総平屋の数寄屋造りでカニ三昧＆温泉 : Monjusou Shouro Tei

天橋立温泉ではおそらく、一番の高級旅館。
天橋立を臨む阿蘇海と同じ目線が目の前に広がる、静かな１１室のみの大人の宿である。
作家の山口瞳やＨＯＮＤＡの創業者、本田宗一郎も愛した格式の高い老舗。
この松露亭という名前は藤本義一が命名したと聞く。
昔は、文殊荘別館という名前だった筈。

年に一度は温泉に行くことにしているのだが、やはり冬が多い。
それは何と言っても、蟹を食べるため。香港駐在中は上海蟹は毎年食べたが、流石に、松葉ガニは口に入らなかった。帰国後二度目の蟹＆温泉旅行で、ここを選んだ。
今回宿泊したのは「浮橋」という十畳＋四畳半の落ち着いた空間。
窓からの風情のある庭が天橋立を借景にして何とも情緒がある。

頂いた献立は下記の通り。
◆　先付け
蟹味噌豆腐にラレシの乗せたもの、銀庵

◆　前菜八寸
蟹蕪小袖寿司、子持ち若布、かすてら玉子、鰆の西京焼き、黒豆松葉刺し、伊根のもずく、
かにの外子
う～ん、まさに珠玉の逸品ばかり。なんて上品で美味いんだろう。日本人で良かった。

◆　煮物椀
吉野仕立て蟹真状　蟹身に軸連草、人参、生姜を添えたもの
身も心も温まるのである。椀物ってシンプルだけど非常に奥が深い。

◆　お造り
活地松葉蟹、ひらめ、横輪、烏賊
本当に鮮度のいいものばかり、しかし蟹の甘いこと！　たまらん悦楽である。

◆　中皿
地物茹で松葉蟹　
長芋、若布、胡瓜と共に。生姜酢で頂く。陶然とする芳香。

◆　焼物
活地松葉蟹
はふはふ、がつがつと喰らいまくる。言葉はもういらんのである。
嗚呼、既に指先は蟹の匂いが染み込みまくりである。

◆　鍋物
活地松葉蟹しゃぶしゃぶ、巻き白菜、豆腐、榎木、白葱、水菜、椎茸、葛切り
もうこの辺りで、腹が満ちてきている。苦しいのだが憑かれた様に口に運ぶのである。

◆　食事＆香物
蟹雑炊
いよいよクライマックス。蟹のエキスが染み込んだ雑炊を流し込む。体もほかほかである。

◆　水物
季節の果物。　ラ・フランスとオレンジ

以上、何と食事にかかった時間は３時間半！！　ガストロノミーここに極まれりである。
う～ん、動けんぞぉ・・・・

この後、温泉に浸かり（貸切状態だった！）、身を清め、敷かれた布団に入ると、
忽ち睡魔が襲ってきて朝までぐっすりである。
朝食も体に優しい日本料理。全然、手を抜いていない。
再び、温泉に浸かりのんびりと。
ＣＨＥＣＫ　ＯＵＴも１２時なので、極めてゆったりとその時間まで過ごせた。

会計は一人６３，０００円でサービス料が１５％。
やはり高いなあ。まあ蟹が異常に高騰しているし、地蟹の活けとなると致し方無い。
それも理解した上で、この宿を選んだのだから。
年に一度の贅沢ということ。もう蟹はこの冬はいいという感じだし。
しかし、問題は一度ここまで来ると、質を落としたものではなかなか満足出来なくなるということ。
来年はどうしようかな！？

給仕さんのサービスも暖かくて、申し分無し。
料理の奉仕をしてくれた若い女性は、初々しくて微笑ましかった。
まだ少し慣れてない感じに逆に好感がもてた。

流石に、一流の日本旅館。堪能させて頂いた。
改善をお願いしたいのは、朝の食事が一番遅くて９時ということ。
１２時ＣＨＥＣＫ　ＯＵＴなので、１０時までに延長願いたい。
ゆっくり寝るのも旅行の楽しみなので。