「幸夫ちゃん、細魚の酢〆は何分かい?」
江戸前すしのバイブル「神田鶴八鮨ばなし」(新潮文庫) 。 "すし通" の皆さんは、お読みになっているに違いありません。1987年、「イキのいい奴」という NHK総合テレビでドラマ化されたのでそちらをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
私は、「鶴八」の師岡幸夫親方が漬場に立っていた三十年ほど前、十回ぐらい握ってもらったことがあります。もちろん "おこのみ" です。「oggetiさん、身体の小さな私が築地の場内を歩くと皆が道を開けてくれます。」と、仰るくらい "イキのいい奴" です。
話す言葉は丁寧ですが、歯に衣着せぬ物言いに怖気付く客もいたのではないでしょうか。花街(カガイ)であった柳橋の「美家古鮨本店」で加藤博章親方に仕込まれていた小僧の頃からジョン・フォード監督に憧れ、晩年、名作『駅馬車』『捜索者』など西部劇の撮影地ユタ州のモニュメントバレーへ行った話は壮大でありました。
東京寿司組合の寄合が柳橋の店で行われた時、加藤親方に代わり漬場を任された師岡氏は、当時光り物の漬け込みであった細魚(さより)を酢洗いしただけで握り、寄合の場に出しました。すると並みいる重鎮たちが皆、驚き、帰り掛けに「幸夫ちゃん、細魚の酢〆は何分かい?」と、囁くように訊いたそうです。「伝統と革新」のバランスを取り、時代に即した仕事をした師岡氏は、1959年、出版業の多い神田神保町に「鶴八」を開き、人脈を広げました。「oggetiさん、今はたくさんのお客様に支えていただいていますが、開業して一年間は全く客が来なくて、ここは神保町と言うけれど貧乏町じゃないかと思いました。」と、話をしてくれました。
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この日、「空也」と「巴裡 小川軒 新橋店」で買った菓子をぶら提げ、東京メトロ銀座線「表参道駅」で下車し、階段を百段ぐらい上って地上に出ると直ぐに「紀ノ国屋 インターナショナル」があります。「ほかけ」で隠居の特権を行使するのが目的の一つでしたから La macchina ではなく歩きです。両手に5kgずつ持ってポケットから Suica を取り出し改札を抜け、電車に揺られるのは辛いですから最小限の買い物に留めました。
鮮魚売り場では、相模湾の太った真鯵の半身と太平洋沿岸で獲れた美しい細魚(さより)が私を呼んでいました。
当日の夜は、「小鯛雀鮨 すし萬」の筥すしと刺身を切って簡単に済ませましたので、調理は翌朝です。良い素材が手に入れば、後は上手に酢飯を炊けば良いだけです。私が "外食" のすし食いをしないのは、自分でもそこそこ握ることができることも大きな理由です。「すしはご飯が命。酢飯が良くなかったら上にどんな良いものを載せてもおいしくない。」と、すしの神様(小野二郎親方)も言っています。
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"食事パン" としての トラディショナル・バゲット Baguette de pain、パン・ド・ミ Pain de mie Vol.3
去年から食料品の買い物を青山のインターナショナル店から国立店に変更したので都心へ出る機会が少なくなりました。十二月二十七日は月齢が半月(下弦) であり、潮力が弱く大地震の発生する確率が低いので、国立店では買うことのできない品を求めて出かけました。
・チャイブ、シブレット (英 Chives、仏 Ciboulette 、伊 Cipollina)
・トラディショナル・バゲット Baguette de pain (店のバックヤードの窯で焼いている希少品)
・パン・ド・ミ Pain de mie (店のバックヤードの窯で焼いている希少品)
料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
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TOKYO (伊豆諸島) で獲れるおいしい旬の魚「たかべ (鰖)」
漁師は毎日おいしい魚を食べることができるので、食べ方が穢い (おいしい部位だけ食べ、骨に身の付いた食べづらい部分を残す) と言われます。
今から四十年ぐらい前のことだと記憶しているのですが、久米 宏が、「あのーですねー。焼き魚でも煮魚でも上手に食べることのできない人を許せないんです。どうしてあーも食べ散らかすのでしょうか。」と、タブン その頃不仲だった麗子夫人のことを指していたのだと思うのですが、世の中には不器用な人もいますので人それぞれであります。そんな方達でも食べ終えた時には生きていた魚に礼を尽くして見映え良く皿を整えていただきたいと、ワタクシも思います。
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【ぼうずコンニャクの市場魚介類図鑑】より↓
漢字・学名由来
漢字 鰖 Takabe
由来・語源 「たかべ」は東京、伊豆地方、伊豆諸島、高知県での呼び名。“たか”は漁村用語で岩礁域の意味。“べ”は魚を表す。
生息域
海水魚。沿岸域の岩礁地帯の中層。
八丈島、小笠原諸島、茨城県〜九州南岸の太平洋沿岸。若狭湾、兵庫県香住、
島根県隠岐・浜田、鳥取県、山口県日本海側。
[少ない]若狭湾〜九州北部。朝鮮半島南岸、済州島。
私が子供の頃、近所に良い魚屋があり、食卓に上るのは肉料理・中華料理より、鯵や秋刀魚の塩焼き、鰯、メバル、真子鰈の煮付け、魚介類の寄せ鍋などでした。魚屋でも鱗や腑を取ってくれましたが、昔の主婦はどこの家庭でも普通に下拵えができました。
今は、「切り身しか買わない。」「えぇ〜っ、触るの気持ち悪いからパックの上から包丁で切るわ。」「ウチなんかそもそも包丁が無いわよ。惣菜を買って並べるだけだから。」「それならまだマシよ。〇〇はスーパー・コンビニ弁当をパックのままテーブルに置くそうよ。亭主もTV点けてケータイ弄りながら食べているからイイんじゃないの。」と、豪快な主婦がいるそうです。
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この日、「紀ノ国屋 インターナショナル」に取り置きしてもらった "食事パン" としての トラディショナル・バゲット Baguette de pain とパン・ド・ミ Pain de mie を引き取ったついでに鮮魚売り場を覗いてみると旬の高級魚「たかべ (鰖)」が私を呼んでいたので、これを三尾購入し、早速、塩焼きにしていただきました。
料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
母が四十年前に買っていた当時から「これは高級魚よ。」と、叩き込まれていたので、買い物カートに入れる時はいつもチョットばかり躊躇するのですが、形の良いものを選んでも一尾千円ぐらいです。高級すし屋で食べる握り一貫と同じ、否、"超高額予約困難各馬一斉ゲートインおまかせカウンター割烹料理" のすし屋だったら鮪(しび) の 1/4貫〜半貫しか食べることができません。
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"食事パン" としての トラディショナル・バゲット Baguette de pain、パン・ド・ミ Pain de mie Vol.2
我が家で、いわゆる "菓子パン" (Viennoiserie、ヴィエノワズリー、ウィーンのもの) を食べるのは、母(93) だけです。近くに住む私の姉が通っているヘアサロンの近くに「広島市に本社を置くパン屋」があり、母のために "パン・ド・ミ" と "チーズパン" を買って来てくれました。母は手作りコロッケをパン・ド・ミに挟んで ✳︎ブルドックのとんかつソースを掛けて昼ごはん代わりに食べます。
✳︎ブルドックのソースは、MSG、着色料、増粘剤、甘味料 不使用です。https://www.bulldog.co.jp/special/sauce/01.html
「このパンは柔らかく、コロッケを潰さず包むことができるので食べ易いのよ。」
母は、十八年前に脳下垂体腫瘍の手術をしてから味は分かるのですが、匂いを感じることができなくなりました。嗅細胞から大脳の嗅皮質へ情報を伝達する回路がどこかで切断されてしまったようです。
「おいしいから食べてみない?」
と、言われ、オーブントースターで温めたチーズパンを1/4カット分けてもらい食べてみましたが、チーズの塩味があるだけで小麦の香りがしません。やはり具の味で食べさせる "菓子パン" (Viennoiserie、ヴィエノワズリー) です。
「広島市に本社を置くパン屋」が、1970年に青山店を出した頃、バゲットを買うためだけに元カノと表参道を歩いたのですが、当時は、同潤会アパート (現 表参道ヒルズ) にクリエイターが集まって来て、日本のファッションや映像の黎明期でした。その頃のタカキベーカリーはおいしかったのですがねー。どうしちゃったのでしょうか。
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紀ノ国屋での買い物を青山のインターナショナル店から国立店へ変更した私は、ここの窯で焼いている他の店で買うことのできない「トラディショナル・バゲット」、「パン・ド・ミ」と他の店で扱っていない「グラッパ」、「瓢亭の土佐醤油」を買うために二ヶ月に一回ぐらい訪れます。この中で特に入手困難な商品が三ヶ月に一回程度しか入荷しない「瓢亭の土佐醤油」です。今回は幸運を掴んだ気がしました。
パンについては、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
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「タコとイカのカルパッチョを食べたい。」と、言われて。
粉もん文化の大阪で "タコ焼き" の具に "イカ" を使って販売したところ、
「これ、イカやん。」
「そやな、イカや。」
直ぐにバレてしまったけれど、怒り出す人はいなかったとのことでした。週に二回はお好み焼きを "家で焼いて食べる" 大阪人の意外と内向きで、閉鎖的で、保守的で、且つ、繊細で優しい気質を表していました。
これが、東京だったら
「これ、タコじゃなくてイカだよ。」
「看板に偽りあり、店主を呼べ。偽装表示で訴えるぞ!このタコ。」
険悪になりそうです。
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この日、いつも通り「インターナショナル店」でしか買えないトラディショナル・バゲット Baguette de pain、パン・ド・ミ Pain de mie、そしてグラッパ Grappa を買うために La macchina を走らせました。
手短に最小限の買い物をしていると「ワタシ、タコとイカのカルパッチョを食べたい。」を思い出し、鮮魚売り場に戻り、一番おいしそうな茹で蛸(岡山県産)と あおりいか(徳島県産) をカゴに入れ、ソーシャル・ディスタンスが守られているレジに並びました。
料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
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"食事パン" としての トラディショナル・バゲット Baguette de pain、パン・ド・ミ Pain de mie
この口コミは、oggeti209 が訪問した当時の主観的な意見・感想です。(笑
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我が家では、いわゆる "菓子パン" (Viennoiserie、ヴィエノワズリー、ウィーンのもの) を食べるのは、母(93) だけで あんパン、かつサンドを年に一回か二回食べます。妻と私は、市販の "菓子パン" を朝食や昼食の代わりに食べることはなく、レーズンやナッツ類などが入っていない小麦粉を焼いただけの "食事パン" しか食べず、"フッワフワの高級食パン" は、余分なものがたくさん入っていて甘ったるく、おいしくないので食べません。
紀ノ国屋での買い物を青山のインターナショナル店から国立店へ変更した私は、ここの窯で焼いている他の店で買うことのできない「トラディショナル・バゲット」、「パン・ド・ミ」と他の店で扱っていない「グラッパ」、「瓢亭の土佐醤油」を買うために二ヶ月に一回ぐらい訪れます。
「トラディショナル・バゲット」は、作るのが難しく、少量しか店頭に並びません。青山ですから近隣に住んでいるヨーロッパ人も買いに来るそうです。私は去年、都内で人気のパン屋をいくつか訪問し、買って食べてみたのですが、 "好みの問題" を言わせてもらえれば「このトラディショナル・バゲットが東京で一番おいしい!」です。と、書いても賛同していただけることはないと思っていますので、安心してレビューをあげます。
【追加】
買った当日に食べて余った分は、直ぐにカットして一個ずつをラッピングし、冷凍庫で保管します。これをまとめて袋に入れて冷凍すると水分が析出してきて乾燥してしまいます。
食は "好みの問題" であり、周りの人に不愉快な印象を与えなければ、好きなものを自分のスタイルで食べれば良いです。
このSNSにおいて、ストレートで遜った書き方をしない私を不愉快に思う方は多くいらして、彼らは私をブロックしていると想像できます。また、私は17名ものレビュアーをブロックしています。その方々が私のレビューを読んでいるとは思いません。私は "嫌われたくない症候群" に罹患していないのですが、これ以上嫌われないように配慮しながら書きました。(「嘘だろう。」と、いう声が聞こえます。)
(ブロックした場合、双方とも一切コンタクトできないように version up して欲しいですね。)
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相模湾の真鯵、春野菜、静岡産の浅蜊
私が住んでいる東京郊外の街は整然として大きな公園がたくさんあります。自然林も残され、四季の "うつろい" を肌で感じることができ、二種間ほど前から鶯が囀り始めましたが、まだ鳴き方が未熟です。ひと雨毎に空気が湿ってきて木の芽が膨らみ良い香りが漂ってくる春は、新しいことに対する不安を感じながらも楽しい予感がして好きです。それは、新たな生命を感じるおいしい食材が手に入ることに起因しているのかもしれません。(笑
この日、都心に用事があり「紀ノ国屋 インターナショナル」を久しぶりに覗いてきました。メインの買い物を「紀ノ国屋 国立店」に変更した理由は、大地震の発生の予感と交通渋滞の酷さにありました。それでもこの店でしか手に入らない食材もあり、豊富に揃った新鮮な野菜や魚を見るとつい手が伸びてしまいます。
相模湾の真鯵、佐賀産のグリーンアスパラガス、鞘入り蚕豆、旬を迎えたフルーツトマト、静岡産の浅蜊を使い、春の香りを楽しみました。
料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
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フィノッキオ (伊:finocchio、仏:フヌイユ (fenouil)、英:Fennel、ウイキョウ 茴香) が普通に売られている
小弥太さま、これが フヌイユ (fenouil) です。
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フィノッキオ (伊:finocchio) 、この野菜はヨーロッパ原産ですが、古くから世界中に伝わり、そのまま生でも、焼いても、フェンネルシードとしての香辛料としても、凡ゆる料理やアルコールの香り付けに使われています。
イタリアだと 2EUR/個 ぐらいです。この店では 1,550円/個 (12EUR) もしますが、仕方がないです。刻んでサラダにしたり、焼いて添え野菜として使うと薬草でもありますから、身体にとっても良い キガシマス (©︎KYTさん)。
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「Nonna、明日遊びに行ってもいいかしら?」
冬休みに入った孫娘から妻宛にメッセージが届きました。
「あなた、どうする。買い物したばかりだから何か作ってくれる?」
と、いうことでフィノッキオを添えたカルパッチョ (carpaccio) と骨なしオッソブーコ (ossobuco) とタリアテッレ(tagliatelle) を合わせたボロニェーゼ (ragù alla bolognese) で楽しい昼ご飯と食後に創造性豊かな "買い物ごっこ" をする約束をしました。
さあ、たいへん。自分たち三人で食べようと思って揃えた食材を七人分に小分けしなければなりません。素人料理人としての腕の見せ所です。(オッソブーコ (ossobuco) 用の脛肉は、国立店で購入済み)
「ドルチェは、私が作る。砂糖を使わないスウィート・ポテトなら孫たちも食べることができるわよ。」
と、妻も急拵えのパティシエ (pâtissier) を買って出てくれました。
忙しない暮れの休日が、楽しく、おいしく過ごせました。
孫が大きくなって「Nonno の作った料理の味が忘れられない。」と、言ってくれれば嬉しいです。
私は、2013年に「食べログ」を開始しましたが、トップページに「“食”は感性の源です。」と、書いています。
料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
この日の材料費 1,800円/人、チョット贅沢な昼ご飯でした。
あっ、日本のフィノッキオ (伊:finocchio) は、本場ものに比べて香りも味も穏やかでした。
福岡とイタリアとの日照の違いでしょうね。日本の野菜は、チョット残念です。来年は行けるかなぁ。多分無理だろうなぁ。
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資生堂パーラーレシピ "牡蠣カレー" : お節料理の食材を調達したついでに岩手県産の牡蠣を買って
資生堂パーラーのレシピを基に作る "カレールウ" は、内径26cmの大鍋に一杯出来上がりますので近くに住む四家族が二度ずつ食べることのできる量です。以前にもご紹介していますが、合わせる具材は、夏野菜、牡蠣のムニエル、魚介類などその時に食べたいものを選べば良く、朝岡特製カレー粉 https://www.asaokaspice.co.jp/spice/library/410315.html を使ったこの "カレールウ" は、粘度と辛さをそれぞれの具材に合わせて調整すれば短時間で仕上がる便利な保存食です。
「あなた、牡蠣を温めたカレールウに直接投入して牡蠣のエキスがルウに滲み出るように作っていただけないかしら。」
ヨーロッパを旅して、レストランのメニューに生牡蠣を見つけると必ず注文する妻が言いました。
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紀ノ国屋での買い物を青山のインターナショナル店から国立店へ変更した私は、ここでしか買うことのできないパン・ド・ミ、トラディショナル・バゲット、グラッパ、瓢亭の土佐醤油、etc. を求め、お節料理の食材を調達しがてら二ヶ月ぶりに訪れました。
鮮魚売り場の品揃えは、国立店も頑張っていますので欲しいものはほとんど入手できるのですが、店舗の大きなインターナショナル店の豊富さには敵いません。ここではいつでも欲しい魚介類が揃っています。
料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
昼食として作った牡蠣カレーを白ワインを飲みながら妻は、「おいしい!」「凄く、おいしい!」を繰り返しながらゆっくり食べてくれました。
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本格的ドゥミグラス(Demi-glace) を使った三種類の洋食
通常は四日間かかるドゥミグラス(Demi-glace) を三日間で作りました。
就寝中にガス火を点けておくのは怖いので調理を中断しますが、それでも一日十六時間はコンロの極細火が点きっ放しになります。深夜は大鍋に伏せた蓋のウォーターシール効果により密閉され、メイラード反応が穏やかに進み、翌朝になっても温もりは残っています。
二日目までは比較的楽な作業です。二度シノワを使って出汁ガラを漉す作業に多少の力が必要なくらいで素材からの旨味成分を引き出す仕事はコンロと鍋任せです。
三日目に入るとブラウンルー、赤ワイン、マデイラ酒、マヌカハニーなど小麦粉や糖質が入るので鍋から目が離せなくなります。仕上げの八時間は立ちっ放しになり、最後の四時間は一気に鍋底でメイラード反応が進みドゥミグラス(Demi-glace) らしい色に変化していきます。決して焦がしてはならず、体力と気力が充実していないと作れません。
三日間掛けて作ったドゥミグラス(Demi-glace) は、投入した材料や水、ワインなどの総量の 1/15ぐらいまで煮詰まりました。基本のフォンに使った牛脛肉の香りがするソースに仕上がり、酸味、甘味、旨味、赤ワイン由来の微かな苦味、香り、全てのバランスが良いです。
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後日買ってきた三種類の牛肉を使い、次の洋食を作りました。
・ハッシュドビーフ (900円/人)← 材料費
・牛カツ (2,600円/人) ↑
・ハンバーグ・ステーキ (1,200円/人) ↑
私の好きな洋食屋「レストラン 代官山小川軒」「グリル フレンチ」「南蛮 銀圓亭」「資生堂パーラー」から学んだ味を再現しようと試みているのですが、なかなかプロフェッショナルの仕事には到達しません。家庭で使う素材はどんなに良いものを揃えても種類と量が足りません。フォン・ド・ヴォー (fond de veau)に使う仔牛の骨や肉を仕入れることもできません。
私は素人ですが自宅でもできるだけ本格的に料理を作ろうと努力しています。これによって "外食" した時に丹精込めて作られた料理に出会うとこれを作った料理人に対して畏敬の念を抱きます。私の食べログ評価(レイティング) は甘めかもしれませんが、4.1(語呂合わせで "よい" ) 以上を付けている店をお奨めします。と、言っても「好みの問題」ですからアテにしないでください。
紀ノ国屋 インターナショナルは、一箇所で効率よく品質の良い素材を揃えることができるとても便利な食品マーケットです。
50年近く買い続けていますので、いつの季節にどの地方から旬の野菜や果物が入荷し、魚はどの海で獲れた旬のものがおいしのか、肉も同様、それ以外の食材も調味料も殆ど陳列棚のどこにあるのか頭に入っていますので買い物の時間に無駄がありません。
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あさりの味噌汁
二日酔いを経験したことがありません。
アルコールが強い体質ではないので飲み過ぎる前に飲みたくなくなるというのが理由ですが、肝臓のアルコール分解速度に合わせて飲んでいると何時間でも飲み続けることができるというのは皆さんと同じです。
朝、目覚めた時に前夜のアルコールが残っていることは滅多にないのですが、朝起きてコップの冷水で喉の渇きを抑えるとポッと身体の中のアルコールが目覚めることがあります。
朝風呂に浸かってから朝食の準備をしていると普段通りに戻る程度のものですが、こんな時には「あさりの味噌汁」がおいしいです。
味噌は最小限しか使いません。
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酢飯一粒で酒が飲めちゃう "酒呑み" はイヤだね。
2001年、63歳で黄泉へ入ってしまった古今亭志ん朝。 「惜しい人を亡した」とはこのことです。
"好みの問題" というのは食べ物だけでなく贔屓の役者や小説家、映画監督などありとあらゆる "こと" や "もの" や "ひと" にあり、「俺は〇〇が好きだ。」「いや、私は絶対に□□よ。」と、意見が食い違うから面白いのであって何処かの国のように「右向け右」「左向け左」となってしまったら自由な発想はなくなり国家の命令に従うロボットばかりの集団になってしまいます。
私のレビューにたびたび登場する志ん朝の「そば清」:https://www.youtube.com/watch?v=ECUDxO-gp3c は、出囃子 "老松" に続いて始まる "枕 (本編に入る前の話)" が好きです。この中に「ある人が、おかずがたくさんあるのは嫌いなんだ」と言う人がいて「その人はご飯が好きなんですね。このおかずでちゃんと食べたい。また、こっちのおかずでもしっかり食べたい」となると二膳やそこらでは終わらなくなってしまう。ということで おかずは少ない方がいい という人なんですが、、、、。
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私は "大酒呑み" ではありません。 −「俺は酔っていない!」と、酔っ払いが現実を見ないのに似ている キガシマス (©︎KYTさん) −
おいしい肴で日本酒を二合も飲めば気持ち良くなって、早く横になりたくなる程度の酒量です。
ただ、酒をゆっくり飲むことが好きですからアペリティーボ (aperitivo、食前酒) にジンで喉を潤し、妻と二人でワインボトルを一本空け、ディジェスティーボ (digestivo、食後) にグラッパやマデイラ (madeira) を舐め、「そろそろ寝ましょう。」と、使った皿を洗いを始めるのは開始から二時間後ぐらいです。(↓ボク作るひと、ワタシ洗うひと。調理道具は食事前に洗い終えている)
https://www.youtube.com/watch?v=q7LfLhsqdlA
お酒を召し上がらない奥方にとっては「イヤーね、酒飲みは。いつまでも飲んでいて後片付けができないじゃないの。」と、お怒りになられるのも Casalingo の私には理解できます。
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この日、鮮魚売り場でおいしそうな魚を何種類か選び、刺身用の "柵" (必ず自分で刺身におろすため) の鮃と泥障烏賊も買いました。どういう訳だか紀ノ国屋では墨烏賊を扱っていません。刺身でも天ぷらでもおいしいのに、泥障烏賊、白烏賊、赤烏賊、槍烏賊、剣先烏賊が並びます。
烏賊は私の好物であり、すし屋では初めに食べるすし種です。烏賊には脂が殆どないため、酢飯の状態と山葵の質が一番よく分かります。(細かく飾り包丁を入れないコロ、サクッとしたのが好き)
"おまかせ" すし屋の場合は、仕入れに一番 "力" を入れている鮪から握り始める店が多く、付け台に鮪すしを置いた職人がそっぽを向いていても心の中で『どうだ、旨いだろう』と、したり顔になっているのが見えてしまいます。"おこのみ" で食べる私は、酢飯と山葵と烏賊が口の中でポロポロと混ざりながらそれぞれを意識できる烏賊から頼み、親方も心得ていますので顔色一つ変えずに握り始めます。
紀ノ国屋 インターナショナルに WIENさんからご紹介いただいた「井上醤油出雲むらさき」刺身用の再仕込み長期醸造醤油:
https://shop.inoue-shoyu.jp/products/detail.php?product_id=5 は置いてなかったので「井上古式じょうゆ」煮物つけ醤油:
https://shop.inoue-shoyu.jp/products/detail.php?product_id=4 を購入し、これを刺身に合わせてみました。
刺身に醤油を殆ど付けない妻と私は、泥障烏賊に本山葵を載せただけで食べるのですが、今回、箸の先ぐらいの量をチョンと付けて味わってみました。醤油だけを味わてみると色の割りに舌に刺すような醤油独特の塩辛さがあります。とても上質であることは分かるのですが、製造工程で使っている塩に由来する塩辛さだと感じました。それでも "薄口醤油" に比べれば 1/2〜1/3 の塩辛さです。次回は刺身用の再仕込み長期醸造醤油「井上醤油出雲むらさき」を ISETAN で探してみます。
和食における醤油の使い方はとても難しく、素性を知らずに書いてある作り方の分量で合わせてしまうと取り返しがつかないことになってしまいます。塩に比べて厄介なことは、当然なのですが大豆を醸造した香りがあることです。一番出汁を引いて椀物に仕上げる時、この醤油の香りが勝り、出汁の香りを減衰させてしまうことがあります。最近は塩だけを加えるようにしているのですが塩の選定も難しく、現在、試行錯誤中であります。椀物は全て飲んだ時、身体に入る塩分量で仕上げるのが良く、一口目で「旨い!」と感じる椀は大概、塩が利き過ぎています。水の硬度も重要で関西の方が関東より柔らかいのですが、軟水器まで導入する道楽はできません。https://e-ny.net/48698
料理については、添付写真とキャプションをご覧いただけると嬉しいです。
晩酌の〆は、即席で作った "じゃこと酢茗荷の酢飯" にしたのですが、金鵄正宗 純米吟醸酒 (ひや=常温) がぐい呑に残っていて、ほんわり温かい酢飯を一粒口に含んでその出来具合を確認しながら酒を飲むと「これはおいしい!」となり、二合では収まらなくなってしまいました。
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煮魚 (メバル・ハチメ) の食べ方。箸だけを上手に使って身を解す。
「煮ても焼いても食えない」という言い回しがあり、「どうにも手に負えない」状態を表します。
食いしん坊の私は、「生で食べることはできない、煮ても焼いても食えない」と、アニキ (すし屋の隠語、最近は "熟成" と言うそうな) になり過ぎた魚を指しているのではないかと考えてしまいます。獲りたてがおいしい魚と少し寝かせてアミノ酸が増えた状態がおいしい河豚や鮪がありますが、一般的には、煮魚でも焼き魚でも身が活きている新鮮なものを調理した方がおいしいです。
この日、紀ノ国屋の鮮魚売り場に形の良いメバルが並んでいました。この魚は、十一月から一月末に掛けて産卵ではなくお腹の中で育てた稚魚を放出するのですが、餌食いが進んで太ってきた春から初夏にかけておいしくなります。
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2016年9月24日(土)に放映された「NHK-BS ザ・プレミアム 『モナコ宮殿のおいしい食卓』~アルベール大公とガルシア料理長~」https://www.tvu.co.jp/program/monaco_201609/ を録画再生していた私は、料理を美しく盛り付ける際にスプーンと指を使っていたことがとても気になりました。日本人だったら細かい盛り付けをする時には、盛り箸、真菜箸を使います。
これは日本人が器用であるということではなく、器用な人もいれば不器用な人もいるのは単なる個人差であり、食生活の違いであり、訓練の差なのです。日本人であっても正しく箸を使えない人はたくさんいて一緒に食事をしていて恥ずかしくなることもあるのですが、身内でない限り注意することは憚れます。それ以前に姿勢が悪くカウンターに片肘を突き、猫背になって寿司を摘んだり、片手をポケットに突っ込んで犬食いする人がいますが、周りの人に不快感を与えないという最低限の配慮ができない人とは一緒に食事をしたくありません。
さて、煮ておいしい魚というのは大概が身を解しやすいものです。
西洋料理でよく食べられる舌鮃 (ウシノシタ、Sole Tonguefish) は、箸でなくカトラリーで簡単に骨と身を分離できるおいしい魚です。日本でもナメタガレイ、マコガレイ、キンキ、キンメ、アジ、サンマ、イワシ、タカベ、タイ、アマダイ、エボダイ、メヌキ、カワハギ、メバルなどはとても食べやすい魚です。
皆さんは、これを食べる時に指で魚に触らず食べることはできるでしょうか?
