「広島風　肉玉」 : Teppanyaki Hibiki

　平日の夜、せとうちバスの慈眼寺停留所近くのお好み焼・鉄板焼店「ひびき」を一人で訪問。
　四人用鉄板付きテーブル席に案内された。他に、調理用鉄板に面したカウンターテーブル席や、小上がりの鉄板付き座卓、個室、などといった客席があるようだった。目に入るすべての鉄板がピカピカに磨かれていて気持ちよい。
　店内は余計な物が無くたいへんスッキリとしていて視覚的には好みではあるが、聴覚的には難点がある。ほぼ伽藍洞状態かつ、壁、床、天井のほとんどが、平坦、平滑、硬質なマテリアルで覆われているためか、物音や話し声があまり減衰せず反響するようで、うるさい。周囲がうるさいから、二人以上のグループ客は大声で話さなくては相手と会話できない。大声で喋ると、他の席のグループにとってはそれがますますうるさく、負けじと大声で話さなくてはならないという、悪循環を招いている。こうなると、店員さんだって業務上必要な発声は、もはや半絶叫状態である。おしゃれなどとは程遠い。ずいぶん音が響くお店を造ったものだなあと思ったが、よく考えてみると店名が「ひびき」であった（笑）。
　お品書きを見ると、居酒屋的鉄板焼メニュー、混ぜ焼のお好み焼の創作メニューあたりに力が入っている様子。そういったなかでは二軍扱いの気配があったが、お好み焼の「広島風　肉玉」（1,000円）をお願いした。
　22分ほどで提供された。広島風はちゃんと作ればそのくらいかかることもあると思っているから、遅すぎるとは感じていなかった。むしろやたらに早いほうが味に不安がある。でも、お店の方から、待っている途中と提供されたときとお店を出る際の3回、時間がかかって申し訳ない旨の詫びが入った。日頃の調理時間はもっと短いことが想像されたが、このような細やかな声掛けを戴いたことについてはたいへん好感した。
　お好み焼きは「野菜が下、そばが上」の広島における現代風。トッピングには紅生姜、青海苔、ネギ。トップの味付けにソースの他、マヨネーズが最初からたっぷり塗られているのが広島風としては珍しい。卵は上面を綺麗に覆う大きさで、やや厚みがあったように思うから、もしかしたら卵は2個使用されていたのかもしれない。
　鉄板から直にコテで熱々をいただいた。
　卵はしっかりと加熱されており、香ばしさと甘いような濃厚な味がいい。
　周辺部にコテを入れると、切り口から大量のソースとマヨネーズが浸潤し、内部までそれらでジュクジュクになる。周辺部はほぼ、これに支配されている印象。
　キャベツともやしには熱はよく通っている様子。ザクザクした歯触りはある程度残されている。こういうメリハリがあるのも良い。
　そばは、一部に焦げ目も見られる。噛むとパキパキという擬音を充てるのが相応しいほどの堅焼き。このあたりもどちらかというと現代風。
　ボリュームあり。確かな食べ応えに満足した。注文時にソースとマヨネーズの量を少なめにお願いしさえすればかなりいい線いくと思った。