阿佐ヶ谷の路地裏には美味い日本酒と酒を楽しむ肴があった : Tsuru Ni Tachibana

マイレビュアーＭ氏から、「中央線沿線で飲みたいっす」とメール。
とりあえず阿佐ヶ谷でも行ってみようかということになり、ならばここに行きたいという氏の予約により来店。
我々の入店した15分後に来たお客さんは、「今日は満席です」と断られていましたから、なかなかの人気店の様子。
カウンター６席、掘りごたつ式の小上がりに４人席が２つの小さな店。
ご主人がすべてを一人で切り盛りしているので、このくらいの規模がいいのかもしれません。

ちょっと変わった店名のこの店は、日本酒をそれに合う肴とともに楽しむ店。

ご主人に、スタートにふさわしいお勧めは何？と聞くと、「ちょうど新しいものが何本か入ったので」と、目の前に4本の日本酒を並べてくれました。
その中から選んだのは、澤屋まつもと純米大吟醸。
富山県南砺市の五百万石を使用しているとのことですが、酒蔵は京都です。
それほど吟醸香は強くなく、ボディのわりとしっかりした旨味のある酒でした。

続いては、やはりお勧めを４本並べていただいた中から、飛露喜純米吟醸に南部美人純米吟醸心白山田錦。
飛露喜はすっきりクリア、しかしこの時の肴をがっちり受け止めるという点では南部美人の方が優秀さを発揮してました。

くどき上手「酒未来」純米吟醸に開運ひやづめ純米山田錦もいただてみました。
爽やかフルーティーな旨味のくどき上手に対して、開運は「ちみたちが今飲んでるのは日本酒なんだかんね」とその旨味をしっかり主張する味。
さらに黒牛純米生酒原酒中取りに喜久酔特別純米。
ちょっと酸味のある分厚い旨味の黒牛、丸みのある旨味の喜久酔という感じかな。

値段は種類によって800円から1,000円程度のようです。

こうした日本酒に合わせる料理は、アラカルトもあるのですが、ご主人にお任せのコースが安心。
今回は、一汁四菜のコース（1,980円）

まず、「ほたるいかとこごみのぬた」が出てきました。
出汁がジュレ状になってます。こごみの野趣とともにこの出汁が美味い。

続いて、「自家製湯葉豆腐に鮑乗せ」
湯葉豆腐のコクと旨味、そして鮑のしっかりした磯の旨味。
この肴の旨味をガツンと受け止めたのが南部美人でした。

さらに、「桜鯛の昆布締めのお造り湯葉乗せ」
白身の桜鯛の身に昆布の風味が移って旨味が凝縮されています。
湯葉が甘い。
一緒に食べたあなたは、絶対に日本酒をグイといきたくなるはずです。

「いぶりがっことクリームチーズ」も出てきました。
文句ありませんという肴です。

〆は「京風出汁茶漬け」
鰹と昆布でとった出汁に味醂で甘味を加えた茶漬け。
山椒がちょっとアクセント。
ふんわりした味のホッとする茶漬けです。

ご主人がすべてお一人で切り盛りしているので、料理の提供はややゆっくり目。
まあ慌てずゆったり日本酒を楽しみましょう。
ここではせっかちになってはいけません。