骨から身を外す時や裏側の身を引っ張り出す時に頭や尻尾をチョット指で押さえると楽に食べることができますが、指が汚れます。ナプキンや布巾で指を拭っても魚の匂いは付いてしまいますので、このまま盃を口に近づけると魚臭さが鼻に漂います。できたら箸だけで食べるようにするのが良いのではないかと思います。 #いんだよ細けえ事は! (©︎ MSSBHNSさん) と仰る方もいらっしゃいますが、食は "好みの問題" ですからその通りです。因みに MSSBHNSさんは、このように↓ キレイに召し上がります。
https://tabelog.com/imgview/original?id=r86537126398929
https://tabelog.com/imgview/original?id=r75556114463097
今から三十年ぐらい前、車のラジオから久米 宏の小言が聞こえてきました。
「私、魚の食べ方が汚い人って我慢できないんです。第一、命を分けていただいた魚に失礼ですよ。」
「食べ物は大切にいただきなさい。と、躾けられた私はエンガワの小さな身まで箸できれいに食べます。」
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漁師の食べ方は決して褒められたものではなく、一番おいしい部分だけを食べたら他に箸を付けないそうです。捨てるほど獲れるからと言っても勿体ない。
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「吾唯足るを知る」「吾唯知足」何でも得たもので満足すること
「吾唯足るを知る」については「信川円」のレビューで書きました。 - 粘着質だよ!と言われている キガシマス (©︎KYTさん) -
仏陀の最後の説法の記録「仏垂般涅槃略説教誡経」の「知足」= 何でも得たもので満足すること (分相応のところで満足すること) の教えです。過度の快楽 (美食、貪食を含む) が不適切であるのと同様に、極端な苦行 (絶食、貧食を含む) も不適切であると悟りを開いたものです。煩悩の塊である私など最期の時に「もっと光を (Mehr Licht)」と、光が入り込むように窓のブラインドを上げるようにと伝える人が傍にいてくれれば御の字です。
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ここに挙げる簡素な料理の材料費は、100円 (薯蕷ご飯)〜900円 (刺身) /一人ですが、価格に関係なく、どれも満足できるおいしい一品です。私の愛読書「味覚極楽」(子母沢 寛 著、中央公論新社) の三節目に「冷や飯に沢庵(増上寺大僧正 道重信教氏の話)」というのがあり、【肉食をする者の目をよく見ると、どうも "けもの" に似た光を放っている。従って心もじゃ。三千年前に釈尊が「肉をくうと慈愛の精神がなくなる」と説かれたのはここじゃ。】という行があります。
松坂牛だ、米沢牛だ、と牛ステーキやローストビーフのレビューをたくさん載せ、ワインだ、日本酒だ、グラッパだ、とたくさんのアルコールを飲み干している私の目も "けもの" に似た光を放っているに違いありません。きっと。
料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
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休日の朝食は、平日よりゆっくり食べる。
家庭における主婦の仕事が大変なことはなかなか理解してもらえないのですが、この状況下、幼稚園や学校へ行けなくなって一日中家にいる子供たちの相手と三度の食事、普段でも炊事、洗濯、掃除に買い物、学校の用事、近所付き合い、公共機関との連絡、親戚付き合い、病気の面倒などがあります。これに加えて週末には大きく我が儘な子供が一人増え、「風呂、メシ、寝る」と、やりたい放題ですから主婦は忙しいです。私も今は、専ら Casalingo (主夫) をしているので主婦の大変さがよく分かり、毎日、罪滅ぼしをしています。
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平日、妻が仕事のために家を出るのは毎朝八時。
妻の部屋からiPhone のwake-up-call が聞こえてくるのが毎朝五時ちょうどです。隣の部屋で寝ている私はこれより三十分前には目が醒めていますので、先にベッドから抜け出し bathtub に湯を張ります。(我が家では、十二年前から "夜シャワー、朝風呂" が習慣となっている) 同時に妻の弁当用に米を研ぎ、炊飯器をセットして先に私がゆっくり朝風呂と髭剃りを済ませ、「出たよー。」と妻の部屋のドアをノックします。
これが、休日だと凡そ一時間後ろ倒しとなり、妻もいつもよりゆっくり起き、湯当たりするぐらい bathtub に浸かっていますので風呂を出てバスローブ姿の火照りが取れて食卓に着くのは午前九時ごろとなり、
「今朝は、ホットサンドを作ろうと思うがいいかな?」
「は〜い。」
頃合いを見計らって新婚の頃 (44年前) に買った Bau Loo https://www.bawloo.com というアルミ鋳物製のフッ素樹脂加工のされていないホットサンド製造器をキャビネットの奥から引っ張り出し、余熱を加え、どうして早く https://item.rakuten.co.jp/cookpal/sj1681/ を買って https://tabelog.com/imgview/original?id=r59225126755483 のように後片付けを楽にして空いた時間の有効利用をしないのかと毎回、後悔します。
食べ物の詳細については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
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鹿児島県産 "黒豚のとんかつ" を初めて食べたのは、47年前の「かつ吉」だった。
現在、文京区本郷の全水道会館ビル地下一階にある「かつ吉」http://katsukichi.co.jp/news/6931/ 。
ビルの建て替え以前は路面店として営業していました。
初めて訪れたのは、大学の授業が休講となって急に時間の空いた昭和48年のことだったと思います。昭和45年11月25日、自衛隊市ヶ谷駐屯地 (現 防衛省本省) にて割腹自殺した三島由紀夫やその2年前にノーベル文学賞を受賞した川端康成が通っていた店として知られていたのですが、多くの作品を読んでいる私にとっては足を踏み入れるのも躊躇するぐらいオーラが漂い、意を決して店に入ると余裕のある空間に大きな黒豚の彫刻が置かれ、私を迎えてくれました。(一度だけ訪れた現在の店は、合理的過ぎてファミリーレストランのようです)
当時、「かつ吉」のロースかつ定食の値段は学食の約十倍 1,300円だったと記憶しています。サック、しっとり揚った香ばしい黒豚のロースかつ、おいしく光り輝いている丼飯、赤出汁の味噌汁、香の物、これらが一体となってテーブルに置かれた眼福を楽しみながらいただくロースかつ定食は、建国記念日と文化の日の年二回食べることができれば大喜びするぐらいおいしく、親の脛を齧っていた学生の私にとってはたいへんな贅沢でした。この店のあの頃の "黒豚のとんかつ" の味は忘れることができません。
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この日、紀ノ国屋 インターナショナルの精肉部で「黒豚ロース肉のリブ側から 1.5kg ください。」と注文すると、「承知いたしました。肉を整えますので少しお時間をいただきます。」とのことであり、出来上がりをサービスカウンターに預けてもらいました。
”揚げマン” の私は "内食" で 天ぷら、コロッケ、フライ、そして、とんかつを揚げることは全く苦になりません。慣れというのはこんなものです。
冷蔵庫から黒豚ロース肉の塊を取り出し、紙包みごと室温に戻し、開梱してみてビックリ。いつもいただいている肉と同じ鹿児島県産なのに肉肌のしっとり感と張りが良いです。『これは旨そうだ。』と、心の中で呟き、いつもの手順でとんかつに仕上げ、熱々を一口含んでみると柔らかいのだけれど肉からの適度な反発があり、同時に甘く香りの良い肉汁がピュルピュルと迸り、コピリンコ (©︎ 小泉武夫先生) とおいしい京都の酒を流し込んでいると、どういう訳だか酒の蒸発が早くなってしまいました。
詳細については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
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パンデミックの今年は、三島由紀夫没後五十周年です。
https://www.fujingaho.jp/culture/interview-celebrity/a31656425/mishima-yukio-200319/
「私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行ったら『日本』はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである」
三島由紀夫 ー1970年(昭和45年)、『サンケイ新聞』(夕刊)7月7日号ー
「純粋な欲望は危険である」とジャック・アタリ (Jacques Attali) 氏 が警告
食べロガーの皆様には、NHK ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~」を録画してご覧になられた方も多いと思います。
https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2020-04-15&ch=31&eid=12588&f=20
https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/PVVG5MVMGG/
フランスの経済学者、思想家、作家、政治顧問であるジャック・アタリ (Jacques Attali、1943年11月1日 - ) 氏は、「純粋な欲望は危険である」と述べています。(理想国家を築きたい人と偏った思想、エコロジストと宗教など)
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身近なところでは、食べ物の "好みの問題" を論ずる時、ある人の思いが純粋であればあるほど他者との間に軋轢が生まれ、同じ考え方もしくは同じ方向性を持った人や団体と繋がると強大な影響力を生み、これを批判する人もしくは団体が攻撃を受け、結果として数の理論によって一方が抹殺されことに似ています。ダイバーシティ (diversity) が大切な時代ですから多様性を認め合わないといけません。
我が家は三人家族です。それぞれ食べ物の好みが異なり、Casalingo (主夫) としては使う食材に気を遣わなくてはならず、偶に『鶏料理を食べたいなぁ。』と、思うことがあります。
・母(絶対口にしないもの = 鶏肉、羊肉、兎肉、ジビエ、内臓肉、蟹、貝類、アルコール)
・妻(食べなくはないが苦手なもの = 鶏肉、A5級脂の強い牛肉、鴨肉、歯応えのある白身魚の刺身、MSGコテコテ)
・私(食べなくはないが苦手なもの = 脂が強く甘塩っぱい麻婆豆腐のような中華料理、MSGコテコテ、ジロリアン、機内食)
幸いなことに、母も妻も嫌いな野菜、穀物、食物アレルギーはなく、鶏肉も固形物として形になっているものは食べないのですが、フォン・ド・ヴォライユ(fond de volaille) になっているものは問題がありません。日本で鶏肉を食べない妻は、「イタリアの鶏肉は鶏臭くないから大丈夫。」と、贅沢を言います。子供たちの夏休みの課外授業で食べた鳥の唐揚げが相当不味く身震いをして食べたその時から苦手になったようです。
妻はミステリー小説が好きでアガサ・クリスティー、東野圭吾、京極夏彦などを読み始めたら自室に籠もりっきりになって「ワイン、開けたよー。」と、言うまで出てきません。DVDも「ミス・マープル」「名探偵ポアロ」が好きでシリーズ全てを持っています。私は「NHK 映像の世紀」「The Godfather」「Midnight Cowboy」「Papillon」「Doctor Zhivago」などを見たいのですが、「そういうシリアスなものは現実社会だけで結構。」と、言って自室へ逃げてしまいます。
「The Godfather」https://www.youtube.com/watch?v=6dI3jAXtpHw
「Midnight Cowboy - Harry Nilsson - Everybody's Talkin'」https://www.youtube.com/watch?v=5zHVFXorF38
「Papillon」https://www.youtube.com/watch?v=4XGWXmxmaoE
「Doctor Zhivago」https://www.youtube.com/watch?v=ids6FDmQpFw
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さて、母の好きな豆を使った料理と旬の野菜をメインに据えた料理を作りました。
これらも簡単ですから、添付写真とキャプションを参考に "外食" 制限されていらっしゃる方への自炊のヒントとなれば嬉しいです。テイクアウトして飲食店を応援するのも大切ですが、それより安く、おいしく食べることができます。
冒頭のジャック・アタリ (Jacques Attali) 氏は、芸術にも造詣が深く食に関しては「食の歴史――人類はこれまで何を食べてきたのか」という著書も書いています。
【密林による内容紹介】↓
「人類の幸福の源は、食にある」とジャック・アタリ氏はいいます。
衣食住は、昔から人の生活に欠かせない三要素です。地球の誕生から過去、現在、未来に至るまで、人類はどのように食べるという行為と関わってきたのか。アタリ氏は、これらを綿密な資料から分析します。特に食には、生命を維持する以上の役割があり、政治・経済・文化・産業・性・哲学・環境・芸術などあらゆることが結びついてきました歴史があると指摘するのです。
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料理はすごい! 夜になって肌寒く、湯豆腐で暖まる。
湯豆腐。
GW中に食べたのですが、季節感のないレビューで申し訳ございません。
一ヶ月前のレビューに
「今から四十年ぐらい前、TBSラジオから流れていた「永六輔の誰かとどこかで」という番組の中で
「泰子(遠藤泰子アナウンサー)さん、ボクは納豆と豆腐というのは名前と実態が逆じゃないかと思っています。」
「豆を納めたのが "とうふ" で、発酵させると "なっとう" になるのじゃないでしょうか?」
との発言があり、その時は『なるほど、帰化人によって伝えられた食べ物の名称が入れ替わったのか。』と、信じてしまったのですが、その後「馬の飼葉として "納屋" に置いた桶の中の蒸した大豆が藁の納豆菌によって発酵したので納豆」と「中国語の "腐" とはフワフワと柔らかい状態を指すので大豆から作った豆腐」であると知ることとなり、ナットクした次第です。
どちらも好きな食材です。リーズナブルでありながら栄養価が高く、頻繁に我が家の食卓に載ります。」
と、書きましたが今回は納豆ではなく、"豆腐のレビュー" です。
実際はコピペで穴を埋めただけの「スカスカじゃん!」と、KYT様に叱られるレビューで申し訳ございませんが、写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
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超簡単!凄くおいしい!「真鯵の棒寿司」と「雑魚と胡瓜のばら寿司」をつくる
この状況下、普段 "外食" の多い皆さんは "テイクアウト"、"宅配"、"自炊"、"レトルト"、"インスタント" で凌いでいると思います。ここに超簡単!凄くおいしい!料理をご紹介いたします。
添付写真とキャプションをご覧いただき、作ってみたいと感じていただければ嬉しいです。
一人当たりの材料費は、鰆を含めて 1,200円(税込)ぐらいです。(アルコール別)
(KYT様、本文 超スカスカで申し訳ございません)
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"香川県" 産の新ニンニクと出雲産 唐からし でアーリオ・オリオ・エ・ペペロンチーノ(Pasta aglio, olio e peperoncino) を作る
ご存知 "アーリオ・オリオ・エ・ペペロンチーノ(Pasta aglio, olio e peperoncino)" は、ニンニクとオリーブオイルと唐辛子だけで作るパスタです。
Pasta alla disperata (絶望のパスタ) とも呼ばれ、日本で言えば "水かけご飯" "お茶漬け" "汁かけご飯" "むらさきライス" "ねこまんま" "醤油マヨごはん" "TKG" のような究極の "おいしい" 食べ物だと言われています。 娘婿の実家はシチリアにあり、七人兄弟の下から二番目の彼は "〇〇〇の子沢山" の中で逞しく育ちました。経済的には恵まれなくとも愛情深い両親とシチリアの輝く陽光と酸素濃度が高いのではないかと思える澄んだ空気と素潜りで雲丹の採れる海に囲まれて大きくなりました。
そんな彼の一番好きなパスタが、”マンマの味” アーリオ・オリオ・エ・ペペロンチーノ(Pasta aglio, olio e peperoncino) 。二番目が、自分で潜って採った雲丹をたくさん使ったスパゲッティ (Gli spaghetti ai ricci di mare) です。
娘の家で私が、「〇⚪︎〇⚪︎〇の作るペペロンチーノを食べたいな。」と言うと、娘から「パパね、それはアーリオ・オリオ・エ・ペペロンチーノ(Pasta aglio, olio e peperoncino) と言わないと通じないのよ!」と、叱られます。料理は女の仕事と決めつけ、ほとんどキッチンに立たない娘婿ですが、この ”マンマの味” だけは「オレが作る。」と言っておいしく作ってくれます。
彼の調理のポイントは、極弱火でニンニクと唐辛子をゆっくりオリーブオイルで温めることにあり、フライパンが冷たい状態のところに投入したニンニクが狐色になるまで30分ぐらいを掛けています。途中でスパゲッティーニを茹で始め、それぞれの状態が頂点に達した時にサッと合わせ、パスタの茹で汁を塩味として少し加え上手にフライパンを返して和えます。こんなに上手なのですから他の料理も作ることができるはずなのですが頑なに「料理は女の仕事」と決めつけているところがシチリアの男です。母親譲りの "きれい好き" ですから部屋の掃除やガレージの整理整頓はドイツ人のように拘ります。
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私は、小池知事の外出自粛要請が出る以前 (Xí Jìnpíngと手泥巣がニコニコ握手) から『これは大変なことになる』と感じ、いつも使っているパスタと蕎麦(乾麺) と米だけは凡そ半年分を確保しました。これらは近くに住む息子家族や姉家族に分けてしまったので在庫は少なくなってしまいましたが、それぞれの家庭でおいしい料理になっていることでしょう。
さて、"香川県" 産の新ニンニクと出雲産 唐からし です。
イタリアでも今頃になると新ニンニクが八百屋に並びます。"香川県" 産の新ニンニクは、青森産に比べると小粒でこれを刻むと良い香りが立ち上り眼がチカチカします。イタリア産と同じ品種だと思われます。いいですね、香川県。「なみちゃん農園」かなぁ。
出雲産 唐からし。紀ノ国屋の香辛料売り場では朝岡スパイスの唐辛子を買っていたのですが、原産国名に "中国" とあるのが気に入らなく、他を探し続けていたのですが別の売り場に置いてあるのをようやく見つけました。
口に入れるものは極力中国産を避けているのですが、ナント、世界中の製薬会社が経済合理性とグローバリズムを実施しコストの安い中国へ生産を委託しているので私が飲んでいる心臓病の薬も中国産でした。1985年頃から世界中の政治家と経済学者が押し進めた「新自由主義」の弊害が新型コロナ禍で露呈しています。
簡単に作れるパスタ料理をいくつか載せましたので、添付写真とキャプションをご覧いただき、ぜひ作ってみてください。その時は国産である"香川県" 産の新ニンニクと出雲産 唐からし をお奨めします。凄くおいしく、このアーリオ・オリオ・エ・ペペロンチーノ(Pasta aglio, olio e peperoncino) を食べた翌朝、身体が元気になった キガシマス (©︎KYTさん)。(笑
(この日の材料費は、150円/ひとり です)
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パンチェッタ (Pancetta) を扱わなくなったので、仕方なくプロシュット・ディ・パルマ ( Prosciutto di Parma) でカルボナーラ (Carbonara) を作る贅沢
普段、仕事で家にいないヒト(妻)が昼も一緒にいると楽しいです。
「ねえェ、何飲む?」 (食前酒のこと)
「そうだなぁ、ジンの炭酸割りにしようか。グラスはサン・ルイ(Saint-Louis)の中くらいのやつにしよう。」
「え〜、あなたが作った方がおいしいからお願いします。」
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カルボナーラ (Carbonara) は、生の塩漬け豚肉を発酵させたグゥアンチャーレ (guanciale)もしくはパンチェッタ (Pancetta) の香りが大切なイタリアの食べ物です。
実は、これをおいしく作るのはプロの調理人でも結構 難しいです。
インターネット上の公開レシピを見ても殆んどの方がソースというかパルミジャーノに生卵を加えた具材に生クリームや牛乳を足してパスタと混ぜ合わせた時の卵の固化を穏やかにする工夫がされています。皆さんはどうされていますか?
「そんな面倒な料理を家で作るわけないだろう。( ̄^ ̄) "外食" で食べるのが、当たり前田のクラッカー。」
https://www.youtube.com/watch?v=kEgfGIF6fTE
えッ、えッ&&%%!??あり、まー、こりャ、おッたまげた!(©卍さん) でもこんな → https://lohaco.jp/ranking/67-6702-6702004-67020040007/ 便利なレトルトソースが売られているのですから仕方がありません。
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さて、「紀ノ国屋 インターナショナル」のシェフ NKGR氏が定年退職してからグゥアンチャーレ (guanciale) もパンチェッタ (Pancetta) もハモン・デ・ベジョータ・イベリコ (Jamón de bellota ibérico) https://tabelog.com/imgview/original?id=r7354077300067 も扱いが無くなりました。需要が少ないからと言って他の店で買うことのできない商品をバッサリ削除してしまう経済合理性優先の食品スーパーは残念です。これを目当てに来る上客が他の高級食材を買ってトータルで採算が合うというものです。
仕方ないので 高価なプロシュット・ディ・パルマ ( Prosciutto di Parma) でカルボナーラ (Carbonara) を作りました。
イアタリア半島を横断する ポー川流域にあるパルマ市はプロシュットの生産地として世界的に知られていますが、ポー川から流れてくる湿気のある空気と土地に棲みついている酵母によって塩漬けした豚の腿肉が熟成され、独特の香りと旨味が生まれます。部位の異なるグゥアンチャーレ (guanciale)やクラテッロ・ディ・ジベッロ (culatello di Zibello)もパンチェッタ (Pancetta) も同様に作られ、良い香りと独特の旨味がありイタリア料理の大切なアクセントになっています。
これをコマ切れにして真空パック詰めしたパンチェッタ (Pancetta) を使っても表面に生きている酵母は酸素不足で死んでいますので、香りと旨味が足らず カルボナーラ (Carbonara) にした時のおいしさが足りません。「私は臭いのあるものが嫌いだから」と仰る方はレトルトソースを混ぜて満足するかもしれませんが、手間とお金を掛けても拘りたいです。
(一人当たりの材料費は、アルコールを除いて450円ぐらいです)
料理については、添付写真とキャプションをご覧いただけると嬉しいです。
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オッソブーコ (ossobuco) は、"骨の孔" という意味なのに骨無しの脛肉とは此れ如何に
普段 "外食" でおいしい物を食べている方は、舌が肥えているのでこの状況下でも "内食" で上手に調理をされているのでしょうね。きっと。
学生時代に読んだ伊丹十三のエッセイ集に「花嫁修行として料理教室へ通う女性がいるが、そのお金を使って一流レストランで食事をした方が良い。」と、ありました。それは料理の得意な伊丹十三の考えであって、一度も包丁を持ったことがないという方にとっては料理教室も役に立つでしょう。現役時代の部下に「私、魚を調理するのが嫌いで切り身しか買ったことがない。」「それも直接触るのがイヤだからパックのまま切る」という子持ちの既婚女性がいました。爪を伸ばしてきれいにマニュキュアやネイルアートをして寿司を摘んだりソフトクリームのコーンを掴んだりしている女性はキャベツの千切りや薬味用の葱が爪の間に入ってしまわないかと心配をしています。#よけいなことをかいてはいけません。#だから私は嫌われる (©︎ MSSBHNSさん)
さて、今回の料理の材料費は、七名が二回ずつ食べることができましたので、アルコール代を除き、パスタを含めて 約600円/人/回 です。私が食べている "外食" の「ラーメン」や「かけそば」と同じです。(1,000円もするラーメン や かけそば は食べたくない)
牛脛肉は、薄い筋膜で覆われたスジ肉の集合体です。あっさりしていますが濃厚な旨味があり、独特の良い香りが特徴のおいしい煮込み料理用の肉です。
イタリアではオッソブーコ (ossobuco、骨の孔の意) に使われ、骨とその中心にある髄(ズイ)もしっかり付いて売られています。この髄は柔らかくトロッとしてとてもおいしく、孫娘(10歳)は家族全員分を集めてひとりで食べてしまいます。彼女は三年間、おいしい魚が手に入るサルデェーニャで暮らしていましたので、アクアパッツァのトローリ♡ (©︎ 風太くん) とした目玉も大好きです。
日本の脛肉はあのBSE問題以降、"骨抜き” になりました。おいしい物が分からず責任を取りたがらない役人がたくさんいる減点主義のツマラナイ国です。「〜〜したいと思います。」と二重の仮定で発言する首相がトップの国です。「〜〜します。」と、どうして断定しなのでしょうか。失敗した時の "逃げ" を用意している "イジメられたくない症候群" に罹った人は信用できませんが、軋轢を回避して生きるための術なのでしょう。また、「ありがとうございました。」と、過去形で感謝の意を伝えるのも違和感があります。何故ならば事が終わっても感謝の気持ちは続いているから「ありがとうございます。」と、現在形で喋るのが正しいです。「はい、そこでお終い。私は忙しいのです。」と切り替える日本人は優しさに欠けているのでしょう。
#よけいなことを書き過ぎました。
添付写真とキャプションをご覧いただけると嬉しいです。
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旬のアスパラガス (ホワイト、グリーン) 、「凄くおいしい、超簡単、リーズナブル」
吉野家:https://www.yoshinoya.com のキャッチコピーは時代と共に変化しています。
「早い、うまい」「うまい、安い、早い」「うまい、早い、安い」途中(1980年)で「うまい、安い、早い、もろい」と、揶揄された時期もありましたが、BSE (牛海綿状脳症) 問題でアメリカ産牛肉が手に入らない時は "豚丼" で凌ぎ、顧客の支持を獲得し続け、今や立派な東証一部上場の外食産業として、"ビーフボウル" は全世界に展開されています。
この状況下でも「お客様と従業員の安全面に配慮した上で、生活イ ンフラに従事する方々への食事の提供を継続するため」という使命感を持ち、時間を短縮して営業を続けています。
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外出自粛をされている皆さんも毎回の食事に困っていると思いますが、今回は旬のアスパラガス (ホワイト、グリーン) を使った「凄くおいしい、超簡単、リーズナブル」というキャッチコピーの料理を作りました。"フレンチやイタリアンのシェフも驚く" という旨さですが、宅配デリバリーは、味に拘りのあるシェフが許してくれないので提供できません。(アルコールを除く材料費は、吉野家の牛丼特盛 632円(+税)と同等)
何度も同じ料理を投稿して申し訳ございませんが、家で「本当においしいものを食べたいなぁ。」と、仰る方は添付写真を参考にして作ってみませんか。「凄くおいしい、超簡単、リーズナブル」ですよ。
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ローズマリー、タイム、オレガノ、フェンネル・シードを使ったポルケッタ (Porchetta)
飲食店にとって厳しい状況下、食品スーパーの売り上げは大幅に伸びているようです。
私の買い物頻度は 3回/月が基本であり、途中で足らなくなった葉物野菜や買い忘れた香辛料を近くの店で調達するぐらいですから一回の買い物で約十日分のメニューを考えて食材をカートに載せています。
買い忘れがないようにメモをポスト・イット® (Post-it、3M製) に書いてから出掛けますが、混雑している時や目移りした時にはうっかりすることもあります。メモを書いた時点で何を必要としているのか頭に入れてしまうのでメモを車の中に置きっぱなしにすることが多いです。
旬の魚や野菜・果物を中心に据えてメニューを考えますのでどうしても料理が毎回重なることが多く、妻から「〇〇はもう要らないわよ。」と、贅沢な要求が出ます。それは私が好きでも母や妻がそんなに好まないA5級黒毛和牛ヒレ肉であったり鶏肉や煮魚用のキンキやメバルやマナカツオのことです。"好みの問題" ですから無理強いはしませんが、年に一回ぐらいは食卓に載せています。
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この日、291円/100gの豚バラ肉を 1.5kg 買いました。(約4,000円、七〜八人分)
一ヶ月前に作ったポルケッタ (Porchetta) が好評であり、これをもう少し究めてみることにしました。調理のポイントは、1、塩加減 2、香辛料の使い方 の二つです。既にマリネの仕方とオーブンで焼く温度と時間は習得しましたので問題ありません。
1、については、今回、若干強めに振りました。
私の調理は都度計量することは少なく、『このぐらいの量の肉であれば塩はこんなもんだなぁ』と適当に振っているのですが、基本的に少なめに振るようにしています。塩辛くなった食べ物は調理後に調整が効かないからです。前回のポルケッタ (Porchetta) もおいしかったのですが、オーブンで焼いている間に脂身から出るラードと一緒に塩分も落ちてしまい、少し味がぼやけていた感がありました。家族の皆は、塩味を好まないので問題なかったのですが、少しだけ調整しました。
2、については、前回使ったローズマリー、タイム、オレガノにフェンネル・シードを加えました。
フェンネル(Fennel)とは、イタリアでフィノッキオ(Finocchio)、ファランスでフヌイユ(Fenouil)、日本ではウイキョウ(茴香) と呼ばれる香草です。「レ セゾン」の https://tabelog.com/imgview/original?id=r51063116856066 (ラングスティーヌ 葡萄(シャインマスカット)とフヌイユのアンサンブル、langoustine assaisonnée de raisin et fenouil ) にも使われています。私は生でサラダにしたり、スライスして軽くポアレにして食べるのが好きです。
今回加えたのはシードですからこの香草の種です。
ローズマリーは、ベランダのプランターで伸びてきた無農薬の新芽を使いました。市販品より若々しく穏やかな香りが全体のバランスを整えてくれました。足し算の料理を好まない私ですが、このぐらいでちょうど良いスパイスのバランスが取れたと満足しています。
これなら何方からも「おいしい!!!」と、言っていただける料理に仕上がり、味に厳しい評価を下す妻からもOKが出ました。
オーブンからの出し立てを食べるより、冷蔵庫で24時間冷やしコールド・ポークとして食べる方がよりおいしいと思います。余分な脂身はラードとして落ちていますのでとても食べ易く身体にも良いのではないでしょうか。
KYTさま、如何でしょうか?
