琴の音と細流をつまみに燗酒をなめる。 : Musashiya

私が子供の頃
父親に連れられて
来たことがあります。

その昔は
注文の度に
鰻をさばいていたのでしょう、
料理が運ばれてくるまでに
一時間近く待った記憶があります。
そんな待ち時間は
子供には退屈であろうと

父親は鰻屋さんに行く前には
必ず本屋さんに立ち寄り
私に本を買ってくれたものです。

ビールを飲んでいる父親の横で
私はその本を読んで
うなぎが出来上がるのを
待っていた想いでがあるお店です。

ご当地に所用で来ましたので、
一年ぶりに暖簾をくぐりました。

☆料理、味
①サラダ
②刺身盛り合わせ
③焼鳥
④鰻重(梅)

味などにつきまして
①千切りキャベツの上に
　トマト、胡瓜、キュウイ、海草が
　盛りつけられ、ドレッシングが
　かかっています。昭和のサラダです。
②鮪赤身、鮪中トロ、ほたて、甘エビの
　盛り合わせです。
　鮪は比較的あっさりとしています。
　ホタテはもっちりとして甘みがあります。
　甘エビは頭のミソが甘かったです。
③鶏正肉の切身の数個が
　串に刺してあるタイプではありません。
　むね肉を開いた一枚肉が２枚と
　皮焼の数切れが皿に盛られています。
　甘過ぎないタレと
　脂肪分が少ないお肉なので、
　これから食べるうなぎの邪魔をしない
　比較的淡白な味わいです。
④小ぶりな鰻で半身と半分です。
　頭の部位が半分です。
　焦げの部分や身の締まり具合で
　焼きだめであることがわかります。
　しかし、ゆっくりと丁寧に
　焼き直しをしています。
　たれは甘すぎず辛すぎずで
　濃くない塩梅です。
　ご飯は私好みの固めの炊き具合です。

☆サービス
この日にいらしたホール係りのお姐さんは
お世辞にも愛想が良いとは言えませんでした。
が、顧客からの要望を
迅速で的確に応えてくれていました。
その後そのお姐さんがいなくなり、
厨房内の大旦那さんがホール係りと兼務し、
熱燗等のおかわりの対応をしてくださいました。
地方個人店です。
都内飲食店の対応ではありません。

☆雰囲気
昔から変わらない、
店内右側のこあがり下にある池から
聞こえるせせらぎと、
日本料理店らしい琴の音で心落ち着きます。
現在は場所柄として活気はありません。
黄昏ています。

☆CP
難しい選択です。
高価でも価値に見合う鰻を
求めている方々にはこの店は
cpは低いでしょう。

☆総評
わざわざ遠方から
鰻を食べに伺うお店ではありません。
地元の方々が食べたくなった時に、
気軽に伺うお店です。
特にこのお店の良さを
昔からご存知のご高齢の方々は
『遠くの名店より地元の名店』として
利便性を追求しているでしょう。