【★4.1】マクロビオティックからウェルネスガストロノミーへ【2224】 : Hikariya Nishi

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ランチ ウェルネスガストロノミー（12,000円、税サ込）滞在時間：約2時間

東京から長野県に来ております。

田邉真宏シェフ（1975年生まれ）が腕を奮う同店（3.70）。
2014年からルレ・エ・シャトー加盟レストラン、食べログではフレンチEAST百名店2021選出。
扉温泉明神館（創業90年の老舗旅館）を運営する扉グループが運営母体となります。

マクロビオティックアドバイザー免許を取得している田邉真宏シェフ。
2021年11月まではマクロビに基づく料理を出していたようですが、
穀菜人（マクロビアン）は積極的に外食しないことに気付いて、
ウェルネスガストロノミーというスタイルに方向転換。

今まで取り組んできたマクロビを否定するわけではなく、
ウェルネス（よりよく生きようとする生活態度）を意識しながら、
古典フレンチの要素も料理に取り入れたりと以前より美味しさ重視となったようです。

ウェルネスガストロノミーとは何か、よく分からなかったのですが、
とりあえず12,000円とは思えないぐらい充実したコース内容で美味しかったです。
都心で同じ内容を求めれば20,000円は軽く超えそうなイメージ。
地方ならでは地物食材も活かしており、わざわざ長野県まで訪れる価値を感じられました。

まずはウェイティングルームに通され、中庭を抜け2階への階段を上りダイニングルームへ。
築120年余という漆喰の蔵を改装した古民家フレンチ。
料理だけでなく雰囲気も良いのがルレ・エ・シャトー加盟レストランの特長。
ワインのエチケットは撮影不可、料理は撮影可能という対応でした。

ランチは3％ディナーは7％のサービス料という説明でしたが、
請求領収書の記載を見る限りサービス料の記載は無くて、
食べログに掲載されているコース料金通りのお支払いとなりました。

ペアリング6種（10,500円）0.アミューズ 1.豌豆 2.椎茸 3.クネル 4.アスパラ 5.岩魚 6.仔羊

0.ジャカール シャンパーニュ ブリュット モザイク（コースに付帯する食前酒）
1.ドメーヌ ド ラ ペピエール ミュスカデ 白 フランス ロワール
2.ヴィラデストワイナリー ソーヴィニヨン ブラン 白 日本 長野県東御市
3.ファンキーシャトー ストラトゥ キャッセ 白 日本 長野県青木村
4.レオン ハイツマン レ カッツ ラ レーヌ ピノ グリ 白 フランス アルザス
5.パスカル クレマン 白 フランス ブルゴーニュ
6.イル ネーロ ディ カサノーヴァ トスカーナ サンジョヴェーゼ 赤 イタリア トスカーナ

ランチ ウェルネスガストロノミー（12,000円）

00.食前酒（前述のシャンパーニュ）
01-1.蛤 / パイ
01-2.鰯 / バター / パン
01-3.スポンジ / サーモン
02.豌豆 / 烏賊 / 新生姜 / トマト
03.パン
04.椎茸 / 蟹出汁 / 海苔
05.クネル / クリュスタッセ / モリーユ
06.アスパラガス / 牡丹海老 / 清水牧場チーズ
07.岩魚 / 生ハム / 燻製茶
08.仔羊 / 新大蒜 / そら豆 / トマト
09.ブリュレ / 花椰菜 / ココ
10.苺 / ムース / オレンジ / パセリ
11.小菓子

食べた料理の寸評は以下の通り、【】内は個別の採点、表示価格は税サ込です

【3.7】蛤 / パイ
【3.9】鰯 / バター / パン
【3.7】スポンジ / サーモン

蛤（はまぐり）スープのパイ包み焼き、鰯と虎杖（いたどり）とバターを乗せたパン、
サーモンクリームと奈良漬けを乗せたスポンジ生地、以上3種類のアミューズからスタート。
地方のフレンチにしては炭水化物比率が高いところにチェーンを感じますが、
いずれも味は良くてルレ・エ・シャトー加盟レストランの面目躍如。

粒の大きな蛤スープをパイ包み焼きにしていますがパイの効果はイマイチよく分からず。
シェフが料理に古典の要素を取り入れることを課しているようで、
そういう縛りによる蛇足という面もあるのかも知れません。
とりあえず蛤の旨味が溢れ出たスープは美味しかったです。

脂ノリの良い鰯は蜂蜜とヴィネガーでマリネに。
山菜の虎杖はビーツでマリネしており、イメージとしてはルバーブのような甘酸っぱさ。
バターと鰯の脂に甘みや酸味がマリアージュして組み合わせの妙味を感じます。

