陰です。私が子供の頃のような空が戻ってきました。今年の春野菜は日の出から燦々と浴びる太陽光線によって、きっと、おいしくなることでしょう。

汚れた空気の中で育った若い方は分からないでしょうが、私は以前から「おいしい野菜を作る為に日本の空気をきれいにするには、中国に公害対策をしてもらわなければ解決しない。」と、このSNSで書いています。今回の騒動でこれが立証されました。「空気清浄度と食べ物のおいしさの相関」について、グレタ・トゥーンベリさんにもお知らせしなければなりません。(笑

***

妻が義妹と実家の墓参りをし、私は菩提寺へ行きました。
強い陽射しの中、高齢者を含むたくさんの墓参者が絶え間なく訪れています。マスクを掛けた方が殆どですが、スギ花粉症対応なのか新型コロナウイルス対策なのかは分かりません。厳しい外出禁止令や飲食店の営業停止令は出ていない日本ですが、日本人の清潔を好む国民性によってウイルス拡大は最小限に抑えられるのではないかと思っています。楽観的ですがそう願っています。

さて、いつもの通り「墓参」と「信川円」は、セットです。
この日は、運転手がいましたので「酒が飲める飲めるぞー 酒が飲める。」と張り切っていました。いただいたのは、石川県の銘酒「菊姫」https://www.kikuhime.co.jp/story/story_index/ です。「oggetiさん、菊姫を召し上がったことはありますか?」と、取引先の方から頂戴したのはもう二十年以上前のことです。活性炭による濾過を最小限に留めた日本酒本来の旨味を残した酒はほんのり黄金色をしています。私のフォッサマグナから西の酒が好きなことを知っての贈り物でした。

"肝焼き" をお茶で食べるなんて、そんな勿体ない話はありません。
調理場から肝焼きの載った皿が運ばれる途中から香ばしい匂いが鼻を擽り、思わず猪口の酒の残りを確認してしまいました。ぬる燗を継ぎ足し、手に串を持ってひと齧り、「Hmmmm, おいしい!!!!」。ここでコピリンコ (©︎小泉武夫 日経コラム、食あれば楽あり)。いいね!サイコー!

春の細口鰻の蒲焼は、餌食いが活発になってきた分、少し肉が付いてきました。
前回、前々回のレビューと比べていただければお分かりになると思いますが、肥えてきた分、味が穏やかになりました。春の鰻を "桜鰻" とは呼ばないと思いますが、季節毎に変化する鰻の味を一年間を通して確認しようと思います。

この日も満席になった家族経営の「信川円」。いつまでもこの味を守り続けていただいたいと願うばかりです。帰りしなに息子さんとお嫁さんにも挨拶をして外に出ると眩しい光によって一瞬クラッとしたのは菊姫の飲み過ぎではないと思うことにして車の後部座席に身を沈めました。


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  • Shinkawa En - 画像処理していない抜けるような青空

    画像処理していない抜けるような青空

  • Shinkawa En - 肝焼き三串

    肝焼き三串

  • Shinkawa En - 石川県の酒 "菊姫" ぬる燗

    石川県の酒 "菊姫" ぬる燗

  • Shinkawa En - 肝焼き二串

    肝焼き二串

  • Shinkawa En - 店内

    店内

  • Shinkawa En - うな重(は) A

    うな重(は) A

  • Shinkawa En - うな重(は) B

    うな重(は) B

  • Shinkawa En - うな重(は) C

    うな重(は) C

  • Shinkawa En - うな重のご飯として最高の炊き方

    うな重のご飯として最高の炊き方

  • Shinkawa En - 障子にコントラストの強い陽射し

    障子にコントラストの強い陽射し

  • Shinkawa En - 入り口

    入り口

  • Shinkawa En - 彼岸の墓参り

    彼岸の墓参り

  • Shinkawa En - 境内の蕾

    境内の蕾

2020/02Visitation12th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere5.0
  • Cost performance5.0
  • Liquor/Drinks5.0
JPY 6,000~JPY 7,999per head

"冬の細口の鰻" と富山県 "山田村 (現:富山市) の米" の組み合わせは、最高においしい!!!!!


前回のレビューで「私は、ほとんどの料理を自分で作ってしまうので "外食" して、心から『おいしい!』と、感じる料理に出会うことが少なく、『これだったら自分で作ったほうがおいしいよ。』と、かなり "傲慢" な感想を抱いてしまいます。ところが、自分で作ろうと思わない料理があり、それは正統なフランス料理と細口の鰻の蒲焼です。」と、うっかり "本音" 書いてしまいましたが、ここ「信川円」で静かにゆっくりアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae、ニホンコウジカビ) 由来の日本の味を堪能していると日本人で良かったなぁと心から思うのであります。

傲岸不遜(奢り昂って相手を見下す様)、傲慢無礼(思い上がって謙虚の無い様) と言われた北大路魯山人は、「美味しんぼ」に登場する海原雄山のモデルだそうですが、この漫画を一度も見たことがない私は、陶芸家・書家としての魯山人しか知りません。陶芸を少しだけ勉強した私は、職人任せの魯山人の稚拙な仕事を全く評価していません。自ら筆を持った書についても一見上手そうに見えますが心が籠もっていません。

ところが、MacBookに「魯山人+鰻」とキーワードを入力すると https://www.aozora.gr.jp/cards/001403/files/49959_37782.html がヒットしました。この "鰻の話 - 北大路魯山人" という文章の中に「うなぎはいつ頃がほんとうに美味いかというと、およそ暑さとは対照的な一月寒中の頃のようである」の行があります。

私は、この店のレビューに何度も「冬の鰻が好きだ」と書き、その理由を「冬場の鰻は、水温が冷たくなり動きが緩慢になり、餌喰いが少なく(天然物だと冬眠するともいわれる) 秋に貯めた脂肪を燃焼しながら生き長らえていますので、寧ろ、香りが良くなってきます。それは鰻本来の香りであって、餌の香りが残る脂が浄化され、洗練された香りです。」と記しています。

図らずも "鰻のおいしい季節" に関して大嫌いな魯山人と意見が一致したことは、自身にとって "放って置けない" こととなりました。


料理の詳細については、添付写真のコメントをご覧いただけると嬉しいです。

【お願い】

「鰻の蒲焼は "ゆっくり" 味わってください。待たされたからといって決して "急いて" はいけません。」
「おいしく香りの良い鰻の蒲焼は、山椒を振らずに食べてください。」
「蒲焼だけに着目せず、ご飯の炊き具合と盛りの妙味についても関心を寄せてください。」(鰻とご飯は別々に食べる)


