ピザの名は。 : Pizzeria Ciccio

新都心から氷川参道を歩くのが最近の密かなマイブームだったりもする。これといってとくに何もないけれど、両側から覆いかぶさるような緑のトンネルから分泌されるフィトンチッドを浴びながらの散歩も悪くないものだ。

とはいえ、この暑さじゃそうも言ってられない。早々と涼しいところに退散するのが関の山。目で涼を求めて熱中症で倒れでもしたら、それこそ元も子もない。


で、さっそく気になっている店をチェック。参道からよく見えるのに入口がないとはこれいかに。ガラス張りの店内では楽しそうに歓談する人々の姿が見え、さながら手の届きそうで届かない蜃気楼のようでもあり。

もしやと思い、参道を引き返し裏手にまわりこむと晴れてエントランスに辿り着く。ちょうど開店準備に出てきた店員に声をかけ、快く迎え入れていただく。先ほど窓越しに見えたのは歓談しながら開店準備中の店員だったか、従業員の感じも良さげ。


すごく雰囲気がいい。ウッディなインテリアだけじゃなく、参道の緑を借景に見立てたガラス窓が額縁のよう。斜向いの建物ではモナリザが微笑み、アートに癒されるとはこういうことなんだとつくづく思った。

眺めのいい2階席に通されたので、木々の間から抜ける青空だってまぶしい。いやいや、これはなかなかいいロケーションだぞなもし。


イタリアンに入ったら無条件でパスタを頼むところだけど、店名からしてピザを謳い文句にしているのでここは大人しく従うことにする。

メニューに並ぶピザの名は聞いたことがあるものから初耳のものまで数種類。その中からちょいと冒険してアスパラジなるものをオーダー。その名の通り、アスパラをふんだんに使った夏メニューともある。旬のものは積極的にいただきたい。

程なくして後から女子会やカップルが続々と入店し、あっという間に満席御礼。やっぱり人気店だったんだ。


サラダをつついているとやがて配膳されたピザ、ちょいと塩気が強くないか。ただでさえチーズに塩気があるのに、こんがりと火の通ったアスパラもしょっぱくクラストまでもが塩気を帯びている。追いオリーブならともかく、追い塩は高血圧によろしくない。

健康面もそうだが、せっかくの素材の味を塩が帳消しにしてしまっている気がして実にもったいない。

まわりじゃマルゲリータだのクアトロフォルマッジだのといった無難な路線を攻めている。でも誰もしょっぱいだの塩気がどうのと言わないところを見ると、アスパラだけ特別大サービスだったのかも。


と、こう申し上げてはいるものの、塩気が強いだけでピザそのものはクラストの食感やぜいたくにあしらわれたチーズなど、なかなかに美味しく何はともあれ雰囲気がいい。絶対に女子は好きなやつだ。

食後のデザートにとつけたティラミスのマスカルポーネが自己主張していて大人のスイーツだなと。


気になって調べたのだが、チッチョ＝ぽちゃっとして可愛らしいというようなニュアンスがあるそうで、なるほどここのピザを連日食べていたらそりゃそうなるわと誰に対して言ってるんだか、今度は別のピザをいただきに来ようと早くもチッチョ予備軍の体たらくである。