江戸前の "早すし" よりも ”熟れすし” 、"筥すし"、"押しずし" 、"棒ずし" 、"巻すし" 、”ばらずし” が好き
今年七月、食材の仕入れを「紀ノ国屋 国立店」へ変更した私は、偶に青山の「紀ノ国屋 インターナショナル」へ行くことがあります。それは、インターナショナル店でしか扱っていない食材を買うためです。
1、インターナショナル店の窯で焼いている パン ド ミ
2、インターナショナル店の窯で焼いている トラディショナル バゲット
3、グラッパ (Grappa BIANCA)
4、オリーブオイル (Lorenzo No,5)
5、瓢亭の土佐醤油
6、オーダーカットしてもらうプロシュット
7、スイス CURAPROX の歯ブラシ
8、そして、小鯛雀鮨 すし萬の "筥すし"、"押しずし"
その他の "もの" や "サービス" について、国立店とインターナショナル店のレベルは同じです。
いつ起こるか分からない大地震を考えると、ビルが密集し人口密度の高い都心より郊外の方がより安全です。
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何度も書いてきましたが、私は江戸前の "早すし" よりも ”熟れすし” 、"筥すし"、"押しずし" 、"棒ずし" 、"巻すし" 、”ばらずし” が好きです。
形式美を大切にする私は、屋台の立ち食いだった江戸前すしに対して自分なりの "形" (スタイル) を貫いています。それは、"長っ尻" をしないことです。お茶を飲みながら "おこのみ" で好きなように食べて三十分程度で店を後にすることです。いつの頃からすし屋は、"超高額予約困難各馬一斉ゲートインおまかせカウンター割烹料理" の "居酒屋" になったのでしょうか。私のスタイルは、これに対するアンチテーゼとしての拘りなのかもしれません。
また、江戸前の "早すし" は、自分でもおいしい酢飯を作ることができますので、そこそこ握ることができます。動きの速い寿司職人の手元を観察し、YouYube に公開されている動画を "分解写真" のように送って、これを真似て練習しました。
https://www.youtube.com/watch?v=fPXktawM30o
ところが、 ”熟れすし” 、"筥すし"、"押しずし" 、"棒ずし" は作れません。
好奇心旺盛ですから真似てみるのですが、上手に仕上がりません。一番難しいのが酢飯の押し方です。専用の押し型を使っても巻き簀で巻いても押し過ぎたり、場所によって押しのバラツキが出てしまいます。これは一つずつ握る "江戸前の早すし" より難しいです。(口に入れて酢飯がホロホロっと崩れるように押す・握るのはどちらも同じです)
「小鯛雀鮨 すし萬 紀ノ国屋インターナショナル店」の店長が押した筥すし (押しずし) は、他の職人と比べても群を抜いておいしいです。コツはどこにあるのだろうか。
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小鯛雀鮨 すし萬
最近は、 "接待専用" もしくは "酒を飲んで長っ尻" 、"劇場型"、"すし職人ひとり芝居"、"二部入替え制" のすし屋が増えています。
店も心得たものでそういった店を好む客に合わせた "超高額予約困難各馬一斉ゲートインおまかせカウンター割烹料理" の合理的長期売上計画可能安定経営型すし屋の親方が、たくさんのお金を落としてくれる客を叱るようなことは無くなりました。
また、覆面調査員(実際に覆面を着けていれば面白い)による "顧客満足度調査" のレイティングが低ければインターネット上で「××の〇〇は何様だと思っているんだ!」「思い上がるのもイイ加減にしろ!」「金を払っているオレらは神様だ!」と、SNSで叩かれてしまいますので #よけいなことは言えなくなりました。
今は少なくなったのでしょうが、すし屋ですし職人の握ったすしをつけ台に置いたまま手をつけず、客同士で長話をして すし種の表面がダレてきてから食べる人がいます。店内での喫煙が可能な頃は、置かれたすしに一瞥をくれて徐ろにタバコに火を点け、二服三服してから酒で口を濯ぎ、ようやくすしに手を伸ばして口に運ぶ強者(曲者)もいました。私がすし職人だったら「金は要らないから出て行ってくれ。」と、追い出したでしょう。
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私は自分で料理を作ることが好きです。来客の中には「お金を払ってでも食べたい」とか「素人にしておくのは勿体ない」とか言って持ち上げてくれる方がいますが、プロフェッショナルの料理人になろうと考えたことは一度もありません。なぜならば、最高の状態で食べてもらう為に良い素材を最適な状態で整え、下拵えを行い、数秒狂ったら味のピークが過ぎてしまうのではないかと思われるタイミングを計ってテーブルに並べることが要求される料理人は、体力的にも精神的にもタフな人でなければ務まらないからです。特に食べるのは一瞬ですが、たくさんの下拵えのあるすし屋はやりたくないです。
