地産と旬にこだわった贅沢なおいしさの会席料理 : Yukiguni Noyado Takahan

文豪・川端康成が長逗留し、小説『雪国』を執筆したことでも知られる老舗の温泉宿。
泊まっていた「かすみの間」も当時のままに保存されていて見学もできます。

こちらの宿は、越後湯沢で唯一自噴する「玉子の湯」の湯元で、
自然湧出の天然温泉を加温・加水をすることなく、
源泉かけ流し100％のままで使用しているのだそう。お湯のよさはバツグンです。
温泉としてはややぬるめの印象ですが、ゆっくりと浸かることで芯まで温まります。

お楽しみの食事ですが、「気候風土にあった昔からの食が失われつつある中、
その食文化を守り、次世代に残していこう」というコンセプトの
【A級グルメプロジェクト】で三つ星に認定されている料理です。

魚沼の地野菜や川魚などの地場食材を、雪国伝統の技法で料理した会席が楽しめます。
だしを引く水には八海山の湧き水を使用したり、調味料も無添加の本物を使うなど、
料理長のこだわりが感じられます。

2016年3月5日の献立
お通し
津南なめこと大根の卸し和え。
天然(?)のように色が濃くて、歯ごたえもあって美味しいなめこ。

旬菜
烏賊と昆布の田舎漬け、海老芝煮、穴子八幡巻、たこ柔らか煮。
海老はしっとり、たこもやわらかく煮てあり、それぞれの持ち味が楽しめました。
シンプルなだけに丁寧に作られたおいしさが伝わります。

お造り
マグロ、カンパチ、ボタンエビの盛り合わせ。

煮物
ぜんまい煮、焼目竹の子、人参、車麩、桜麩。

焼物
美雪ます塩麹焼き。八海山の伏流水で育てられた魚沼オリジナルのブランド魚"美雪ます"。
ふっくらと焼き上がられたますは、川魚特有のクセもなく、
身に脂も適度にのっていて、さっぱりとしたおいしさ。皮もパリッとおいしくいただきました。

蒸物
越の鶏神楽南蛮トマトソース煮蒸籠蒸し。
新潟県銘柄鶏"越の鶏"は、鶏臭さがなく、ほどよい締りのある肉質。
伝統野菜の"神楽南蛮"は、肉厚大型の青唐辛子で、さわやかな香りと辛味が特徴。
旨みの濃いトマトソースとチーズと合わせて、卓上のコンロで蒸籠蒸しに。
おいしいのですが、トマトソースが勝って素材感がやや薄れたかも。

温物
海老と八色椎茸の茶碗蒸し。
肉厚で香りのよい八色椎茸は、南魚沼の特産品。
お出汁がおいしさがよくわかる一品。

陶板
もち豚と魚沼きのこの朴葉味噌焼き。
地元産の豚肉と新鮮なきのこを飛騨高山地方の郷土料理"朴葉味噌焼"で。
香ばしい味噌と甘みのある豚ロースの相性はバッチリ。
ぶなしめじ、まいたけ、エリンギもシャッキリとした歯ざわりで香りも◎。

食事
ごはんは、南魚沼川永農園産特Ａ級新米コシヒカリを釜炊きで。
もっちりとした粘りのあるごはんは、甘みが豊かで噛めば噛むほど味が出ます。
飲み込んだ後もその余韻が長く残ります。

みそ汁は、一年熟成の天然醸造味噌「雪譜味噌」を使ったみそ汁。
ダシの旨み、雑味のない味噌の旨みがとってもおいしいです。

香の物は、地元野菜を使った自家製のお漬物。
ほどよい塩加減が野菜のおいしさをより一層引き立てています。
特に雪室にんじんの漬物は絶品。
おいしいごはんに、旨いみそ汁とお漬物。最高のおもてなしですね。

甘味
イチゴのババロア。旬の大粒イチゴは瑞々しくて新鮮そのもの。
甘さも控えめで、さっぱりとした味わい。

≪別注料理≫ズワイガニ・￥３,５００
冬の日本海の風物詩なので、事前に予約で追加注文。
殻いっぱいに詰まった脚肉は、繊細ながらもしっかりとした甘み旨みがあります。
ほどよい繊維質で、口の中でほぐれるような食感。
肩肉はほぐして甲羅の味噌と和えていただきました。
濃厚でコクがあり甘みの強い味噌、旨いです。

パッと見は、温泉旅館によくある料理のようですが、
その味わいはまったくの別物。どれもとってもおいしいお料理でした。
地産と旬にこだわった食材と、きちんとした調味料、
おいしい水と上質なだしを使ってていねいに作られた料理は、
とても贅沢な気持ちにさせてくれるご馳走です。

越後の銘酒に合わせるのもいいですし、
最初からごはん片手にいただくのも間違いないと思います。

古い宿なので建物が少々古びているのと、
せっかくの料理を盛り付ける食器がちょっとアレな部分はあるのですが、
料理がよくて、お湯もよくて、飾らないながらも丁寧なサービスがあって、
１万円代前半からというハイコストパフォーマンスな宿。
リピート確実ですね。

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朝食はビュッフェスタイルです。
地元の食材を使った和惣菜や郷土料理をはじめ、
魚沼地方発祥のへぎそばや、ピリ辛な朝カレーなども。
自家製の豆腐もなめらかでおいしいので必食。
トーストやベーコン・スクランブルエッグなどの洋食もありますが、
ここはやはり和食でいきたいところ。
「なめこと蕎麦の実を和えたもの」や、「栃尾あぶらげの煮物」「のっぺ」など、
朝から飲みたくなるようなものも多く、箸が止まりません。