【旅館の食事ってこんな感じ】 : Yoroduya

湯田中温泉の中にある創業200年の風格ある佇まいの老舗宿。登録有形文化財の桃山風呂や大きめな露天風呂、さらには今流行りのサウナの原形となる蒸し風呂もあって温泉が主たる楽しみとなるのだが、もちろん夜の宿食もどんな地域独特の食事が出てくるのかも楽しみである。

ソーシャルディスタンスと言うことで、お客さんを分けて入場させるため18時か19時半のどちらかの食事スタートとなり、前者ではゆっくり温泉に浸かっていられないと思ったので、後者のやや遅い19時半スタートの食事を選んだ。

若い仲居さんから料理の説明を受ける。まずは
【食前酒】で信州らしく林檎酒からのスタート。
もちろん、甘いジュースのような食前酒。

【前菜】
「黒胡麻豆腐」…想像していたモノよりも甘かった。
「松代芋雲丹焼き」…山芋である松代芋の周りにウニを塗って軽く焼いたいるようだがウニの風味はせず、ちょっと残念。
「牛しぐれ道明寺」…粽に巻かれ梅の風味の道明寺の中に牛しぐれ煮が入ったもの。
「揚げむかご・銀杏・海老・稲穂」…温かい訳ではないがホクホク食べれてツマミに良い。
「合鴨ロース」…よく出るパターン。味で勝負する感じではなく、バリエーションのひとつ。

【お吸い物】…福美鶏つくね、あわび茸、柚子…出汁そのものは美味しい。

【お造り】…長野県産信州サーモン、長野県産信州大王岩魚…マグロなど出ず、信州の魚にこだわるのはグッド。大王岩魚の刺身が食べられる所は確かに珍しい。

【強肴】…北志賀清流育ちの岩魚の塩焼き…温かい皿に乗ってくるのは嬉しい。
旨みやら身に味が感じられないので、塩がポイントになる。ツマにきゃらぶきとミョウガの甘酢漬け。口直しアクセント的役割。

【お凌ぎ】…信州蕎麦…近くの蕎麦屋さんに発注して作ってもらったという蕎麦はまずまず美味しい。蕎麦つゆが辛くなくやや甘め薄めで惜しい。

【台物】…りんごで育った信州牛柳川風鍋…温泉旅館らしく青い固形燃料に火をつけて鍋を温める。横に生玉子が添えられていたのでてっきりすき焼き風に玉子の方にぽちゃんと肉をつけて食べるかと思いきや、柳川風なので逆に溶き玉子にして鍋にサーっとかけてしばらく煮ていただく。ツユはやや甘め。このままご飯にかければ牛丼だなと思いつつ、柳川風鍋を楽しむ。ちょっと美味しかったので、今度は家で少し甘みを抑えて真似してみようかとも思ったりして…。

【煮物】甘鯛のかぶら蒸し、霜降り平茸、紅葉麩、吉野餡、山葵。
ほくほくした身の甘鯛の上に蕪蒸しを細かくおろして優しい味。

【お食事】木島平産こしひかり、信州味噌仕立て、大根柚子醤油漬け・野沢菜
…炊き立てこしひかりはシンプルに美味しかった。ご飯が美味しいと嬉しい。

【水菓子】レアチーズケーキ、フルーツは巨峰とパイナップル

特筆すべきモノはあまりないが、旅館の食事のスタンダード。可もなく不可もなくって言うのが正直な感想。
でも、炊き立てご飯が美味しいともうこれだけで嬉しくなる。
信州食材にもちろんこだわっているが、この旅館ではこれをたべないと！と言ったスペシャリテメニューを作って出してくれると良いかもな、と思った。