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休日は冷凍保存しておいた "醤油ラーメン" で "緑一色" (リューイーソー、役満) を作る
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が出される以前から保存性の高い米、乾麺類、パスタ類などの食料品の売れ行きが良いとニュースで聞いていましたが、TV映像ではスーパーマーケットのカップ麺陳列棚が空っぽになった映像が流れていました。
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この日、前の日からマリネしておいた牛脛肉をオッソブーコ(ossobuco) に仕上げようとソフリット作りから始めたのですが、これだけで二時間は掛かりますので正午近くになってしまいました。
「あなた、久し振りにラーメンを食べたいわ。」
「紀ノ国屋の "なま 醤油ラーメン" が冷凍庫に仕舞ってあるからそれでいい?」
「はい、野菜もいっぱいいれてね。」「その前に何か飲みますか?」
「友桝飲料の強炭酸が届いたから、ジンソーダにしよう。」
と、いうことで休日のお昼をゆっくり過ごしました。
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旬を食べて免疫力を高める (石川県産の筍、三重県産の鰆)
シャボン玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた
シャボン玉消えた
飛ばずに消えた
産まれてすぐに
こわれて消えた
風、風、吹くな
シャボン玉飛ばそ
「シャボン玉」 作詞:野口雨情、作曲:中山晋平
この童謡が発表された大正12年(1923) は、世界的なパンデミック・スペイン風邪が日本で終息した1921年の二年後、関東大震災が発生した年です。当時は乳幼児の死亡率が高く、七五三の祝事には大きな意味がありました。この童謡は亡くなった子供たちに対する鎮魂歌とも言われています。
「南海トラフ地震」に対する警告は気象庁から https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/tokaieq.html として発せられていますので皆さんもよくご存知のことですが、日本に発生する大地震や台風による洪水などの国難は何度も繰り返され、日本人の「諦観」という人生観を作っているのですが、これは単に "諦める" のではなく、願っていることが自身の力ではどうにもできない自然の脅威によって達成されない時、これを理解し納得せざるを得ず断念した時の "自らの生命を維持するために強いストレスを溜めない行動" とも言えます。
十三世紀にあった二度にわたる元寇の時に吹いたと言われる "神風" を期待してはいけません。
大切なことは、「災難は必ず起こる。それが起こった時に何をしなければならないのか。」について日本人全員が備え、行動をしなければならないということです。「誰かがやってくれるだろう。」「神風が吹くから大丈夫だ。」という楽観的な判断を指導者が行ったことによって悲惨な結果を招いたことは歴史が示しています。
"お勉強ができるだけ" の人がたくさん集まっている地区があるそうですが、形を整えることには長けていても "本質を見抜く力" が足らないので、C国製の汚れたアベノマスクに巨費を投じることになるのです。ウイルスの大きさは 80〜120 nm ( 0.08〜0.12μm)であり、目に見えません。衛生管理の行き届いたクリーンルームで作っても完璧とは言えません。品質管理手法は日本のお家芸であったはずです。今に始まったことではありませんが、 "他人任せ" の日本は劣化しています。自分の頭で深く考えることを習慣づけなければなりません。
元米国務長官ヘンリー・キッシンジャー氏の警句↓を今一度お読みください。
「…インターネットは人類の歴史を大きく変えてしまった…ボタンひと押しで多くの情報を得られるようになったが、情報を記憶する必要がなくなった。記憶しなければ、人は考えなくなる。その結果、知識を受容する能力が著しく損なわれ、何もかもが感情に左右されるようになり、物事を近視眼的にしか見られなくなってしまった。この問題を研究し、対策を考える必要がある」
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枕(前書き)が長くなりましたが、未然防止策の一つとして「免疫力を高めよう」ということで新鮮で生命力の備わった食べ物の紹介です。
1、石川県産の筍、ずっしり重く新鮮。
調理していて分かるのですが、瑞々しく、触るとしっとりして柔らかいのだけれど反発力があり、包丁がスカッと入ります。
2、三重県産の鰆、新鮮なDHA、EPA たっぷり。
これも当然ですが新鮮で身に張りがあり、塩を振って表面が薄っすら濡れてきた時の照りが良いです。
ダイエットすると免疫力が落ちて風邪に罹りやすくなることは皆さん経験済みだと思います。おいしく良い食材を摂取してウイルス侵入に備えましょう。
詳細については、添付写真とキャプションをご覧いただけると嬉しいです。
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或る日の昼食(パン・ド・ミ Pain de mie とプロシュット・ディ・パルマ Prosciutto di Parma)
昨年の1月14日に現在地へ引っ越しをしてバリアフリーの安全な Apartamento の快適さを知ることになったのですが、添付写真最後の新緑を見るのは今年が初めてです。何故ならば昨年は葉桜になる前の4月4日から三ヶ月間イタリアへ行ってしまったからです。今年はおいしいイタリアのアスパラガス(asparagi) を食べることができません。Alba で10月に開催される "白トリュフ祭り" も無理かもしれません。
中国の経済活動が停滞したお陰で日本の空は経験したことがないくらい空気がきれいになり輝いています。風も強く新しく伸びた枝が折れてしまうのではないかと思うのですが、折れずに葉っぱも飛ばず頑張っています。これをボーッと眺めているとウイルス "風邪" に耐えて頑張っている人々のことを考えます。早く終息することを願うのですが、自然の "風" はいつか止んでも、また吹き出します。
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さて、紀ノ国屋のパン売り場でパン・ド・ミ Pain de mie を買った翌日は、"パン尽くし" です。
おいしい内に食べきれない分は、カットして一つずつをラップで包み冷凍保存しておくと一ヶ月間ぐらいはおいしく食べることができます。
本心としては、おいし過ぎてこのレビューをあげたくないのですが、この状況下、約290円で "内食" できるもの凄くおいしい簡単料理はそう多くはないと思っていて再びご紹介させていただきます。
・パン・ド・ミ Pain de mie
・プロシュット・ディ・パルマ Prosciutto di Parma
・リアル オーガニック卵
・ルッコラ
・カルピスバター塩不使用
・ルピンズトマト
・白ワイン (CORVO Bianco)
これらは全て「紀ノ国屋 インターナショナル」で入手可能です。
詳細については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
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納豆・豆腐 はお好きですか?
私の好きな落語に古今亭志ん朝の「酢豆腐」というのがあります。https://www.youtube.com/watch?v=gNHf-O2cOrE
この中に糠床に手を突っ込んで漬かり過ぎた胡瓜を探すのは男の沽券にかかわるからイヤだという件がありますが、我が家では母の作った糠床の手入れを私が毎日行っています。面白いことに旬でない今頃のハウス栽培胡瓜は香りが足らないとはいえ甘みがあって結構おいしく、落語と同様に漬かり過ぎた胡瓜をサッと塩抜きをして "土佐一生姜" を刻み軽く布巾で絞って食べています。乳酸発酵ですから身体に良く体調を整え免疫力向上の効果があります。
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今から四十年ぐらい前、TBSラジオから流れていた「永六輔の誰かとどこかで」という番組の中で
「泰子(遠藤泰子アナウンサー)さん、ボクは納豆と豆腐というのは名前と実態が逆じゃないかと思っています。」
「豆を納めたのが "とうふ" で、発酵させると "なっとう" になるのじゃないでしょうか?」
との発言があり、その時は『なるほど、帰化人によって伝えられた食べ物の名称が入れ替わったのか。』と、信じてしまったのですが、その後「馬の飼葉として "納屋" に置いた桶の中の蒸した大豆が藁の納豆菌によって発酵したので納豆」と「中国語の "腐" とはフワフワと柔らかい状態を指すので大豆から作った豆腐」であると知ることとなり、ナットクした次第です。
どちらも好きな食材です。リーズナブルでありながら栄養価が高く、頻繁に我が家の食卓に載ります。妻も母も好きなのですが、「朝から食べるとお腹が張るから休日に食べます。」と言うので何週かに渡り画像を集め、ここで一挙にアップいたします。
料理とは言えない内容ですが、添付写真ならびにキャプションをご覧いただけると嬉しいです。
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再び、殻付き帆立貝のフライ(今回は、国立店のレビューではありません)
一年前、新婚の甥っ子夫婦が挨拶に来たので私の作るイタリア料理フルコースでもてなしました。
「伯父さん、このカルパッチョの帆立貝、凄くおいしい!!!!!」
紀ノ国屋で扱う帆立貝は、バックヤードで殻付きの活き帆立貝を剥いてパッキングしています。
余計な処理(保存液に浸けるなど)をしていませんので自然な色、香り、旨味があり生で食べるのがお奨めですが、火を通しても甘味と香りが強くなり『一層おいしいんじゃないかなぁ。』と、思っています。
https://tabelog.com/imgview/original?id=r90684124875463 (カルパッチョ)
https://tabelog.com/imgview/original?id=r10660129281872 (刺身)
https://tabelog.com/imgview/original?id=r36182124019562 (焼き)
三番目のフライパンで焼いたものは、「レ セゾン」で食べた https://tabelog.com/imgview/original?id=r83930125848070 を真似したものです。
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紀ノ国屋 国立店を 2020/02/11 に訪問した時のレビューでも "殻付き帆立貝のフライ" を紹介していますが、今回、青山のインターナショナル店でも同じ殻付きの大きな "三年貝" を見つけ、これをカートに二個を入れ貝の苦手な母には鮃を買ってそれぞれフライにして食べました。凄くおいしい!!!!!
最近、紀ノ国屋 インターナショナルの店長が交代しました。以前、インターナショナル店の鮮魚売り場にいらしたNSD店長は、国立店でも店長を経験された方であり、どちらの店にも優れた後輩が育ち、それぞれ良い魚を揃えることを競い合っている キガシマス (©︎KYTさん)。
詳細については、添付写真のコメントをご覧いただけると嬉しいです。
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すし(寿司、鮨、鮓、sushi ) は、シャリが命
It was written. (それは運命だ) 「どんなに良い寿司種を合わせてもシャリがダメならおいしくない。」「シャリが命」
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私は、江戸前握り寿司に特別な執着がなく「お寿司が大好き!」と言う人に「えっ、もっとおいしい食べ物はたくさんあるよ。」と言いたくなりますが、#よけいなことをかいてはいけません(©︎MSSBHNSさん)
直近にもアップしましたが、我が家では普段から母が「野菜寿司」とか「いなり寿司」「太巻き寿司」を日常の中で作っていました。父に連れられ寿司屋のカウンターに座ったのも他の客が居ない時間帯を狙って入った子供の頃のことですから特別でもなく、現在の "超高額予約困難各馬一斉ゲートインおまかせ一本" ではなく、何処の街角にもすし屋は店を構え東京庶民の日常食としてそれは私の中に存在していました。
そんな私が寿司に対して拘ることは、冒頭に書いた "酢飯" の仕上がりです。
食べ物は "好みの問題" ですから #よけいなことをかいてはいけません(©︎MSSBHNSさん) が、自分で作る酢飯は拘ります。
米の水分量は微妙に変化しますので毎日炊いていないとコツが掴めません。酢飯にした時、許容範囲内ですが仕上がりにバラツキが生じることがあり、これを抑えるには目分量ではなく計量カップを使ってコメと水の量を一定にすることが大切なのですが、最後に季節変動に対して調整を加えるのは勘に頼らざるを得ません。詳細な配分と手順は "伝家の秘" です。というか "好みの問題" ですからここで書いても仕方がありません。
簡単ですから、是非、皆さんも好みの酢飯を作ってみてください。おいしく仕上がれば合わせる魚はテキトーでも良いです。素巻き(酢飯を焼海苔で巻いただけのもの)だけでもおいしいです。
魚は下拵えが重要なことは当然ですから塩〆、酢〆を行ってくださいね。
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餃子はタレを何も付けずに食べるのが好き。偶には、"九鬼の胡麻辣油" を使ってみよう。
三重県四日市「九鬼産業株式会社」が製造販売している "九鬼胡麻辣油" http://www.kuki-info.co.jp/cgi-bin/products/detail.php?id=21 は、風味が強い一番搾り胡麻油と唐辛子だけで作られています。(当たり前か)
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こんな状況ですから母が "偶に作る" 料理二回目です。
我が家では出来合いの冷凍餃子を買ったことがなく、餃子の皮を買ってきて "MSG" の入っていない自家製焼餃子を食べています。皮から作れば好きな水餃子を食べることができるのですが、母は作ったことがありません。また、中華トーシローの私は "外食" で餃子定食を食べたことがなく、浮き粉で作った澄麺皮 (チェンミィァンピィ) の「海老蒸し餃子(蝦餃)」「ニラ入り蒸し餃子(韮菜蝦餃)」や「水餃子(猪肉韮菜水餃)」を飲茶として年に一回食べる程度です。市販の冷凍餃子パックは何処の国で誰が作っているのか分からないという点が気になります。
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料理好きの母は、何も作らない期間が長引くと「〇〇ちゃんと□□ちゃんでも食べることができるから餃子を作ってみようかしら。」と曽孫に食べてもらいたい一心で調理の準備にかかります。
(調理の手順については添付写真をご覧いただけたら嬉しいです。)
さて、皆さんは焼き餃子を食べる時にどんなタレをお使いでしょうか?
・辣油
・酢
・醤油
この三つが基本ですが、中には柚子胡椒、練り辛子、七味唐辛子、ケチャップ・ソース・マヨネーズという方もいらっしゃるかもしれません。日本の餃子 (焼き) はビールを飲むため、もしくはご飯のおかずとして食べるものですから、"好みの問題" であり、人それぞれで構わないと思います。
私は、何も付けずそのまま食べるのが好きなのですが、妻は「辣油と酢」、母は「辣油と酢と醤油」で食べています。と、言うことで辣油にあまり重きを置いていなかった私ですが、二年ぐらい前に妻が買ってきた "宮古島のピリ辛辣油" は量を半分以上残しながら消費期限が過ぎたので冒頭に紹介した"九鬼の胡麻辣油" を使ってみることにしました。
まずは妻に倣って「辣油と酢」。酸味と辛味が広がりパクパクと立て続けに三個食べてしまいました。おいしい!
次に「辣油だけ」で食べると餃子を作る時に隠し味として入れている同じ九鬼の "芳醇胡麻油" の香りが引き立ち、そこに後から辛味が追いかけてきます。おいしい!!!
結局、右手と左手の運動を繰り返しながらひとりで十五個も食べ、どう言う訳だか酒が蒸発していました。
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天狗物産製の両口片手鍋でポーチドエッグ (poached egg) を作る
火の通し方が難しい料理を同時に三種・三密 (密閉、密集、密接) で作りました。しかもポーチドエッグ (poached egg) は、いつも使っている銅製の小型深鍋ではなく初めて天狗物産製の両口片手鍋を使うという無謀ぶりです。
日本列島は南から "はしり" が生産され東京に出回ってきます。この日、佐賀県産ホワイトアスパラガスと 長崎県産グリーンアスパラガスが手に入りましたので卵料理に合わせました。フライドエッグでもおいしいのですが敢えて調理の難しいポーチドエッグ (poached egg) です。
現役の妻から「今日の帰宅は午後6時半になる。」と、メッセージが届き、これに合わせて出来立てを食べてもらうために逆算して同時調理を始めたのですが、帰ってきません。主婦 (主夫、伊Casalingo) は忍耐が大切です。
アスパラガスを仕上げ、ポーチドエッグをいつも通りのタイミングでビネガーを注ぎ、室温に戻した卵を割って天狗物産製の両口片手鍋に投入しました。いい具合に白身が固まり後は火が通るのを待つばかりだったのですが、この鍋 (ステンレス鋼(クロム18%、底の厚さ 1.0mm) は製作者の環境意識が高く、無駄なエネルギーを使わない設計となっていて一番小さなコンロでも熱効率が良いです。少し火が通り過ぎたのは妻の帰宅が20分遅れたこともあるのですが、さすが "スグレモノ" であります。
アスパラガスは穂先に春の苦味を感じ、根元に行くに従って甘味が強くなります。これとポーチドエッグ、オリーブオイルとの相性は抜群であり、どちらも保存性が高く、こんな状況においては家庭料理として適しているのではないかと思います。簡単そうでおいしく仕上げるのが難しい料理ですが、ぜひ挑戦してみてください。(この夕食の材料費は450円/人です。ワイン別)
(KYT様、これは冷蔵便でのデリバリーができません。申し訳ございません)
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ポルケッタ (Porchetta) のサンドウィッチ と ミラノ風リゾット (Risotto alla milanese)
フォロー中の神奈川県にお住まいの男性が、カフェ、デリカテッセン「ミモザ」のポルケッタ (Porchetta) を紹介してくれました。
https://tabelog.com/rvwr/7313saku/rvwdtl/B361686022/
ポルケッタは仔豚の丸焼きです。娘がサルデェーニャに住んでいた頃、ホームパーティー開催の前に "仔豚の開き” https://tabelog.com/imgview/original?id=r2715336794073 を買ってきて共同窯で焼いてもらっていました。
"仔羊の半身" も調理したことがあるとのこと、身内ながら大したものだと思います。
日本の精肉店では一般消費者が "皮付き" のバラ肉を買うことさえもできません。脆皮焼肉 (ツイ・ピー・シャオ・ロウ) を作るときには、”沖縄県産 豚バラ肉皮付き” の冷凍物が販売されていますのでこれを使います。
私の作った脆皮焼肉 → https://tabelog.com/imgview/original?id=r8627891995734
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この日、紀ノ国屋 青山の精肉部で豚バラ肉の塊を 1.5kg購入し、初めてポルケッタを作りました。生のスパイスは野菜売り場で見つけたローズマリー、タイム、オレガノです。
調理は、ローストビーフと同じく超簡単です。下拵えをして24時間冷蔵庫内でマリネしてこれを取り出し室温に戻してから鉄のフライパンで表面を焼き、オーブンに突っ込むだけです。ローストビーフの場合は250℃に温めたオーブンに入れたらスイッチをOFFにして余熱で調理しますが、ポルケッタ (Porchetta) は芯まで焼く必要がありますので、180℃で90分間焼きます。この時、上質なラードが200gぐらい取れますので捨てずに溜めておきます。
詳細については、添付写真のコメントをお読みいただけると嬉しいです。
出来上がりの六割を "ポルケッタ (Porchetta) の冷めぬ距離" に住む息子家族に分けしましたので合計七名で食べ、約450円/一人という材料原価でした。KYT様、如何でしょうか?
緊急事態宣言が発令されましたので「Ristorante oggeti」へお越しいただくのはいつになることやら。ぜひ、皆さんも簡単でおいしいポルケッタ (Porchetta) をご自宅で調理してみてください。
(豚肉に使う塩は、どこでも手に入るドイツの岩塩アルペンザルツがピュアで適しています。)
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今が旬の「鰆」の塩焼き。ふっわふわの身 と パリッと焼けた皮 が最高においしい!
先程、ISETANの担当者から連絡があり、政府が発令する緊急事態宣言に伴い明日から五月七日まで全店舗閉店(地下食品街を含む)するとのことでした。歩いて行くことのできる場所ではないので電話注文できるものだけ発送してもらうようにお願いしました。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57761270X00C20A4000000/
"外食" よりも "内食" がメインの我が家は、あの店もこの店も営業するのでほぼいつも通りの食生活をするだけなのですが、この国難が早く収まることを願って止みません。日経オンラインに「新型コロナ危機、逆風下のグローバリズムにとどめ? Global Economics Trends 編集委員 西村博之」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57552550S0A400C2I00000/ という記事がありました。何度も同じことを繰り返すことはできませんので世界は大きく舵を切ることでしょう。1985年の "プラザ合意" に端を発し、WW2戦勝国誘導の下、グローバリズムへ向かった時、私は大きな不安を抱き、実際に世界の二極化が進みました。これが修正され全人類が幸せになるように軌道修正されることを望んでいます。
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さて、「春の魚」と書いて「鰆」。
いろいろな食べ方があり、イタリアでは塩抜きしたケッパーを塗してオリーブオイルで焼くことがあります。中華料理の具材や寿司種としても使われるそうですが江戸前には使われない魚ですから好んで食べたいとは思いません。幽庵焼き(柚庵焼き)や単純な照り焼きという醤油味も一般的ですが、私の一番好きな調理は "塩焼き" です。
この調理で重要なことは、どんな塩を使い、どのように寝かせ、どう焼くのか にあります。
・塩は「瓢亭本店」でも使っている「海の精」 (やきしおの方がサラサラと振りやすい)
・冷蔵庫から出して全面に軽く塩を振り、二十分〜三十分間 笊の上で馴染ませる (塩の量は脂の乗り方によって調整)
・一般家庭では姥目樫の備長炭を使い切れませんので、グリルを温めてから弱火でじっくり焼きます。
鰆は脂が乗り過ぎても匂いが強くなり、秋刀魚が出始めの頃に一番おいしいのに似ています。産卵のため雑多な餌を食べるとその匂いが脂に移るので臭くなります。肉とナントカは腐る前が一番おいしいと仰る方もいらして熟成寿司が流行ったそうですが、私はどんなものでも "若く新鮮" なものが好きです。
・愛知県産の平貝は研ぎたてのもの凄く切れる包丁を使って薄く切り、磯部焼きにしました。(弁天山美家古寿司風味)
・泥障烏賊も同じ包丁で薄く削いで食感を大切にして食べると甘くおいしいです。
こういうものを食べているとどういう訳だかお酒が直ぐに蒸発してしまいますが、この日の食材費は約二千円/人です。外で食べたらいくら取られるのだろうか。
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イエノミ(家呑み) : 刺身と牛タン、そして、酒 (ひや=室温・常温のことであって冷酒ではない)
もともと "外食" が少ない私は、不要不急の外出自粛であっても "内食" でおいしい肴を作ってコピリンコ 。(©︎小泉武夫先生)
【この日の肴と酒】
・北海道産の小柱(春の甘味)
・宮城県産の白魚(春の苦味)
・千葉県産の石鯛(柵から刺身包丁で切って盛り付ける。しっとり甘く滑らか)
・京都上賀茂 岩市 菜花のおひたし(春の苦味、一番出汁を引いて甘味のある塩/海の精だけで味を整える。)
・国産牛の "牛タン" (新鮮、香り良く、歯応え堪らず)
・北海道産 子持ちししゃも(弱火で炙って頭からパリッといただくと旨味が広がる)
・兵庫県灘の菊正宗生酛造り辛口純米樽酒(並木藪蕎麦で使っている酒、樽香が無くスッキリしている)
今晩はどう言う訳だか酒の蒸発が早い キガシマス (©︎KYTさん)。
いつも通り夜は、〆の茶漬けも蕎麦もラーメンもありません。
これらを三人でいただき、約1,800円/人 です。
おやすみなさい。
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フォン・ド・ヴォライユ(fond de volaille) をミネストローネ(minestrone)に仕上げる
フランス革命の百年後、エッフェル塔が建設されたパリ万国博覧会開催の1889年からさらに四年前、フランスの政治家で美食家でもあったジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン(Jean Anthelme Brillat-Savarin) が著した『美味礼讃(Physiologie du Goût:味覚の生理学) 』には、 ↓
「普段、何を食べているのか言ってごらんなさい、あなたがどんな人だか言ってみせましょう。」
「消化不良に苦しんだり泥酔したりするものは、飲食の真髄を全く弁えていないのである。」
「新しい星を発見するよりも新しい料理を発見するほうが人間を幸せにするものだ。」
とあり、百三十五年前にこの美食家の書いたことは現代にも通じます。
世界的大富豪ウォーレン・バフェットがハンバーガーとチェリーコークを好み、ビル・ゲイツが宅配ピッツァを食べながらソフトウェアを書いたという話は、質素で倹約することによって巨万の富を築くという比喩であり、超高額予約困難各馬一斉ゲートインの偏った食事やMSGなどの食品添加物やソースやドレッシングで誤魔化された形だけで栄養素の少ない野菜や出汁ガラみたいな肉・魚ばかりを食べている人は「#いんだよ細けえ事は!」と、仰るかもしれませんが、身体は口から入る食べ物だけで出来ているのです。
三大栄養素と呼ばれる「タンパク質」「糖質」「脂質」そして、これらが体内で機能するのを補い、神経や筋肉の機能を活性させる役割を持つ「ビタミン」「ミネラル(無機質)」という二つの栄養素が多く含まれる野菜、果物、乳製品、海藻などをバランス良く食べ、適度に運動することが、免疫力を高め、肥満を防ぎ、病気になりにくい身体を作ります。人間だけでなく、人から栄養素を与えてもらわないと生きていけない家畜やペットや植物を観察してもそれは簡単に分かることです。
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さて、日本料理の基本が出汁と野菜であるように西洋料理もフォン(fond) やブロード(brodo) と野菜です。
この日、一ヶ月前に作って冷凍庫に入れたフォン・ド・ヴォライユ(fond de volaille) を自然解凍し冷蔵庫の野菜室にあったジャガイモ、ズッキーニ、人参、トマトとTupperware に保管している押し麦を使って "ミネストローネ(minestrone)" を作りました。超簡単、凄くおいしい!
この料理の決め手は何と言っても鶏肉と鶏ガラと香草で作るフォン・ド・ヴォライユ(fond de volaille)、イタリアではブロード(brodo) と呼ばれる出汁にあります。今回使った鶏ガラは比内鶏でしたが、これだけではおいしい出汁は引けません。骨付きの手羽元か手羽中、手羽先を加えることによって肉からの旨みが加わり素晴らしくおいしいフォン・ド・ヴォライユ(fond de volaille)に仕上がります。フォン・ド・ヴォー (fond de veau) を作るより簡単で廉価ですから皆さんも作ってみてください。
冷凍庫にはあと二袋残っています。これを使って「Risotto ai pistilli di zafferano (定番 Risotto alla milanese)」と「Risotto di zucchine」を作ろうかな。
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ここまでお読みになって「だったら何故イタリアで新型コロナが蔓延しているのよ!」と、お怒りになっている方もいらっしゃると思います。
イタリア人は、握手・チークキスなど濃厚接触の挨拶が普通であり、よく喋りますので飛沫感染による伝染も多いと思われます。また、ロンバルディア州など北部に住むお年寄りはお金を持っている人ばかりではなく精一杯の暮らしをしている人もたくさんいます。
イタリア南部は貧しいのですが温暖な気候で野菜は豊富で食べることにお金を掛けなくても何とかなるのですが、北部の人は買い物に出掛けなくては手に入りません。結果として簡素なビスコットにヌッテーラを塗って食べるだけとかパスタ・ビアンカ(茹でたパスタにオリーブオイルを掛けただけのもの。日本の茶漬けご飯のようなもの) で済ませている免疫力の弱いお年寄りがたくさんいます。
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NHK-BS 『コウケンテツの世界幸せゴハン紀行ーギリシャ編』を録画で見る
「TVは、NHK-BS 朝のニュースしか見ない」と、普段から言っている私ですが、STB(Set Top Box) のHDDに録画しておいた『コウケンテツの世界幸せゴハン紀行ーギリシャ編』を再生していたら魚介のフリットを作りたくなりました。
コウケンテツ氏の海外料理番組を見るのはこれが二回目です。前回は数年前に見たタイ・チャオプラヤー川上流の伝統的なタイ米料理でした。ゆったりした時の流れの中でお年寄りが作る鶏や川魚に生のスパイスを潰して調理した料理に「う〜ん、うまい!。おばあちゃん、これおいしいね。」と、大阪訛りでコメントするコウケンテツ氏は様々な試練を乗り越えてきた "うるるん料理人" です。
今回のギリシャ訪問記は、2019年夏の地中海気候の真っ青な空と海が広がる中で収録され、煌く太陽光線が、おいしい食べ物を育てそこに暮らす人々に幸せを与えていることを上手に捉えていました。
皆さんご存じのように2010年の金融危機においてEU諸国の中では PIIGS ( Portugal、Italy、Ireland、Greece、Spain) と一括りにされ、中でも大きな財政赤字が露呈したギリシャに対しては、国際通貨基金 (IMF) と欧州中央銀行が支援に乗り出し、ギリシャ国民に対して年金制度の大幅な縮小を義務付け、財政再建を促し、現在も国民は大きな負担を強いられています。
番組の中でもお年寄りが「年金支給額が半分になっちゃたよ、でも "美しい空" と "おいしい空気" があるから節約すれば何とかなるよ。」と、笑顔で語っていました、そうなんです、私が良く訪れるイタリアも状況は一緒で年金生活者はまだ良いですが、働く職場のない若者が悲惨です。国外へ出て活路を見つける人も多いのですが、大多数の若者は年金暮らしをしている親世代を頼るしかなく、結婚もできません。こんな状況の中でも "きれいな空気" と "おいしい食べ物" があるのでイタリア国民もギリシャ国民も表情は豊かで快活です。
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昨年末に買っていつ開けようかとタイミングを計っていた「Domaine David Duband Morey-Saint-Denis Premier Cru Les Broc 2017, Cote de Nuits, France」を3月X日に抜栓しました。
https://www.millesima.be/david-duband-morey-saint-denis-1er-cru-les-broc-2017.html
料理については、添付写真のコメントをご覧いただけると嬉しいです。
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1,062g のランプ肉で "おいしいローストビーフ" 11人分 (約100g、1,400円/ひとり)
「あなた、もう牛肉は食べなくてもいいわ。」と、言っていた妻が、「これは、おいしいわね。」と Ancora (アンコーラ、もっと、お代わり) しました。
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普段からバランス良く野菜や魚介類をたくさん摂るように心掛けているのですが、偶に身体が欲するのか、無性に "牛肉" を食べたくなることがあります。イタリア人の娘婿みたいにポーターハウスの牛肉500g https://tabelog.com/imgview/original?id=r82957109250194 をひとりでペロッと食べるようなことはなく 100g〜150g 程度なのですが、少量を調理しておいしく食べることのできる牛肉料理は限られています。
この日、「紀ノ国屋 インターナショナル」の精肉売り場ショウケース最上段にはローストビーフにすると良さそうなランプ肉の塊(約3kg)があり、私を呼んでいました。
「半分ください。」と、言ってから自宅のフライパンの大きさを考えて「1/3にしてください。」
早速、下拵えです。塩胡椒をして香草 (セロリの葉っぱと九条葱の青い部分) を叩いて全部を Ziploc に入れて油を垂らし、空気を抜いて冷蔵庫へ放り込みました。これを二日後に取り出して室温に戻してから表面を焼いて、250℃に温めたオーブンに放り込んで直ぐに熱源を切り、放ったらかしにしておけば完成です。超カンタン料理です。
詳しくは、添付写真のコメントをご覧いただければ嬉しいです。
「如何でしょうか? 田中茂雄さん。」
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黄ニラの入った "福臨門酒家風焼麺" と竹中缶詰製天の橋立 "いわし油づけ" で酒が蒸発する
嘗て銀座にあった「福臨門酒家」で食べた黄ニラの焼麺を再現しました。
黄ニラは「紀ノ国屋 インターナショナル」で買うことができますが、 少量で450円/パックもします。これと根切りした細もやしを合わせ、"ひと工夫" を加え完成です。詳細は添付写真のコメントをご覧いただければ嬉しいです。
竹中缶詰製天の橋立 "いわし油づけ" もこの店で売っているのですが、「南サンボア洋酒店」をアップしたあの方がおいしい食べ方を教えてくれました。 https://tabelog.com/rvwr/motobusu/rvwdtl/B425313188/
昼間っからこんな簡単なもので酒が直ぐに蒸発するとは思ってもいませんでした。してやられた。
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「和食の素材もおいしいです。」鮃の昆布〆、蕪の炊き合わせで盃を重ねる
和食の基本は、おいしい出汁を引くことです。
私は、柴田書店「出汁の基本と 日本料理」に記載されている「瓢亭 本店」の引き方を参考にしています。
http://www.shibatashoten.co.jp/detail.php?bid=00600200
西洋料理もフォン(fond)やブロード(Brodo)が基本です。長時間熱を加えてメイラード反応を起こすフォン・ド・ヴォー (fond de veau)、 フォン・ド・ヴォライユ(fond de volaille) 、フュメ・ド・プワソン (fumet de poisson)、ソフリット (soffritto) などに比べて日本の出汁は素材そのものが既に発酵・熟成していますので、出汁を引く時間は短く、水と温度とタイミングを計ってあげれば簡単です。
でも、もっと簡単なのは ”サッサ” です。
明治の日本の大発明 ”サッサ” 。五味としての「甘味」、「酸味」、「塩味」、「苦味」、そして、「うま味」は、1908年に池田菊苗によってだし昆布の中から発見され、L-グルタミン酸ナトリウムが作られました。1913年には小玉新太郎によって鰹節から抽出したイノシン酸のナトリウム塩。1957年には国中 明によってシイタケ中から抽出したグアニル酸(グアノシン一リン酸エステル化合物)が作られ、現在、これらを組み合わせた ”サッサ” は、世界中で使われています。(卍さまよりご指摘があり、文章を少し訂正しました)
私はこれを否定はしませんが、「紀ノ国屋」で良い素材を調達することができ、調理の時間に余裕があるので使わないだけです。
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添付写真の料理の材料代は、全部で2,000円/一人ぐらいです。(酒を含む)
手前味噌で申し訳ございませんが、素晴らしくおいしい!!!!!
