まるで溶岩内の小海老を発掘するが如し : Ebi han

一風変わった天丼だったので、当店2回目のレビュー。

三田　"ゑび伴"

大将と女将、そして大女将という絵に描いたような家族経営の天ぷら屋。
カウンター頭上にズラりと並んだロマネコンティやシャトーマルゴーの等の超高級ワイン空ボトルは、先代のご趣味だったとのこと。

"かき揚げ天丼" 1800円を注文。

「かき揚げ」のイメージを覆すビジュアルはまるで溶岩の如し。
ふんわり漂う胡麻油の香が鼻腔をくすぐる。
箸を入れて食べ進めれば、出るわ出るわの小海老祭り。
まるで溶岩に埋まる小海老の化石を発掘調査しているかのよう。
どうしてこのような「かき揚げ」になったのか？謎。

卓上の山椒と七味は、浅草の老舗「山徳やげん堀」謹製。徳川三代将軍家光公に献上し喜ばれ、徳川の「徳」の字を掲げる「山徳」の称号。
このかき揚げにはこちらの山椒が良く合う。

何とも言えない独特なこだわりを感じる天ぷら屋なのです。

1970年創業の老舗天麩羅屋。
階下の入口には大量のワインのコルクが詰まったタワー2基と、「春夏冬中」の看板、、？どうやら「秋」が無いので→「商い中」と読むらしいw。

三田　"ゑび伴"

店内はいかにも「家族経営」っぽい居酒屋的な雰囲気、、、にも関わらず、カウンター頭上の品書札の棚には、ボルドーの有名シャトーをはじめ、なんと年代物「DRCロマネコンティ」の空ボトルがズラリ！中には"ドメーヌ ルロワ"もあり、思わず見惚れてしまいました。

さて、揚げ手は年季の入ったご主人が安心。ランチは庶民感覚の価格で嬉しい。

"名代天丼" 1200円

注文後に、ぴちぴちと心地良い油の揚げ音。暫くすると良いタレ色の天丼が到着。

揚げたての海鮮は、海老、烏賊、鱚。野菜は、サツマイモ、ピーマン、ナスという布陣。

気に入ったのは烏賊とナス。
ブロック状の分厚いイカ天は歯応えが程良く甘旨い。ナスは表面はカラリと揚がりつつも中は瑞々しさを残したままとてもジューシィ。

そして何よりも甘辛なバランスのとれたタレがとても好み。
しっかり漬かった胡瓜と白菜のお新香もワカメ味噌汁も手抜きなく、美味しく頂きました。

お会計時に、どうしても気になってワインボトルの件を女将さんに伺ったところ、「先代の趣味だった」とのこと。その時代にワインとは、ずいぶんと洒落人だったことでしょう。