”温”の旨さが際立つ志太系の佳店 : Chuukasoba Matoi

明治時代に志太郡と呼ばれていた場所は、現在の行政区画の藤枝市、焼津市の一部を含む3町1村からなっていた。

このかつての志太郡エリアに広く点在する、「マルナカ」（創業1914年）を祖とする”朝ラーメン”文化のことを、志太系などと呼ぶ。
早朝から営業し、熱いラーメンと冷たいラーメンを提供するのが基本で、お客さんの多くはこの両方を食べるという独特の文化だ。

約20年前に「マルナカ」に行って以来、初めて志太系の他の店舗に訪れた。

比較的新しいように感じられる店舗外観で、店内も清潔感に溢れ明るい雰囲気で、テーブルとテーブルのあいだの空間も広くとられておりとても心地よい。
フロアを担当されている女性も明るくて丁寧な接客をなさる。

メニューはこの系統そのままの”温”と”冷”の二種。
嬉しいことに、”冷”にはミニサイズも用意されており、”温”とのセットメニューも。
迷わずこれをオーダー。

”温”は魚介出汁主体と感じられる方向性で、でふくよかな味わいの醤油のキレ感で食べさせる。
これが実に旨く、思わず嘆息が漏れるほど。
自家製の麺は中太平打ちでパラリとした仕上がり。
とてもコシが強く小麦の風味も豊かで麺単体でもとても美味しい。

一方の”冷”は甘味が添加されながらも爽やかなスープ。
麺は温と同一だが、しっかり氷温近くに冷え冷えな状態に〆られているところが良い。

その日一日がハッピーになるような、実に素敵な朝食である。