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  • Shinkawa En - 柔らかい白萩の筒茶碗

    柔らかい白萩の筒茶碗

  • Shinkawa En - 香りの良い自家製こんにゃく

    香りの良い自家製こんにゃく

  • Shinkawa En - うな重 (は)、5,650円、一串半(強めの焼き加減だが、焦げているのではなく焼けているだけ)

    うな重 (は)、5,650円、一串半(強めの焼き加減だが、焦げているのではなく焼けているだけ)

  • Shinkawa En - 去年8月に食べた白焼きの最適な焼き加減 (串打ちは四本、焼きは息子さん)

    去年8月に食べた白焼きの最適な焼き加減 (串打ちは四本、焼きは息子さん)

  • Shinkawa En - いつも通り右下から蒲焼とご飯を別々に "ゆっくり" 食べ始める(微妙な水加減の必要なご飯を炊くのは親方、菜箸で並べるのはお嫁さん)決して急いて食べないこと。

    いつも通り右下から蒲焼とご飯を別々に "ゆっくり" 食べ始める(微妙な水加減の必要なご飯を炊くのは親方、菜箸で並べるのはお嫁さん)決して急いて食べないこと。

  • Shinkawa En - 品書き

    品書き

  • Shinkawa En - 焼き上がるまで雑誌を読んで楽しむ

    焼き上がるまで雑誌を読んで楽しむ

  • Shinkawa En - "在来種" という蕎麦

    "在来種" という蕎麦

  • Shinkawa En - 妙高こそばの紹介

    妙高こそばの紹介

2019/12Visitation11th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere4.9
  • Cost performance4.9
  • Liquor/Drinks4.9
JPY 5,000~JPY 5,999per head

寒くなって脂の乗った12月初旬の "細口の鰻" を食べる


四ツ木で鰻を食べた翌日に訪問しました。
鰻の連荘(麻雀用語、連チャン)。

私は、ほとんどの料理を自分で作ってしまうので、 "外食" して心から『おいしい!』と、感じる料理に出会うことが少なく、『これだったら自分で作ったほうがおいしいよ。』と、かなり傲慢な感想を抱いてしまいます。ところが、自分で作ろうと思わない料理があり、それは正統なフランス料理細口の鰻の蒲焼です。

この店のレビューは、今回で十一回目ですから多くは語りませんが、「信川円」は、私の一番好きな鰻屋です。

この日、平日にも関わらず多くの客で賑わっていました。調理場を覗くと息子さんの姿がありません。『今日も親方が焼くのかなぁ。』と、漠然と考えていて備え付けの雑誌「サライ」と捲っていたら興味のある「かけそば」と「日本酒の家飲み」について特集した2019年1月号であることに気づき、『なんだ、ことし7月にレビューに載せた記事だ。』と分かったのですが、蒲焼が出来上がるまでの間、これを再度読み直しました。「かけそば」と「日本酒の家飲み」イイですね!

因みにこの焼き具合から判断して『今日は息子さんが焼いた』と、確信し、帰り際に厨房を覗くと炉端に立っていたのは親方ではなく息子さんでした。おいしいです!!!!


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  • Shinkawa En - 自家製コンニャク

    自家製コンニャク

  • Shinkawa En - うな重(は) ひと串半

    うな重(は) ひと串半

  • Shinkawa En - 重の右下から食べ始め、最後は左下で〆る。

    重の右下から食べ始め、最後は左下で〆る。

  • Shinkawa En - 雑誌「サライ」2019年1月号より

    雑誌「サライ」2019年1月号より

  • Shinkawa En - 雑誌「サライ」2019年1月号より

    雑誌「サライ」2019年1月号より

  • Shinkawa En - 雑誌「サライ」2019年1月号より

    雑誌「サライ」2019年1月号より

2019/08Visitation10th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere4.9
  • Cost performance4.9
  • Liquor/Drinks4.9
JPY 5,000~JPY 5,999per head

白焼きと肝焼きで "菊姫" の "ひや (常温)" をコピリンコ (©︎ 小泉武夫「食あれば楽あり」)


この日(8/12)、菩提寺で施食会(せじきえ、曹洞宗の施餓鬼) が行われました。

煩悩だらけの人間である私が、功徳を積み悟りの境地に至ることができるのでしょうか。「五十六十は洟垂れ小僧」と言われていますので、あと二十年ぐらいしたら何事に対しても「腹六分目」の生活ができるのかもしれません。

と、分かっていてもDNAに刻まれたアスペルギルス・オリゼ (ニホンコウジカビ、Aspergillus oryzae) 由来の醤油、味醂、酒の味の誘惑に抗しきれず、ひと月半の間に三回目の訪問となりました。

この日は、いつも白炭の積まれた炉の前に立っている "割き" "串打ち" "焼き" "蒸し" ”焼き” を担当している息子さんの姿がありません。夏休み中のお子さんを連れてプールにでも行っているのかもしれません。親方はいつも店に居てにこやかにお話をしてくれるのですが、殆どの仕事を息子さんに任せた親方の焼く "鰻の蒲焼" を食べるのは、二年振りぐらいです。

午後一時手前でしたので入店した時はほぼ満席で、親方は炉の中の白炭を火箸で積み替えていました。

「こんにちは。」

「おっ、いっらしゃい。」

「あれ、今日は親方が焼いているのですか。」


2019年3月2日 (土) に放映された NHK BSプレミアム「和食の神髄をデータ化せよ」において、鮎焼きの名人と称されえる「瓢亭」十四代目 高橋英一 氏の "山積み" と 一般的な "平積み" の違いが検証されていましたが、鰻の "焼き" においても同様に何らかの工夫があるのだと感じました。 https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92042/2042479/index.html

この日は、"菊姫" の "ひや (常温)" をいただき、白焼きと肝焼きもお願いしました。
こちらで白焼きを食べるのは今回が二度目です。割いた鰻を"菊姫" に浸した後、写真のように焼き上げるのですが、夏の鰻の脂が適度に落とされ、表面が酒でコーティングされ、それが蒸発して焼かれ一体となった旨味というのは酒飲みには堪らない贅沢な肴であります。

