福井県越前市のご当地料理「越前おろしそば」。 : Udombouyamamuro

「越前おろしそば」の名店が多く集まる旧武生市エリアで、地元の方々が普段使いとして愛用されている名店があるとお聞きし、紹介していただいた「山むろ」さんへと今回は初訪問させていただいてまいりました。

こちらの「山むろ」さん、店名に「うどん坊」とついてはいますが、地元の方々の間では知らない方はいないと言われるほどの「越前そば」の老舗有名店だとのこと。
その歴史はなんと大正10年創業ということらしいですね。
お店の内外装はそこまでの古さは感じさせませんが、いかにも昔ながらという落ち着いた感じの大衆的なお蕎麦屋さんらしい雰囲気がとてもいい感じです。
店内では、テーブル席も、座敷席も、そこそこのお客さんで埋まっていて、みなさんほぼ例外なく地元の常連さんといった感じの方ばかり。
「うどん坊」というネーミングが「越前そば」目的で遠方から来訪した観光客に対するフィルターの役割になっているのかもしれませんね。
かといって決して私のような一見のヨソ者に対して冷遇されるとか、アウェー感を感じさせるようなものではありません。
メニューのラインアップには「うどん」類ももちろんあるわけですが、その主役はやはり自家手打ちの「越前そば」のバリエーションの数々。
中には魅力的なメニューもあったりして心奪われるところであるのですが、越前の蕎麦といえばやっぱり「おろしそば」とりあえずいうことで、こちら「山むろ」さんでももちろん看板メニューのひとつでもある「越前おろしそば」をいただくことにします。

お盆に乗って運ばれてきた「越前おろしそば」は、丼に水を切った「そば」、小鉢に薬味の「刻みネギ」と「鰹」、「つゆ」は最初からおろし大根とおつゆをミックスされたものが入れられており、また「蕎麦湯」は最初からつけられています。
それでは丼のお蕎麦に、薬味を乗せ、つゆを「ぶっかけ」の要領で豪快にぶっかけていただくことにいたしましょう。

お蕎麦は越前らしいやや平打に近いタイプ。
これはちょうどいい固さですね。
程よくコシがあって、噛みしめるほどに蕎麦の甘さと旨みが感じられます。
おつゆは別容器のぶっかけタイプなので、少しずつ好みの分量で足していくことが可能です。
おつゆに最初から含まれているおろし大根は、越前らしい辛味はほんのりとあるものの、どちらかといえば比較的まろやかなタイプでしょうね。
その分、お蕎麦自体の味も引き立ててくれていて、バランスもいいのですけどね。
もちろん最後の最後まで美味しくいただくことができました。

特に突出したものがあるというわけではなく、良い意味で普通の「越前おろしそば」という感じでしょうか。
でもこの「普通」こそがすごくいいんです。
地味ながら地に足がしっかりとついた底力を感じます。
これこそが「越前おろしそば」の王道ですよね。
これを普段使いとしていただくことのできる地元の方々がうらやましいくらいです。