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黒豚ロース肉でトンカツを揚げた数日後、"莫" もどきのカツ丼を作る
ここ「紀ノ国屋 インターナショナル」には五種類の豚肉が売られています。
・梅山豚
・イベリコ豚
・うま豚
・ロイヤルポーク
・黒豚
それぞれの部位がカットされてショウケースに並んでいますが、何れも新鮮で余分な脂肉が削ぎ落とされ、見えない箇所にそれが隠されていることもなく正味の状態で売られていることに信頼を寄せる大きな理由があります。
五種類の豚肉の価格差は倍半分以上もあり、対面販売の客はお肉屋さんとの会話を楽しみながら自分の好みに合わせて好きなだけの量を包んでもらいます。私は、価格と味のバランスが取れた "黒豚 (鹿児島産か宮城産)" を指定することが多いです。
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私の生まれた昭和二十八年当時、両親は伯父伯母の住んでいた神楽坂の家の傍に借家をしていましたので、母は伯母から「豚肉は子供を育てる栄養素が豊富で廉価だから豚肉料理を作ってあげなさい。」と、指導されていました。豚肉には吸収効率に優れた良質なタンパク質、子供の成長に欠かせないビタミンが豊富で疲労回復に良いビタミンB1は牛肉の約十倍もあります。そんなこともあり、私は関西の牛肉主体の肉料理より豚肉料理に慣れ親しんでいたのかもしれません。
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この日、リブ側でなくロース側の鹿児島県産 黒豚ロース塊肉を購入しました。塊で買う理由は調理に合わせて厚みを自由に調整できるからです。ポークソテー、生姜焼き、ミネストローネ、煮豚などカッティングでおいしさの異なる料理に合わせることが可能です。ただし、肉切り包丁は何年も研いで刃の細くなったいわゆる牛刀を使っています。細くなっていますので脂身が刃に付着しても抵抗なくスッと切ることができます。
まずは、厚さ 20mmにカットしてトンカツを揚げ、数日後に "莫" もどきのカツ丼を作りました。
参考: "莫" とは、https://tabelog.com/rvwr/motonadi/diarydtl/53303/ です。(シヌモノビンボーさんの日記より)
調理の詳細と味については添付写真のコメントをお読みいただければ嬉しいです。
「トンカツは店で食べるものか、肉屋で揚げられたものを買う。」
と、仰る方が多いのは揚げ油や小麦粉・パン粉の後片付けが面倒だからだと思うのですが、慣れてしまえば簡単なもので、私の場合、調理しながら台所をきれいにしてしまいますので出来上がった時に残っている鍋類は、170℃に熱された油の入った鍋と油切り用のスノコと油盆だけです。
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パン・ド・ミ (Pain de mie) の "la mie" は "クラム" のこと。即ち、クラムのパン
【紀ノ国屋 インターナショナル Vol.3】
私は "菓子パン" 仏:ヴィエノワズリー (Viennoiserie) を買って、これを朝食や昼食代わりにすることがありません。
(イタリア滞在時は、イタリア人に合わせて朝食をビスコットとカフェだけで済ますことが多い)
クリーム、シュガー、果物、コンフィ、チョコレート、ナッツ、栗、ポテト、ハム・ソーセージ、チーズなどの入ったパンは、朝食や昼食に食べたとしても "食事パン" でなく "菓子パン" です。
添付写真の末尾に私が実際に訪れたヨーロッパのレストランとホテルでの "食事パン" を載せました。
世界中から宿泊客の集まるホテルの場合、クロワッサンやブリオッシュに甘いシュガーやチョコレートをコーティングした菓子パンも置かれていますが、私は手を付けたことがありません。何故ならもっとおいしい小麦の香りと味のする焼き立ての "食事パン" があるからです。
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パン・ド・ミ (Pain de mie) を買った翌日と翌々日の朝食はパン食です。
これに合わせるプレートは、sunny-side up (片面焼き) 。turn over (両面焼き) という目玉焼きもありますが、トリノに住む孫娘と好みが似ていてトロトロの黄身をソース代わりにパン・ド・ミ (Pain de mie) に付けたりオリーブオイルと混ぜたりして食べるのが好きです。この日は、Alba で買った白トリュフの入ったオリーブオイルを掛けて贅沢をしました。人工の香料でない本物の香りがします。おいしい!!!
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Calamari saltati e arance と Spaghetti alla pescatora を作る
【紀ノ国屋 インターナショナル Vol.2】
このSNSにはたくさんの豪華レビュアーが、GOLD、SILVER、BRONZE、ミシュラン星付き、BEST 50 など日本の超予約困難店を訪れた投稿をされ、私の知らない世界を見せていただくことがあり、『あー、そうなんだ。』『へぇー、すごいね。』『信じられなーい。』と、驚かされるばかりです。
その豪華レビュアーのひとりから「シチリアに行きたい熱、沸騰中(=^ェ^=)」というタイトルのレビューがあがり、そこに並んだシチリア料理の写真を見て『そうだ、カラマリ(Calamari、イカ)と柑橘のプレートを作ってみよう。』と思い立ち、キッチンに向いました。
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シチリア島へは二回 (合計約一ヶ月間) 訪れ、レンタカーを使ってシラクサとトラパニを結んだ北半分を縦横に訪れ、島全体がイタリア本土に負けないくらい歴史と文化の宝庫であることに驚かされました。
地中海のど真ん中に位置するという地政学上の要所であり、古代からローマ帝国、東ローマ帝国、ノルマンと支配が変遷し、13世紀には神聖ローマ帝国のフリードリッヒ2世(フェデリーコ2世、Federico II)の時に都が置かれ繁栄の絶頂期を迎え、その後フランス、スペインの領土となり、1861年のリソルジメントによって統一国家としてのイタリアになり今日に繋がっています。
輝く太陽の強い日差しに育てられた食べ物は海の物でも山の物でも何を食べてもおいしく、アフリカから地中海を渡ってたくさんの酸素を貯めたおいしい空気とおいしい牧草を食べて育つ羊の群れが草原をどんどん移動してあっという間に消えてゆく様子を時を忘れて眺めているのが好きでした。隣で同じ光景を見ていたシチリア人女性が「あの仔羊、今が食べ頃よ。」と呟きました。生活は厳しくとも心は豊かです。
シチリアには、レモンに赤玉葱、ニンニクとオレンジ、蛸とイチゴ、牛肉とオレンジ、サボテンの実のサラダなど、スパゲッティ・ナポリタンやナポリ・ピッツァしか知らない人たちからすると「この組み合わせはないだろう。」と、言われてしまう料理がたくさんあります。
この日、佐賀県産の大きな芝海老と青森産の槍烏賊が手に入りましたので、Spaghetti alla pescatora (漁師のスパゲッティ)と Calamari saltati e arance (カラマリ、Calamari、イカ)と甘夏みかんとオリーブオイル) を作りました。
妻が、「イタリアには行きたいけれど、日本のイタリアンは "外食" する必要がないわね。」と、 パレルモの白ワイン CORVO Bianco を飲みながら言いました。おいしい!!!
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とろみ白菜載せ "塩ラーメン" を作る
【紀ノ国屋 インターナショナル Vol.1】
紀ノ国屋の「醤油ラーメン」「塩ラーメン」「味噌ラーメン」三種の内、一番好きなものは「醤油ラーメン」なのですが、陳列ケースにありませんでした。
"外食" でラーメンを食べない母と妻が、「偶にはラーメンを食べたいわね。」と、言うので「塩ラーメン」をカートに入れました。
1パック当たり二人分が入っています。
土曜日の昼、これを三人分に当分し、トッピングに "白菜のトロトロ炒め" を作って麺が少ない分を補いました。当然、スープも一人当たり 2/3 ですから添付された液体スープを三人分に伸ばし、少し薄味ですが、このぐらいの塩味が丁度良いみたいです。こんな時、天狗物産製の両口片手鍋が重宝します。
白菜は、生っぽいシャキシャキ感の残る調理も好きなのですが、少し焦がしたぐらいに炒めてトロトロさせるとメイラード反応由来の旨味が生じ、おいしくなります。薬味は 5mm角状にカットした生姜です。細かく微塵切りにするより生姜本来の香りが残ります。おいしい!!!
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日本人としての年中行事を大切に受け継ぐ
大晦日の昼過ぎ、長野県に住む叔母(86歳)から母(92歳)に電話が入りました。
叔母:「今、大晦日に食べる "年取り膳" の料理を作っているのよ。〇〇ちゃんは、今年も黒豆を炊いたの?」
母 :「はい、27日から作り始め、昨日、本蜜に漬けたわよ。」
叔母:「ここ数年、東京から帰省する息子家族が買ってくる有名料理店の "おせち料理" だったのだれれど、
味に飽きたので、今年は私の作る "年取り膳" を食べたいというのよ。」
母 :「あら、それは嬉しいわね。お孫さん達も大人になって日本の伝統の味が分かるようになったのよ。」
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果たして "おせち料理" を作る家庭はどのぐらいあるのだろうか。
ここ「紀ノ国屋 インターナショナル」には "おせち料理" のための良い食材がたくさん並んでいます。大晦日に品薄になってしまうということは、多くの家庭で "おせち料理" を作っているからに違いありません。同時に "紀ノ国屋のおせち料理" を予約した客に引き渡しをするコーナーにもたくさんの客が列を作っています。
女性が社会進出し、家庭を持った女性も働く時代ですから、核家族化した形態で "おせち料理" を作る時間は取れません。日常生活の中でも出来合いを買って切って並べるだけの効率優先の食事をしている家庭が多いのですから企業が作った "おせち料理" を食べることに何の疑問も抱かない日本人が増えているのは仕方がないことです。
「だって、住宅ローン、学習塾、お稽古ごとの費用を稼いでいるんだからいいでしょ。あんた、文句あるの?」「正月は忙しくて休めないのよ。もーイヤーね。」と、声が聞こえてきたのでやめておきます。
せめて、一品ずつ味を整える煮〆ではなく、炊き合わせのような煮〆でも良いから少しだけ手間を掛けた正月料理を作り、"母の味" を伝承してもらいたいと願っています。
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フランスが誇る最高の熟成士エルベ・モンス (Herve Mons) の モン・ドール(Mont d'Or、黄金の山) でカンタンおいしい贅沢昼食
モン・ドール(Mont d'Or、黄金の山)は、フランシュ=コンテ (Franche-Comté)と呼ばれるフランス東部、スイス国境に位置する地域のおいしい牧草を食べている乳牛の無殺菌乳で作られ、コクがあり、滑らかな仕上がりのウォッシュタイプのチーズですが、デリケートなため寒い季節にしか販売されません。同じ牛乳で作られるコンテ(Comté)は、長期熟成が可能なハードチーズです。
ゴンドラの唄 (吉井勇 作詞、中山晋平 作曲)
いのち短し 恋せよ乙女
あかき唇 あせぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを
元歌は、ルネサンス期のパトロンであったメディチ家の四代目 ロレンツォ・デ・メディチLorenzo de' Medici (ロレンツォ・イル・マニーフィコ(Lorenzo il Magnifico)) が作った歌「バッカスの歌 Il Trionfo di Bacco」です。
https://www.youtube.com/watch?v=HdzXdtNIVfk
Quant'è bella giovinezza, 青春は美しきかな
che si fugge tuttavia! されど儚い
chi vuol esser lieto, sia: 楽しむ者は楽しめ
di doman non c'è certezza. 明日の日は定かならねば
モン・ドール(Mont d'Or) もおいしい時期は短く、いつ食べたら良いのか悩みます。
私は、覆われているシールを剥がしてチーズに酸素を供給し、エピセア (樅の木の一種)という木の樹皮の枠が少し変色するまで冷蔵庫内で熟成させてから食べます。
添付写真の状態でも素晴らしくおいしいのですが、もう少し蕩けた方が好きです。あと三日後かな。
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"カツカレー" ブームに乗り遅れる
11月中旬から12月初旬にかけて私のフォローしている方々の間で "カツカレー" の投稿が続きました。
https://tabelog.com/rvwr/motobusu/rvwdtl/B359032204/
https://tabelog.com/rvwr/wienerwald/rvwdtl/B421921114/
https://tabelog.com/rvwr/000404635/rvwdtl/B421437172/
ブームに乗り遅れまいと頑張ってみたのですが、"内食" が基本の私としては、好きな「資生堂パーラー 横浜そごう店」のカツカレーをアップすることができず、自作カツカレーに拘ったためタイミングを逸してしまいました。子供の頃、発した "後出しジョーク" で場がしらけたことに似ていますが、懲りずに投稿いたします。
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資生堂パーラーのレシピを基に作る "カレールウ" は、内径26cmの大鍋に一杯出来上がりますので近くに住む四家族が二度ずつ食べることのできる量です。以前にもご紹介していますが、合わせる具材は、夏野菜、牡蠣のムニエル、魚介類などその時に食べたいものを選べば良く、朝岡特製カレー粉 https://www.asaokaspice.co.jp/spice/library/410315.html を使ったこの "カレールウ" は、粘度と辛さをそれぞれの具材に合わせて調整すれば短時間で仕上がる便利な保存食です。
昼食にカツカレーを作り母と食べ、夕食は余り物のドゥミグラスで「レストラン代官山 小川軒」レシピのハンバーグステーキを作り、朝から晩までキッチンに立ち通しですから途中で燃料のアルコールを補給しました。Louis Jadot Domaine Gagey 2012 は、昼に開栓して夜に開いた樽香と土壌由来のアミノ酸味が素晴らしいブルゴーニュの赤ワインです。
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今年食べた日本のバゲットの中で一番気に入った baguette (杖、棒)
今年、イタリア滞在中に はたと気付いた「日本のパンは、ヨーロッパのパンに比べて何故おいしくないのか」をテーマにいろいろ考察してみました。
近年、俄かにブームとなっている "高級食パン" 、"お菓子パン・サンドウィッチ類 "、"讃岐うどん" には、仕掛け人が存在するのではないかと感じています。
小麦粉を使う食べ物は、"うどん・そば・ラーメン "、 ”粉もん” 、"餃子・中華饅頭” などたくさんあり、米食が主体であった日本人の大切な糖質補給食品でありました。戦後に始まった学校給食にコッペパンが採用されたのは「この子らにパンを食べさせれば大人になってもパンを食べるぞ。小麦が売れる。」という頭の良い人々の長期戦略だったということは皆様ご存知だと思います。これはその後の1971年ハンバーガーショップ一号店進出に繋がり、今日に至っています。日本は貿易立国ですから相手国と友好的な均衡関係を維持しなければなりません。その為には小麦の消費を増やし続けることが国民に課せられています。自動車やハイテク製品を輸出するには仕方がありません。
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我が家では "お菓子パン・サンドウィッチ類 " を食べて食事の代りにすることがないので、これらを買うことがほとんどなく、余分な味や香りの付いたフワフワ、モチモチした "高級食パン" も食べません。買うのは専ら "食事パン" です。イタリアでトラッテリアやリストランテに入ると Coperto(コペルト、テーブルチャージ料) と呼ばれる "食事パン" です。
この日、三日前から仕込みを始めた オッソブーコ(Ossobuco alla milanese) とドゥミグラス(Demi-glace) 同時進行の完成に至りました。西洋のキッチンには昔からオーブンだとか竃というのがあり、弱火でじっくり調理するフォンやブロードを使った料理が基本になっています。日本でも炭火を熾した囲炉裏の自在鉤にぶら提げた鉄鍋でコトコト煮物料理をしましたが、どちらも同じです。私が使っているリンナイ製のガスコンロ(RHS71W22E4V2D-STW) は、自動温度調整機能、120分タイマーが付いていて長時間弱火調理にも向いています。
ドゥミグラス(Demi-glace) より二日早く出来上がった "骨と髄の無い" オッソブーコ(Ossobuco alla milanese) に合わせる Risotto alla milanese を妻の帰宅に合わせ作り始め、 "食事パン" には紀ノ国屋 インターナショナルのバックヤード内パン調理室で焼いている「トラディション・バゲット」を用意しました。以前から売られているこのパンのおいしさを知ったのは最近のことです。
このSNS上にもたくさんのパン好きのレビュアーがパン屋をあげていますので、それを少しづつ買っては食べ、結論として "パンは西高東低" という冬型の気圧配置と同じになりました。関西人の味覚は東京人より優れている キガシマス (©︎KYTさん)。と、言っても新幹線に乗って買いに行くことはできませんので東京で探したのですが、探し足らないのか、存在しないのか、私の味覚がおかしいのか、なかなか気に入ったものが見つかりません。
今のところ、ヨーロッパ人も買いに来るというこのシンプルな味の「トラディショナル・バゲット」が、東京で一番気に入った baguette (杖、棒) です。パン職人が交代してもこの味を守り続けているインターナショナル店のパンチーム(販売を含めた) の伝承された力量と努力に頭が下がります。
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イクラの季節到来
私の贔屓にしているすし屋の親方は、形よく握ることのできないすし種は使いませんので先日「吉野鮨本店」で食べた "イクラの軍艦巻き" やアオヤギの貝柱(大星) "はしらの軍艦巻き" というのは出てきません。このSNSに皆さんが投稿している "雲丹のにぎり" は軍艦巻きにせずとも酢飯の上に載っているのですが、さすがに軍艦巻きでないイクラとはしらの "にぎり" はありません。
二十年ぐらい前にはプラっと寄って "おこのみ" で食べることのできた「すきやばし 次郎」には、 "イクラの軍艦巻き" があります。イクラは沖合で獲れる鮭の腹子を使う今頃のものが柔らかくおいしいのです。小野二郎さんは旬の内にこれを一年分仕込んで小分けし、冷凍保温していますのでいつでも皮の柔らかいおいしい "イクラの軍艦巻き" を食べることができます。
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この日、鮮魚売り場で今年初めての "生筋子" を見つけました。
「今年もイクラの季節になりましたね。」と、専業売り場の責任者に声をかけると、
「ええ、今回これが二度目です。今年は鮭の漁が好調で良いものが入ってきました。」とのこと。
半腹 (301g) を買い、自宅に戻って早速 イクラにばらしました。温い塩水の中で解すと良いと言われ、熱い湯を使った方が簡単だという人もいますが、私は浄水器を通した冷たい塩水の中で解します。この方が皮が硬くならず出来上がりがおいしいです。胎盤のような膜から外すのが大変だという方もいますが、慌てずゆっくり膜を引っ張るようにするときれいに外すことができます。半腹の処理時間は凡そ15分ぐらいでしょうか。何事も丁寧に素早く指を使うことが大切です。
私は冷凍保存しません。今年は何回食べることができるのだろうか。
簡単ですから皆さんもご自宅で作ってみてください。
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大正九年生まれの亡父は木曽の出身でした。鮎や岩魚などの川魚以外の新鮮な海の魚を食べることは稀で、塩漬けした烏賊や筋子に馴染んでいましたので、"イクラの醤油漬け" より "塩漬けの筋子" を熱々のご飯に載せて食べるのが好きでした。昭和三十年代は貴重な品ですから子供の私が口にすることはありませんでした。
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北海道、"名残" の「赤肉メロン」と "酸味のある"「仁木町のトマト」
9月下旬のある日、「紀ノ国屋 インターナショナル」で買い物をしていると果物売り場にパック詰めされた「赤肉メロンカット」(ふた切れで980円) を見つけました。マスクメロンが一年中販売されているのに対し、この赤肉メロン(キングルビーなど)は7月の一ヶ月間だけ店頭に並ぶ果物です。珍しい!
