肴、酒、価格、お人柄…至福の酒場、板橋「和可奈」。 : Wakana

　屋号「和可奈」は全国に複数軒あれど一軒店がほとんどです。板橋の「和可奈」は海鮮料理、北海道料理で人気の酒場だそうです。のれんに惹かれて店内をのぞくと、小さいながらも活気があり、みなさん盛り上がっておりました。では失礼してカウンターへ。大将と女将さんの2名で営業しています。

　献立を見ると、きんき、つぶ貝、行者にんにくなど北海道の特産物や地元の料理などがたくさんありました。大将は北海道ご出身、かと思ったら違うそうです。ちゃんちゃん焼き、美唄焼き鳥など、北の料理もたくさんあります。

「先付け」
　お通しというより先付けと呼びたくなる3品です。この先が期待できるおもてなしです。

「天然インドマグロ刺身」¥1,400
　色味は解凍ルイベ風ですが、口に入れて驚きのトロけ具合。これ、美味い！ 上品な脂。歯応えある赤身。さすが天然！

「時しらず刺身」¥800
　時鮭がいただけるとは。仕入れが難しそうですがどうなんでしょう。甘くてトロッとして美味しいですね。味が濃くて、レアハムのような食べ応え。

　合わせる酒は、三重・木屋正酒造「而今純米吟醸生」。原料米は「雄町」との表示。「而今」は最近入手が難しくなってきたそうです。ここでも人気で、私が飲んでしまった関係で隣の方はグラス一杯注げず申しわけないことをしましたし、テーブルの宴会客たちも無くなったことを皆さん嘆いていて、ご主人がなだめておりました。すみません…私が最後でした。

「ひじき煮」¥600
　少し高いな…なんて思ったら、失礼しました、こんなにりっぱな料理だとは！ 海老まで入っていました。筍や人参、オクラなど野菜もたっぷり。
　出汁が美味しいですね。甘さがちょうどいい。箸が止まりません。

「美唄焼きとり」¥450
　美唄（びばい）焼き鳥は、一串にいろいろな部位が刺さった美唄の郷土料理だそうです。日本7大焼き鳥のひとつだとか。もも、きんかん、皮、むねなどが刺さっていました。いろいろな味が楽しめますね。

　女将さんの、お皿を下げるタイミングが抜群なんです。下げて欲しいな、と思った時に、心を読んだかのように「お下げしますねー」と来てくれるんです。
　そして料理を提供するタイミングもいいんです。こちらは大将の心遣いでしょうかね。いいお店とは、こういうおもてなしができるお店なんです。

「銀だら西京焼き」¥850
　文句無し。脂がのって旨味が詰まった銀ダラ。焦げた皮もいい。

「行者にんにく」¥600
　日本酒のデザートとして食べました。行者にんにくは「アイヌネギ」ともいわれ、北海道人には馴染みのある食材です。味はニラに近いです。これを漬けにして食べたり炒めて食べたりします。ここでは漬けでいただきました。にんにくの臭みなどほとんどありません。美味いなあ。酒と合うなあ。

　いい酒場ですねえ。肴、酒、居心地、価格、お人柄。すべて揃いましたね。知って良かったです。仕入れも調理も間違い無し。大将、女将さん、ごちそうさまでした。また来ます。

最寄駅　JR「板橋」・都営三田線「新板橋」（板橋区）