自分で作るようになってから作る側の苦労や相手に対する配慮の深さが理解できるようになりました。料理を運んでくれた中居やフロア係から「どうぞ、冷めないうちにお召し上がりください。」と、促されることがあり、出されたものは直ぐに食べるのが店に対する礼儀であることを改めて知らされます。家庭においても「あなた、早く食べないと冷めちゃいますよー。」と、言われるまで他のことに夢中になっていたことがありました。きっと、妻は私の帰宅時間に合わせてテーブルセッティングを行い、全ての下拵えを整え、ベストタイミングで仕上げの調理をしてくれたはずです。「あなたは猫舌でしたっけ?」とアイロニー型厭味を発して精一杯の苦言を呈してくれたのに「ありがとう。」の一言も伝えず、黙々と食べて「風呂、めし、寝る」の亭主関白を通していた自分が恥ずかしくなります。
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髭の料理評論家等の仕掛けによって江戸前の "早寿司" がもてはやされ、 ”熟れすし” 、"押しずし" 、"棒ずし" 、"巻すし" 、”ばらずし” が脇に置かれる時代になってしまい、つけ台に置かれた握りの酢飯が沈む前に口に運ぶことが "好し" と言われるようになりました。こういう食べ方は何とも忙しなく、そんなことまで気にすることはありません。もともと屋台料理ですから好きなように気楽に召し上がれば良いのです。
その点、こちらの "押しずし" は、眼福した後に好きなものを好きなようにゆっくり食べることができます。 "早寿司" が主流の現在、この店は貴重です。日本の伝統料理の味を絶やしてはいけません。多くの支持者が増えることを願っています。
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私は、"江戸前 (早すし)" より ”熟れすし” 、"押しずし" 、"棒ずし" 、"巻すし" 、”ばらずし” が好き。
対面販売の「小鯛雀鮨 すし萬 紀ノ国屋インターナショナル店」は、「紀ノ国屋 インターナショナル」の対面式コーヒー売り場の右隣にあります。また、この店で作っている「大阪寿司、押し寿司」は、チーズ売り場の裏側にも同じ商品が置かれていますのでカートを押しながらこれを手に取る買い物客も多いです。
物を買う時に「対面が苦手な人」は、個人商店や専門店へ行かず、セルフレジのあるスーパーマーケットや一言も喋らなくても買い物ができるコンビニエンス・ストアや究極の無人ストアで無機的な買い物をしてストレスを溜めないようにしているのかもしれません。
逆に「対面が好きな人」は、店とのコミュニケーションを大切にして互いの情報を交換することで、客は店から商品に関する貴重な情報を得たり、店は客の好みを知ったり、客からの改善要望を汲み取ったりするのですが、遠回しな要求が通ることは少なく、少し角が立ちますがストレートな物言いをした方が良い結果を生むことが多い キガシマス (©︎KYTさん)。
昨今の状況下、どちらがウイルス感染防止に適しているかは明らかですが、これを防ぐための透明シートが客と店員との間にあるのは気休めかもしれません。
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私は東京人ですが、多くの方が好きな "江戸前 (早すし)" より "押しずし" 、"棒ずし" 、"巻すし" 、”熟れすし” 、”ばらずし” 等の時間が経って米と種が熟れて一体化したすしが好きだというマイノリ党です。ですから屋台料理であった "江戸前 (早すし)" を有難がって特別な食べ物のように投稿されているレビューを見ると『なんだ、"超高額予約困難各馬一斉ゲートインおまかせカウンター居酒屋料理" を有難がって、○○が知れるよ。』と、鋭い角がビンビン立つことを書いて嫌われることになります。食べ物は "好みの問題" ですから #いんだよ細けえ事は!(©︎MSSBHINSさん) でありますので気にされないでください。
「気になんかしてねえや、この面倒なジジイ。コロナに罹って消えろ!」と、恐ろしい声が聞こえた キガシマス (©︎KYTさん)。
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「此花すし」(1,674円)には、"いそ巻"、"〆鯖朧巻き"、"穴子"、"よこほり" の四種類が二個ずつコンパクトに収まっています。