食べ物には、「走り」・「盛り」・「名残」があります。それぞれのおいしさと食べ方があり、丹波の松茸や冬においしい大間のマグロなどの高価なものを食べずとも季節の "うつろい" を感じながら生活することができます。これは四季のある国々の人々にとってとても楽しいことです。
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40年以上前のホテル御三家で行われる企業懇親会 (立食パーティ) に並ぶ "生ハムメロン" は今の時代とは異なりパルマ産プロシュットが使われることはなく、作り置きされ生ハムはふやけ、マスクメロンは塩っぱくなって "おいしくない" ものの代表でありました。
先日訪問した「レストラン 代官山小川軒」では、添付写真七番目のようにマスクメロンが使われていますが、パルマ産プロシュットと別々に供されます。そのひとつ前の写真はミラノで食べた赤肉メロンとプロシュットの組み合わせですが、このようにすると自分の好きなように食べることができます。プロシュットをコペルトのパンに挟んでもそのまま食べてもよく、メロンでワインを飲んでもおいしく、組み合わせは無限です。(この日は、半値で売られていたLes Forêts Chablis 1er Cru 2016を合わせる)
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最近の日本のトマトは "甘いだけ" で酸味が足りません。
特に8月に入るとこれが顕著となり、トマトの酸味が薄れます。どうして日本の農家は野菜も果物も甘いものばかり追いかけて生産するのでしょうか。シャインマスカットなど甘いだけで砂糖水に少し香料を垂らして飲んでいるようなものです。40年以上前のマスカット・オブ・アレキサンドリア(種あり)は、香りが強く酸味もあり、なるほどクレオパトラが好んだ葡萄という味でした。
この店で扱っている「仁木町のトマト」(北海道産) は、酸味がありおいしいです。
これも既に「名残」となってしまいましたので、十月になった今日以降は売られていないかもしれません。
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【おいしいを作ろう】レストラン代官山小川軒のレシピによるハンバーグステーキ (ドゥミグラス付き)
"内食" のレビューばかりで "外食" が少なく、皆さんのようにたくさんの店を紹介することができない私の【おいしいを作ろう】シリーズは、このSNSが今年前半に使っていたコピー【おいしいを見つけよう】と同根【おいしいものを食べて幸せになろう】です。
1970年代にピンクのヘルメットを被った榎 美沙子代表の「中ピ連」(中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合) というウーマンリブ団体があり、「私作る人、ボク食べる人」というTV-CMに噛みつき、これを放映中止に追い込んだことがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=NM9XwZqps2o
この言葉を借りると我が家は「ボク作る人、私食べる人」です。(妻の名誉のため彼女も料理上手であることをここに記します)
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イタリアから帰ってきて二ヶ月が過ぎました。未だ「レストラン 代官山小川軒」を訪問していないのですが、もう一軒の食べたい店はシェフの帰国に合わせて予約を済ませました。あとは当日のアラカルトメニューが出来上がるのを待つばかりです。
「もう、他所の店へ行かなくて良い。」のではないだろうかと感じさる「レストラン代官山小川軒」が世界文化社から出版している「小川軒の洋風料理」という本があり、「料理には、ふたつのものしかない。うまいかまずいか。それを決めるのはお客さんだよ。」と仰るオーナーシェフ小川忠貞氏のレシピもたくさん載っています。
今日は、良い牛挽肉が手に入りましたので、1.5kgを使って15個のハンバーグステーキ (約500円/人) を作りました。"食べログ" は料理教室のSNSではなく、あくまでも店の料理と商品を紹介するものですから、詳細の手順については、添付写真を参考にしていただくか、この本を購入してご覧いただければ嬉しいです。
おいしいハンバーグステーキはパン粉などの増量材は使いません。牛肉が決め手です。
加える調味料は少なく、少量の塩・胡椒、パルミジャーノ・レッジャーノ、卵の黄身、赤ワイン、生クリーム、生の玉葱だけです。需要なのは手順と焼き方です。
小川軒には敵いませんが、四日間かけて作ったドゥミグラスを皿に流し、その上に焼きあがったハンバーグステーキを載せると「おいしい!!!」となり、赤ワイン(CaVioLa Dolcetto d'Alba) が直ぐに空となりました。
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【おいしいを作ろう】ブイヤベース (bouillabaisse) を作る
千代田区神田淡路町の「Bistro29」でおいしい「天使のエビ入りブイヤベースカレー」を食べた後、車で青山へ向かった私は、『ブイヤベースに適した魚は揃っているかなぁ。』と考え続けていました。魚介ベースのスープは、滋味豊富で満足感が大きいです。
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現役の頃は、休みの土日にしか買い物に行けませんでしたが、"毎日が日曜日" の現在は、休市カレンダー http://www.shijou.metro.tokyo.jp/calendar/2019/ を確認して市場が営業している日の午後に行っています。
この店には旬の新鮮な食材が豊富に揃っていますので、近隣の飲食店の調理人らしき姿の人も足らない素材を買いに来ている キガシマス (©︎KYT氏)。大概のものは揃うのですが、この日は香味野菜として使うフェンネルが売り切れ、殻付き芝海老も佐賀の海が荒れていて入荷がありませんでした。
ブイヤベースに使う魚介はマルセイユなど地中海で獲れる地魚 (雑魚) を使うと一番おいしく仕上がるのですが、市場で仕入れている日本のスーパーマーケットに雑魚はありません。従って、どう作っても上品な味になってしまうためお腹にズンと来る "下手味" が足りません。
購入当日は帰宅が遅くなりましたので、夕食開始時間(午後六時半頃) に間に合わず、翌日の昼前から調理を始め、出来上がったのが午後六時でした。
フォン(出汁)を引く手間は、和食が一番楽です。
・昆布、鰹節で引く一番出汁
・昆布、魚のアラで引く出汁
・イタリアンの基本野菜出汁ソフリット(soffritto)
・フュメ・ド・ポワソン(fume de poisson)
・フォン・ド・ヴォライユ (fond de volaille)
・フォン・ド・ヴォー (fond de veau)
この順で時間が掛かり、日本の出汁は昆布を60℃の湯で30分間浸す時間が必要ですが、準備から完成まで1時間以内に仕上がります。ところが、弱火でメイラード反応をじっくり進める西洋の出汁は、ソフリットで1時間半から2時間、フォン・ド・ヴォーが最低2日間、ドゥミグラスに至ってフォン・ド・ヴォーを作った後、最低でも2日間、丁寧に作れば4日間も掛かります。途中で焦がしては初めから作り直さなければならず、相当気合を入れなければ完成しないのですが、缶詰やレトルトパックの市販品には比べることのできない味に仕上がります。
妻が帰宅し、
「玄関を開けたらマルセイユの匂いがしたわ。あなた、ワインはSANCERRE 2017 にしましょう。」
「立ち通しで疲れちゃったから、コルク栓ぐらい開けてくれないかなぁ。」
「ソムリエナイフは苦手だからお願いします。」
と、なりました。
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いろいろ作っている Casalingo (主夫) Vol.3 、 "外食" も いいけれど "内食" も おいしいなぁ。
「作る楽しみ」「壊す(食べる)歓び」。
私が料理を始めたのは今から30年前の1989年、初めてミラノへ行った時からです。(ベルリンの壁崩壊の年)
それ以前は、「箸が並んでいないから料理を食べることができない。」「皿の向きが逆だから手をつけることができない。」など、36歳の "男子厨房に入らず" 丸出しの亭主関白でした。
「oggetiさんね、イタリアの男性でクリエイティブな仕事をしている人は皆、料理が上手なんですよ。」
と、日本経済新聞の編集者に紹介してもらった建築家から言われ、考えました。
彼の家に招かれ、簡単な昼食 (ミラノ・ガレリア傍にあるPeck S.p.A
https://tabelog.com/rvwr/000124517/rvwdtl/B224985592/ で買ったパンとワインとチーズと) の何とおいしいこと。買ってきて並べるだけの料理といえばその通りなのですが、数ある店の中でこれを選ぶことのできる選択眼は一朝一夕でできることではないことは即座に理解できました。
クリエイティブな人間は、ルーティンワークに追われているわけではなく、どうしたら "心地良い" 生活ができるのかを考えてる人たちです。結果として成功し、世間から評価を受ける人もいますが、そんなことより『どうしたら喜んでもらえるのだろうか』と、考えている人が多い キガシマス (©︎KYT氏)。
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帰国して一ヶ月半が過ぎ、豊洲市場の夏休みもあり、普段から"外食" の少ない私は "内食" に凝ることとなりました。
"外食" して『これだったら自分で作った方がおいしい。』とか『よくこれで客からお金を取るよなぁ。』と、思うことも偶にあるのですが、『さすが、プロの仕事はちがうね。』と、驚くことの方が多いかもしれません。適正な市場価格というのがありますので、「高くておいしいのは当たり前」、イタリアのように「安くておいしいがいっぱい」とならない国、日本において、余命を考えたら『おいしいものを食べたい』となるのは必然であり、当然のことであります。
添付写真にいろいろ載せました。
一番 気苦労だったのは、「牛ヒレカツ」に添える "ドゥミグラス (demi-glace)" です。
冷凍保存したフォン・ド・ヴォー (fond de veau) があったとはいえ、朝から晩まで台所の火加減を気にしなくてはならないというのは体力のいる作業です。
お時間の許す方だけで結構ですから、パソコンで添付写真をご覧いただき「いいね!」をポチしていただければ嬉しいです。
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日本に帰ってきても料理をいろいろ作っている Casalingo (主夫) です。Vol.2
「夏休みになると子供が家にいて、昼ごはんも用意しなくてはならないからタイヘンよねー。」
「ワタシなんか作んの面倒だから、夜は "コンビニ弁当" か "マクド" よ。」
「そうそう、私もこないだ "コンビニ弁当" 買ってきて子供に食べさせ夏期講習に行かせたわよ。タイヘンだったー。」
「でも、偉いでしょー。」
と、いう会話が聞こえてきました。
この親に育てられた子供が大きくなって日本の飲食を支えていくのですから現在の潮流が変わることはないでしょう。いえ、既に世代をわたってこの状況があったから今があるということです。
「だってワタシ、子供の塾代を稼ぐために働いているんだから手間の掛かる料理なんか作ってられないのよ!」
と、いう声も聞こえた キガシマス (©︎KYT氏)。
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イタリアから帰ってきて一ヶ月が過ぎ、ようやく体内酵素が日本人に戻ってきました。
"外食" よりも "内食" の多い私は、イタリアでも娘の家で作る "内食" が殆どでしたから飲食店のレビューが増えないというこのSNSの管理者から睨まれそうなレビュアです。
また、「同じ店ばかり載せるな!」「まただよ。」とお叱りを貰っていると思うのですが、レビュアの中には贔屓の店を百回以上投稿している方もいらっしゃいます。四十数回というのは許容範囲ではないかと勝手に思っています。
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1910年創業、1953年日本で初めてのセルフサービス・スーパーマーケットとして営業を開始した「紀ノ国屋」は、東京青山にあるインターナショナル店を利用することが多いですが、東京国立市の「信川円」へ行った時には、国立店でも空っぽになった冷蔵庫を補充するために少し購入することがあります。
イタリアの約十倍という食料品の高い日本のスーパーマーケットは手が出し辛くなってしまうのですが、おいしくて安心できる品質の品物が揃った「紀ノ国屋」で買う理由として、「顔の見える互いの信頼関係」があります。この店は、仕入れ担当、ストックヤード管理者、販売店員、レジ担当者の皆さんが「顧客に "おいしい" ものを提供する」という使命に徹しています。
ここ一ヶ月間で Casalingo (主夫) が作った料理の一部を添付写真として載せます。コメントを参照していただければ嬉しいです。
調理に要した順に書くと、
1、資生堂パーラーのレシピで作ったカレールウ 10時間(フォン・ド・ヴォライユ fond de volailleを含む)
2、ラグー・アッラ・ボロニェーゼ (ragù alla bolognese) 5時間(ソフリット soffritto を含む)
3、香辛料で作るチキンカレー 4時間(鶏肉をマリネした時間を含むと18時間)
4、切って並べるだけの料理 (素材がおいしいから足し算が不要)
です。
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日本に帰ってきても料理をいろいろ作っている Casalingo (主夫) です。Vol.1
ウィーンから羽田空港に到着し、「神田まつや」で日本酒と出汁の香りを堪能した私は、都営新宿線「小川町駅」で地下鉄に乗り「市ケ谷駅」で乗り換え、半蔵門線「表参道駅」で降りました。
目的は、「瓢亭の土佐醤油」です。
MSSBHNSさんが買い占めた後、補充されていることを祈って地下鉄駅の階段を上ると青山通りの左手にスパイラルホールを確認するも『土佐醤油、土佐醤油』と気になり、一目散に売り場へ降りて行きました。
「あったー。」
東京に住んでいますから、一本だけをカゴに入れ、卵も調達し、母の好きなもの、妻の好きなものを優先しながら最小限の品を買い求め、二つの紙袋に詰めてもらい家路を急ぎました。
今回も飛行機の中でよく眠れましたのでジェットラグはなく、「ただ今、帰りました。」と仏壇に手を合わせ、旅の無事を感謝し、早速、夕食の準備にかかりました。 Casalingo (主夫) は忙しい。
と、書いたところで今日の夕食の準備をしなければならなくなってしまったので、添付写真のコメントをお読みいただくことで失礼いたします。
「日本では和食を食べなはれ。」ですね。 おいしい!!!!!
(イタリア仕込みの私が作るイタリアンもおいしいですよ)
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追加です。
"TKG" は、あまり掻き混ぜないで食べるのが好きなのですが、こうすると、
1、ご飯だけ
2、ご飯と醤油
3、ご飯と黄身
4、ご飯と白身
5、ご飯と黄身と醤油
6、ご飯と白身と醤油
7、ご飯と黄身と白身と醤油
8、黄身と醤油
9、白身と醤油
これらの味の違いを楽しむことができ、更に時間経過とともにご飯の熱が伝わった部分とそうでない部分の味の変化も加わり、それらの組み合わせを考えると無限の悦びを味わうことになります。
オリンピック金メダリスト 羽生結弦選手もフランス人のフランソワーズ・モレシャンさんも「卵かけご飯、ワタシ 大好きでーす。」と言っています。
あっ、大切なことを書き忘れていました。
「卵は、冷蔵庫から半日ぐらい前に出しておき、室温に戻す」若くは、「冷蔵庫に入れない」ことが大切です。牛肉のステーキと同じです。
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紀ノ国屋 青山の「醤油ラーメン」は、イタリアで食べてもおいしい!!!!!
以前は、空港の売店で買う箱入り「〇〇生ラーメン」をトローリーに詰めてお土産としていたのですが、ここ数年は紀ノ国屋 青山の "醤油ラーメン" を「日本のラーメン食べたい。Voglio mangiare Ramen giapponese.」と言う孫娘のため、トロ箱に保冷剤と共に入れて持って行きます。
二枚目の写真にあるように "うま味調味料" が入っていません。イタリアの水を使ってもナチュラルな味がします。私は、日本へ帰ればいつでも食べることができますので、もう六年間も帰国していない娘に多めに盛ってあげました。
「パパ、これ凄くおいしい!!!!!」
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【おいしいを作ろう】メバル(ハチメ)の煮付けを突っつきながらゆっくり酒を愉しむ
背中に根っこが生えたのではないかと思うくらい起き上がるのが億劫でも朝七時半にオフィスに入り、そこを離れるのは毎日夜の十時頃という生活を二十年ぐらい続けていた時期がありました。社員には「働き方改革」を徹底していましたので定時で帰れる良い会社だったのですが、自身は体が悲鳴をあげるまで痛みを感じないという特異な体質になっていました。ISO、Cpk、BCPなど取引先からのふるい落としに生き残るため必死に対応しなければステップアップできないという焦燥感に追い立てられる状況が長く続きました。得るものは大きかったのですが、失ったものもたくさんあります。
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隠居して凡ゆるしがらみから解放された現在、「いついつまでに何々しなければならない」と PDCA を回す必要がなくなり、自由でより人間らしい生活を送っていることに感謝しなければなりません。
この日、おいしそうなメバル(ハチメ)があったので煮魚にしました。
湯引きをして小さな鱗を洗い流し、飾包丁を入れてから炊きました。小骨に注意しながら箸で突っつき、おいしい酒を盃に注ぎ、ゆっくり食べます。
ほうれん草は、大鍋に沸かした湯に浸し、もう一度クラっとしたところで引き上げ、ビルトイン浄水器を通し、桶に入ったたっぷりの水で灰汁を除き、笊に上げて水気を切り、出汁を掛け「おひたし」にしました。寒い季節の葉もの野菜はどれもおいしいです。
こういう "和" の食材に酒、醤油、味醂など日本の調理を施し、アルペルギルス・オリゼ(ニホンコウジカビ、Aspergillus oryzae))が活躍したおいしい日本酒を合わせると『日本人でよかったなぁ』と思うのであります。きっと、DNAに刻まれているのでしょう。
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【おいしいを作ろう】水に拘る (ビルトイン浄水器)
引越した最大の理由は、バリアフリーで建物のエントランスから全て階段の無いワンフロア住宅が高齢(満91歳)になった母にとって安全で都合が良いということでした。
リビングルームの隣室が母の和室であるため、以前の住まいに比べ母との会話は多くなり、押入れの奥に仕舞ってあった古いアルバムもたくさん出てきて茶飲みの話題に事欠くことはありません。とても良いことです。
以前から妻と私は別々の部屋で独自の居場所を作っていましたが、バッグだの帽子だの靴などの持ち物の多い妻が大きな部屋を選んだのは当然です。引越し荷物には日本で美学美術史を学んでいた娘の本もあり、「まあ、この美術書 いくらしたのでしょうか。」と印刷技術の優れたヨーロッパの出版社が発行した分厚く大きな本がたくさん出てきました。インターネットでいくらでも検索できる時代とはいえ、これらは我が家の宝物です。
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環境との適合性を表す言葉に「水に馴染む」「水に慣れる」「水が合わない」などがあり、快適な新生活に満足しているのですが、毎日料理をしている私がどうしても改善したい部分が「水道水の味」でした。"東京水" はおいしくなったと言われますが、土地が変われば微妙に水質も変わるようです。
新しい水栓金具には浄水フィルターが内蔵されていたのですが、出汁を引いてもご飯を炊いても従来の味にならないのです。とても微妙な変化なので妻は、「余分な出費は抑えましょうよ。そのうち水に慣れます。」と然して気にしていないように振る舞っていたのですが、母と私が、「毎日のことだから何とか改善したい!」と押し切りました。
「C1 Master」http://www.nestor.jp/product/water_cleaner/index.html これは業務用の浄水器です。
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この日、なめたかれい (滑多鰈) が、おいしそうでしたので、煮魚にしました。
おいしい水を沸かして湯引きをし、あっさり目に炊いて魚本来の旨味を引き出すようにしました。おいしい!!!!! 雑味の無い滋味豊かな味に仕上がりました。
ご飯を炊いても、味噌汁の出汁を引いても、母が「やっぱり違うわね。」と、喜んでいます。
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ビルトイン浄水器の設置と同時に別付けの "シャワー切り替え弁付き浄水フィルター内蔵の水栓金具" もシンプルな水栓金具に交換しました。業者が、「お客さん、現在付いている新品の水栓金具は定価で8万円ぐらいします。こっちのシンプルなものはネット販売価格が1万円ですが、よろしいのでしょうか?」と訊いてきました。
"シャワー切り替え弁付き浄水フィルター内蔵" しかも "伸びるホース内臓" が故、柄が太く視界を邪魔するのが気に入らず、最もシンプルな柄の細い混合水栓金具に交換してもらいました。
メーカーは、付加価値のある新製品を開発して価格を引き上げ、売り上げ増を狙うのでしょうが、"もの" は、シンプル(単純な構造) なものが一番良いです。料理も何事も。
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【おいしいを作ろう】女もすなる化粧といふものを、男もしてみむとてするなり
豚肉には、疲労回復に有効なビタミンB1、神経痛改善に良いビタミンB12、コレステロール抑制効果のあるオレイン酸、冷え性の改善と肌に潤いやハリを与えるナイアシン、美肌効果に大切な良質なタンパク質、これらの要素がたくさん含まれています。
歳を重ねた人が、新陳代謝の良い若い人のような暴飲暴食をすると消化しきれずメタボリックシンドロームに陥り、いろいろな数値が悪くなりますが、歯が悪くなって食べることができないからと言って汁掛けご飯などの "粗食" を続けていると老化現象が顕著になります。
口から入る食べ物が身体を作っているのですから水と光合成で成長する植物と動物とでは異なります。犬猫、金魚を見ても充分な栄養素とエネルギーを与えてもらえなければ毛艶が悪くなり直ぐ病気になってしまいます。仙人のような超人であれば "霞" を食べていれば生きることができますが、吉田 茂のように "人を喰っている" ぐらいが良いのかもしれません。
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「立てばたつ ゐれは又ゐる 吹く風と浪とは思ふどちにやあるらむ」
この日、北風も穏やかになり花粉の舞も少なく、青山まで買い物に出かけました。
母と妻は牛肉と鶏肉を好んで食べないのですが、豚肉をおいしく調理するとたくさん食べてくれます。二人が年齢より若く見えるのは、上記の理由によるものかもしれません。さすがに母(満91歳)は写真の量を食べませんが、それでも八割方を食べて「おいしかった!」と喜んでくれます。
購入した翌日の昼に「ポークソテー」、二日置いて「ロースかつ」、余分に揚げて残した二枚で「かつ丼」を作ります。ポークソテーのコツは、仕上げに醤油を垂らした白ワインをフライパンに投入し、蓋をして蒸し焼きにすることです。とても柔らかく仕上がります。今回のロースかつは、170℃で揚げてみました。衣の色が薄いですが、肉はしっとりジューシーに揚がっています。
おいしい!!!!!
去年7月、ミラノのマルペンサ空港から帰国する際に『そうだ、妻に土産を 買おう。』と気付き、スイスの基礎化粧品メーカー「la prairie」の SKIN CAVIAR ABSOLUTE FILLER とイタリア製コットン−シルク生地のサマーセーターを買いました。
「SKIN CAVIAR は持っているから、あなたが使ってみたら。」
https://www.laprairie.co.jp/jp/absolute-filler/95790-01203-49.html?cgid=moisturizers#icid=navcatmois&start=1
と、言われたので朝風呂の後に頬の周りに塗ってみると一ヶ月ほどして効果が現れてきました。
イタリアの空気は澄んでいますので日照が強く、毎日の散歩でかなり日焼けしていたのです。特に両目の下、頬の上部にシミが出来ていたのですが、これがきれいに無くなりました。
男性だから歳をとってシワやシミがあるのは自然で良いという方もいらっしゃいますが、やはりハリがあってツヤツヤしている方が健康的だと思います。豚肉の効能と合わせて外部からもケアすることが大切であるという キガシマス (©︎KYT氏)。
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【おいしいを作ろう】正月三が日以降、鏡開きまで、どう工面して食い繋ぐのか
「内食」が主体の我が家は、12月29日が年末最後の買い物でした。
25年ぐらい前に買った普通サイズ(455L)の冷蔵庫に入り切らない食材は、天然冷蔵庫 "納戸" に仕舞って年を越しました。
大晦日、女性陣がおせち料理を作り終わった後、ソフリット(イタリアの野菜出汁) を一時間かけて作り、トマトホール4缶を鍋に投入して三時間ぐらい放っておけば、おいしいサルサ ディ ポモドーロ(トマトソース)が出来上がります。これを冷蔵庫の隙間に入れて小出しに使えば、おせち料理が切れても保存の利く素材で何とか凌ぐことができます。以下、写真をご覧いただければ嬉しいです。(何故かイタリアンが多い)
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昨日(1月9日) も東京卸売市場は休日でした。そろそろ買い物に出かけよう!
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【おいしいを作ろう】スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ(Spaghetti alla carbonara)
大晦日に四軒分を作った "おせち料理" は、それぞれの家庭で新年を祝いながら食され、我が家では 1月5日の朝、三度目の雑煮に使った のし餅と共に全て無くなりました。朝からお屠蘇で有り難いことです。
昨日 (1月4日) が、仕事始めの方も多かったと思います。
「市場開場日・休業日年間カレンダー」http://www.shijou.metro.tokyo.jp/calendar/2019/ によると、東京都中央卸売市場は今日が初競りです。ご祝儀相場のとんでもない値段で競り落とされたクロマグロ(本鮪)がありましたが、命懸けの仕事をしている漁師さんが潤うのであれば結構なことです。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39673070V00C19A1MM0000/
現在は、流通と保存技術が良くなりましたので、松の内といえども外食でおいしいものを食べることができるようですが、本格的に漁師が海に出るのは来週になってからでしょう。同時に料理人もゆっくり英気を養っていただきたいと思います。
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年末に買っておいた保存の効く食材 (チーズや乾麺) を使って、スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ(Spaghetti alla carbonara)を作りました。調理日が今日なので1月のレビューとさせていただきます。
パンチェッタ (Pancetta) が店頭に並ぶのは、クリスマスシーズンが始まる頃です。以前は年中置いてありましたが、ここは日本ですから、これを使って家庭で調理をするのは日常茶飯のことではないようです。
写真をご覧いただければ簡単料理であることがお分かりだと思いますが、味を決めるのは それぞれの素材です。イタリアだとグアンチャーレ (guanciale) という豚の頬肉を塩漬けにしてから熟成させた加工肉が何処でも売っているのでこれを使いますが、紀ノ国屋 青山のパンチェッタ (Pancetta) でも美味しく出来上がります。
塩は一切振りません。パンチェッタの塩分、パルミジャーノの塩分、スパゲッティを茹でた時の塩分だけで充分です。
レタス&トマトのサラダと赤ワイン Renato Corino Barolo 2013 (Nebbiolo種) でイタリア気分に浸りました。外に出ても疲れるだけですから正月ぐらいは、 "内食" でゆっくり休みましょう。
Felice Anno Nuovo 2019
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【おいしいを作ろう】今年の "雑煮" は、孫娘が手伝ってくれました。
小学一年生の孫娘が "雑煮作り" を手伝ってくれました。
初めて見る鰹節が魚の形をしていることに驚き、これを削っても子供の力では粉しか出てきませんが、三歳半の弟と一緒に小皿に盛った粉状の鰹節を「すごく、おいしい!」と言って食べ、何度も削っていました。私は金槌を持ってきて、カンナの刃の調整も教えました。
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我が家の雑煮は、清汁、のし餅、鶏肉、小松菜、なると の "東京風雑煮" です。
(素材の調達は、紀ノ国屋インターナショナル店)
私は、京都の "丸もちの入った白味噌の雑煮" が好きなのですが、今年は所用のため正月に行けず、旧正月が過ぎた頃に予定しています。春になって陽が延びたとはいえ一年中で最も寒いのですが、観光客の少ないこの頃の静かな京都が好きです。
妻の実家の義母が作る新潟塩沢の "鮭雑煮" も大好きです。ほとんど汁気のない雑煮は塩鮭の骨や脂身から出てくる熟成した海の香りが、素朴な田舎料理そのものです。今は料理を作らなくなってしまったので義理の妹がこれと旦那の出身地岩手の味をミックスした "岩手風雑煮" を作ってくれます。
孫娘が手伝ってくれた今年の雑煮は、例年に増しておいしく感じました。彼女が大きくなったら大晦日に来て、母の指導の下、伝家のおせち料理を習得するのでしょう。そうあって欲しいと念じています。
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2018年を紀ノ国屋インターナショナル店のレビューで締め、新年を同じ店のレビューで始めさせていただきました。
今年は、どんなおいしい料理と出会うことができるのでしょうか。皆様の投稿を楽しみにしています。
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【おいしいを作ろう】おせち料理の基本は、包丁 と 出汁 です。
我が家のおせち料理は、12月25日に母が黒豆を水で戻すことから始まります。
昨日、小晦日 (こつごもり) に 包丁を五本研ぐのは、私の仕事です。
本日、大晦日 (おおみそか) は、”のし餅” を俎の上で切り分けることから始まりました。東京ですから角餅です。
続いて、大鍋に基本の出汁 (一番出汁、二番出汁、昆布出汁) を引くのも私です。
この二つが済まないと料理が始まりません。
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「紀ノ国屋 インターナショナル」へ出入りするようになってから43年が過ぎました。この会社の "食” への拘りが維持される限り、私は通い続けるでしょう。いつも良い食材をご用意いただき、ありがとうございます。
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今、午後五時を過ぎました。
後、何時間で重箱に収まるのだろうか。
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フランスが誇る最高の熟成士エルベ・モンス (Herve Mons) が戻ってきた モン・ドール(Mont d'Or)、トム・ド・サヴォワ (Tomme de Savoie)
1953年 (昭和28年) 日本初のスーパーマーケットとして青山に開業した紀ノ国屋は、2010年 (平成22年) 、JR東日本の子会社になりました。その後も変わらぬ質の高い品揃えと優れた接客によって多くの顧客の支持を得て今日に至っています。
近年は、高級食品を扱う百貨店 (いわゆるデパ地下) や食品専門店が日本中に出店していますので、老舗高級食品スーパーとして安閑としていられないというのは、どんな業種にも当て嵌まります。
エルベ・モンス (Herve Mons) は、現在のAoビルに入った時に作られた熟成室で厳重に管理されていたのですが、ヨーロッパと日本の気候が異なるため、酵母による発酵・熟成の扱いは難しく、本国からの出荷も波があり、2010年頃に販売を中止してしまいました。生鮮食品を扱う小売業の難しさでもありますが、このチーズを目当てにして集まる顧客というのは、おいしいものを追求するためには多少の出費を厭わないという有難い存在であったはずです。その後、よりおいしいチーズを求め、あちらこちら彷徨って紀ノ国屋 から離れてしまった人々もいたと思われます。経済合理性を優先して無駄を排除する経営手法は正しいのかもしれませんが、ブランド価値を維持するにはバランスが必要です。現在、アメリカの巨大企業GEでさえ苦境に陥っていることを見れば明らかです。
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この日、「oggetiさま。今、エルベ・モンス (Herve Mons) のモン・ドール(Mont d'Or) が入っています。」と O氏が嬉しそうに話し掛けてくれました。
O氏は、ソムリエを初めたくさんの資格を持ち、何度もフランス/エルベ・モンス社で研修を重ね、今年もプライベートで渡仏し、コネクションを繋いできたという情熱溢れる優れた食の専門家です。このような社員が大切にされている限り、紀ノ国屋が顧客の信頼を失うことはないでしょう。
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この季節、フランスから日本に何種類ものモン・ドール(Mont d'Or、黄金の山) が入荷してチーズ好きを魅了します。中でもこのエルベ・モンス社のものは、おいしい牧草を食べている乳牛のミルクを殺菌しない無殺菌乳で作られますので、よりコクがあり、滑らかな仕上がりとなっています。おいしい!!!!!(表皮がオレンジ色になっているものは、55℃以下の加熱をした低温殺菌乳が使用されています)
第一日目と二日目は、そのままいただき、三日目にエピセア (樅の木の一種)という木の樹皮の枠ごとオーブンで焼き、ジャガイモと合わせて食べます。一つのチーズで三人が三度楽しめるということですから、一食当たり700円 + パン、野菜代は、贅沢でありますが、満足度を考えれば納得できるというものです。
トム・ド・サヴォワ (Tomme de Savoie)の産地 サヴォア (Savoie) は、イタリア/サヴォイア家が興隆した土地ですが、1861年のリソルジメントの際、フランスへ割譲されました。
このチーズは、表面に塩を振った後に高温の熟成室で1ヶ月、その後、低温の熟成室で2ヶ月以上寝かせて出荷されます。表面に塩を振ることで独特な発酵が進みます。一欠片を口に含むと強い旨味が広がり、思わずワインを飲んでしまいました。購入したものはラッピングされていましたので表皮のカビが湿っていましたが、酵母は生きているようです。おいしい!!!!!
経営バランスを見ながら以前のような山羊のチーズ(Fromage de Chèvre-feuille)も扱っていただけると嬉しいです。
その他の写真については記述しませんが、フュメ・ド・ポワソン(fumet de poisson) やフォン・ド・ヴォライユ(fond de volaille) は、捨ててしまうような骨やアラ、ガラなどの素材で作ることができ、弱火で放っておけば出来上がりますので、皆さんも是非やってみてください。
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【おいしいを作ろう】冬の素材 (なめたかれい-滑多鰈、ほうれん草-菠薐草、源助だいこん) が、おいしくなってきた。
私の【おいしいを作ろう】シリーズは、このSNSの【おいしいを見つけよう】と同根です。
自分で調理をして "内食" することによって、"外食" で経験する料理の奥深さを知ることができ、プロの料理人に対する畏敬の念を抱くことにもなります。季節の変化を感じながらより良い素材を求め、それら命を持ったものに対して謙虚に敬いを示すためにも大切に扱い、最大限に素材の良さを引き出し、これを作った神に感謝しながら食べることが大切です。いい加減な調理をして粗末にしては罰が当たります。
今は、七十二候の「小雪」にあたり、虹蔵不見 - 朔風払葉 - 橘始黄 と時は流れていきます。我が家の庭にも冬の訪れを告げる雪虫が舞っています。そろそろ白いものが降りてくるかもしれません。
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・なめたかれい-滑多鰈
・ほうれん草-菠薐草
・源助だいこん
なめたかれい (滑多鰈) の煮付けは、母の希望を取り入れ、いつもよりあたり強めにしました。と言っても調味料の合わせは同じなのですが、少し長めに炊くことで水分を飛ばして味を濃くしただけです。(金沢の料理屋で教わった配分:水300cc、酒100cc、醤油大匙3、みりん大匙3、砂糖大匙1)醤油に何を使うかによって味と仕上がりが変わってきます。お試しください。
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【おいしいを作ろう】朝岡スパイス(株)のカレー粉で資生堂パーラーレシピのカレーソースを作る
我が家には二種類のカレーが存在します。
1、野菜とポークのカレー(子供でも食べることにできる穏やかなカレー)
2、チキンのカレー(スパイシー感たっぷり大人の南インドカレー)
1、は、母が、昭和43年に発行された "家庭全科" (国際情報社) に掲載されていたレシピで作り続けている野菜とポークのカレーなのですが、スパイスは、紀ノ国屋 青山で扱っている「朝岡スパイス(株)の特性カレー粉」です。一度に四家族分を作るので第一日目にカレールー(2時間以上かけて玉葱と小麦粉を丁寧に炒めることから始める)を作り、次の日の夕方に仕上がります。子供から大人まで幅広い支持があり「おばあちゃんカレー食べたい」というリクエストが三月に一回の頻度できます。
2、は、私がインドカレー店「アジャンタ」のレシピを基本に作る大人向けのカレーです。
中鍋に紀ノ国屋 青山で買ってきたポピーシード、マスタードシード、クローブ、シナモン、黒胡椒を粒のまま入れて少しだけ炒ってからミルで潰して大蒜と玉ねぎを加えベースペーストを作り、前日からマリネした鶏肉を入れて煮込みます。ホールトマト、白ワイン、ターメリック、フェンネル、ガラムマサラ、コリアンダー、クミンなどの香辛料を加えたスパイシーでサラッとした南インドカレーです。
数年前から「資生堂パーラー横浜そごう店」で食べる "ポークカツカレー" https://tabelog.com/imgview/original?id=r6727994684561の香ばしいカレーソースが気に入り、同じものを家庭で作れないかとインターネットを調べていたら、いくつか出てくるのですが、どれもピンとくるものがありません。日曜日でもあり心に余裕がありましたので、これらの作り方を参考にして作り始めました。気合いが必要です。
まず、ラード700gを鍋で熱して液体にします。(以前の紀ノ国屋 青山では、純正ラードを扱っていたのですが、10年以上前から無くなってしまいました。仕方がないのでチューブ入り雪印ラードです)
後の手順については、写真をご覧いただければお分かりでしょうから省きますが、開始から終了まで8時間かかります。
インターネットレシピには、フォン・ド・ヴォライユ (fond de volaille) の代わりに固形ブイヨンを使っても良いと書いてあるのですが、”課長さん” 嫌いの私は鶏ガラと骨付き鶏もも肉と香味野菜を使って2半時間かけて引きました。一番小さな火を使って水から温めてれば、放っておいてもおいしいフォンが出来上がりますので面倒なことはありません。
おせち料理の出汁を引くときにしか使わない大鍋に濾したフォン・ド・ヴォライユを入れ、オーブンで焼いたカレールーを加えて焦がさないように頻繁にヘラで鍋底から掻き混ぜ、3時間も経つとメイラード反応が進み、見た目にも色が変わってきたことが分かります。カレースパイスの香ばしさが引き立ってきました。
おいしいカレーソースが出来上がり満足しています。だだし、資生堂パーラーのカレーソースに比べ、ひと味足りません。インターネットレシピには、「仕上げにウスターソース、醤油、バター、砂糖を加える」とあり、ウスターソースとバターだけを入れてみたところ、限りなく "資生堂パーラーのカレーソース" の味に近付きました。日本が誇る「洋食」ですから、これでいいのだ!!