徳利が空いた頃、女将が「おまちどうさま、肝焼きです。」と、これをテーブルに置き、こうなれば「もう一本(菊姫のこと)ください。」となるのは必然であり、煩悩の赴くままであり、夢幻の如くなり。

いつもは、一串半の(は)を食べるのですが、白焼きを頼んだので一串の(ろ)にしました。ご飯の量はどちらも同じだと思われます。重箱の右下の蒲焼を箸で分け、これだけを食べ、もう一回蒲焼だけを食べ、ここで私はご飯をゆっくりいただきます。待ち時間があったとはいえ、決して勢いよくガツガツと食べてはいけません。「できるだけゆっくり味わって食べる」これが鰻のおいしい食べ方です。また、”鰻” と "かえし" の渾然一体となった香りを楽しむには、余分な香りの山椒は不要です。

会計を済ませ、親方に、

「久しぶりにいただきました。親方の焼きと息子さんの焼きはどちらもおいしいのですが、微妙な差があるのですね。」

「あ〜、それは僅かな差であって、たぶん、数秒の違いだと思います。」

添付写真に両方を並べましたので、その僅かな差がお分かりになると思いますが、"かえし" のメイラード反応の進み具合に違いがあります。数秒の違いは、白炭で焼かれる火加減の差も影響し、"かえし" の入った壺に浸す時間、引き上げるスピードも指しているのだと、店を後にしてから考え続けて納得したのであります。


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  • Shinkawa En - 菊姫

    菊姫

  • Shinkawa En - 肝焼き

    肝焼き

  • Shinkawa En - 白焼き

    白焼き

  • Shinkawa En - 親方の蒲焼(ろ)一串

    親方の蒲焼(ろ)一串

  • Shinkawa En - 息子さんの蒲焼(は)一串半

    息子さんの蒲焼(は)一串半

  • Shinkawa En - (ろ)の重箱

    (ろ)の重箱

  • Shinkawa En - 我が家近くの公園には

    我が家近くの公園には

  • Shinkawa En - 鴨の親子も散歩(七羽孵化した雛は、カラスに四羽やられてしまった。ガンバレ母鳥)

    鴨の親子も散歩(七羽孵化した雛は、カラスに四羽やられてしまった。ガンバレ母鳥)

2019/07Visitation9th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere4.9
  • Cost performance4.9
  • Liquor/Drinks4.9
JPY 6,000~JPY 7,999per head

夏仕立ての建具に囲まれ、うな重が出来上がるまで雑誌サライの "かけそば" 特集を読む


日本人なら「アスペルギルス・オリゼ (ニホンコウジカビ、Aspergillus oryzae) 由来の醤油、味醂、酒の味だよ!」と、帰国後、体内に棲みつく酵素を補充するが如く日本酒を補充している oggeti209 です。

三ヶ月間もイタリアにいるとすっかり身体がイタリア人になってしまうことも『いいなぁ』と思うのですが、生活の基盤を日本に置いている私としては諸手続きもしなければ日本から追い出されてしまうし、トランジットで四泊したウィーンでリムジンタクシーの代金を払って手持ち現金(ユーロ)を使い切ってしまったことを思い出し、『どうしてトリノ到着三日目に現金の3/4が無くなってしまったのか』と、反省するも『娘や孫娘の成長の為になるのだったら仕方ないね』と、納得するのであります。それにしても日本でステイタスなクレジットカードは単なる "見栄" でしかなく世界標準ではなく、一般的なVISAやMASTERが一番有効であることを知ったのは、かれこれ10年以上も前のことです。カード会社 ゴメンナサイ。

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車の示す温度計が 41℃にもなった "土用の丑の日" を外したこの日、帰国後二度目の「信川円」です。

月初めに訪れた時は、障子の建具だったのですが、この日はすっかり "夏仕立て" になって外気の暑さを忘れる素敵な空間が出来上がっていました。江戸時代から地方出身者の塊である東京の飲食店は野暮ですからアサガオの鉢が置かれるのは良いほうで、京都の料理屋のような "夏仕立て" を設えに備えている店は少ないです。 日本人の生活の工夫、いいですね!

料理については書き尽くした感がありますので、過去レビューをお読みいただきたいのですが、私は、うなぎの蒲焼に関して「冬の鰻が好き」と、書いているように水温が下がり冬眠状態になって年を越して枯れた鰻が好きです。夏季の "土用の丑の日" というのは、皆さんご存知のように平賀源内のキャッチコピーであり、本当においしいのは冬眠に備え脂肪を蓄えた初冬の鰻だと言われています。

私は、この脂肪を燃焼して枯れてきた立春頃の香りが凝縮してきた鰻が好みです。巷で珍重されている "脂ぎった鰻" は、テカテカした小太りのオヂサンのようで好きではありません。

ところが、この店で使っている "細口" の鰻の場合、餌喰いをして太リ始めた今頃でも其れなりに香りがあり、「Hmmmm、おいしい!!!!!」となるのでありました。

すっかり先代親方から技を受け継いだ息子さんが、(割き−串打ち−下焼き−蒸し−タレ付け~仕上げ焼き) した鰻の蒲焼は、そろそろ名人の域に達しているのではないかと思われます。伝統の味を引き継ぐ人が存在している店は、『自分の子や孫の世代になっても通うことができる』という安心感があり、自然に足が向いてしまいます。

うな重 (は) が出来上がるまで捲っていた雑誌「サライ」に "かけそば" 特集がありました。嬉しい!

蕎麦好きな方が語る "もりそば" のおいしさも理解するのですが、アスペルギルス・オリゼ (ニホンコウジカビ、Aspergillus oryzae) に拘る私は、夏でも "かけそば" です。同じ感覚を持った編集者が "小學館" に居たことに日本の出版業界の目利きの良さを思わざるを得ませんでした。(単純に賛同者がいて喜んでいるだけ)


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  • Shinkawa En -  "夏仕立て" 1

    "夏仕立て" 1

  • Shinkawa En -  "夏仕立て" 2

    "夏仕立て" 2

  • Shinkawa En - うな重 (は)

    うな重 (は)

