減点材料は少ない : Tempura Sakurabito

芦屋の天ぷら専門店。食べログでの評価は3.83(2024.04.01)と高評価店です。店主の吉田氏は天ぷら専門店の出身ではなく、和食屋からの転身になるようです。おまかせのコース（税込サ別19,800円）のみ。開始時間は多少の融通は利くようですが、基本的には一斉スタートと考えた方がよさそうです。

訪問当日のおまかせのコースは下記の通り。
先付（秋ナスの焼き浸し、銀杏、鬼灯シャーベット）
天ぷらは車海老×1、零余子、鯵、蓮根、ササミ、雲子、茄子、サツマイモ、舞茸、鮑、セコ蟹
合間に松茸の茶碗蒸し
いくら・鮭ご飯

悪いものは少なかったですが（サツマイモ位か）、深く印象に残るような天種もありませんでした。強いて良かったものを挙げるとすれば、鯵、ササミ、茄子あたりでしょうか。

車海老は中心部までちょうど火が通った点を若干過ぎた火入れ。揚げすぎというほどではなく、やたらとレアで供するお店よりは良いと思います。

鯵の身はレアに揚げてありましたが、臭みもなく美味しかったです。蓮根（魂の蓮根）も甘味があってまずまず。

ササミはレアでも食べられるものだそう。驚いたのはパサつきや硬化を感じなかったこと。うどん屋等で供されるものとは一味違いました。茄子は少し厚みのあるカットで、衣の中で適度に蒸されていました。

サツマイモは一度蒸かしたものを揚げているようでしたが、これは食感・甘味ともに残念。鮑も炊いたものを揚げていたと思いますが、こちらはまぁまぁ。セコ蟹は揚げる必要性を特に感じませんでした。

油は綿実油主体か綿実油のみだと思いますが、その割にはしっかり揚がっていました。油のコンディションは終始良好でしたし、揚げる温度帯も大きく外している感じはありませんでした。関西では受け入れられやすい油のチョイスなのでしょうが、穴子やかき揚げのようなものとは相性が悪そうだなと。

リードペーパーを使って衣表面の油をじっくり切っている点も当店の特徴でしょう。たしかに油切れは良いと思いましたが、その一方で食材の香りは弱かったかなと。余熱で火を入れる場合は別として、鍋から上げた後にじっくり時間を掛けて油を切った天ぷらは、押し並べて食材の香りが弱い傾向にある気がしています。

サービスや雰囲気は良好。席数に対してスタッフ数は十分。店主も揚げながら、お客さんの様子をよく見ているなと感心しました。酒類のラインアップも広め。最近の高額店の中では価格は控えめですが、タネ数も少な目です。油切れは良いですし、小食の女性向きのお店という印象を受けました。