食事のクオリティ高し　高湯の名湯 : Ryokan Tamagoyu

福島市内だと飯坂や土湯温泉には足を伸ばしたことがありますが、高湯で宿泊したことはありませんでした。こちらは比較的リーズナブルに楽しめると評判の高湯のお宿です。

訪問は平日。お盆休みが近い時期というのもあって、家族連れなども多く宿泊しているようです。
早めに宿に着き、硫黄泉を楽しんだ後は18時から夕食。季節の和食か川俣軍鶏コースかを選ぶことができたので、今回は川俣軍鶏コースでお願いしました。
まずは生ビールで乾杯。アサヒスーパードライなのがうれしい。先付け的な酒肴が何品かと、お造りに軍鶏肉のグリル的なもの。酒肴の味がなかなかいいですね。テナガエビの甘露煮にツブ貝、軍鶏肉のハムなど。どれもいきなり日本酒がほしくなってしまう。お造りも素直にうまいと思います。鯛に甘エビ、中トロ、マグロの赤身など数点。マグロの赤身は少し色落ちしていたので鮮度が気になりましたが、まったく問題なくおいしくいただけました。
軍鶏肉のグリルもうまいですねぇ。もともと余分な脂がついていない上、脂の風味が軽やかで肉質が締まっているので、鶏肉本来の味が楽しめる。こういうお肉には塩だけでシンプルに楽しむのが正解でしょうね。お酒との相性もいいと思います。脂を吸わせつつじっくり焼いた夏野菜もなかなかのお味。
ここらでお酒を花春の生貯蔵酒に切り替え。アテにサービスでついてきた鮭の酒粕漬けが珠玉のうまさ。一口で盃1杯分を優に飲み干してしまう。中盤戦はコーンポタージュの豪華なやつに、軍鶏肉を使ったコンフィ。コーンの味がしつこくなく、あくまでさらりとしていて予想以上に美味でした。ただ、あまり酒には合わない味かな。軍鶏肉とアスパラ、コンフィは無難にうまいですね。日本酒だけでなく、ワインなんかにも合うお味。さらに国権のてふを追加して、夕餉は佳境を迎えます。〆の鶏肉そぼろご飯にお味噌汁。やや甘めに味付けされて炒られた軍鶏肉のそぼろが、粒立ちのよい白飯によく合う。ヴォリュームも申し分なしで、味噌汁も含めておかわり可能とのことで一も二もなくいただいていしまいました。品数は絞ってある印象ですが、料理のクオリティは平均以上で、素直にうまいと感じました。

朝餉もなかなか豪華で、申し分ない質に量。漬物や煮物などの小鉢系に、焼き鮭、卵焼き、豚肉のせいろ蒸し、ご飯に豚汁など。前日部屋に戻ってからさらに痛飲してしまい、あまり胃の調子がよくなかったのですが、万全であればもっとおいしくいただけたでしょうね。飯はやはりうまいと思いました。納得の出来。

食事だけの観点から見れば、福島市内の中ではそれなりにクオリティの高いお宿。お酒の料金を除けば、このコースで1泊2食付き1万2000円、お酒込みでも2万8000円弱ですから、コスパもいい。さすがにメシ付きの温泉となると会津が最上なのは間違いなく、そこに比べると落ちるのは事実。ただ、値段の麺からもふだん使いも可能でしょうね。手軽に雰囲気を味わうにはもってこいかも。ごちそうさまでした。

【品書き】

川俣軍鶏コース

箸初め　青さ豆腐　純菜ジュレ
　　　　ランプキャビア　クコの実

夏　菜　トマト水雲　川海老甘露煮
　　　　黒ばい貝磯煮　軍鶏青紫蘇焼
　　　　笹しぐれ

御造り　南鮪　豊洲直送白身魚　甘海老
　　　　　妻一式

台の物　軍鶏のグリル焼
　　　　　季節の野菜
　　　　　雪塩　とまとポン酢

強　肴　軍鶏コンフィ
　　　　　アスパラ　ミニトマト　キャベツ
　　　　　友禅寺味噌

冷　鉢　湯葉饅頭　楓冬瓜　星人参
　　　　陸蓮根　水晶茄子　もろこしすり流し

御食事　軍鶏のそぼろ掛け御飯　三つ葉
　　　　（会津こしひかり使用）

止め椀　赤出汁　焼茄子　豆富　万能葱

香の物　御新香二点盛り

甘　味　マンゴー葛仕立て
　　　　マンゴーワイン煮
　　　　チャービル　抹茶のわらび餅

　　　　仕入れ状況により
　　　　　　　　内容が変更となる場合がございます
　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　旅館　玉子湯
　　　　　　　　　　　　　　　　　料理長　根本　成史