  • Shinkawa En - 自家製こんにゃく

    自家製こんにゃく

  • Shinkawa En - 山葵だけで食べるとこんにゃく芋の香りがよく分かる

    山葵だけで食べるとこんにゃく芋の香りがよく分かる

  • Shinkawa En - 雑誌「サライ」小學館

    雑誌「サライ」小學館

  • Shinkawa En - 歌川豊国の浮世絵

    歌川豊国の浮世絵

  • Shinkawa En - 並木藪蕎麦

    並木藪蕎麦

  • Shinkawa En - "かけそば" 秘伝のつゆ

    "かけそば" 秘伝のつゆ

  • Shinkawa En - 瓢亭の夏仕立て

    瓢亭の夏仕立て

  • Shinkawa En - 或るapartamentoの夏仕立て

    或るapartamentoの夏仕立て

  • Shinkawa En - 午前七時の光

    午前七時の光

  • Shinkawa En - 「サライ」に倣って "寒河江そば" で "ぶっかけ" を作ってみた

    「サライ」に倣って "寒河江そば" で "ぶっかけ" を作ってみた

  • Shinkawa En - 車の温度計、外気温41℃

    車の温度計、外気温41℃

2019/07Visitation8th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere4.9
  • Cost performance4.9
  • Liquor/Drinks4.9
JPY 5,000~JPY 5,999per head

温かいそば → TKG → 家庭料理 → うなぎの蒲焼


「出発前に食べておこう Vol.□」シリーズの逆をやっている気分ですが、「神田まつや」→「紀ノ国屋 インターナショナル」→「信川円」と辿り、出発前にアップしませんでしたが「弁天山美家古寿司」と「ほかけ」があり、ラーメンの「タンタン」を食べれば、 "ふりだし" に戻ります。

***

この日、父の墓参りをした帰り道、国立(クニタチ)に寄りました。44年前と同じ肌寒い梅雨空です。

「こんにちは。」

「ほっぉ、お久しぶりですね。」と、ご主人。

「こちらの蒲焼を食べたくなりました。」と、私。

帳場のお内儀さん、姥目樫備長炭を使った炉に立つ息子さん、お重盛り付けのお嫁さん、皆さんが笑顔で迎えてくれます。この日は座敷に座り、青梅の小澤酒造「澤乃井」辛口の冷酒を頼みました。

"手作りこんにゃく" と "肝焼きふた串" を肴に妻と二人でキューとやると「もう一本頼もうか。」となり、適当に下地が出来上がった頃合いを見計らったように、

「お待ちどうさま。」と、お内儀さんが私の「うな重 "は" 」(ひと串半) を座卓に置き、蓋を取ればご覧の景色、まずは眼福。

立ち上る蒲焼の香りをじっくり楽しみながら『日本人で良かったなぁ。』と、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae、ニホンコウジカビ) は、この梅雨の湿度があるから育まれるのだと日本に戻って次第に馴染んでいる自身の体調を思い、『初めてのコンクリートの長屋 (Apartamento、所謂マンション) 住まいは、エアコンの除湿機能を使えば快適だ。』と、イタリアでの日常を懐かしむ。

合わせて添付写真のコメントをご覧いただけると嬉しいです。


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  • Shinkawa En -  "肝焼きふた串" は、苦味、甘味、旨味のバランスが素晴らしい!

    "肝焼きふた串" は、苦味、甘味、旨味のバランスが素晴らしい!

  • Shinkawa En - "手作りこんにゃく" も蒟蒻芋の香りが口いっぱいに広がる。おいしい!!!

    "手作りこんにゃく" も蒟蒻芋の香りが口いっぱいに広がる。おいしい!!!

  • Shinkawa En - 醤油は使わない

    醤油は使わない

  • Shinkawa En - 「うな重 "は" 」(ひと串半)

    「うな重 "は" 」(ひと串半)

  • Shinkawa En - 慌てずゆっくり食べる。細口のウナギが一番おいしい。身のきめ細やかなこと。山椒は使わない方が、より蒲焼のおいしさが分かる。

    慌てずゆっくり食べる。細口のウナギが一番おいしい。身のきめ細やかなこと。山椒は使わない方が、より蒲焼のおいしさが分かる。

2019/03Visitation7th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere4.9
  • Cost performance4.9
  • Liquor/Drinks4.9
JPY 5,000~JPY 5,999per head

冬の鰻が好き



このSNSの皆さんや料理人の中には、今年3月2日に放映された NHK BS プレミアム「和食の神髄をデータ化せよ」をご覧になられた方も多いと思います。見逃した方は、こちら↓のオンデマンドで確認するという方法もあります。
 https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2019095786SC000/?capid=nte001

ー 以下、番組案内よりコピペ ー

まさに門外不出!一子相伝のぐじ焼きの技をカメラ前で初公開! ▽400年の歴史を刻む老舗料亭十四代目の美学あふれるあゆ焼きの、常識破りの技とは? ▽牛フィレ肉に秋の香りをまとわせる技にひそんでいた、思わぬ落とし穴とは一体? ▽「焼く前の塩=うま味が増える」は勘違い?解き明かされた“うま味が増える技”のナゾ ▽船遊びがテーマの天井、質素静ひつな茶室、着物映えのする内装…各個性が光る最上級のもてなし空間

出演は、進行役の菊乃井三代目主人 村田吉弘氏 そして、瓢亭十四代目主人 高橋英一氏 、木乃婦三代目主人 高橋拓児氏 、一子相伝なかむら六代目主人 中村元計氏 、菊乃井統括料理長 辻昌仁氏 、そして、調理科学者の川崎寛也氏 の各氏でした。
 https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92042/2042479/index.html

***

和食における "焼き" に焦点を当てた番組でしたが、瓢亭十四代目主人 高橋英一氏の発せられた「私は絶対、鮎 と 鱧 と は、炭火に限ると思うておりますんでね。」の言に甚く共鳴いたしました。

お札を燃やしているぐらい高価な姥目樫の備長炭を使っている信川円のご主人からも同じ話を聞いています。

「一時、経費節減を考え、下焼きだけに電気炉を使ったことがあるのですが、どうしても鰻の芯まで上手いこと焼けないのです。」

表面をパリッと焼いて中がフワッとしている鰻の蒲焼は、鰻という魚そのものの香ばしさとタレとが混ざったメイラード反応によって堪らないほどの食欲を誘います。これを口に含んだ時に唇や舌に当たるようでは単なる焼き魚です。箸で摘まんでスッと切れるぐらいの表面の焼け具合とその下にある身の柔らかさとが一体になることが大切です。

多くの "鰻食い" は、「焼け焦げが無く、フワッ、トロッと柔らかくておいしかった。」と蒸し工程の入った関東割烹背開きの蒲焼を表現しますが、果たして、それは本当においしいのでしょうか?

