心手込め、玄蕎麦粉挽き手打ちの旨さ、かみしめのどごししみわたり、揚げたて天ぷらうっとりする鴨(かも)。 : Soba No Hana

休日はいつも行列の絶えない人気の蕎麦屋、土曜日の昼12時に初訪問です。店の外にはすでに待ちが7人、その後も客が次々とやってきて10人以上になりました。
外からガラス越しに石臼で蕎麦を挽く様子が窺えます。

おひとり様なので5分ほどでカウンターに案内されて小綺麗な店内へ。センスいいお揃いのエプロンや頭巾の店員さん達も感じ良いです。

着席すると温かいお茶か冷たいお茶か聞かれて冷たいのを。さすが茶どころ静岡、濃くていい冷茶が出てきます。それからお彼岸ということで嬉しいおはぎのサービスが。丹羽篠山の大納言小豆の餡が大変結構。う〜ん、客の心を掴むもてなしの心意気に早くも感服します。

注文はこのお店の登録商標だというすずしろ天と、一品メニューからそばの実だんご。

□ すずしろ天
すずしろとは大根のこと。冷たい蕎麦つゆのぶっかけそばの上に大根のつまとちぎり海苔、さらにその上に小海老天が5尾。つまといってもスーパーの刺身についてるものよりかなり細く、見るからに涼しげです。刻みネギとワサビは別添えの小皿で提供されます。
このすずしろ天のポイントは大根「おろし」ではなく「つま」。このアイディアってありそうでなかった発見ではないでしょうか。大根おろしだと溶けてしまってせっかくの蕎麦つゆが薄まって味がボヤけてしまいますが、つまだからつゆはキリッとしたまま。むしろつゆを吸い上げたつまと蕎麦を一緒に啜るとその相性に驚きます。清涼感がすごい。その蕎麦つゆは鹿児島産の二年物の枯本節と天然羅臼昆布で取り、キリッと辛めで風味がいい。
小海老天は綺麗に花が咲いてサクサク。大根のつまの上に乗っているので、食べるまでつゆに沈まずサクサクがキープされています。よく考えられたアイディアですね。つゆとの相性はもちろん言わずもがなです。
そして肝心の蕎麦。石臼で挽いた玄蕎麦挽きぐるみの二八は細く綺麗に切り揃えられて透明感があり、星が散っています。この細さなのに腰が強くて風味もあり、パツっとザラっとした粋な蕎麦。こりゃとても美味い。今回はすずしろ天なので蕎麦を啜るとどうしても大根のつまも一緒に入ってくるので、次回はせいろでも味わってみたいです。食べ終わると粉感の少ないサラッと系の蕎麦湯が提供されます。香り高い出汁まですべて美味しく頂きました。

□ そばの実だんご
鶏のひき肉にそばの実をまぶした蒸しもので、甘塩っぱい餡がとろり。これもまた素朴な風味なんですが上品でもあり、とてもいいですね。添えられた和芥子をチョンとつけて頂きます。蒸し上げられたそばの実のプチプチした粒感がいいですね〜。これもこのお店のオリジナルでしょうか。すごく美味しい、何度でも食べたくなる逸品です。

行き届いた小綺麗な店内と店員さんのホスピタリティの高さがとても気持ちいい。ここかしこに趣向を凝らした食事メニューから和スイーツまで、客を驚かせよう喜ばせようという姿勢をひしひしと感じます。そしてなによりお店の魂、玄蕎麦粉石臼挽き手打ち蕎麦の旨いこと。その上お手頃庶民派価格。すべてが高次元に噛み合っていて、人気店になるべくしてなってます。

美味しくてとてもいい時間を過ごせました。ごちそうさまでした(^^)