我が家のカレーメニューは、三種類になりました。
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【おいしいを作ろう】倉橋由美子の小説「パルタイ」に出てくる イクラ、スジコ、タラコ
倉橋由美子「パルタイ」
ーある日あなたは、もう決心がついたかとたずねた。わたしはあなたがそれまでにも何回となくこの話を切り出そうとしていたのを知っていた。それにいつになくあなたは率直だった。そこでわたしも簡潔な態度をしめすべきだとおもい、それはもうできている、と答えた。パルタイにはいるということは、きみの個人的な生活をすべて、愛情といった問題もむろんのこと、これをパルタイの原則に従属させることなのだ、とあなたは説明しはじめた。ー
登場人物は、イクラ、スジコ、タラコ、あるいは、Q、K、L、Q教授、S、アルファベットの記号で表されています。
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「Oさん、倉橋由美子のパルタイ、読んだことありますか?」文学部のYが私に訊いた。その傍観的な性描写を彼女に重ねてみたものの、 "魚卵" の持っている男性には分かりづらい腹の中で蠢いている生命力に怖れをなし、「文体が面白いね。Yの書く文章に似ている。」と返した。後日、銀座三丁目の裏道で、「Oさん、腕を借りてもいい?」寄り添ってきたYの モダンダンスで鍛えたしなやかな肢体にそぐわない豊かな乳房を左腕に感じつつ唇を重ねたくなる衝動を抑え、ユラっと足を地下鉄銀座駅に進めていた。
ー 45年も前のワンシーン ー
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イクラ (икра) はロシア語、沖で獲れる鮭の腹子は柔らかくおいしいです。
東京のすし屋では八月下旬から使い始め、九月末には「そろそろお終いですね。」と言われますが、「すきやばし 次郎」のように旬のイクラ漬けを冷凍保存する技があれば、春になっても皮の柔らかいイクラを食べることができます。
私もこの季節、沖で獲れる鮭の生筋子を買って、何度かイクラ漬けを作るのですが、さまざまな作り方があり各家庭の味になっているようです。
50〜60℃のぬるま湯で粒を解すと楽であると言われていますが、どうしても皮が硬くなってしまいます。作った翌朝までは良いのですが漬け込みが進んでくると硬くなります。
私は、冷たい弱塩水の中で解します。
ひと腹を処理する時間は大凡30分ですから、ふた腹だとその倍はかかり結構な手間です。
手順については、写真を参考にしていただければ嬉しいです。
さて、重要な漬け込みですが、インターネットを覗いてみると千差万別どれが良いのか分からなくなってしまいます。漬け出汁の分量をイクラ重量の30%として、
1、濃い昆布だし+塩水(海の精、塩分濃度は醤油と同じにする)(半々)
2、濃い昆布だし+薄口醤油 (半々)
の、ふた通りで漬けます。(鰹節だしを使うとイクラと喧嘩してしまうので使わない)
色が宝石のように綺麗に仕上がるのは、1、の漬け出汁ですが、下手味という点では、2、もよろしいと思います。
瓶詰めのイクラ漬けに飽きたら、ぜひ挑戦してください。
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【おいしいを作ろう】今年は豊漁、”はしり” の秋刀魚は おいしい。酢橘、大根おろし、醤油、何も要らない。
今年の秋刀魚は豊漁です。
これを追いかけて大きくなる鮪も鰤も良いかもしれません。
魚の塩焼きは、「塩」が大切です。
肉には岩塩が合いますが、魚には海塩が良く、我が家では「瓢亭」も使っている「海の精」(伊豆大島産、塩田と平釜で作る)を振ります。https://www.uminosei.com/kaisha/gaiyou/
冷蔵庫から出した秋刀魚の全体に強めの塩を振って、15〜20分、表面に薄っすら水分が浮いてきた頃合いを見計らって、キッチンペーパーで軽く拭い、グリルで焼きます。白炭 (姥目樫の炭) を長角七輪に仕込んで焼くことができれば良いのですが、一般家庭であり、そこまで凝ることはできません。グリルの炉内を空で熱してから弱火に切り替え、8分程度ゆっくり焼くと写真のように仕上がります。今回は飾包丁を入れ忘れました。こんなこともあるのが素人の料理です。
「塩田」という文字を見ていつも思い出すのが、溝口健二 監督「山椒大夫」(安寿と厨子王丸) の”汐汲み”です。
https://www.youtube.com/watch?v=seQRd_5Eljk&list=PLrCwi34i-x_A0r4I0Dtzh8A_MgSGF85LY&index=1
子供の頃に見た悲しい話なので、このくらいにしておきます。
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日本には、「はしり」「さかり(旬)」「なごり」を楽しむ食文化があり、それは、現在の”ハウス栽培” とは異なる季節の移ろいの中で変化する味を楽しむことであります。
この季節になると四、五回は食べる秋刀魚ですが、私は、 ”はしり” を好みます。
「牛肉と女は熟した方がおいしい」などと下品な言い方があります。最近は「熟成すし」なる「それは大哥(©︎MSSBHNS氏)じゃないの?」言いたくなる食べ物も流行っているそうですが、秋刀魚に限ると、その瑞々しくも旨味のある、そして鮮度が良く形のシッカリした腸 (はら) のおいしい ”はしり” が良く、「さんま苦いか塩つぱいか」ー佐藤春夫、秋刀魚の歌ー に歌われている秋刀魚はあまり上等のものではないような キガシマス (©︎KYT氏)。
今の時期、紀ノ国屋 青山で売られている北海道の沖合で獲れる秋刀魚は、漁師や流通業者の扱いが良いので身が潰れていません。鱗が秋刀魚の胃袋に入っていません。良い塩↑の甘みが魚の旨味を引き出し、決して「苦い、塩つぱい」とはなりません。ものが良いので、酢橘、大根おろし、醤油、何もいらないのです。
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【おいしいを作ろう】パンドミィ (Pain de mie)、カルピスバター、Herendの皿、ブルーベリーのコンフィチュール、焼いてのせるだけ
(青字のURL貼り付けは三つあります)
食塩不使用の「カルピスバター」を知ったのは、今から三十五年ぐらい前のことです。
現在の銀座中央通りに面したシャネルのビルの場所に当時は「銀座カネボウビル」があり、その最上階に「ベル・フランス」というフレンチレストランがありました。1960年代に渡欧して八年間ヨーロッパで修行を積んだ石神和人シェフが本場仕込みの料理を作り、私は此処で第一次フレンチブーム(ポール・ボキューズ、トロワグロ兄弟が提唱した二十世紀のヌーベル・キュイジーヌ)に乗って正統なフランス料理とワインの洗礼を受けました。
散弾銃の弾がナイフにカッチと当たった青首ジビエ料理の味は、内臓肉と赤ワインで作られたソースと共に私の舌に残っています。フォンに潜らせたおいしい野菜、永田農法で作られたトマト、新鮮なハーブ類、これらと築地から運ばれる魚介や猟師から手に入れるジビエが、「プアゾン POISON」の香る1980年代のパリの空気を蘇らせました。
バゲットに添えられたバターが料理を邪魔にしない軽やかな、そしてコクのあるものであり、メートル・ドテルに確認すると「カルピスバターの食塩不使用を使っております。」とのこと。以来、紀ノ国屋で購入し続けています。
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パンは、買いたてを食べるのが一番おいしいのですが、直ぐに一枚ずつをラップに包んで冷凍庫へ保存すれば、一週間〜十日間は問題がありません。この日、トーストして朝食としていただきました。パリッ、サクッとやや強めに焼くのが好きです。
シンプルにカルピスバターと自家製ブルーベリーのコンフィチュールで食べます。
白い皿は、どんな料理に映えますので使う頻度が高いです。今回は、伊リチャード・ジノリではなく、ハンガリーのHerend です。この窯の製品は、釉薬がリチャード・ジノリより硬くて傷がつきにくいです。http://herend.com
残暑が厳しい初秋の朝は、ゆったり朝食を摂るのが宜しいようです。
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【おいしいを作ろう】Saint Louis のクリスタルグラスにコアントロー (Cointreau) を注いでブルーベリーのコンフィチュール (confiture) を落として食べる
東京都中央卸売市場の 8/14、8/15、8/16 は、お休みでした。http://www.shijou.metro.tokyo.jp/calendar/2018/
市場は昨日から開いていますが、台風の影響もあり漁師たちの本格的な漁は来週になってからだと思われます。
海釣りをされる方はご存知ですが、港の周辺は晴れて波が穏やかでも沖に出ると遥か南洋にある台風の影響で波が高く、漁のできない日があり、前日に釣り宿に電話を入れて確認することが大切です。
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そんな理由から我が家では外食を控えていたのですが、現代は、冷蔵・冷凍保存技術の高度化によって心配することなく美味しいものを食べることができるようになったようです。
夏休みに入った妻も大好きなスリラー小説、ミステリー小説など読書三昧の日々を送っています。京極夏彦、東野圭吾、アガサ・クリスティーなどは、ほとんど読んでしまったと思われるのですが、現役の作家であれば上梓されるスピードが早いか、読むのが早いかという状態で、こんな時が一番幸せそうです。
「冷凍庫に貯めた庭のブルーベリーで今年もコンフィチュールをつくろうかしら。」
ブルーベリーは、毎日少しずつ熟してきます。庭に一本しかない木から一回に300g〜500gも収穫できます。ご近所さんは、「oggetiさん家のブルーベリーはどうしてそんなにたくさん実を付けるのかしら?」と不思議がります。秋に追肥をするぐらいで放ったらかしなのですが、去年の秋に入った植木屋が枝をバッサリ落としてしまったので、今年は例年の六割程度の収量です。それでも全部で6kgもありました。(例年より粒が大きい)
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材料は、ブルーベリー、「紀ノ国屋 青山」で買ってきた 鴻商店「特上白」とレモンだけです。
妻は、文庫本片手に五十年以上使い続けている ”おたま” で鍋を掻き回し火加減を確かめています。簡単なのですが、こういう調理は女性に向いている キガシマス (©︎KYT氏)。
作り方については、写真でご確認いただければ嬉しいです。
紀ノ国屋 青山で買ったパンドゥミーを焼いてコンフィチュールを載せて食べるとおいしいのですが、私は、Saint Louis のクリスタルグラスにコアントロー (Cointreau) を注いでブルーベリーのコンフィチュールを落として食べるのが好きです。
ご近所さんに差し上げて、近くに住む息子家族や姉の家族に配ると、ひと瓶しか残りません。
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【おいしいを作ろう】旧盆なのでいろいろ作りました
知人にご実家が奈良のお寺さんの次男の方がいまして、八月の旧盆に合わせて帰省されるのですが、迎え火の夕刻に庫裏で般若湯(智慧に至る手助けとなる煎じ薬=酒) を静かに飲みながら畳に座っていると何やら参道や山門の辺りがザワザワと賑やかしくなってくると言っていました。ご先祖さまが各々の家へ戻られているのだそうです。
我が家でもこの日、迎え火を焚き、胡瓜の馬と茄子の牛に乗せて父と幼い弟を迎えます。何となく賑やかになって90歳の母も喜び、「精進揚でも作って欲しい」と言うので台所に立ちました。
・冷やし冬瓜包み(瓢亭レシピ)
・精進揚
・そうめん
・鯖の味噌煮(別の日に)
・豆もやしのおひたし(根を取ると料理になる)
東京の水で引く出汁ですから京都のようにはいきませんが、おいしくできました。
私の作る鯖の味噌煮は、新鮮な鯖の表にある半透明の薄皮を剥いでから煮るのが特徴です。きれいな文様が崩れないように丁寧に剥がし飾包丁を入れて優しく薄味に炊きます。日本の真鯖は身が厚くおいしいですね。
市場も8/14、8/15、8/16はお休みです。↓
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/calendar/2018/
【おいしいを作ろう】京都市伏見区羽束師の平岡正弘氏が育てた茄子で糠漬けを作る
”品不足”をおそれ、投稿したくなかったのですが、日本人として大切な食文化のひとつなのでご紹介いたします。
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「羽束師 はづかし」 と読みます。
平岡正弘氏(https://kyo-ja.com/contents05/bk-no/tokusy/0609-tokusy.html)は、夏に15aの畑に800本以上の茄子を作付けし、冬には、みず菜をハウスで20a、露地で80a、壬生菜を20a生産しているお百姓さんです。
「秋茄子は嫁に食わすな」という言葉がありますが、私は、今頃収穫される茄子の方がおいしいと思います。色、形、瑞々しさ、旨味、どれをとっても太陽の勢いのある盛夏の方がおいしいのですが、天候不良の年は晴天の続く秋に収穫されたものも良いです。
茄子を苦手とする人が結構いらっしゃるので不思議なのですが、私はどんな料理にしても大好きです。採りたて買いたてを生のまま食べても瑞々しく、焼き茄子、揚げ浸し、フライパン焼き、網焼き、オーブン焼き、天ぷら、カポナータ (ラタトゥーユ)、麻婆茄子、味噌汁、冷汁を作ってもおいしいです。
中でも好きなのは、「焼き茄子」と今回ご紹介する「糠漬け」です。
家の中の温度が安定している場所を移動している甕の糠床は、母が毎日掻き混ぜて酸素を取り込んでいますので、乳酸菌、酵母、酪酸菌など微生物のバランスは常に保たれています。
「糠味噌臭い女」と、所帯染みた女性を蔑視する言葉もありますが、母が若い頃から大切に使っていた大甕に入った糠床は家族数が減るに従い、大きく四角いタッパウェアに収まり冷蔵庫内で糠漬けを作ることになりました。これでは温度が低過ぎて上手く発酵が進みません。
五年前に「飴釉の掛かった中程度の陶器製甕」を購入し、これを使うようになりました。使い始めの頃は、漬ける時間も手探りであり、味がバラついて全くおいしくできず、元のタッパウェアに戻そうかと考えたくらいなのですが、翌年、次の年と次第に安定してきました。多分、陶器ですから生きた乳酸菌、酵母、酪酸菌などが釉薬を通して甕の壁に棲み付いたのだと思います。年老いた母の努力の成果です。
今回、写真を撮るため色鮮やかに仕上げようと思い、”焼きミョウバン”を手塩に混ぜて擦り込んでから糠床に漬けました。(漬けるのは私の役目)
【夏場】
・茄子 24時間
・胡瓜、ミョウガ 2時間〜3時間
・白瓜、谷中生姜 半日
【冬場】
・大根 二日間〜五日間
・蕪 24時間
”焼きミョウバン”を使った不自然な味が僅かにします。
やっぱり、色はボケても塩(伊豆大島産”海の清 あらしお”)https://www.uminosei.com/shouhin/shio/ara/だけで漬けた方が断然おいしいです。
五月から7月中旬まで出回る大阪特産の「水茄子」も大好きです。今年はこの間イタリアへ行っていましたので自家製糠漬けを作ることができませんでしたが、帰国後、ISETAN新宿店で市販品を見つけ、「糠漬け」と「液漬け」の両方を購入し食べてみました。承知で購入したのですが、どちらも”うまみ調味料(MSG)” と”保存料” の味がします。
糠床を維持するのは大変ですが、「本物」の味を知ってしまうとこれを大切にしなければならないと思います。母にはいつまでも元気でいて欲しいと願っています。
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参考:「ぬか漬け万歳」http://apple-weblog.com/care/
【おいしいを作ろう】富良野産キングルビー と プロシュット・ディ・サン・ダニエーレ(Prosciutto di San Daniele)
先月、ミラノで食べた「Il Salumaio di Montenapoleone」の Prosciutto crudo e melonのおいしさが忘れられなくて。
https://tabelog.com/rvwr/000124517/rvwdtl/B225521070/
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プロシュット・ディ・サン・ダニエーレ(Prosciutto di San Daniele)は、ヴェネチアの北東部フリウーリ (Friuli) 地方で生産されます。アルプスを源泉とするタリアメント川(Tagliamento) 流域にもプロシュットを作るに適した湿気のある土地があり、イタリアでは、ポー川流域のパルマ産より評価の高いおいしいプロシュットです。(値段も少し高い)
当たり前なのですが、旬のものを食べると身体に良いと昔から言われています。
自然はよくできたもので、人間もその循環の一部であることを実感します。日本人が好む”季節の先取り”である温室栽培の食物を食べると体のバイオリズムが崩れるのではないかと心配です。おいしくもないのに高価であるほど有難がる人間は、日本人と中国人のフユー層に多いです。自然に対して正直に生きている人は無理をしません。
暑い夏には、水分をたくさん含んだ果物、桃、季、西瓜、杏、無花果、枇杷、ブルーベリーなどがおいしくなります。私は、今ではあまり流通しない真桑瓜も好きですが、今回購入したのは、高価な富良野産キングルビー(3,000円税別)です。日本には、千疋屋で売られている一つ何万円もする夕張メロンやマスクメロン、宮崎マンゴーなどもありますから、フユー層の皆さんは『普通じゃん』と仰ると思いますが、イタリアではこの”キングルビー”と同じ味のメロンは何種類も売られていて、一個たったの 1EUR〜3EUR (130円〜400円)です。信じられないくらいおいしいです。
プロシュット・ディ・サン・ダニエーレを塊から少し厚めにスライスしてもらいました。
写真のようにメロンに被せるのではなく、傍に置いて、食べる時にカトラリーを使ってそれぞれを合わせて食べた方がおいしいです。プロシュットがメロンの水分でふやけてしまうと口に入れた時の触感が悪くなり、香りも減ってしまいます。
この料理には、贅沢なHENRIOT Burt Souverain やスプマンテが合います。HENRIOT Blanc de Blancs は更においしいのですが、キングルビーと喧嘩してしまいます。朝の散歩の後にシャワーを浴びてからHENRIOTをひとくち飲むのがサイコーです。
夏の食べ物「枝豆」「南瓜」も用意しました。
最近の枝豆は、流通が良くなったので劣化が少なく枝から離された状態で売っていますが、農家から直接買ってくる(貰ってくる)朝採りのもを直ぐに茹でて食べるのが一番おいしいです。
南瓜は、この時期だけ出てくる「神奈川県産 いかづち南瓜」を木製の蒸篭で蒸しただけで食べます。
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今年の夏は例年以上に暑く、果物も夏野菜もおいしいです。台風被害がなく適度な降雨があれば、秋の実りも良いことでしょう。今から楽しみです。
【おいしいを作ろう】北海道は ”ホワイトアスパラガス” の産地、独Schwetzingenは ”Spargel” の産地
5月1日付日本経済新聞夕刊「あすへの話題」は、安藤和津さんの ”台所の人間力” というコラムでした。お読みになられた方も多くいらっしゃると思います。
「一つの料理が食卓に並べられるまでの手間と愛情。これなくして人間力は養われるのだろうか。」と戒めながら、「これは若者だけの責任ではなく、私達世代の責任でもある。」と文末で読者に媚を売っています。読み終わった私は、実に不快な感じを覚えました。
日本が失ってしまったことをいつまでもとやかく言うのは止めましょう。
もう元に戻ることはないのですから。諦めてください。
こんなコラムを書くならおいしい手料理をお孫さんに作ってあげてください。少なくとも何人かの日本人が「本物」の食べ物を経験することができ、仰っる「人間力」が備わるのですから。
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GWの間は現役の妻も家に居ますので、毎日ふたりで昼酒を楽しんでいます。
「あなた、お昼どうしますか?」
東京都中央卸売市場は、GW中 4/29 、4/30、 5/4、 5/5、 5/6 の五日間が休みです。5/2に買い物を済ませた私は、「外で食べても市場が休みだから、冷蔵庫にあるもので何か作ろうか。」と答え、”台所の人間力” が試されることになりました。
この立派な北海道産のホワイトアスパラガスを買った時、『これを茹でてポーチドエッグを添えて白ワインで食べよう。』と決めていました。
料理コーナーではありませんので詳しいレシピは書きませんが、10年ぐらい前に乗ったヨーロッパ便(JAL)の機内エンタテイメントで覚えたロブションの茹で方を参考にしています。写真をご覧になって想像してください。ドイツで ”Spargel” の値段は、500円/kgぐらいですが、日本ではその十倍以上の645円/100g です。愕然としますので一人一本しか食べることができません。
参考:https://tabelog.com/imgview/original?id=r4139834850859 街中のSpargel売り
https://tabelog.com/imgview/original?id=r3301534526109 フランクフルトのレストラン1 テラス席
https://tabelog.com/imgview/original?id=r1497033470187 フランクフルトのレストラン2
白ワインは、ワイン売り場で買った爽やかな季節にピッタリの「SANCERRE 2016」です。
おいしい!!!!!
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同時進行で魚が新鮮なうちに夕食用のブイヤベースも作りました。
最初にやるべき仕事は、フュメ・ド・ポワソン(fumet de poisson) を引くことです。メバル(ハチメ)、虎魚を三枚におろし、あらと中骨で引きます。前回のレビューにも載せましたので詳しいことは省略します。
「あなたは、一回嵌ると同じ料理が続きますね。」と妻に笑われていますが、長男の嫁にも大絶賛のブイヤベースです。おいしい!!!!!
【おいしいを作ろう】 メバルでフュメ・ド・ポワソン(fumet de poisson) を引いてムール貝、槍烏賊の入った ”なんちゃって”ブイヤベース (bouillabaisse) を作る
「お客様がマルセイユへ行って、本場のブイヤベース (bouillabaisse)を食べるとガッカリされるので、ご案内しないようにしています。」と某郵船航空のエイジェントが言っていました。
私は、マルセイユへ行ったことがなく、パリ「Le dôme」のブイヤベースや他の都市のフィッシュスープ (Soupe de poisson) しか食べたことがないのですが、それは港に上がる雑魚を使った濃厚なスープが主体のおいしいプレートです。
来日する外国人が、くさや、塩辛、しょっつる鍋などを好んで食べないのと同じで、本場のブイヤベースは漁師料理ですから一般的には馴染みがないかもしれません。奥深い味がしてとてもおいしいです!!!!!
東京の魚市場に市場価値のない雑魚は入荷しませんので「紀ノ国屋 青山」でこれを買うことはできず、今回は、”なんちゃって”ブイヤベース” の【おいしいを作ろう】です。(今回で21回目のレビューとなりますが、私は決して店の関係者ではありません。単なる客の一人です)
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このSNSは、レシピをお知らせするものではなく詳細は書きませんが、写真をご覧になって想像してください。トータルの調理時間は、約4時間でした。3日〜10日間も掛かるドゥミグラスソースを作るより簡単ですが、魚料理は火入れのタイミングが調理のポイントなので気を抜くことはできません。
今回作ったのは、フュメ・ド・ポワソン(fumet de poisson) をベースとした上品な味のブイヤベースです。本場の調理には使われないのですが、妻が好きなムール貝やアサリを入れ、お腹が膨れるジャガイモは入れませんでした。魚のアラと香味野菜、サフラン、フェンネル、ローリエなどのスパイス、トマトの酸味、玉葱の甘みが重なったおいしいスープができました。塩は魚の下拵えに振っただけで貝類から出てくる塩分も加わりますので、仕上げに塩・胡椒を使うことはしません。塩加減は、素材の大きさを見てテキトーに振れば間違いがありません。薄味に仕上げ、足らないと感じた方は、好みに合わせテーブルで追加すれば良いです。
魚介の火入れはタイミングが難しく、4時間かけて作ったベーススープには魚介の旨さが凝縮しています。魚や貝類を最後の10分間で投入したことにより、それぞれの素材の味と香りを楽しむことができました。おいしい!!!!!
今回合わせた白ワインは、ワイン売り場で買った L'Abeille de Fieuzal Blanc 2013 です。Château de Fieuzalのセカンドという位置付けですが、品質にバラツキがなくリーズナブルでもあり、安心して手にすることができます。
ボルドーのGraves地方は、Ch. Carbonnieux Blanc他、おいしい白ワインを産出します。セミヨン65%、ソーヴィニョン・ブラン32%、ミュスカデル3%という組み合わせは、桃や柑橘のフルーティーなファーストノートが鼻腔を抜け、辛口のスッキリした味わいは、魚料理やシューブルチーズ(山羊の乳から作った)を引き立てます。ぜひ、お試しください。
【おいしいを作ろう】 宮城産黒豚をつかって揚げた「とんかつ」、塩吹昆布の湯漬け
「あげまん」という伊丹十三監督の映画がありました。
宮本信子演ずる ”ナヨコ” は、不思議なほど男にツキをもたらす女として描かれています。いいですね!
http://gogen-allguide.com/a/ageman.html
「あげまん」という饅頭もあります。
神田須田町のゴールデントライアングルにある昭和5年創業の甘味処「竹むら」の揚げまんじゅうです。
https://tabelog.com/imgview/original?id=r0784456154990
https://tabelog.com/imgview/original?id=r0783456154983
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中華料理以外でしたら得意な料理は 和食でも洋食でもたくさんありますが、揚げもの、フライ・フリテューラ、カツレツ・コトレッタ もおいしく作ることができます。
カウンター席で食べることが苦手な理由のひとつは料理人の所作が仔細にわたって見えてしまうことなのですが、カウンター席がメインの すし屋、ラーメン屋、とんかつ屋、天ぷら屋 へ行くと彼らがどのように料理を作っているのか、目が矢印になったり、頭の中で秒を刻んだり、細かく観察してしまいます。イヤな客だね。
「揚げもの」の難しさは、油の温度管理と素材ごとの揚げ時間の調整にあります。
衣が難しいと仰る方もいますが、これは素材選びと手順さえ知ってしまえば、天ぷらでもカツレツでもそんなに難しいことではありません。強いて言えば、丁寧にやることです。
鍋にたっぷりの「油の温度」は、ガスコンロ任せです。五徳の中央に設置された温度センサーによって油の温度は自動調整されます。便利になりました。
問題は「揚げ時間」です。
こればかりは、季節によって素材の温度も変化するし、大きさもそれぞれですから、自動調整というわけにはいかず、目を凝らし耳を研ぎ澄ませ、箸に伝わる微かな振動も参考にして、素材のどこまで火が通ったのか判断します。例えば、揚げ油の温度を180℃とした場合、素材に水分が残っていれば揚げものの芯の温度が100℃を超えることはありませんが、揚げ過ぎるとパサパサで硬くなってしまい、足らなければ半生状態になります。とんかつや唐揚げの場合、芯が半生状態で油から引き上げ、簀に置いて油切りしている間に熱が浸透するぐらいにするのが良いです。
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この日、おいしそうな宮城産黒豚ロース塊肉が手に入りました。 (1,149g で 9枚のとんかつができた)
早めに冷蔵庫から取り出し、肉を室温に戻して調理を始めることがコツです。出来上がりについては写真を参照ください。肉に軽く振った塩・胡椒だけでソースは使いません。良い豚肉は肉質そのものが、すごくおいしい!!!!!
春キャベツの季節ですから、柔らかい葉を一枚ずつ剥がして太い葉脈を外し、方向を揃えて丁寧に刻みます。ポイントは一本の長さを口の幅ぐらいに切ることです。こうすると箸で摘んで口に運ぶ時、上品に食べることができます。御徒町の「ぽん多本家」の一階カウンター席に座ると運が良ければ調理人がキャベツを刻んでいる様子を見ることができます。
(ぽん多本家のロースカツ https://tabelog.com/imgview/original?id=r9462665007022)
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とんかつを食べ終えて『ひとくち、ご飯を食べたいなぁ。』
祇園の「おうすの里」が販売している「紫蘇紅漬」と紀ノ国屋 でも扱っている「塩吹昆布」を握り寿し二貫程度のご飯に載せて「湯漬け」にしました。直ぐにサラサラと食べるのも良いのですが、湯を掛けてから五分間ぐらい放っておき、全てがふやけて柔らかくなった頃合いを見計らっていただくと梅干しの香りと酸味に塩昆布の旨味が浸み出し、『こりゃ旨い!』と何度も頷いてしまいます。
晩白柚、ミネオラ タンジェロ お好きですか?
