女将さんにどんどんのせられるぞ : Gao ryuu

ゴールデンウィークだからかこの日はお目当てのお店がどこも満席。結局5軒くらいにフラレてあちらこちらフラフラしてたらこちらに辿り着いた。やっぱり予約しないとダメですね。

ひと席だけ空いていたカウンターに座ると女将さんらしき方がガンガン話しかけてくる。うちで絶対食べてほしいものはこれとこれとこれとこれと……。そんなに食べられないなあと思いつつ、そういうのは断らないようにしているので言われたまま注文した。

カワハギの肝醤油とキビナゴの刺身。確かに新鮮でおいしい。ちょっと一人だと量が多いが。

カウンターだからなのか、僕が一人客だからなのか食べている間も5分に一回は女将さんが話しかけてくる。どこから来たのからはじまり、観光はどこへいっただの、ここがおすすめだの。女将さんの良いところは話を否定しないところだろう。ずっと話しかけられるのも疲れるが不思議と悪い気分ではなかった。

サザエの刺身。こちらも女将さんおすすめ。肝醤油の連投が少しきつかったが、おいしかった。

そしてガブリの唐揚げ。こちらも女将さん曰く、絶対食べたほいがいいとのことで注文した。自分の意志が一切入ってない注文だったな。

ガブリというのはブリのことで店名から「ガ」を頭につけて女将さんが命名したらしい。食べ方もあるらしく、骨の部分を手で持っててっぺんを上に向けかぶりつくらしい。一口食べたらまたかぶりつく。そしてまたかぶりつく。女将さんが横で音頭をとってくる。一通り食べたら逆向きにして、今度は下の部分を食べる。その後は味がなくなるまでしゃぶるのだそうだ。

普通に食べていたのだけれど女将さんがやたらと「食べ方がうまい！」と褒めてくれる。絶対そんなことないのに、褒め上手なんだろう。

一通り僕を褒めたら今度は隣にいたカップルにガブリの唐揚げをすすめだした。無事に注文を勝ち取ると僕の肩を叩いて「お兄さんの食べ方がうまいからだよ！」と笑顔でいってくれた。この接客術である。えげつない。

芋焼酎もいくつかいただいたんだけど、必ず一升瓶の蓋をあけて香りをかがせてくれる。そして「これでいいかい？」と聞いてくれる。この人懐っこさというか人たらし感というか、ステキな人生を歩んできた方なんだろうなあと思わせられる。

刺身は一人前だとかなり量が多かったのでこれだけでお腹がいっぱいになってしまった。帰るときに女将さんから「また鹿児島きなよ」と肩を叩かれた。なんて気持ちのいい接客だ。人は選ぶだろうけれど楽しい店だったな。