一枚目の写真には "〆鯖朧巻き" がありませんが、私が好きなので最初に取ってしまったという次第です。
母は "穴子" が好物で、妻は "いそ巻" を好みます。相手を気遣い遠慮しているということはなく、各人の好みが違うだけなのですが、同じ屋根の下で何十年も一緒に暮らしながら食べ物が "好みの問題" であるということをよく表しています。残った昆布に巻かれた海老の押しすし "よこほり" もとてもおいしく、妻と一つずつ食べることが多いのですが、この日は「焼いた帆立貝の柱を私が三個いただくきますから、あなたに二つとも差し上げます。」と、結局、私が合計四個の押しすしを食べることになりました。
"江戸前 (早すし)" より "押しずし" を好む理由のひとつに "作り立てを急いで食べなくても良い" ことが挙げられます。
この日も添付写真の "酒の肴” を盃を傾けながらゆっくりいただき、"掻っ込み欠食児童" を疾うの昔に卒業し晩酌が主体となった我が家の夕膳は添付写真の料理があれば贅沢というものです。"押しずし" は、最後に食べても途中でも劣化することがなく、眼福と香りを楽しんでからいただくことができます。それにしても、『やっぱり店長の作る「(大阪寿司、押し寿司」が一番おいしい!』と、思うのでした。
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帰国直後、「此花すし」で日本の味を確認する
私が "江戸前すし" に拘りを持たなくなったのはいつ頃からだったのだろうか。
それは2004年、私の "すし食い" を育んでくれた高倉 健 似の親方が、不治の病に倒れたことが境であったような気がする。
(この親方の握るすしを超えるものは未だに現れていないと思うのは妄想かもしれないが、)
父から「お前がすし屋のカウンターに座るのは、自分で稼ぐようになってからだ。」と、言われていたのですが、他の客が入ってこない午後5時過ぎに「おい、〇〇も偶にはすし屋で食べてみるか?」と、誘われたのは50年以上も前のことです。時が流れ、私が社会人になった年(1975)の6月、急に黄泉の世界へ行ってしまった父の面影を探すように "その店" に通うようになると、顔は厳しいけれど心の優しい親方から『親父さんの供養とはいえ、あんたみたいな若者がカウンターに座るのはまだ早いよ。』と、叱られている気がして遠慮がちにカウンターの端っこに座っていました。
バブル景気以前の昭和40年〜50年代は、そんな当たり前の礼儀作法が客にも店にも存在していた時代です。
少し余裕が出てきた頃には、 "その店" 以外にも当時の食通が食べていたすし屋に出入りするようになり、小野二郎氏の店でも訪問する5分前に電話を入れ、現在のような "おまかせ" ではなく "おこのみ" で好きなものを食べて親方と世間話をして30分で店を後にしていました。他にも "江戸前すし" が何であるのか確かめるため一回限りの店、四季ごとに訪問する店、毎月訪れる店、毎週のように行く "その店" 、と結構な回数を食べ、自分のスタイル (食べたい時に行って、"おこのみ" で好きなものを食べて30分で出る) が定まったようです。
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この日、ウィーンから羽田空港に到着して「神田まつや」で温かいそばを食べ、去年は「笹巻けぬきすし総本店」で 15個入りの折詰を買ってから帰宅したのですが、今年は「紀ノ国屋 インターナショナル」で "瓢亭の土佐醤油" を仕入れることが優先されたため、早すしである "江戸前握りすし" より好きなより古典的な熟れ寿司である "押しすし" を「小鯛雀鮨 すし萬」で買って帰りました。帰路の途中には「八竹 四谷店」もあり、迷ったのですが、そばを食べ、お腹が膨れて多少のジェットラグを覚えていたので寄り道はできませんでした。
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「此花すし」には、"いそ巻"、"〆鯖朧巻き"、"穴子"、"よこほり" の四種類が二個ずつコンパクトに収まっています。これを同梱の小さな天削げ割り箸で取り分け、母は "焙じ茶" で、妻が "スーパーニッカのハイボール" で、私は "キンシ正宗" を飲みながらいただくと四角く押された大阪すしの酢飯が口の中でホロリと崩れ、それぞれのすし種の味わいとアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae、ニホンコウジカビ) 由来の香りが『あぁーっ、日本も良いなぁ。』と長旅の疲れを癒すのでした。おいしい!!!!!
