70年の洋食系居酒屋 : Jiyuuken

1951年に創業された「自由軒」は、老舗の風格を漂わせつつ、洋食の看板を掲げながらも、実際はまさに大衆酒場の魅力に溢れています。洋食を中心に、おでんや福山の特産物まで、多彩なメニューが提供されています。

日曜日にもかかわらず店内は満席で、その人気ぶりが伺えます。
メニューを一通り眺めると、つい全部を頼みたくなるほど魅力的です。

特に目を引いたのは自由軒カツ。イカとエビが交互に刺さったこのカツを、店自慢の手作りタルタルソースで頂きます。エビのプリプリとした食感と旨味、そして柔らかいイカの美味しさが際立っています。この自家製タルタルソースのバランスの良さと深い味わいが、これまで体験した海老カツの中で最高のものに仕上げています。

また、ねぶとという瀬戸内海周辺で親しまれている小魚の揚げ物も印象的でした。カリッと揚げられたねぶとに藻塩を少し加えるだけで、パリパリとした食感が楽しめるスナック感覚の一品です。

この店のおでんは、出汁のみで煮られており、味付けはされていません。盛り付けられた後に自家製の味噌だれをかけて頂くスタイルです。八丁味噌のような赤黒い見た目ですが、田楽みそのような甘口でコクがありながらも、若干淡白なのに食材と出汁の旨味が効いているおでん種とよく合っています。

玉子焼は、出汁よりも卵の味が濃厚で、そして印象的なオレンジ色と堅焼き。昔ながらの美味しさをしっかりと感じています。

どの料理もビールとの相性が抜群で、福山で愛され続ける自由軒の深い味わいと温かみを感じさせます。店のおばちゃんの素朴で気取らない応対も、この店の居心地の良さをさらに引き立てています。

今回はまだ試してみたいメニューがたくさんありましたが、お腹いっぱいでこれ以上は無理。次回福山を訪れる機会があれば、間違いなく再訪したいと思います。