鮎焼きに関して、料理人仲間からも当代随一と呼ばれる瓢亭十四代目主人 高橋英一氏は、「バリッというくらい表面を焼いた鮎を頭から食べていただきたい。」と鮎塩焼きの醍醐味を語っています。その熱源は、電熱器でもガス火でもありません。姥目樫の備長炭なのです。

***

この日、うな重「は」(一串半) と「肝焼き」をいただきました。

冬場の鰻は、水温が冷たくなり動きが緩慢になり、餌喰いが少なく(天然物だと冬眠するともいわれる) 秋に貯めた脂肪を燃焼しながら生き長らえていますので、寧ろ、香りが良くなってきます。それは鰻本来の香りであって、餌の香りが残る脂が浄化され、洗練された香りです。

この"細口" 鰻から取れる肝も小さいのですが、香りと旨味は素晴らしく、一串だけでお銚子二本が空になってしまうのではないかと思うくらいのおいしさです。

これは、アメリカにもヨーロッパにもない、日本が世界に誇ることのできるニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)由来の料理と酒です。おいしい!!!!!


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  • Shinkawa En - 山椒は不要、2018年11月末

    山椒は不要、2018年11月末

  • Shinkawa En - 山椒は不要、2019年1月末

    山椒は不要、2019年1月末

  • Shinkawa En - 山椒は不要、2019年3月初め

    山椒は不要、2019年3月初め

  • Shinkawa En - 山椒は不要、肝焼き、おいしい!!!!!

    山椒は不要、肝焼き、おいしい!!!!!

  • Shinkawa En - 自家製こんにゃく

    自家製こんにゃく

  • Shinkawa En - 鰻は、大ぶりのものではなく180gぐらいの細口が特においしい

    鰻は、大ぶりのものではなく180gぐらいの細口が特においしい

  • Shinkawa En - 小上がり1

    小上がり1

  • Shinkawa En - 小上がり2

    小上がり2

  • Shinkawa En - 四人掛けテーブル席×4

    四人掛けテーブル席×4

2018/11Visitation6th

5.0

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere4.9
  • Cost performance4.9
  • Liquor/Drinks4.9
JPY 5,000~JPY 5,999per head

冬になると鰻がおいしくなる



【ゾクゾク感が背筋から首筋に走り脳に到達するシリーズ Vol.3 】


おいしい!!!!!


つらつら考えて、自分の好きな食べ物は何なんだろうか。

和の出汁を引くのは日常茶飯のこと。フュメ・ド・ポワソン (fume de poisson) 、頑張ってフォン・ド・ヴォー (fond de veau) を引くのも楽しく、すしも握るし、天ぷらも揚げ、脆皮焼肉 (ツイ・ピー・シャオ・ロウ) は、おいしくできたものの 中華料理を得意としませんが、それ以外でしたら結構、本格的な料理を作ってしまう私です。

ところが、「内食」で正しく作ったことがないのが、”鰻の蒲焼” です。

殻牡蠣や帆立貝の蓋を開けるぐらいなら貝柱の抵抗を気にしなければ良いので問題ないのですが、活けの車海老に串を刺したり、殻を外す時はググッと掌に伝わる最期の意思を感じてしまうので得意ではありません。活け造りのヤリイカの表面が虹色に変化したり、真鯵の口がパクパクしているのもいろいろ想像してしまうので好みません。まして 氷で冬眠状態にすれば楽ですが、活けの鰻を背開きにするのは専門家にお願いした方が良いと思っています。

***

暑い季節には避けていた”鰻の蒲焼” ですが、水温も低くなり餌食いが良くなってきた11月に入ると脂が乗ってきておいしくなります。真冬の頃の鰻の香りも良く好きなのですが、動きが緩慢になり、ほぼ冬眠状態に入り、皮が厚くなるので調理にひと工夫が必要です。

いつも通り一串半の「は」(5,320円) 。

こちらで使っている鰻は、「細口」です。巷では「太口」が好まれ、これをフワッ、トッロッ に焼き焦げを付けずに仕上げた蒲焼を「旨いうまい!」と言いながら一気に掻き込んで食べる人が多いです。「食」は "好みの問題" ですから ご当人が満足されれば誰も何も言えないということになりますが、秘伝のタレと称してMSG(Mono Sodium glutamate)の力を借りている鰻屋もあり、これは鰻本来の味のバラツキを調整するには便利な添加物となっています。(煎餅も同様)

「お待ちどうさま。」

盆に載った木生地の重箱、右側に置かれた同じく蓋付きの椀、右上の香の物。障子越しの柔らかい光がこれらを照らし、日本の美を感じます。

蓋を取り、まずは眼福。
気持ちいつもより配膳に時間のかかったこの日の鰻重は、特別 気合が入っているように見えました。既に仕事の大半を三代目に任せているこの店の焼き手は、店主の息子さんです。二代目に比べると若干当たり強めに仕上がっています。その差は3%増し程度の僅かな差なのですが、どちらもおいしいです。

いつも通り右下の蒲焼だけを横一文字に箸で切り分け、背身腹身一体 (丸めると寸胴型)を口に近付けると「細口」鰻の良い香りがします。覆い被さるように甕でニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)によって熟成された "かえし" の日本独特の香りが追いかけます。ここで一回目のゾクゾク感が、背筋から首筋に走り脳に到達しました。

蒲焼を口に含むと、「細口」鰻の決して厚くない身から滲み出る上質な脂が口中に広がり、舌の味蕾を覚醒し、ゆっくり咀嚼した後、嚥下すれば喉の上側にある味蕾が忽ちに反応し、二回目のゾクゾク感が、背筋から首筋に走り脳に到達しました。「ひつ粒で二度おいしいグリコ」ではありませんが、鰻の蒲焼の食べ方としては、掻き込まず "ゆっくり味わう" ことをお奨めいたします。

お嫁さんが菜箸を使って丁寧に盛り付ける炊きたてのご飯、塩加減の良い肝吸い、これらが渾然一体となって至福の時はゆっくりと流れていきました。

日本に居て自分の好きな食べ物は、ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)によって熟成されたさまざまな食べ物であることを再認識した一日でありました。


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  • Shinkawa En - 一串半の「は」

    一串半の「は」

  • Shinkawa En - 自家製こんにゃく

    自家製こんにゃく

  • Shinkawa En - 冬の柔らかい陽射し

    冬の柔らかい陽射し

  • Shinkawa En - 座敷

    座敷

2018/07Visitation5th

4.9

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere4.9
  • Cost performance4.9
  • Liquor/Drinks4.9
JPY 5,000~JPY 5,999per head

ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae) と日本人のDNA



イタリア滞在中、毎日のように午前6時頃から娘の愛犬(九歳のラブラドール・レトリバー)を連れて早朝散歩に出ていました。夏でもハンドクリームやリップクリームを使わなければならないほど乾燥していますので、陽射しの強い中を1時間歩いても汗でシャツが濡れることはありません。日本の平坦なアスファルト道路を歩くのと異なり、石畳や轍の残る農道も歩いていたので足首が鍛えられました。

テキトーに生きている私にジェットラグは発生せず、日本に戻っても同じように夜明けの頃から約1時間の散歩を続けています。公園のエゴノキ(野茉莉) の白い花が薄緑色の実となり風に揺れて時の流れを教えてくれますが、熱帯のように蒸し暑い日本では、散歩でびっしょり濡れたスポーツ着を脱ぎ、朝風呂 & The Sipsmith / London Dry Gin + Fever-Tree / Tonic Waterを楽しみます。https://tabelog.com/imgview/original?id=r4140569988947

***

CAの笑顔に見送られ、飛行機に接続されたボーディング・ブリッジに出た瞬間、日本の蒸し暑さを感じ、額に汗が滲みました。
『この湿度のある空気が、ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)やカツオブシカビ(Aspergillus glaucus) を育てるのだ。』と妙に感心しながら入国審査、バゲッジクレイム(baggage claim)、通関審査を済ませる間にも『イタリアのポー川流域には、 Parma や San Daniele があり、ポー川からの湿気が発酵菌の成長を促し、おいしいプロシュットやクラテッロ、サラーメが作られているよなぁ。』と考え続けていました。https://tabelog.com/imgview/original?id=r8303586825387

***

私はイタリア滞在中、日本食を食べたいとは全く思わないのですが、娘家族のために鰹節、昆布、醤油、味醂、zuccheroで蕎麦ツユを作り、「かけそば」や「かつ丼」を調理しました。https://tabelog.com/imgview/original?id=r6307888875092

「ノンノの作る料理は全部おいしい!」と日本人のDNAが半分流れている孫娘に ”ニホンコウジカビ ”を理解する味覚が備わってことを嬉しく思い、『この子は将来どんな料理を作るようになるのかなぁ。』と考えるのも楽しいです。

***

イタリアでは、プロシュット、クラテッロ、サラーメ、フォルマッジョ、アチューゲ、ワインなどの発酵食品を好んで食べ、『これらとパンがあれば、ナンも要らない!』と満たされていた私が、日本に戻ると無性に食べたくなるのが、「かけそば」「鰻の蒲焼」と「日本酒」です。

日本人が縄文・弥生の頃からこの地に生息するニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)に親しんでいたと推測するのは容易いことです。現代の醸造は、人為的に添加された麹菌によって効率良く行われますが、「食べてみたらおいしかった発酵物」は自然発生的に生まれたものであり、世界中どこの民族も固有の麹菌にょって作られた食品を食べ続け、その味覚はDNAに刻まれたはずです。


***


前置きが長くなりましたが、東京でも猛暑日となったこの日、「信川円」へ行ってきました。

いつもの「は」(一串半、4,880円 → 5,320円に値上がり) と「手作りこんにゃく」(320円) です。

この店で使われている最上級の「細口」は、鰻の香りが素晴らしいです。

私は、”鰻食い” を「まとめ」た「おいしい (うな重/鰻) が見つかった(東京編)」に書いていますが、

1、細口の鰻を使うこと(太口の鰻は見た目に豪華だが、おいしい鰻は稀。鯛や鯵も他の魚も同じ)
2、姥目樫の備長炭(白炭)で焼くこと(ガス、電熱器では芯まで焼けず、香りが出ないうちに焦げてしまう)
3、鰻の香りが無くなるまで蒸さないこと
4、甘過ぎるタレ(かえし)は田舎っぽく、鰻本来の甘みを生かすスッキリした江戸前のタレであること
5、ご飯の硬さは好みだが、炊き立てであること
6、客を「待たせる」「待たせない」は、経営者の心構えの差であり、意図的に待たせる店に良い鰻店はない
7、子母澤 寛の著書「味覚極楽」に出てくる言葉「下手味(ゲテミ)」を感じさせること
 (気取ったキザな店は江戸前ではない)
8、食べたい時に食べることのできる店であること
 (お大尽が食べるものではないので、何ヶ月も一年も先の予約しか受け付けない店は論外。鮨屋も同じ。)

これを全て満たす「信川円」は、自身の「日本人のDNA」を再確認することのできる店です。おいしい!!!!!


  • Shinkawa En - 「は」(一串半)

    「は」(一串半)

  • Shinkawa En - 拡大

    拡大

  • Shinkawa En - 手作りこんにゃく

    手作りこんにゃく

  • Shinkawa En - 今年の鰻屋はどこも価格改定

    今年の鰻屋はどこも価格改定

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    エゴノキ(野茉莉)の実にはサポニンが含まれる

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    エゴノキ(野茉莉)五月は花だった

2018/01Visitation4th

4.9

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere4.9
  • Cost performance4.9
  • Liquor/Drinks4.9
JPY 4,000~JPY 4,999per head

今年、初めての外食は、うなぎの蒲焼だった。


今年初めての買い物(食料品)は、1月の第二週に入り、漁師が海に出て農家が野良仕事を始めて品が揃う木曜日(1/11)頃が良いのではないかと思います。

外食も同じです。
河豚や鮪、牛肉のように熟成させておいしくなるものは良いのですが、鮮度が大切な素材を使う料理を食べるのであれば、第三週以降に訪れるのが良いのではないでしょうか。その方が料理人も身体を休めることができます。

ということで、今年最初の外食は、活鰻を生簀で保管できる「うなぎの蒲焼」にしました。
ここ「新川円」では、今年入荷の鰻を食べることができます。

いつも通り、うな重 (は) (一串半) と 自家製こんにゃくです。
出来上がるまでの間、今日の仕事を息子さんに任せている親方と四方山話に花を咲かせ、途中からお内儀さんも加わり、冬の柔らかい日差しが入る店内に良い気が流れます。隅々まで清潔感のある静かな店内は、決して客に緊張感を抱かせるものではなく、優しさに溢れています。