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「江戸前すし」より難しい「押しずし」
今から365年前、承応二年(1653) に創業した「すし萬」の本店 (大阪市西区靭本町 2-3-7) へ行ったのは、四十年も前のことです。 HP(参考):http://www.sushiman.co.jp/history.php
その五年前から紀ノ国屋 青山で「すし萬」を購入していた私は、初めて見る大きなすし桶に詰められた "押しずし" に驚き、『いつの日か買うことができれるようになれば良いなぁ。』と考えていました。
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私は東京人ですが、歳を重ねるに従って、江戸前 (早すし) より "押しずし" 、"棒ずし" 、"巻すし" 、”熟れすし” 、”ばらずし” が好きなことに気付きました。それは、オブジェ焼きばかり作って粋がっていた若者が、名もない陶工の作った器に「用の美」を見出し、虜になるのに似ています。
ご高承のとおり "すし" の起源は、東南アジア/メコン川流域の ”熟れすし” であります。この乳酸発酵と蛋白質のアミノ生成が進んだ保存食としての食べ物は、稲作文化とともに日本へ伝わったのですが、室町時代になると比較的短期間の発酵状態で食べる「生なれずし」「半なれずし」が現れます。すし桶に塩をした魚と飯を交互に漬け、木の蓋をして重石をやると数日で発酵し、ご飯も一緒に食べることができました。。現在も作られている "押しずし" や "箱ずし" の原型です。
果実やワイン、酒などの醸造酒を酢酸菌で酢酸発酵して作る「酢」は希少で高価なものでしたが、江戸時代に入ると、米から作る「米酢」、酒粕から作る「赤酢」を量産する技術が出来上がり、一つずつを食べ易く、くっ付かないようにした「笹巻きすし」や「柿の葉ずし」が出現するのですが、さらにこの包みを外したのが江戸の華屋与兵衛(1799年-1858年)と言われ、「江戸前すし」がようやく誕生しました。
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「笹巻けぬきすし」「八竹」「大〆https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130905/13000389/」や「柿の葉すし」「鯖棒」「鱒寿司」が好きでちょくちょく買っていますが、先日、都内のあるデパートで「とり松」が出店していたので "鯖のおぼろ" を使った「ばらずし」を購入しました。おいしいです!!!! 江戸前でも ”ばらずし” を作ってくれる店 (すきやばし次郎でも作ってくれた) はありますが、現在は当局の指導が厳しく、折り詰めを用意してくれる店は少なくなりました。
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ここ紀ノ国屋 青山には「すし萬」の出店が、レジの右奥にあり、ここで製造販売しています。
おいしい食材をたくさんカートに載せた後ですから、夕食の献立に隙のある時にしか買いませんが、四種の押しずしが二個ずつ入った「此花すし」を好んで買っています。おいしい!!!!
江戸前の握りは、一つずつ作り酢飯の締まり具合というのは安定していて、すし職人によって差が生じるぐらいですから、好みの職人が握る寿司を食べに行けば良いのです。
押しずしは、木枠に寿司たねと酢飯を入れて押し込み、一度に四個から八個分が出来上がります。従って、酢飯の締まり方にバラツキが出易いのです。
紀ノ国屋 青山に以前からいらっしゃる「すし萬の店長」が作った押しずしが一番おいしいです。最近、二番手が替わり、この職人も良いのですが、店長にはまだまだ敵いません。もう一歩ですから技を盗んで自分のものにして欲しいと思います。
意外ですが、「押しずし」は、「江戸前の握りすし」より難しいのではないかと思っています。
점포명 |
Kodai Suzume Sushi Sushi Manki No Kuniya Intanasho Naruten
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장르 | 스시(초밥) |
예약・문의하기 |
03-3409-1089 |
예약 가능 여부 |
예약 가능 |
주소 |
東京都港区北青山3-11-7 Aoビル B1F |
교통수단 |
오모테산도 역에서 225 미터 |
영업시간 | |
예산(리뷰 집계) |
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지불 방법 |
카드 가능 전자 화폐 불가 |
개별룸 |
불가 |
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카시키리(기간을 정하여 빌려줌) |
불가 |
금연・흡연 |
완전 금연 |
주차장 |
가능 |
이럴 때 추천 |
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홈페이지 |
【前回レビューのコピペで申し訳ございません】
何度も書いてきましたが、江戸前の "早すし" よりも ”熟れすし” 、"筥すし"、"押しずし" 、"棒ずし" 、"巻すし" 、”ばらずし” が好きです。
私は、屋台の立ち食いだった江戸前すしに対して自分なりの "形" (スタイル) を貫いています。それは、"長っ尻" をしないことです。お茶を飲みながら "おこのみ" で好きなように食べて三十分程度で店を後にすることです。
江戸前の "早すし" は、自分でもおいしい酢飯を作ることができますので、そこそこ握ることができます。ところが、 ”熟れすし” 、"筥すし"、"押しずし" 、"棒ずし" は作れません。
好奇心旺盛ですから真似てみるのですが、上手に仕上がりません。一番難しいのが酢飯の押し方です。専用の押し型を使っても巻き簀で巻いても押し過ぎたり、場所によって押しのバラツキが出てしまいます。これは一つずつ握る "江戸前の早すし" より難しいです。(口に入れて酢飯がホロホロっと崩れるように押す・握るのはどちらも同じです)
料理については、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。
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