40年以上前、私が学生の頃、我が家には学友がしばしば遊びにきました。
それは、同級であったり、後輩たちなのですが、研究室の先輩が来ることは一度もありません。上下関係とは、そういうものでした。
「oggeti先輩、お腹が空いたのですが、今晩、行ってもいいですか?」
バイトで稼いだ金も少なくなり、郷里からの仕送りは届かず、腹が減ってひもじくなると、私の母が作る本格的なビーフシチューやポークカレーを目当てに皆が集まってきました。
何日間も逗留する厚かましい奴は居らず、徹夜で話し込んで朝になれば、「ご馳走さまでした。また行ってもいいですか?」とにこやかに挨拶をし、朝もやの中に消えて行きました。
その中に鹿児島出身で麻雀好きの女友達がいました。
めっぽう強く、面前・断么・平和という基本的な上がり手を得意とするのですが、ツモや裏ドラが乗って大きな手になることもしばしば。筋は読めるのですが手作りに没頭している学生麻雀ですからよく振込みました。
映画「麻雀放浪記」:https://www.youtube.com/watch?v=5M2cCXynKyY
彼女は、毎年正月に帰省し、親元でゆっくりしてくるのですが、必ず何かお土産を持ってきてくれました。その一つが、「晩白柚」です。熊本県八代市の特産品ですが、鹿児島県でも栽培されていて、土壌と気候の差があり、現在、東京で流通している熊本県産とは異なるものでした。
外観は同じなのですが、皮を剥くと今のものよりもっと強い香りがあり、身の色も淡い黄色だけでなく、個体によって緑色がかっていたり、オレンジ色を帯びていました。現地へ行けばまだ入手することはできるのだろうか。
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日本の果物や野菜は、どうして個性が無くなってしまったのでしょうか。
口が曲がるほど酸っぱい青い蜜柑、夏蜜柑。香りの強い種有デアラウエア。渋みの残る胡瓜。辛味が強い青菜。灰汁の強い山菜。etc. これらは何処へ消えてしまったのでしょうか。日本全体が、没個性であり、扁平でツマラナイ国になっているのと同じ理由ではないのでしょうか。平準化のやり過ぎですよト○タさん。”儲かりゃイイんだよ主義”が蔓過ぎていませんか。
何てことを考えていたら、おいしい柑橘を見つけました。アメリカ産です。
「ミネオラ タンジェロ」酸味があり、果汁が豊富でおいしいです。ぜひ、店頭に並んでいるうちにお買い求め、お召し上がりください。日本が失った個性がそこにはあります。
アメリカやヨーロッパで食べる果物は、とてもおいしく、季節感があります。
日本の生産者と流通業者、販売店は、その理由を真剣に考えていただきたいです。
【おいしいを作ろう】Filets de turbot panes 、ヒラメのおいしい季節です
今年の1月20日、ポール・ボキューズ (Paul Bocuse) が91歳で亡くなりました。(日経記事を参照ください)
彼は、1926年2月生まれですから私の母より1歳10ヶ月年長です。アラン・シャペル、ピエールとジャンのトロワグロ兄弟とともにヌーベル・キュイジーヌ (nouvelle cuisine) の旗手として活躍し、バターとクリームをたっぷり使い「伝統と革新」のバランスを大切にしながら ”新しい料理” を作り続けてきました。現代は、ジョエル・ロブション、アラン・デュカス、ピエール・ガニェールなどの提唱したキュイジーヌ・モデルヌ (Cuisine Moderne) が主流になって久しいですが、古いものが好きな私は、手の込んだオート・キュイジーヌ(Haute Cuisine) 〜 ヌーベル・キュイジーヌ (nouvelle cuisine) までを好みます。
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この日、鮮魚コーナーを覗いていると「oggetiさん、ヒラメがいいです。」と魚屋さんが声を掛けてくれました。長崎産です。身が厚く、プリッとして活き〆であることが分かります。良い部位を三切れ購入しました。
『今日はシャンパンを開けて、ヒラメのフライ(Filets de turbot panes)にしよう。』
付け合わせは、ロワール(Loire)のアヴォアーヌ(Avoine)でハウス栽培されている早生のアスペルジュ(Asperge) ならぬ、佐賀県産のホワイトアスパラガスです。これを海の塩分濃度でじっくり茹でて、得意のポーチドエッグを添えました。シンプルにヨルダン産のオリーブオイル(Royal Nabali Organic)を振っただけです。
ヒラメには気持ち強目に塩を振り、胡椒は片面のみにほんの少しだけ。180℃の新しい油で揚げ過ぎないように注意しながら、衣に色が付くまで揚げます。衣にナイフを入れるとサクッと音がしてヒラメの身から湯気と香りが上がります。おいしい!!!!!
冷蔵庫にあった「モテ・ア・ラ・フォイユ (Mothais à la feuille)」は、フランスのドゥー=セーヴル県(Deux-Sèvres)で作られる栗の葉で包まれたヤギのチーズ (Fromage au lait de chèvre) です。これは、ISETAN 新宿店 HISADA のものです。縁の部分がトロトロになっていてナッツの香りもする素晴らしいフロマージュです。おいしい!!!!!
このシェーヴルに合うシャンパンは、シャルドネ種100%から作られる辛口のHenriot Blanc de Blancs です。紀ノ国屋 青山のワイン売り場には鍵の掛かったセラーもありますが、これは手前のシャンパンの冷蔵陳列棚に並んでいます。泡がきめ細かく、キリッとして、凄くおいしい!!!!!
妻をめとらば才たけて みめ美わしく情ある 友を選ばば書を読みて 六分の侠気四分の熱 シャンパンは、妻が四分の渋々、私が六分の歓喜でした。
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材料費 (シャンパンを除く) は、 1,800円/人ぐらいです。
料理の素材を買う楽しみ、作るクリエイティビティ(creativity)、食べる歓び、【おいしいを作ろう】はまだまだ続きます。ポール・ボキューズ (Paul Bocuse) のように。
【おいしいを作ろう】和歌山県産の天然鰤(桜鰤)で鰤大根をつくる
鰤は、北陸 氷見漁港に水揚げされる「氷見寒鰤」が、王者であります。
鰤の稚魚は日本海南部から暖流に乗って北上しながら成長し、北海道辺りで南下し、11月末から2月中旬の一番寒い頃、最もおいしい状態で富山湾沖の定置網に掛かり、氷見漁港に水揚げされます。
脂の乗った腹身の握りすしに舌鼓を打った方もたくさんいらしたことでしょう。私はサッパリした背身の方が好きです。
(私は鮪を殆ど食べません。食べるならトロよりも赤身の漬けを選び、一番好きなすし種は星鰈です)
この日、おいしい大根が手に入ったので『そうだ 鰤大根、作ろう。』ということになり、鰤のカマを求めて鮮魚コーナーを覗いていると「和歌山県産の天然鰤」がありました。残念ながら欲しかったカマが一切れもありません。魚はカマからおいしい出汁が取れます。この日は用事があり、早い時間帯に買い物ができませんでした。紀ノ国屋 青山では、絶えず品が補給されているので大概のものは手に入るのですが、人気の高い商品は午後2時までに無くなってしまうことがあります。私は真っ先にパン売り場へ行き「パンドミー 一斤」をカートに入れてから、近くの鮮魚売り場へ向かい、売れてしまいそうな魚を先に手にしてから通常のルートに戻ります。
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さて、「桜鯛」ならぬ「桜鰤」。
太平洋の暖流に乗って北上して、同じように南下した鰤が相模湾を過ぎ、東紀州、熊野灘までの間、今頃から桜の咲く頃まで捕獲されます。日本海のものに比べて淡白だと言われますが、程良い脂があり、これなら私でも腹身を食べることができます。
数年前まで通っていた神保町のすし屋では、「oggetiさん、コレ持って行ってください。」と偶に鰤のアラだとか中骨やカマをいただきましたが、これを調理するのは難しく、どんなに下処理をしても鰤特有の臭みが残りました。すし屋で扱う天然鰤は特別だったのかもしれません。(?)
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いつも使っている「瓢亭」の料理本を参考にして、八方出汁から作り始め、完成したのは二時間後でした。妻が帰宅した時、「あら、いい匂いがするわね。料亭みたい。」と持ち上げてくれました。高橋当主の調理方法には、「湯引きした後に鰤を炊いたら、最初に出てくる灰汁は直ぐに掬ってください。」とあります。スパイスを使って作るアジャンタ・カレーのレシピには「灰汁は溶かし込んでください」とありますが、和食の場合は、丁寧に灰汁を除くことが大切です。
晩酌にはこの一品だけでは肴が足りません。「細魚」を生酢で洗って芽葱を添えて、「菜の花」を白和えにし、瓢亭が使っている日本酒(キンシ正宗 金閣)をいただきました。おいしい!!!!!
【おいしいを作ろう】芝海老、槍烏賊、アサリ で スパゲッティニ・アッラ・ペスカトーラ(spaghettini alla pescatora)
【おいしいを作ろう】シリーズが続き、申し訳ございません。
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”芝海老” は、江戸前(東京湾)の芝辺りで採れた海老なのでこの名が付いています。
現在の天ぷらには、天種として車海老の手一束大の”鞘巻”が使われますが、昭和の頃までは芝海老も天種として珍重されていました。数年前のことになりますが、早乙女親方が何も言わず、スっと手にした有頭の芝海老を揚げて私の前に置いてくれたことがあります。12cmはあろうかという大きな芝海老は、”鞘巻”より甘く、柔らかい殻が香ばしく、淡いカラメルのような匂いが鼻を抜けました。「昔はよくやったのですが、こんな大きな芝は滅多に入らないです。」と。
この日、鮮魚売り場で佐賀県産の芝海老の良いものが手に入りましたので『そうだ リングイネ・アッラ・ペスカトーラ(linguine alla pescatora) 、作ろう。』ということで 2パックを買いました。漁師風のサルサ(salsa、ソース)には、断面が扁平なlinguineが合うのですが、帰宅して棚を見るとMANTINI社のSpaghettiniしかありません。
調理は、火の通し方とタイミングを間違えなければ簡単です。
まず最初に芝海老の殻を生の状態で剥き、頭と殻から良い出汁が取れますので捨てずにフライパンへ移します。手順は写真をご覧ください。本当に簡単です。
イタリア人の作るパスタと同じく、サルサ(salsa)に塩・胡椒は使いません。素材が持っている塩分とパスタを茹でる時の塩分で充分です。ポイントは、最初に大蒜を一片みじん切りにして超弱火のオリーブオイルで30分ぐらい熱することです。私はもう少し強い味が好きなので大蒜を三片ぐらい入れたいのですが、妻が「イヤだ!」と言うので「承知しました。」ということになっています。
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ヴェネチアの裏通りを歩いているとリストランテの厨房から良い匂いが漂ってきます。
Spaghettini alla pescatoraは、そんなことを思い出させてくれました。午後の日差しの中、リーズナブルなソアーヴェの白ワイン ”La Torretta Soave Classico”を開けてゆっくりしました。
【おいしいを作ろう】男は、包丁を研ぎ、出汁を引くだけ
我が家では、暮れの二十六日から御節料理を作り始めます。(四日間を費やす黒豆作りから)
素材は、品質に間違いのない「紀ノ国屋 青山」で揃え、母、妻、近所に住む姉、長男の嫁がそれぞれの用事を済ませ、三十日と大晦日とで全品を揃えます。世代を渡る年末恒例の行事です。
私の担当は、皆が使う六本の包丁を丁寧に研ぐこと、香深の利尻昆布と鮪節・鰹節削り節を使って料理の基本となる一番出汁、二番出汁を引き、それぞれ大鍋に一杯ずつ用意することです。
細かな飾り包丁や大根の桂剥きは妻が担当し、根菜は母が形良く整えます。野菜の刻みは、調理時間や味を決める大切な仕事です。これを四軒分用意するのは根気の要る仕事ですが、一寸たりとも手を抜くことができません。
調理の基本は、母が50年ぐらい前から使っている料理本なのですが、10年ぐらい前から「瓢亭」十四代目当主 高橋英一氏が書かれている野菜の調理方法に倣っています。一番出汁、八方出汁を上手に使い分け、素材そのものの良さを引き出す薄味の仕上げです。
膾は、三浦大根を桂剥きして柚子で〆、軽い塩梅の爽やかな香りに仕上げます。普段、調理をしない妻の手は大根の灰汁で赤くなってしまいました。
御節料理は、正月三が日の間、火を使う煮炊きをできるだけ避け、女性の日常の賄いを楽にさせるという意味合いがありますが、たくさんの来客を皆で共有することができ、めでたさを分かち合うことができます。朝食、夕食とも私がその殆どを調理している我が家では、”御三どん”をしなくて済む私のためにあるのかもしれません。正月は朝から酒を飲み、楽をしています。
写真を撮り忘れましたが、雑煮は東京の清し汁椀です。(一番出汁、のし餅、鶏肉、小松菜、鳴門巻き)
私は「瓢亭」の丸い”あも”の入った白味噌仕立てのシンプルな雑煮が大好きです。今年も旧暦の正月に恒例の京都詣をします。三方を山に囲まれた京都盆地は底冷えしますが、観光客の少ない静かな京都が好きです。
***
今泉今右衛門 盃と徳利は、六十年ぐらい前、父を慕っていた方からいただいたものです。父は、毎晩のようにこれで燗を付けていましたが、今も欠けてません。
古伊万里は、二十五年前に京都の骨董屋で見つけたものです。
これらは、”ハレ”の器です。
日本で入手できる最高の Jamón de bellota ibérico (ハモン・デ・ベジョータ・イベリコ、bellotaとはドングリの意)がここにある
ただし、常時、置かれているわけではないので、ご注意ください。
紀ノ国屋 青山のデリカテッセン (独Delikatessen、英Delicatessen) 売り場は、入り口から一番遠い位置にあり、チーズ売り場の前、ワイン売り場の手前にあります。
ここに蹄を突き出したハモン・デ・ベジョータ・イベリコの原木がスタンドに据えられていると必ず買います。今回も乾燥を防ぐために表面に脂身を載せて売られていました。塊はまだ大きく、最高の部位が残っています。
写真をご覧いただきお分かりだと思いますが、デリカテッセンのシェフが丁寧に専用ナイフで削いでいる痕跡があります。見事な技です。我が家にも15年前にスペインで買ってきたスタンドと専用ナイフがありますが、日本の包丁と比較するとあちらのステンレス製の細長いナイフは刃が付き難く、使用の度に研がなくては用を足すことができません。
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友人のスペイン人建築家に差し上げたことがあり、
「スペインでは、パンにトマトを擦り付けて、その上にこのハモン・デ・ベジョータ・イベリコを載せて食べます。」
「トマトはどうするのですか?」
「スペインではトマトを捨ててしまいます。たくさんあるし安いので。」とのことでした。
私も真似してこの方法で食べました。おいしい!!!
他にスライスしたバゲットをオーブンで熱してこれに載せて香りが立ってきた時に食べるという方法もありますが、私の一番好きな食べ方は、この写真のように皿に盛って常温に戻し、このまま口に入れ、舌の上で脂身がゆっくり溶け、その甘みと塩気と香りが出てきたら、奥歯で噛みしめるという単純な方法です。リオハ(Rioja)の赤ワインとともに食べると最高においしいです。!!!!!
サラメやハムなどの加工肉類をヨーロッパから日本へ向けて輸出する場合、検疫通過のため、真空パックを施してから出荷します。実はこの段階で表面についている酵母が死滅してしまい、本来の香りと味が損なわれてしまうのですが、ここ紀ノ国屋 青山の Jamón de bellota ibérico は、おいしいです。
最近、日本でも冷凍のイベリコ豚が入っていますが、これを使ってトンカツにしたり、ソテーしてメニューに載せている店が増えました。ドングリを食べさせて飼育するイベリコ豚だけが、デ・ベジョータ(De Bellota)であり、他にデ・セボ・デ・カンポ(De Cebo de Campo)、デ・セボ(De Cebo)の格付けがありますので、ご注意ください。
【おいしいを作ろう】牛タンを買い「代官山 小川軒」のレシピで、タンシチューを作る
こういう部位が普通に売られているところが紀ノ国屋の良いところです。舌の根も乾かぬうちに、また手前味噌で恐縮ですがお付き合いください。
この店には8,000円/100g以上もする超高級な黒毛和牛肉もありますが、比較的安い脛肉でも筋肉でも豚骨、鶏ガラ、牛テイル、なんでも手に入ります。この日、一本1kg以上ある牛タンを買いました。表皮を剥いてもらって 892g × 1792円/100g = 15,984円/本(税込)です。
家に帰り、早速「小川軒の洋風料理」という本を開いてタンシチューの調理開始です。(64〜66頁)
「本格的なドゥミグラスソースのためには、手間を惜しんではいけません。」と書かれています。
レストランならともかく、これを一般家庭で作ろうというのが無謀なのかもしれませんが、レシピを読み込んでいくうちに『ヤッパリこれはプロ用の作り方だ!』と理解できます。
フォン・ド・ヴォーの冷凍ストックはありますので、これを使うことにしてオーブンを使ったベシャメルソース作りから始めました。途中、何度かシノワで濾す作業を繰り返し、『なるほどプロの仕事は違う』と感じながら、『おっと、マディラ酒は、昨日ディジェスティーボとして飲んでしまった。』ことに気が付き、近くの酒屋で買い求め事無きを得ました。
ドゥミグラスソース作りに丸一日。
タンシチューの仕込みに丸一日。
自宅で食べるのにワインを飲みながら約1時間半。
他の作業をしながら調理できる部分もあるのですが、焦がしてしまっては最初からやり直しになるので目を離すことのできない作業が続きます。正しい料理は体力と気力の要る仕事であることがよく分かります。
今回、知ったことがあり、それはシノワで濾した”濾しカス”は捨てずにストックすることです。
次回、ドゥミグラスソースを作るときに”色付け”の役目を果たしてくれるそうです。なるほど、あの焦げ茶色のドゥミグラスソースは、鰻屋の秘伝のタレのように継ぎ足しながら完成させるものだと分かりました。今まで捨てていましたが、今回から冷凍庫に保管します。
大凡、八人分の量が出来上がり、近くに住む孫娘の家族にもお裾分けし、「Nonno、タンシチューおいしかった!また作ってね。」と云われ一気に疲れが飛びました。おいしい食べ物は、感性の源です。
***
ドゥミグラスソースが余ったので、これを使って「小川軒のハヤシライス」に変身させたら『おいしいんじゃないかぁ』と、思いが過ぎりました。
【おいしいを作ろう】網走漁協 第36照福丸の「釣りキンキ」と 瓢亭 謹製「土佐醤油」
すし屋の親方から「ゴム長を履いたoggetiさんと築地でお会いするかもしれませんね。」と冷やかされています。
築地市場も最近は海外からの観光客で賑わっているそうですが、私は小学生の頃に都内見学で訪れただけです。早起きは得意なので、一度、場内を歩きたいと思っていますが、未だ実現していません。
最近ようやく、握りすしを”扇の地紙形”に握れるようになりました。所詮、素人ですから四手で握るような手練れという訳にはいきませんが、母と妻から「もう、おすし屋さんへ行く必要がないわね。」と煽てられ、世辞だと解っているのですが内心喜んでいます。
目は利くと思っていますので、素人に売ってくれるなら魚も市場へ行って買いたいのですが、普段は紀ノ国屋 青山で買っています。この日は、形(カタ)の良いキンキが入っていたので、鱗を取って三枚におろしてもらいました。
・網走漁協 第36照福丸の「釣りキンキ」(5,800円/尾)
キンキは高級魚です。
名前が似ているキンメもソコソコおいしいですが、この形(約1.5kg、30cm以上)のキンキの旨さと言ったら、香港の此処で食べるキジハタと同じくらいおいしいです。
いつも煮魚は金沢で教わったハチメ(メバル)の煮方で調理するのですが、キンキは、より脂が強いので、基本の調合は同じですが、少しあたり強めに仕上げました。おいしい!!!!!!!。
世の中にこんなにおいしい魚があるのかと思うくらい絶品です。
紀ノ国屋 青山で大間の鮪は、大きめの柵(冊)で同じくらいの値段ですが、私は迷わずコッチを買います。
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瓢亭が作っている「土佐醤油」はここでしか扱いがありません。
常時棚に並んでいるわけではなく、瓢亭が作った時にしか販売されない貴重品です。既に調合されていますので、そのまま使うか、香りづけとして使うのですが、一番おいしいのが TKG(卵掛けご飯)です。
https://tabelog.com/rvwr/000124517/diarydtl/129785/
今回は、買ってきた絹厚揚げを温め、熱いうちに刻んだエシャロットを載せ、これに「土佐醤油」を少し垂らしました。昼飯を簡単に済ませる時には、これに「しそ梅干しにアオサ海苔の茶漬け」をサラサラと香の物と一緒に食べれば充分です。
『日本人で良かった。』と思う瞬間です。
【おいしいを作ろう】「豚足」と「白インゲン豆」でイタリアン農家の煮込み料理を作る
昨日、私がフォローしている大先輩のレビューを読んでいたら「醬香豬腳」という豚足の料理についての記述がありました。https://tabelog.com/rvwr/00001364/rvwdtl/B111380974/#74089555
最近、紀ノ国屋 青山で豚足を買ってきましたので、私もこれをアップすることにしました。
この日、店内では、鹿児島県出水市出身のフレンチシェフ坂井宏行氏が”鹿児島産”黒牛と黒豚の販促のため、鹿児島県知事とともにデモンストレーションの料理教室を開いていました。私は遠巻きに様子を伺っているだけでしたが、坂井シェフは、体躯がガッチリしていて75歳というのに60歳ぐらいにしか見えず、立ち居振る舞いもキビキビしてタフな人だと感じました。美味しい料理を作るには、健康が一番です。「大欲を抱かず、健康な身体に健全な精神が宿るようように祈らなければならない」 ー ユベナリス (ローマの詩人) ー
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毎度、手前味噌で申し訳ございません。
主なる購入品は、
1、冷凍の豚足(97円/100g)
2、鹿児島産黒豚すね肉(291円/100g)
3、イタリア産白インゲン豆(カンネッリーニ種)
4、ショートパスタ(ナポリ県GragnanoのCaserecce)
です。
まずは、イタリアンの基本である野菜をみじん切りして、ソフリットを1時間以上とろ火で熱して下準備をします。
その後の手順は、写真を見ていただければお分かりだと思いますので省略しますが、今回、はじめて登場する調理器具が、「アメリカ製の鋳鉄製フライパン」です。これは、母が50年以上前に購入したものです。厚手で重たく握力の弱った母は使うことができませんが、これで肉を焼くと凄くおいしいです。
煮込み料理は、火加減に注意しながら放っておけば出来上がってしまうので、他の用事を済ませながら作ることができます。
その日の夜、ショトパスタと合わせ、白ワイン / サンセール(Sancerre)で食べました。
コラーゲンがたっぷりですから、唇の周りがベタ付き、ナプキンで拭いながらゆっくり口に運びました。
調味料は加えず、パスタを茹でた時に入る塩分と仕上げに加えるパルミジャーノ・レッジャーノの塩味だけです。シンプルなほど豚足と豚すね肉の香りがして、『あ〜ぁ、これがイタリアの農家の人が食べている料理だなぁ。』とベネト州のワイナリーで食べた料理を思い出しました。
https://tabelog.com/rvwr/000124517/rvwdtl/B128152098/
レシピを知らないので、この時、食べた味を頼りにテキトーに調理しましたが、坂井シェフにも召し上がって欲しいくらいおいしいです!!!!!
青果売り場で見つけた ”パッションフルーツ (passion fruit )” とカメラの比較(iPhone SE vs Canon EOS Kiss X9 / Macro 60mm f/2.8 )
「代官山 小川軒」で食べて以来、なかなか口にすることのなかった果物 (passion fruit )です。
この passion は「情熱」ではなく、この実をつけるトケイソウ科の花の形から「キリストの受難」を象徴するとのことです。香りと酸味と甘みのバランスが日本の果物にないエキゾチックな思いを抱かせてくれます。
紀ノ国屋 青山では、売り場毎の専任者が居て、陳列をしながら客の相手をしてくれます。これを積極的に使うことによってプロの持っている知識を得ることができます。
この日、パッションフルーツを選ぶにあたり「どれがおいしいのでしょうか?選んでいただけますか。」と訊きました。すると担当者は棚に並んでいる10個ほどの品物を手に取りながら「そうですね。このように少し表面に凹みが現れているものが熟して甘みが強くなっているのですよ。」と教えてくれました。自分でも手に取って一番重いものからふたつを選びカートに入れました。感謝!
家の冷蔵庫の野菜室に入れて一週間後に割って食べました。
写真をご覧ください。量はティースプーンに4杯ぐらいしかありませんが、もの凄くおいしいです。”外食”の会席料理・懐石料理でも最後のお薄が出る前に”水菓子”が用意されますが、これが口直しというより結構な量があり、お腹に入らないこともあります。パッションフルーツでしたらサッパリするし、量も少なく良いのではないでしょうか。
ついでに長崎のミカン△、和歌山のミカン○、つしまさんの紅玉◎ も買いました。
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私事ですが、カメラを買い換えました。
・Canon PowerShot G9 X を下取りに出して
・Canon EOS Kiss X9 / 標準レンズ EF-S 18-55/4-5.6 IS STM / マクロレンズ Macro 60mm f/2.8
です。理由は、AF(オートフォーカス)の精度です。
普通の撮影でしたら問題ないのですが、私は撮影技術のない素人なので、料理の写真を撮る時、焦点を合わせたい箇所になかなか合わせることができませんでした。シャッターの半押しを繰り返してもピンボケになることが多く、液晶画面を見るためには、”老眼鏡”(言葉がイヤだね)を必要とするのですが、いちいち面倒なので裸眼で適当にシャッターを切っていました。
仕方がないので接写は、Apple iPhone SEという”優れもの”を使うことが多くなり、なんだかモヤモヤした日々を送っていたのです。
カメラ店から連絡があり、ようやく入荷したとのこと。悦び勇んで手にしたは良いのですが、インストラクションを読まなければ正しく使うことはできません。これが面倒です。使用説明書(基本)を読まなくてはならない商品とはユーザーにとって決して良い商品ではなく、iPhoneや MacBook Proのように使いながらドンドン分かってくる物の方が優れています。結局、”老眼鏡”を掛けたり外したりしながら、インストラクションとカメラの表示を読んで、ファインダーを覗く時は眼鏡を外して、を繰り返し、ようやく、SCN(スペシャルシーン)モードを選択し、液晶表示の「色あい」調整で自然な発色を選び、シャッターを切ることができるようになりました。デジタル一眼レフカメラを使い慣れている方にとっては、笑っちゃう手順なのでしょうが、初めはこんなものです。
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いつも通り、貼り付け写真に「A」「C」を記しました。
「A」→ Apple iPhone SE
「C」→ Canon EOS Kiss X9 / マクロレンズ Macro 60mm f/2.8
まだ、Canon EOS Kiss X9を習熟していませんので、この段階で比較するのは酷ですが、率直な感想として、小ちゃなレンズの「Apple iPhone SE オソルベシ」という結果でした。
Canon PowerShot G9 X に比べ、一眼レフカメラですからフォーカスは狙った通りに合わせることができ、ここは満足していますが、裸眼でファインダーを覗いてシャッターを切るとピンボケになります。結局、私の嫌いな ”おまかせ” の AF(オートフォーカス)機能を使うのが便利であり、だったらミラーレス一眼カメラの方が、より軽くて良いのではないかと思いました。
なお、写真補正ソフトは、一切使っていません。
なんだか、”食べログ”と同じ会社が運営している”kakaku.com”みたいな内容になりましたが、キャノンファンの反論を望みます。
【おいしいを作ろう】青山の秋刀魚
お殿様が、「この秋刀魚、いずれより取り寄せたのじゃ?」
家来が、「日本橋魚河岸にござります。」
「あっ、それはいかん。秋刀魚は目黒にかぎる。」
という落ちで終わる落語は皆さんご存じのことと思いますが、”青山の秋刀魚”もなかなか美味しかったのでレビューを追加いたします。
今も秋の長雨が続いていますが、漁獲に変化が出てもう十数年経つのではないでしょうか。地球温暖化の影響は地上だけでなく海の中までに及び、大変なエネルギーが我ら地球のバランスを保とうとして異常気象という現象に表れています。地球も生き物なのです。
今年の秋刀魚は例年に比べ小さく、その理由については諸説囁かれていますが、ここ↓に正しく報道されていると思います。
「台湾・中国のせいだけではなかったサンマ不漁のワケ」
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160928-OYT8T50067.html?page_no=1
お時間の許す方は、URLを開いてみてください。
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野菜、果物、肉、魚介など殆どの食材を43年前から此処で買っている私は、”外食”に飽き足らず、”内食”で自らの欲求を満たしています。家族揃って料理づくりが好きなこともあり、食材選びをしながら旬の素材の変遷や産地による味の違いを知るようになり、自ずと”目利き”ができるようになりました。美味しい素材は、「私、美味しいから買ってね。」と呟いています。
さて、鮮魚売り場です。
今回ご紹介する魚は、サンマ(秋刀魚) と ナメタガレイ(滑多鰈、婆婆鰈) です。
秋刀魚は、既に三回買いました。(九月初旬、九月下旬、十月上旬)ここに載せた写真は、この秋初めて買った九月初旬のものです。ご覧のようにワタ (腸、胃・レバーなど)の周りに脂が絡み、新鮮でプリッとした様子がお判りだと思います。(ピンボケ失礼)
今回使った塩は、フランス/ブルターニュ( Bretagne)の海塩「Guérande」です。いつもは伊豆大島で作っている「海の精」で焼くのですが、チョット捻ってみました。当然ですが、魚には海塩が合います。軽く振っただけで甘みと奥深い旨味が一層引き出され身体にも良いです。
おいしい!!!!!