それは、ちょっとした小道具や一輪挿しに生けられた花、本棚の雑誌類、柔らかい焼きの湯のみ茶碗、座布団の表地などから醸し出されています。


ここで使われる最高級の”細口”の鰻は、白炭(姥目樫の備長炭)で焼かれた品の良い香りと適度に蒸された上質の脂がタレによって昇華され、重の蓋を取った時から私を幸せにしてくれます。これに山椒を振ってしまったら勿体ないと思わせ、事実、食べ終わるまで一振りもしませんでした。

こちらのご飯は硬過ぎず柔らか過ぎず、そうかと言ってポロポロ箸から溢れてしまうほど纏まりのないものではありません。調理場で重箱にご飯を盛るのはお嫁さんの役目です。

一度この仕事を見る機会があり、具に観察すると、炊かれたご飯を杓文字で重箱に広げた後、長い菜箸で丁寧に隅々までふわっと均一になるように整えていました。思わず「このようにご飯が盛られているとは知りませんでした。」と声をかけると、傍に居たお内儀さんが、「そうなんですよ。うな重は蒲焼とご飯のバランスが大切ですから気を遣います。」「冬場になると重箱を少し温めてから盛るのですよ。」と教えてくれました。

やっぱり、鰻屋は大店より家族経営の小さな店の方がいいなぁ。


  • Shinkawa En - うな重(は)、重箱は天然木地の塗り物

    うな重(は)、重箱は天然木地の塗り物

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    自家製こんにゃく

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    柔らかい午後の日差し

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    庭の烏瓜

2017/10Visitation3th

4.9

  • Cuisine/Taste5.0
  • Service5.0
  • Atmosphere4.9
  • Cost performance4.9
  • Liquor/Drinks4.7
JPY 4,000~JPY 4,999per head

独りでもゆっくり落ち着いて食べることのできる「心地良い鰻の名店」


この日、飛田給で用事を済ませ、『さて、昼食を何処で摂ろうかなぁ。』と思いを巡らせ、『そうだ 信川円、行こう。』 

秋も深まり、鰻が一層おいしくなったはずですから確かめに行かなくてはなりません。

行かなくちゃ
君に逢いに行かなくちゃ
君の町に行かなくちゃ
雨に濡れ ♪ 思わず口ずさんでしまいました。

井上陽水の歌に「限りない欲望」があります。
あるものを手に入れたいという欲求は、それを手に入れるまで『欲しい、欲しい』と思っている時が一番楽しいのです。いざ手にしてみると最初のうちは良いのですが、些細な欠点が気になり始め、いつの間にか放ったらかしにしてしまうことがあります。

学生の頃、一緒にこの曲を聴いていた元カノ(現妻)は、子育てが上手でした。

新宿伊勢丹に自分の用事で出掛けた時、まず一緒に連れてきた息子のためにおもちゃ売り場へ向かい、好きなものを自由に選んでもらいます。

「ママ、これが欲しい。」

「あっそう、でもこのロボットは、この間、おじいちゃんが買ってくれた〇〇に似ているわよね。」

と言って買いません。

母親としては、早く自分の用事を済ませたいのですが、この遣り取りを1時間ぐらい繰り返し、最後に手ぶらで戻ってきた息子に「何か欲しいものはあったの?」と訊き、「ううん、何も要らない。」と言うまでじっと待ちました。一時の欲求とはそんなものです。お陰で息子は ”もの” を大切にする習慣が身に付き、今でも質実な生活をしています。


***

夏が過ぎ 風あざみ
誰のあこがれにさまよう
青空に 残された 私の心は夏模様  (井上陽水「少年時代」)https://www.youtube.com/watch?v=s3PcMIcB10Q

夏のブラウス姿の女性に眩しさを感じていた私ですが、秋らしい装いと化粧をして颯爽と街を歩いている姿に女性の誇らしさを感じます。素敵です。

秋になると鰻が一層おいしくなります、というか、バラツキが小さくなります。
中でも良い鰻は、香り、味、脂の乗りが増し、蒲焼にすると頬っぺたが落ちそうです。

店の奥のテーブル脇にピンクの秋バラが一本挿してありました。この残酷なほどに儚い美しさを女性にたとえ、オードリ・ヘプバーンが良いのか、妻のようにホドホドに愛おしいのが良いのかボンヤリと考えていたら、自家製のこんにゃくが運ばれてきて、都合の良いことに推考は中断しました。「花より団子」です。いつもながらおいしい!!!

奥の調理場からパタパタと団扇を叩く音が聞こえてきます。
姥目樫から作る白炭(紀州備長炭)で、割いて蒸した鰻を焼いている音です。

「この炭は、お札を燃やしているようなものです。」とご主人。
一俵(四貫目、約15kgが18,000円)だそうです。生産も流通も少なくなり値上げの話が出てきているとのことです。おいしい食べ物を維持するのは大変なことです。

うな重「い」「ろ」「は」の「は」は、鰻一匹半です。
天然木塗りの重箱に入っているご飯の量と鰻の質は変わらないのですが、これを食べると満足します。「い」だったら香りを楽しんでいるうちに食べ終わってしまうのではないかと思います。

いつも通り、山椒は振らず蒲焼のおいしさを充分味わいながらいただきました。
秋になって一層、おいしい!!!!!

次回は、些細な欠点もあるけれど長い付き合いの、私の愛おしい妻を連れて二人で来よう。
お銚子が何本空くのかな。

  • Shinkawa En - 銘の入った筒茶碗

    銘の入った筒茶碗

  • Shinkawa En - バラ

    バラ

  • Shinkawa En - 自家製のこんにゃく

    自家製のこんにゃく

  • Shinkawa En - うな重「は」

    うな重「は」

2017/06Visitation2th

4.8

  • Cuisine/Taste4.9
  • Service4.9
  • Atmosphere4.8
  • Cost performance4.8
  • Liquor/Drinks4.6
JPY 4,000~JPY 4,999per head

好物だった鰻の蒲焼きを食べ、父を偲ぶ


この日、父の四十三回目の命日にあたり、母と一緒に墓参りをしました。

多くの人々に慕われた父の好物は、鮨と鰻でした。
「おい、〇〇、ここの鰻は旨いぞ。」と、父に誘われ、二人で食べた最後の外食は、鰻の蒲焼きでした。
今でも、その時の情景を鮮明に覚えています。


