豆の種類がボディなので、ネパール料理初心者にも美味しい豆料理 : DUNA TAPARI

川崎駅東口のネパール料理店です。

お店は駅からは少し離れた、旧東海道沿い、しかも雑居ビルの２階にあります。

入口はあまり目立ちませんが、ネパール国旗が目印ですね。
階段をあがると、『マニ車』という回転させるとお経を唱えたと同じご利益があるものが飾ってあり、ネパールっぽさが強いです。

店内は、テーブル席がメインですが、奥には小上がりがあり４人用テーブルが２卓あります。イス席よりもこちらのほうがネパールっぽいですね。

メニューは、ランチメニューが無くグランドメニューのみ。
非常に豊富ですが、１品料理は５００円～６００円程度とさほど高くありません。
定食系のセットものは、ダルバットセット（５００円）が一番安いですが、これでもチキンカレーが入るので、お得感がありますね。

いただいたのは、
■ネワリボジセット（１，６８０円）
首都カトマンズを含む盆地に住むネワール族の食事セットです。その中でも一番豪華なバージョンとなります。
チウラ（干し米）、ボディ（豆）、アチャール（漬物）、トマトアチャール、カシコマス（マトンカレー）、ククラコマス（チキンカレー）、アルタマ（タケノコとジャガイモのカレー）、メティスープ、パウクワ（木の実の漬け物）、ダヒ（ヨーグルト）、シサプサ（生野菜）にネパールの焼酎のラクシとデザートが付きます。
『タパリ』と呼ばれる葉の皿で提供されるので雰囲気がありますね。
種類が多いので、一度に提供できないようで、アルタマはだいぶ遅れての提供です。
また、ネパール焼酎のラクシは、グラスではなく、カトリに注がれストレートでの提供です。
・チウラ（干し米）
干し米と訳されることが多いですが、お米で作ったコーンフレークという感じです。
最初はパリパリとした食感が心地いいです。こちらのものは厚すぎないので顎が疲れません。
それでも口の中の水分が吸われます。
日本に無いおもしろい主食なので、ダルバートに飽きたらおすすめでしょう。
・ボディ（豆）
お店は緑豆と訳していますが、大豆の一部が黒くなったような見た目です。ダークサイドに落ちた大豆という感じの悪い顔つきをしています。
しかし、味は大豆に近く、日本人にも食べやすい素直な味わいですね。
・アチャール（漬物）
大根の漬物です。発酵させた上でスパイスと和えてある本格派です。発酵による酸味が出ています。食べな慣れない味ではないですが、食べにくいと思う人はいるでしょう。
・トマトアチャール
トマトベースで、ちょっとだけ辛さを加えていますが、中に少量の鶏肉も入っていて、トマトベースのカレーという感じです。
・カシコマス（マトンカレー）
カレーですが、汁気は少なく、マトン肉炒めという感じです。ネパールスタイルの味付けなので極端に強くスパイスは感じず、肉の旨みが存分に味わえます。骨付き肉を使い、脂身やスジっぽいところもあるので、そういうところから出た旨みも味わえますね。
ネパールカレーとしては、肉の量が多く、１皿の単価の高さ以上にお肉を入れてくれている感じがします。肉好きにはたまらないでしょう。
・ククラコマス（チキンカレー）
マトン同様のつくりです。色合いはマトンと違いますが、スパイスの構成や配合は大きく違わないようで、味の違いは肉の素材の味ですね。
ドロッとしたカレーと大きなナンのインド・ネパール料理とは大きく異なる見た目と味わいですが、スパイスが強くなく、ちょっと素朴なネパール料理は日本の田舎の料理に近い郷愁を感じられ、日本人にも美味しく食べられると思います。
・タマ（ジャガイモとタケノコと豆のカレー）
別盛りでの提供のものです。ダルバートにおけるダル（豆のスープカレー）みたいなポジションのものです。タケノコは、時期だからか新鮮なものが使われていて、美味しいですね。こちらにも豆が入っており「アルボディタマカレー」です。
ただ、汁気が少ないのが欠点です。チウラなので汁っぽいものは、しっかりと汁が無いと困ります。
・メティスープ
ここからは、別盛りの薬味的ポジションのもの。
香草のスープとのこと。軽くスパイスとダシがあるサラサラの液体ですが、後味に苦味があります。強い苦味ではないので、他のカレーと混ぜて食べるとちょっとしたアクセントになります。
・パウクワ（木の実の漬け物）
味噌のような感じの見た目ですが、味は強いクセは無く、よくわからないものです。
・ダヒ（ヨーグルト）
甘くないプレーンヨーグルトです。
・シサプサ（生野菜）
生の人参とキュウリです。スパイスの風味に疲れたらかじります。
・ラクシ
「ラクシー」「ロキシー」などとも呼ばれるヒエ焼酎です。
量が少なくてもストレートですから効き具合はまずまずですね。
・ラルモン
デザートです。インドの『グラブジャムン』と同じです。
見た目はライチのようですが、サーターアンダギーのような粉ものをシロップ漬けにしたものです。

