趣味性が強いだけに相性はあるかも？ : Ikinokotta Monono Okite

同店『生き残った者の掟』さんの屋号から、懐かしのフランスのフィルム・ノアール『ジョゼ・ジョバンニ』監督の同名映画を憶い出した方もおられるでしょう。

フィルム・ノアールって本来は戦後のアメリカ映画のことを言うんだけど、フランス語なように再評価されたから根付いた用語で、ですから同じ傾向の作品をフレンチ・フィルム・ノアールなどと呼び、ジャパニーズ・ノアールとか韓国ノアールなるジャンルもあるそうです。

そのジャパニーズ・ノアールは『黒澤明』監督の往年の作品や『鈴木清順』『野村芳太郎』監督らの1960年代の作品などですが、映画に詳しいワタシの先輩に言わせると

「なんがジャパニーズ・ノアールね！東映ヤクザ映画が日本一のフィルム・ノアールったい！！」

なんだそうです。

とはいえ、まさに言い得て妙、首肯けるところもあるけど、全然違うような気もしますが、まあ、それって我が国での初めてのラップが『吉幾三』さんの『オラ東京さ行ぐだ』だと力説する人にも似てるような？

フランスのフィルム・ノアールなんかは特に、さすがにお国柄か、ある種のエスプリがあるんだけど、それが東映ヤクザ映画にあるのかと問われると、ちょっと答えに窮しちゃいますからね（ってまあ、健さんあたりにゃ少しはあるような気もしますが）

そんな色んなことを憶い出させる屋号の同店『生き残った者の掟』さんは、数年前まで山口市の中心部、道場門前商店街の近くっちゃ近くにありましたから、いつか行ってみたいと想ってたんですが、なにぶん駐車場がないから気軽にゃ寄れなかった。

ですから今回、専用駐車場を完備した新店舗に移転されたとなると、そりゃ行かない理由はありませんからね。

ただ問題は場所で、といって多少入り組んだ場所にあるだけなんで、正しく表示するナビ等があり、ちゃんと指示してくれたり、注意深く見てればまず分かるでしょう。

実は旧.国道２号線、現335号江崎陶線と並走する嘉川福岡と嘉川市両.交差点を結んでる町中を走る市道沿いにあるんですが、気をつけてないと通り過ぎちゃいますからね。

その市道に入ったら、同店が入ってる建物だけ何だか昔は病院か学校だったような時計が玄関口にあり、町の風景とは明らかに違いますから、普通なら気付くでしょう。

なんでも同店『生き残った者の掟』さんのご主人、以前の道場門前商店街の近くにあった際、ご近所だったカフェ『やどりぎ舎』さんのオーナーさんとご結婚されたようで、それを機にここ嘉川地区へご一緒に移転されたそう。

って、建物からして居抜きというか、古民家再生みたいな空気感ですから、もしかしたらＤＩＹされたのかもしれません。

そんな雰囲気が漂う、いわゆる趣味性が強い空間なんで、落ち着ける人には落ち着ける、怖いと思う人には怖い、おそらくＺ世代にはエモいんじゃないでしょうか？

ですから、相性がいい人なら隣接する『やどりぎ舎』さんで暫し時を忘れ、まったりするのもいいでしょう（同店のパンを持ち込めるのかは存じませんが）

そんな同店で今回、購入したのは以下の３点です。

① プレーツェル ￥230

② 明太ガーリックバターのシュタンゲン ￥260

③ いちじくベーグルのあんバターサンド ￥360
》 フランス産発酵バターと北海道小豆100％あんを、いちじくのベーグルではさんだ一寸リッチなサンドです。

①は、もう少しクランキーさがある方が好きなんだけど、あくまで個人的な嗜好だし、上から目線ながら焼き方は問題ないような？

しかも、細い箇所は結構ポリポリしてましたからね。

で、全体的にそうなんだけど、サイズが小さめなんで、迫力がないのが玉に瑕なんですけどね。

②のシュタンゲンとは棒という意味だそうで、そのように棒状に細く巻いて成形してゆくらしい。

それなりにテクニックの要るパンでもあるようです。

そんな凝ったパンに、個人的に好きな明太ガーリック・バターと来ればいいはずで、なるほどニンニクはガンガン攻めてくるんだけど、明太子はたまに辛さだけ、写真からも一目瞭然なように、かなり焦げてるから苦味も強く、これはちょっと残念の域を超えちゃいましたね ⤵︎

ちゃんと出来てたら恐らく美味かったんじゃないでしょうか？

③は、これは360円と高めだったから躊躇したんだけど、買って良かった！

まずはイチジクの種がプチプチ弾け、食感そのものが愉しいし、言うまでもなく、ほんのりした甘みもあります。

そこにあんバターなんだけど、これは昨今甘さ控えめなのが多い中、上限を超えており、なんだか潔いし、なぜかバターが美味い ♡

安っぽいバターと違い、しっかりした脂肪分があるバターって、やっぱコク深いんですよね。

そうした旨味が渾然一体となって襲いかかってくるから、そりゃ不味いわけがなく、このクオリティなら360円という価格にも首肯けますね。

とはいえ、全体的に見ると流石に店内と同じく趣味性が強すぎ、その嗜好と合致したり、付いてゆけるんならいいんでしょうが、個人的には慣れるまで時間が掛かりそうで、残された時間も限られてますから、いかんせんお付き合いはしたくないタイプかな？

ですから、同じ趣味なら深くハマり、抜け出せなくなるようなパンや雰囲気だとも思いましたけどね。


● 個人的 食べログ 評価点・・・3.1