***

イタリアから戻って一週間、出汁の香りと酢飯の滑らかさを確認するように「神田まつや」と「弁天山美家古」で日本の味を食べました。残る日本の味は「鰻の蒲焼き」と「ラーメン」です。日本家屋で食べる懐石料理も良いのですが、京都まで行く余裕がなく、和製イタリアンや和製フレンチはあり得ません。

***

母は、「い」(半串)、私は、「は」(一串半) 。

いつも変わらぬ香りと味。
重箱の蓋を取り、姥目樫の白炭で丁寧に焼かれた”細口の鰻”から立ち上る独特な香りが、日本に居ることを意識させます。
いつも通り、まずは右下の蒲焼きだけを箸で掬って口に運びました。美味しい!!!
少し辛めの”かえし”が白炭で燻蒸され、鰻の脂と混ざった香りが鼻腔を抜け、追いかけるように鰻そのものの甘みが口いっぱいに広がり、『あ〜ぁっ、日本人で良かったなぁ。』と思わせます。炊きたての富山県土遊野の棚田米コシヒカリは、この店の蒲焼きとの相性が良く、一体となり、心の込もった”うな重”に仕上がっています。

  • Shinkawa En - 墓参り

    墓参り

  • Shinkawa En - 半串の重箱

    半串の重箱

  • Shinkawa En - 一串半の重箱

    一串半の重箱

  • Shinkawa En - 一串半のうな重

    一串半のうな重

  • Shinkawa En - 湯呑みと紫陽花と

    湯呑みと紫陽花と

2017/03Visitation1th

4.8

  • Cuisine/Taste4.9
  • Service4.8
  • Atmosphere4.6
  • Cost performance4.8
  • Liquor/Drinks4.6
JPY 5,000~JPY 5,999per head

二代目から三代目へ引き継がれる伝統の味


戦中派。そのバイタリティで日本の戦後を復興させ、経済発展を支えてきた大正から昭和初期生まれの現役料理人は稀です。1925年(大正十四年)生まれの小野二郎氏が最高齢だと思いますが、お二人の息子さんが二代目として跡を継がれ、客の誰もが、すきやばし次郎をどのように「革新」させるのか見守ることでしょう。多くの後継者は、先代が偉大であればあるほど批判されることになりますが、それを覆すだけの力量と反骨心と優しさを持っていることが大切です。運は努力によって引き込むものです。

ここ信川円では、十五年ぐらい前から二代目と三代目とが一緒に調理場に立っています。この間、二代目が目を光らせながら三代目に業を教えて来ましたので、今では大半の仕事を三代目に任せているようです。

この日、私のテーマである「鰻の蒲焼」探訪に間が空いてしまったことに気づき、自身の基礎となる味を確かめるため、引き戸を開けました。

「こんにちは、お久しぶりです。」
「いらっしゃいませ。みなさんお元気でいらっしゃいますか?」
「はい、母も達者です。」
「そうですか、それはよかった。先日、妹さんがご家族でいらっしゃいましたよ。」
「あっ、そうですか。あれは姉なんですよ。(笑 ) 」

こんな笑顔の会話で迎えられ、いつもの「は」(4,880円)を選び、「手作りこんにゃく」(320円)を頼みました。
 (「い」2,155円、「ろ」3,330円 )

1年以上、間が空いてしまった理由を考えてみると、直近の二度とも三十年以上維持されてきた味に変化が感じられたことにあります。『あれ、少し醤油がきつくなったぞ。』

今回訪れ、その理由が分かりました。

「最近の気候変動は、甕に漬けているタレの味も変えてしまうんですよ。従来より寝かす年数を1年短くしました。」
「注ぎ足す基本のタレは毎年、今の時期にまとめて仕込むのですが、蒲焼にした時の塩からさが強くなっているので熟成期間を短くしました。」

これで納得です。

***

熾した時、炎が上がらず、灰が少なく、鰻の芯まで火が通る備長炭は、材が密で硬い姥目樫の最高級品が使われていますが、一俵(4貫目、約15kg) の値段が、18,000円ぐらいするそうです。

ここの鰻は、鹿児島産と愛知産の細やかな味のする「細目」が、使われています。若い方に好まれる脂が強い「太目」は、重箱に盛られた時のインパクトはあるのですが、風味が負けると言われています。鰻も個体差があるので、これを見極め、蒸しと焼きの時間を微妙に調整することが、鰻職人の腕の見せ処であり、真骨頂でもあります。

三代目が、焼いて蒸してタレに漬けて焼いた蒲焼の写真をご覧ください。
二代目のものと比べるとほんの少し焼きが強いと思いましたが、食べてみると完璧な仕上がりでした。

蓋を開けて漂ってくる鰻の香り、香ばしいタレの匂い、口に含んだ時の滋味溢れる旨さ、最適な状態に炊かれたご飯、掛け過ぎていないタレの染み具合、完璧に近いと言えますが、強いて挙げるなら左側の腹身に串を抜いた時の崩れがほんの少し出たところぐらいです。美味しい!

「昔ながらの手の掛かる仕事をやりたがらない現代人」と言われますが、ここ信川円においては、きっちり伝統の技が伝承され、丁寧な仕事がされています。

あらためて、自分の「鰻の蒲焼」の原点がここにあったのだと再認識した次第です。

  • Shinkawa En - うな重「は」(4,880円)

    うな重「は」(4,880円)

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  • Shinkawa En - 手作りこんにゃく

    手作りこんにゃく

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Restaurant information

Details

Restaurant name
Shinkawa En
Categories Unagi (Freshwater eel)

042-573-2345

Reservation Availability

Cannot be reserved

Address

東京都国立市中2-21-8

Transportation

1,032 meters from Kunitachi.

Opening hours
  • ランチのラストオーダー:13時

Business hours and holidays are subject to change, so please check with the restaurant before visiting.

Budget(Aggregate of reviews)
¥3,000~¥3,999

Check the distribution of amounts spent

Method of payment

Credit Cards Not Accepted

Electronic money Not Accepted

Seats/facilities

Number of seats

28 Seats

( テーブル 4人×4席、座敷 4人×3席)

Private dining rooms

not allowed

Non-smoking/smoking

No smoking at all tables

Parking lot

OK

4台

Space/facilities

Comfortable space,Tatami seats

Menu

Drink

Japanese sake (Nihonshu)

Food

Particular about fish

Feature - Related information

Occasion

With family/children |With friends/colleagues

This occasion is recommended by many people.

Location

House restaurant

With children

Kids are welcome