■ドゥナタパリスペシャルタカリセット（１，３５０円）
こちらは、料理上手で有名なタカリ族の料理のセットで、ネパールの国民食の『ダルバート』です。
ダル（豆のスープカレー）とバート（ご飯）でダルバートです。ネパールの基本的な定食という感じで、この２種が基本構成でそれにイロイロなおかずが加わって豪華になるという感じです。
こちらは、メニューの中でも肉系のカレーが２種付く豪華版ですね。
・バート（ご飯）
こんもりと盛られたご飯は、短粒米と長粒米のミックスです。
ネパールは高地で寒いため日本と同じ短粒米を作ります。しかし、インドから安い長粒米を輸入するのでこちらも食べます。
適度にパラパラで適度にしっとりしているので、ネパールカレーとちょうどいい粘度ですね。
ここにギー（バターオイル）をかけてコクを増し、パパド（豆せんべい）を砕いて入れると食感にアクセントが加わります。
このご飯をベースにカレーやおかずを増せて食べるのがダルバートの醍醐味ですね。
・ククラコマス（チキンカレー）
骨付き肉を使い、肉の旨みが出ているカレーです。ネパールカレーなので、スパイスは極端に強くないのが特徴ですね。
・カシコマス（マトンカレー）
チキンカレー同様の味わいです。ネワリセットのカレーと基本的に味付けは同じで汁気だけが違うのでしょう。
こちらもマトンたっぷりでお肉が美味しいです。
・ダルミックス（豆スープカレー）
ダルバートの骨格をなすものですが、こちらもネワリセットの豆と同じボディを使っています。そのため、クセの無い味わいに仕上がっていて、マニアには物足りないですが、万人向けの味でネパール料理初心者にも安心して食べられる味に仕上がっていますね。
メニューの記載は、ご飯がおかわり可能ですが、ネパールの常識どおり、ダルも無料でおかわりできます。
・アチャール
ネワリセットと同じ酸味ありのものです。
・サグ
小松菜のクミン炒めです。一般的にはニンニクも入ることが多いですが、こちらはニンニク不使用ですね。
・グンドゥルック
高菜漬けです。細く切ってあること以外に違いはないぐらい、高菜漬けですね。
・タルカリ
カリフラワーとジャガイモのカレー風味炒めです。
・チャツネ
トマトベースですが、辛さが強いペーストです。他にしっかりとした辛さを持つ料理は無いので、これで辛さを調整する感じですね。
・ラルモン
デザートは、もちろん、激甘です。


ネパール料理の基本となる素材の豆がボディという名の大豆に近い味なので、万人向けでネパール料理初心者も美味しく食べることができるでしょう。
それでいて、全体的本格的なのでマニアにも美味しいと思います。ネパール料理に興味のあるすべての人におすすめのお店ですね。

このメニューとスタイル、新大久保の有名店ネパール民族料理 アーガンのものですね。関係者によって、本格的なネパール料理が広まっていくのでしょう。