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次にナメタガレイ(滑多鰈、婆婆鰈) 。
未だ”ハシリ”で腹子が小さく、脂も少ないのですが、ご覧いただいてお判りのように新鮮な身の味わいは、若芽を食べるような驚きと後ろめたさを伴うこの時期ならではの旨みがあります。香りも爽やかであり、フライパンでソテーしても油で揚げてもおいしいのではないかと思いました。
今回は、金沢でハチメ(メバル)を食べた時に教えてもらった煮汁の調合で煮魚にしました。
・水 300ml
・料理酒 100ml タカラの無塩のもの
・醤油 大さじ3 下総国銚子のもの
・味醂 大さじ3 本みりん
・砂糖 大さじ1 鴻商店の特上白
魚本来の香り、旨みがよく分かる薄味の仕上がりです。
おいしい!!!
魚の選び方が分からない方が鮮魚売り場で買うコツは、長靴を履いた売り場担当者を捉まえて「選んでいただけますか。」とニッコリ声を掛けることです。いろいろ訊いても相手は専門家ですから丁寧に質問に答えてくれますよ。
【おいしいを作ろう】黒毛和牛のフィレ肉は、牛カツにすると美味しく食べることができる
前回のレビューから繋がっています。
レストランのレビューではなく購入品の紹介でも「おいしいを見つけよう」の趣旨に合致していると考えています。饅頭やケーキを買ったりすることと変わりありません。
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私は、日本の黒毛和牛を「養殖」と言って憚りません。
小屋に閉じ込め、自然界では口にしない高カロリーの穀物やビタミンA欠乏状態にして霜降り肉を作る飼育は「養殖」「ハウス栽培」そのものです。魚に「天然」を有難がる日本人が、牛肉に関しては無頓着です。
最近は放牧飼育を主とした短角牛や赤牛の赤身肉が注目を浴びていますが、すき焼き、しゃぶしゃぶ、焼肉に向いた霜降り肉の需要は衰えることがありません。
私も海外でキアナ牛、シャロレー牛、アンガス牛など旨味の濃い脂身の殆ど無い牛ステーキを食べるまでは、黒毛和牛のランプ細肉を好んで食べていました。これは脂が少なくステーキやローストビーフに向いた部位です。値段が高いから美味しいだろうと思ってフィレ肉を買ってステーキにしたこともありますが、柔らかいだけで旨味は少ないです。「この肉、柔らか〜い!」は決して褒め言葉ではありません。
ところが、これを牛カツにすると一気に旨味が増すことに気づきました。
ほんの少しの塩と胡椒を振って、衣を付け、僅かな紅花オイルでミディアムレアに焼きます。洋食ですからトンカツのように切り分けて皿に盛り、そのままドゥミグラスを掛けて食べると、とても美味しいです。これをロース肉、肩ロース肉、ランプ肉、イチボ肉などで作ってみましたが、フィレ肉に敵うものはありませんでした。
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この日、来客があり、いつも通り、私が調理を担当しました。
・塩〆したアオリイカと鯛のカルパッチョ(ジェノヴァで買ったオリーブの実とオイルが秀逸)
・蛸の柔らか煮とドライトマトのオイル漬け(トリノの市場で買ったドライトマトを漬けました)
・ズッキーニとコンテのグリル(どこかで見た料理です)
・パンナコッタ(超簡単、クゥワントロ入り)
・カフェ(フレンチプレスで淹れる)
・白ワイン(夏の昼なので爽やかな”Sancerre”)
「oggetiさん、今日はご馳走さまでした。次回はお金を払いますから、また訪問させてください。」と言われましたが、オリーブオイルの残量が少なくなり、また、イタリアへ買いに行かなくてはなりません。
【おいしいを作ろう】代官山 小川軒のレシピでハンバーグステーキを焼く
八月末、レストラン 代官山 小川軒で衝撃的なハンバーグステーキを食べた私は、一つの疑問が解決できないままになっていました。ならば試してみようと思い、紀ノ国屋 青山で黒毛和牛の赤身挽肉(475円/100g)を買ってきました。
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家庭画報 2017年1月号に「小川軒・小川忠貞さんの 絶品ハンバーグ」をいう記事を見つけ、これを参考にしました。http://www.kateigaho.com/food/recipe/20170110_2836_3.html
ここには、二人分の材料と作り方が書かれています。(URL↑を参照してください)
ここで今まで母が作っていた「おばあちゃんハンバーグ」のレシピとの相違点がハッキリしました。母のレシピには、ナツメグ、牛乳、パン粉が入りますが、小川軒のレシピにこれらは使われず、パルミジャーノ、生クリーム、卵黄、赤ワインが入ります。
手順に従い五人分の材料を合わせ、大きなボウルで捏ね、フライパンにラードを敷き、同時にオーブンを温め、焼きました。焼いている途中からいつもと違う香ばしい匂いが漂ってきます。パルミジャーノと赤ワインの香りです。
「ナットク!!!」
レストラン 代官山 小川軒の写真↓をもう一度ご覧いただきたいのですが、中までふっくらフワッと焼かれているのにもかかわらず、牛肉が焼けた香ばしさがあり、不思議に思っていました。
https://tabelog.com/rvwr/000124517/rvwdtl/B290646819/
ドゥミグラスソース(sauce demi-glace)は、以前作っておいたフォン・ド・ヴォーの冷凍キューブを解凍し、これをベースとして同時進行で作りました。いわば即席です。最後にオーブンで焼いた時のパンに残っているワインと水と肉汁が熱せられ濃縮した混合液を加えて味に深みをつけ、さらに煮詰めトマトの酸味が効いた美味しいドゥミグラスに仕上げました。即席と言っても四時間はかかります。肉も三時間放置し室温に戻しておきます。
付け合わせは、紀ノ国屋 青山で買った野菜をテキトーに合わせた ”生トマトとマッシュルームのライスサラダ”です。
Armand Rousseau Clos de La Roche 2006を引っ張り出してきましたが、つくづく眺めていると栓を開けるのは、まだ早く勿体無いとの思いが募り諦めて料理に使った安いDolcetto d'Alba 2014を妻と一緒にいただきました。これでも大きなRIEDELのハンドメイドグラスに注ぐとワインが開き、良い香りがします。1/50ぐらいの値段ですがテーブルワインとして充分美味しいです。
ハンバーグの味は満足できるレベルでしたが、形が扁平になり、種の状態での硬さを工夫しなければなりません。レストラン 代官山 小川軒を満点とすれば、材料が良いので50点ぐらいは取れるのではないでしょうか。腕は未熟です。
私は、このように自分で作ることにより、優れたプロフェッショナルの仕事に畏敬の念を抱きます。
紀ノ国屋 青山のお肉屋さんには、他にも良いものがたくさんあります。次は何を作ろうかなぁ。
【おいしいを作ろう】紀ノ国屋の「越後 青木味噌と糀味噌」で”鯖の味噌煮”をつくる
トリノで入手できない故、日本から持ち込んだ食材の中で保存性の高い焼き海苔や利尻昆布などの乾物、冷凍保存した生ラーメンは残っているのですが、娘の好物「納豆」は賞味期限を過ぎ、いよいよ最後のひとつとなりました。
納豆を食べるのだったら米飯だろうということになり、金曜日に立つ移動マーケットの魚屋で”鯖”を買いました。
イタリアの鯖は美味しいです。小型から大型まで並んでいますが、日本の真鯖に比べて、肉厚はあるのですが細長くスリムです。秋の方が脂が乗っていますが、これも悪くはありません。日本人の魚食の基準で判断しても、こちらの魚屋で扱っている魚の中では、新鮮で充分使える品質です。他に合格するのが、鯛、鰯、鮃、鰈、鰻、そして生きている貝類、偶に解凍物でない烏賊や蛸が並び、これらによって献立のバリエーションは広がります。
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”鯖の味噌煮”は、まず、鯖を三枚におろすところから始めます。
私は、模様のついた皮の表面についている薄い透明な皮を剥いてから煮ます。新鮮ですからフィルムを剥がすようにきれいに取れました。腹身の美味しいところが一番難しいのですが、ここは丁寧に剥がします。
味醂がないので、水と酒と砂糖で下煮をします。
料理酒はとっくに無くなってしまいましたので、勿体ないですが「ゴールド賀茂鶴」を使いました。金粉が二枚入っていました。ある程度火が通ったところで紀ノ国屋の「越後 青木味噌と糀味噌」を合わせ味噌にして溶きます。単独でも良いのですが、合わせることによって味に奥行きが生まれます。色の淡い糀味噌の方が塩分が強いです。鯖の味噌煮は、冷めても味が滲みて美味しいですね。イタリア人は、味噌醤油の味を「forte(強い)」と言って好みませんので、”あたり弱め”に仕上げました。
もう一品は、冷凍していない烏賊で作った「烏賊とズッキーニの炒め物」です。
最後のひとつとなった「納豆」は、孫娘の好物でもあり、日本人のDNAが入っていることを感じさせます。上手に箸を使い「ノンノ、美味しいね ♡」と言って御代わりまでしてくれました。嬉しいです。
食後の果物は、この日、庭の菜園で採れた「さくらんぼ」です。
前の所有者が植えてくれたさくらんぼの木が大きくなって、たくさんの実をつけます。今年は豊作でご近所さんも一緒に収穫しました。佐藤錦に似た味ですが、ハウス栽培ではないので、太陽の恵みをたっぷり含み酸味が少し強いですが、甘さと香りのバランスの良いさくらんぼです。
放ったらかしにしている苺もたくさん採れたので、食べきれない分は、ジャムにしました。
今年は、五月に入っても寒い日が続き、雨も多かったので畑作りが遅れました。道端にも自然に生えているカモミールの種を鳥が落としたのか、畑にもきれいな花を付け良い香りが漂っています。
「帰ってこなくてイイよ。」と聞こえてきそうですが、帰国するのが厭になってきました。
【おいしいを作ろう】海外で作って食べる ”紀ノ国屋の 醤油ラーメン” (なま) の味は如何に。
外国へ行った際に寿司やラーメンを食べようとは思わないのですが、去年は、トリノのイタリア人に誘われて「Ramen-ya Luca」へ行きました。https://tabelog.com/italy/A6510/A651007/65001201/dtlrvwlst/B229481102/
初めて食べたイタリア人の作るラーメンは、そこそこ美味しかったのですが、問題は麺です。ストレート、太目、短い、しかも麺は「Spaghetti」と呼ばれていました。
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いつもは、空港の土産物店で売っている常温保存できる生ラーメンのパックを二つぐらい買って行くのですが、今回の旅は、寄り道なしのイタリア直行でしたので、トロ箱に保冷剤を詰め、普段持って行くことのできない食材を運びました。その中には出発前日に紀ノ国屋 青山で買った生ラーメンと長葱もあります。
孫娘と婿は来日した時に食べたラーメンの味が忘れられず、土産として持って行くには重たいのですが好評です。イタリアのスーパーマーケットでも東南アジア製のカップラーメン、中国製の焼そば、焼そばソース、はるさめは売っているのですが、娘曰く「MSGコテコテで美味しくないので買わない。」とのことです。
貴重なお土産は、醤油ラーメン、塩ラーメン、味噌ラーメン、其々二袋ずつ(二玉/袋、496円)計6食分です。
賞味期限が早いので、直ぐに食べるものを除いて冷凍庫に入れて醤油ラーメンを作ってあげました。長葱は、美味しい鶏肉の”ネギマ”に使ってしまいましたので、少しだけを刻んで「早くも浮きつ沈みつする葱」と映画タンポポで大友柳太朗が示す程度しか用意できませんでした。(青葱と豚肉の炒めたものも少量添加)
私は食べませんでしたが、細い麺に特徴があり、コシがありながらツルッとして喉越しが良いとのことです。「Ramen-ya Luca」の Spaghetti と比べてはいけませんが、「やっぱり日本製のラーメンは美味しい!」と娘が呟きました。
来月上旬に寿司パーティーが予定されています。余興として ”紀ノ国屋の 醤油ラーメン” (なま) を出してみようかな。
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私は、同時進行で作ったパスタ(Spaghetti)を食べました。
・Piccadilly トマト
・Cipolla di Tropea 玉葱
・Fave そら豆
隣町の青空マーケットで買った食材の三色旗 トリコローレ(Tricolore)。
イタリアの野菜で作る料理は、なんて美味しいのだろうか!!!
【おいしいを作ろう】京都で食べた「箸で食べる牛カツ」にハマる。
東京圏のマジョリティーは、明治時代以降、東北本線、信越本線、中央本線、東海道本線、上越線、常磐線などに乗って地方から上京した人々で構成されています。(大概、沿線に居を構える) 私の母は東京出身ですが、父は中央西線沿いの長野県生まれです。端的に言えば「田舎者」の集まりが東京です。もっと遡れば、江戸の町を造るために地方から集まった職人たちの街であり、その職人文化の残る都市であります。公家文化、武家文化の残る関西に比べれば大いなる田舎であるのですが、現在は、中央官庁が千代田区に集中していますので、なんだかんだと言われながらも人も店も集まっています。横並び社会日本を象徴するメトロポリタンであります。(文化の発信地になっていないのが残念です。)
関西で「肉」といえば牛肉のことであり、豚肉、黄鶏肉、桜肉、牡丹肉、紅葉肉は、「肉」と一線を画するものです。
但馬(神戸)、松阪、近江など肉牛の生産地が近いこともその理由ですが、家庭料理である「肉じゃが」をとっても西は牛肉、東は豚肉をつかい、カツレツにおいても「牛カツ」と「豚カツ」に分かれます。中部地区の名古屋辺りが境なのでしょうか。
ドイツ語圏へ行くと仔牛肉や豚肉を平たく叩いてフライパンで揚げるシュニッツェルが美味しいですが、乳牛にも食牛にも適さない牡の仔牛が潰されることを考えると男性である私はあまり喜んでばかりいられません。
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二月に行った京都の洋食屋グリル フレンチで食べたロースカツ(牛ロース)の味が忘れられず、何度か自分で作っています。グリル フレンチは、カウンターキッチンでしたので、調理の一部始終を見ることができました。この店には大きなフライヤーがあり、ミンチカツ、カニクリームコロッケ、エビフライがこの調理器で揚げられています。サクッとした薄い衣がとても美味しいです。
私の注文したロースカツは、フライヤーではなく、フライパンで調理されました。たっぷり目の油をフライヤーから掬ってフライパンに注ぎ、室温に戻され軽く塩・胡椒を振った牛ロース肉に衣を付け、揚げ始めました。調理のポイントは、衣が淡い狐色になったところで調理を終えることにありました。 豚カツとは大きく異なります。
イタリア・ピエモンテの料理にカルネ・クルード(carne crudo)があり、良い牛肉は生で食べても問題がありません。
私は、ビーフ・ステーキもレアが好きですが、豚肉を生で食べるとE型肝炎ウイルス(HEV)の感染、、サルモネラ属菌やカンピロバクター・ジェジュニ/コリ等の食中毒のリスク、有鉤条虫、旋毛虫等の寄生虫への感染がある(厚生労働省のお達し)と言われていますので、肉の芯まで火を通さないといけません。
イタリアには、サルシッチャ・クルード(Salsiccia crudo)という作りたてしかたべない怖い生豚肉のソーセージもありますが、基本的に熱を芯まで加えて食べます。
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紀ノ国屋で買った牛ヒレ肉は、あまりサシの強くない2,980円/100gのものです。
293gでふたり分の牛ヒレカツが作れます。一人当たり約四千円ですが、外食したらその倍ぐらいするでしょう。贅沢です。
こんな良い肉を調理で失敗したら、身も蓋もありません。
使う道具は、伊勢丹新宿店で買ったSWISS DIAMOND 社のフライパンです。もの凄く厚手のアルミ製のフライパンの全面にダイヤモンドコーティングされた優れものです。重さが1.2kgもありますから片手で降ることはできません。五十年ぐらい前に買って今でも現役のアメリカ製の鉄のフライパンが1.8kgですから、これに匹敵します。どちらも厚手であることにより蓄えた熱量が大きく、一気に表面を焼くことができます。
カツレツの断面に着目していただければ、上手に調理できたことがお分かりだと思います。すごく美味しい!
ステーキに比べ、カツレツにすることによって牛脂が焼けず、上品な香りと味になります。旨味も衣から外に出ることがなく、衣がサックとして、肉がフワッと柔らかく、旨味がジワ〜と広がり、とても美味しいです。近頃「重たいから」と言って、牛ステーキを敬遠していた妻も「これは軽くて美味しい!」と喜んでくれました。
私も関西の食文化の奥深さに驚嘆しています。
東京は、「え〜格好しぃ」の街であって、美味しいのは、職人相手の屋台料理から始まった 蕎麦、鮨、天ぷら、鰻 ぐらいであって、フレンチやイタリアンは、どう頑張っても本場に敵わないです。
【おいしいを作ろう】リーキ(Leeks) 、鶏ガラ、手羽先、香味野菜で鶏のフォン (fond de volaille、フォン・ド・ヴォライユ) を引く
リーキ (Leeks、ポワロー、poireau、ポロ葱) は、日本の長葱に似た香味野菜ですが、和の香りではない洋野菜であります。
紀ノ国屋 青山店で、鶏ガラ(冷凍品、約450円/羽)二羽と手羽先10本を買って、鶏のフォン (fond de volaille、フォン・ド・ヴォライユ) を引き、白蕪 (navet)の入ったプランタニエール (printanière、サイの目切りの野菜)のあっさり煮を作りました。
***
この日、amazon.deで買ったBraun製のスチームアイロン(220V , 2200W , 10A)用コンセントの設置のため電気工事が入り、作業が終わるまでの時間を利用して、じっくり作る基本出汁(鶏のフォン、fond de volaille) を引きました。
我が家には、年に数回しか出番のない 6リットルも入る大鍋があります。母が、四十年以上前にセットで買ったアメリカ製のステンレス・スチール多層構造のものひとつですが、料理好きな母の判断は正しかったです。とても使い勝手が良く、熱のムラがなく、美味しい料理が出来上がります。
この大鍋に4リットルの水を入れ、フォンの素材を入れ、一番小さなガスコンロの火で温めます。
沸々と煮出してはいけません。ゆっくり湯が対流するぐらいに火加減を調整します。3時間経った写真を載せましたが、結局、出来上がりには更に5時間を要しました。いい香りが漂ってきた昼時に電気屋さんが、「何をこしらえているのですか?」と訊いてきました。「へぇ〜、美味しそうですね。」
冬の寒い納戸に一晩置いて、鍋の表面に固まって浮いた脂を取り除き完成ですが、澄んだフォンの量は元の半分になり、約2リットルでした。この基本出汁を使って、蕪 (navet)の入ったプランタニエール (printanière、サイの目切りの野菜)のあっさり煮を作りました。Fond de volaille の奥深く、幅と厚みのある味わいは、サイの目に刻んだ野菜の旨味を引き立て、身体にスッと染みこんでいく優しい料理になりました。紀ノ国屋で買った大好きなイングリッシュマフィンにお隣の奥さんが手作りした八朔のマーマレードを載せ、白ワインで食べました。もの凄く美味しい!
ここのところイタリアンばかりでしたので、使う基本出汁は、1時間から2時間で作ることのできるソフリット(Soffritto) でオッソ・ブーコ、ラグー、豚足の煮物などを作っていました。フレンチの出汁は長時間放っていれば良いのですが、気を抜くことができず気疲れします。これに比べれば、昆布と削り節や煮干しを用い、凡そ15分から45分で引くことのできる「和の出汁」は、インスタントのようです。簡単に引くことができるので気楽です。
***
さて、娘の家で使っているBraun製のスチームアイロンと同じ性能のアイロンは、日本にはありません。
何が違うかというと、電気コードと一緒に水のホースが、タンクからアイロン本体に繋がっていることです。タンクには1.5リットルもの水が入りますので、スチームが強力です。「ブシュー」と大きな音を立ててスチームが出てきます。日本製のアイロンの場合、アイロン本体に付いた小さなタンクに水が入りコードレスになっていますので取り回しは良いのですが、パワーが足りません。厚手のコットンパンツや空手の道着にアイロンをかけるのは大変です。
私は今まで、気に入った信頼できるクリーニング屋にワイシャツのランドリーを出していたのですが、そこのご主人が八十歳を節目に廃業してしまいました。世界一上手なクリーニング職人でした。以前、大手クリーニング店で痛い目にあっていたので、仕方なく自分でアイロンを掛けることにしました。しかし、家庭用のアイロンでは手間ばかり取られて、仕上がりもイマイチです。(襟の先端や袖口の端の皺が少し残る)
そんなことがあり、このドイツ製のアイロン(約3万円)を買った次第です。
アイロン掛けのもう一つのポイントは、アイロン台にあります。「スチーム & クール」いかに早く冷やすかによって皺の取れ方に差が出ます。プロの店では蒸気を吸引する構造のアイロン台が使われています。糊付けしなくてもビシッときれいに掛けるには道具が大切です。
次は、アイロン台を注文しなければならなくなりました。「ブシュー」。
イングリッシュ・マフィンを焼いて自家製ブルーベリージャムを塗った朝食
私は、朝食にイングリッシュ・マフィン(English muffin) を食べるのが、好きです。
いつもはナイフで切らず、ゆっくり手で二つに割ってからオーブントースターで焼いて、カリッとした焦げ目をつけます。今日は、表面に付いたコーンミール(Cornmeal) を落とさないように静かにナイフを入れてみましたが、食感も見た目も手で割った方が良いです。
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我が家のブルーベリーは、秋に妻が施す追肥のお陰で、毎年たくさんの実をつけてくれます。
ゴールデンウィーク前後は、毎日、小さな笊にいっぱいの熟したブルーベリーを摘みます。地面に落ちているものも多く、拾いたくなるのですが、これは野鳥と蟻のために残しておきます。ご近所さんからも「oggetiさん家のブルーベリーはたくさん生るわね。」と言われるので、毎年、ジャムが出来上がるとガラス瓶に入れたジャムをお裾分けします。庭にはツツジの灌木がたくさんあり、この花粉が作用して実をたくさんつけるようです。
ブルーベリーを煮詰めて砂糖とレモン汁を加えればジャムに固まりますので、作るのは簡単です。
煮沸消毒したガラス瓶に目いっぱい詰めて蓋をすれば、中身が冷めるとともに蓋が凹み、ジャム作りは完了です。
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オーストリア=ハンガリー帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の皇后エリザベートが愛した"ウイーンの薔薇"のカップにTisane(ティザン)を注ぎ、美味しく焼けた紀ノ国屋製イングリッシュ・マフィンをBIRKAの皿に載せてゆっくり朝食を食べました。 美味しい!
このスウェーデン製の陶器は、私たちが結婚した41年前に揃えました。
ポジションプレート、ディナープレート、デザートプレート、スーププレートを其々半ダースずつ購入しましたが、未だに一枚も欠けていません。とても丈夫で長持ちです。
【おいしいを作ろう】価格は高いですが、品質を維持するための管理が行き届いています。
(2回目のコメント)2017JAN.04
私は京都の白味噌、丸餅の雑煮も好きですが、我が家の雑煮は東京の清し汁です。のし餅、かしわ、鳴門、小松菜、上等な出汁で作る美しいシンプルな雑煮です。三ヶ日は、大した調理をしなかったのですが、紀ノ国屋の肉売り場で買った雑煮用の山口県産”黒かしわ”が余ったので、今日インドカレーを作りました。
余ったかしわを数種類の香辛料と塩、大蒜、生姜でマリネして、一晩、冷蔵庫に入れて味を馴染ませます。
中鍋にポピーシード、マスタードシード、クローブ、シナモン、黒胡椒を粒のまま入れて少しだけ炒ってから擂粉木で潰して大蒜と玉ねぎを加えベースペーストを作り、マリネした鶏肉を入れて煮込みます。ホールトマト、白ワイン、ターメリック、フェンネル、ガラムマサラ、コリアンダー、クミンなどの香辛料を加えたスパイシーなインドカレーは、お節料理で膨れたお腹に刺激を与え体調が整います。
私の作るカレーには、大根が入ります。今回は、お節料理の膾用に野菜売り場で買った三浦大根の残り(両端)を使いました。
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(1回目のコメント)2017JAN.01
外食よりも内食が多い我が家は、食材に使う手間が多いです。
母も妻も私も調理が好きなので競って台所に立ちます。野菜を刻んだり、出汁を引いたりすることが全く苦にならず、段取りを考えて完成に至る過程を楽しんでいます。美味しく仕上がった時は顔がほころびますが、「これが最高だ」と思うことはありません。料理は奥が深く究めることはできません。
私が陶芸を嗜んだ時、「一土、二窯、三轆轤」と教わりました。
細工も焼きも大切ですが、最も重要なものは「土 (粘土)」であるということです。
料理も同じで「素材」が悪ければどんなに工夫しても美味しくなることはありません。しかし、どんな上等な素材でも下手な調理をしてしまったら台無しになってしまうところが怖いです。こればかりは数を熟して失敗を重ねることによって身に付けるしかありません。気を抜かず、丁寧に、しかもタイミングよく細心の気配りで仕事をしなければ美味しい料理はできません。客からお金を戴くプロの料理人のストレスは、相当なものだと察します。
私と妻の食材に対する塩加減は、季節と大きさを見て適当に振りますが、母は、最初に重さを測って自分のノートを見ながら、計量スプーンを使って振り掛けます。どちらが正しいのか分かりませんが、料理は「創造性」が重要だと思うので、私のように臨機応変に作っている方が楽しく、いろいろアレンジができます。
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我が家の殆どの食材は、紀ノ国屋 インターナショナル店で購入しています。
作った料理の一部を写真に載せましたので、ご覧いただければ嬉しいです。年末に仕入れた食材は、美味しい「お節料理」になりました。
去年、最も美味しかった魚は、「キチジ(吉次、キンキ)」(6,000円ぐらい/尾)です。これを優しい薄味に煮付けて食べましたが、滋味豊かなキンキを味わうことができました。今年は、どんな食材を手にすることができるのでしょうか。楽しみです。(参考:http://0822kiseki.com/2015/08/01/post-5881/)
점포명 |
Kinokuniya
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장르 | 편의점/슈퍼마켓 |
03-3409-1231 |
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예약 가능 여부 |
예약 불가 |
주소 |
東京都港区北青山3-11-7 Aoビル B1F |
교통수단 |
東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線【表参道駅】徒歩3分 오모테산도 역에서 232 미터 |
영업시간 |
영업시간과 휴무일은 변경될 수 있으니, 방문하기 전에 식당에 확인하시기 바랍니다. |
예산(리뷰 집계) |
~¥999~¥999
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지불 방법 |
카드 가능 (VISA、AMEX、Diners、JCB) 전자 화폐 가능 QR코드 결제 불가 |
개별룸 |
불가 |
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카시키리(기간을 정하여 빌려줌) |
불가 |
금연・흡연 |
완전 금연 |
주차장 |
가능 ビル共用122台(有料:割引あり) |
공간 및 설비 |
세련된 공간,차분한 공간,바리어 프리,휠체어 입점 가능 |
음료 |
엄선된 와인 |
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이럴 때 추천 |
많은 분이 추천하는 용도입니다. |
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서비스 |
테이크아웃 가능 |
아이동반 |
어린이 가능(초등학생 이상 가능),유모차 입점 가능 |
홈페이지 | |
오픈일 |
1953.11.28 |
「紀ノ国屋 インターナショナル」のバックヤードで焼いている「東京で一番おいしい!トラディショナル・バゲット」は、作るのが難しく、少量しか店頭に並びません。
我が家で所謂 "菓子パン" (Viennoiserie、ヴィエノワズリー、ウィーンのもの) を食べるのは母(93) だけであり、好きなあんパンとソース味のかつサンドを年に一回か二回食べます。妻と私は、市販の "菓子パン" を朝食や昼食の代わりに食べることはなく、ドライフルーツやナッツ類が入っていない小麦粉を焼いただけの "食事パン" を好みます。"フッワフワの高級食パン" は、余分なものがたくさん入っていて甘ったるく、"甘やかされた おこちゃま" の味覚を持った人が食べるものだと思っています。
たくさん写真を載せましたが、料理についてはキャプションをお読みいただければ嬉しいです。
「あなたがこんなものを作るから外食する気にならないわ。」と、ワイングラスを持った妻が言い。
いえいえ、おいしい食材を揃えてくれる紀ノ国屋のお陰です。
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