フワフワやわらかなスポンジ生地にやわらかなサーモンクリームも相性良し。
奈良漬けのコリコリした食感やコクのある塩味もアクセントになっていました。
アミューズを食べるだけで同店のレベルの高さがよく分かります。

【3.8】豌豆 / 烏賊 / 新生姜 / トマト

豌豆（えんどう）はスナップエンドウ、そこに細切りにした烏賊、新生姜、
生のカリフラワー、トマトのエキス、ディルオイルを組み合わせています。
アッサリした味わいながら全体のバランス良くて初夏の前菜に相応しいと思います。

【3.8】パン

カルダモン入りライ麦パンと黄な粉のパン（おかわり可能）。

【4.0】椎茸 / 蟹出汁 / 海苔

グルメサイト「ヒトサラ」で15年作り続ける自慢の一品と紹介されていました。
田邉真宏シェフのスペシャリテということになるのでしょう。
スープ仕立ての椎茸のテリーヌ。

地物の原木椎茸をテリーヌに仕立て、蟹コンソメ、浜名湖産の岩海苔、トリュフオイル、
ガランガル（生姜）やバイマックルー（コブミカンの葉）といったタイのハーブもアクセントに。
旨味の強い椎茸にコンソメや海苔の旨味まで加える足し算の料理ですが、
ハーブで爽やかに纏めてありスペシャリテの名に恥じない美味しさでした。

【3.5】クネル / クリュスタッセ / モリーユ

こちらも古典フレンチを意識しているのか真鯛のすり身と卵黄をクネル（はんぺん）に。
甲殻類のソース（クリュスタッセ）、木の芽、付け合わせにモリーユ茸。
アメリケーヌのようなソースを吸ったモリーユ茸のほうがクネルよりも好印象。

【3.6】アスパラガス / 牡丹海老 / 清水牧場チーズ

生のボタン海老は叩いて少し潰しています。
ボイルしてからバターソテーにしたホワイトアスパラガス。
チーズのソース、清水牧場のホエーとオリーブオイルのソース、あしらいに葱の花。
清水牧場は上高地（松本市）に在って県内の高級レストラン御用達。

12,000円コースなので文句は言えないですがボタン海老は少量。
もう少し海老がボリューミーであれば美味しさもっとアップしそうに思いました。
ホワイトアスパラガスのほうが目立っていましたが組み合わせは良いです。

【3.2】岩魚 / 生ハム / 燻製茶

岩魚に原村（長野県諏訪郡）で獲れた猪の生ハムを合わせているのですが、
ハムの強烈な熟成香が淡泊な岩魚の風味を消し飛ばしているような気がしました。
ソースは燻製茶と肉の出汁、タスマニアのマスタード、クレソン、ナスタチウム。
本日の料理でポワソン（魚料理）だけはイマイチ好みと合わず。

【4.0】仔羊 / 新大蒜 / そら豆 / トマト

信州新町産サフォークのラムチョップ、ソースはジュ・ド・アニョー。
ナスタチウムの葉、セミドライトマト、乾燥させていない新大蒜、そら豆。
一般に豪州産NZ産アイスランド産より高級な国産羊。
そのラムチョップを超厚切りカットで出せるのは地元の特権でしょうか。

火入れこそ単調に思ってしまって、そこが改善されると更に良くなると思います。
国産の羊は豪州NZアイスランドの羊に比べて特有の癖や香りが穏やかという印象でしたが、
このラムチョップは羊ならではの香りが強くて興味深かったです。

なお男性スタッフ曰く本当は地物ではなく白神山地のサフォークを出したかったのだそう。
長野県のレストランが信州新町のサフォークより評価する秋田白神山地のサフォーク。
いつか味わってみたいと思いました。

【3.6】ブリュレ / 花椰菜 / ココ

アヴァンデセール。
クレームブリュレ、ココナッツアイスクリーム、カリフラワーとホワイトチョコのムース、
そしてバジルソースという野菜も少し取り入れた組み合わせ。

【3.8】苺 / ムース / オレンジ / パセリ

グランデセールは苺を主体とした組み合わせ。
苺のムース、蕎麦の実のダックワーズ、苺のバルサミコ酢コンフィ、メレンゲ菓子、
ハイビスカスティーに漬け込んだ苺、タロッコオレンジアイス、パセリのオイル。

【3.7】小菓子

キャベツのマカロン、蕗の薹のショコラ、木の芽パウダーを塗したパッションフルーツわらび餅。
食後のお飲み物は、コーヒー or 紅茶 or エスプレッソ。