“途中下車”しても寄りたくなる佳店 : Aji

またまた久しぶりに。

かさごの刺身は松笠造り、問題なく美味いのだが、
この日の逸品は、たらのもつ煮。
タラのもつ煮など初めて食べたが、肝はねっとりとコクがあって旨いし、
他のモツも歯ごたえよく、上品な味噌味に仕立てられ、かなりのもの。

牡蠣のシーズンが終わる前に、今度は牡蠣の磯辺焼きを頼んでみたいと思う。

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久しぶりの再訪。

むつのなめろう、鯵や鰯とはひと味違う、やや淡白ながら上品な仕上がりで旨い。
一の蔵の熱燗に、よく合う。
いわしのフライは、よくある開きを揚げたものとは違い、三枚に下ろした身をフライに、
骨や頭は素揚げにしてある。要するに、一尾を余すところなく揚げて出してくれる。
こういう工夫は、酒呑みにとっては嬉しいもの。

この夜も、狭い店内ながら満席だった。また来たい。

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11年12月09日訪問


外から見える雰囲気だけで、心動かされるような店がある。

外から窺える範囲なんて高が知れているのだが、例えば明るいだとか、内装の感じが侘びていていいとか、
入っている客が楽しそうとか、カウンターの中にいる主人の佇まいがよさそうとか、
わずかに得られる情報だけでも、ああここは好さそうだなとか、好さそうだけど何かが違うとか
何となくはわかるものである（もちろん、間違うことだってあるにはある（笑））。

外から窺い知れるわずか数秒の情報だが、案外馬鹿にしたものでもない。

“されどチラ見”、である。


当店は、実は“散歩”を始めた当初から存在を知ってはいたのだが、四ツ谷駅からも若干離れており、
散歩の終着地としてはちょっと中途半端な立地にある。付近の人通りも多くない。
しかし、大抵混んでいるのだ。


一人なのでカウンターに座る。

メニューが手書きで読みづらい（笑）
刺身が良さそうだ。黄ハタの昆布〆と太刀魚を頼む。割といいお値段。

お通しは、きちんとした手間がかかったもの。
ビールよりは日本酒に合いそうだ。
日本酒までとっておけばよかったな。

お一人なので、少なめに盛らせていただきました、と出てきた刺身二種。
黄ハタは昆布の旨みが乗った、ねっとり感のあるもの。
太刀魚はこれまた十分脂が乗っている。両方共旨い。
気を遣っていただいたのだが、当方刺身大好き人間につき
これなら普通に盛ってもらってもよかったかも知れない（笑）

日本酒の種類は多くない。一ノ蔵、銀盤、浦霞。
まあ、菊正しか置かないような店もあることだし、特にこだわる向きでなければ不足はないだろう。
特に今の時期は燗にしてもらうので、私はこれで必要十分。

最後に、つみれを頼んでみた。
焼いたものやつみれ汁のように供してくれるものなど、何種類かあるようだ。
今回は、水炊き風にしてポン酢でいただくもの。

たかがつみれ、されどつみれである。
余計なつなぎが使われていないのだろう。魚の味がしっかり感じられる。
しかし、鰯団子のような、歯を入れるとボソッと崩れるものとも違う。
やわらかいのだが、モチッとした弾力もあり、そこはかとなく甘みを感じるもので、美味しい。
つみれを食べて旨いと感じたのは、おそらく初めてだろうと思う。

ここで会計を。刺身二種、つくね、中壜、銀盤2合で、4,000円と少々。
刺身の盛りを減らしてもらった分、若干引いてくれているようだ。


一人でふらりと入ってくる客は、きっと珍しいのだろう。
気難しそうに思えた主人が、気さくに話しかけてくれた。
女将は、最後に戸口まで送り出してくれた。
間口は決して広いお店ではないだろうが、初見の客にも丁寧な対応は、嬉しい。


当店を訪ねるために、四ツ谷でたまには“途中下車”してもよいかな。
そう思える佳い店。