頑張っているお店…ただなんかまだやれるような気がする : Unagino Ishikura

過日の昼餉。桶川界隈での午前中の業務を終えて都心方向へ向かう途中、浦和で鰻でも…と思っていたのだけれど、やけに混んでいる電車にうんざりして上尾で途中下車。鰻脳になってしまっていたので上尾駅界隈を徘徊して見つけたこちらに一見フリにて伺う。

ファサード、店頭のホンダスーパーカブが「昭和の遺物」的場末感でイイ風趣。店内もイイ感じにかなりうらぶれていて、ざっかけなさを醸す。厨では痩躯白髪の職人気質丸出しの当店店主と思しき男性が、一枚板の俎板上で活鰻を素人目にも鮮やかな手つきでせっせと捌いている。その手前の調理台には串打ちされた活鰻が造作無く積まれていたりして、期待値が高まる。

11時20分頃の入店で先客は無し。客が当方だけだったので、肝を焼いてくれていたご主人とは別の男性に「写真撮影よろしいでしょうか」と確認すると快諾を得られたので、今回は店内での写真も撮影させていただきながら。

少々喉が渇いていたのでノンアルコールビールを。合わせて肝焼と鰻重の特上を所望。

ノンアルコールビールには浅利の佃煮がつき出しで提供されたのだけれど、これがやけに旨い。肝焼きはまぁまぁ。比較的さっぱり目のタレ。ただやはりガス焼きだからだろうか、中までふっくら熱々といった感じはない。肝焼きをつまみながら厨を見ていたらまだ調理が始まらない。あの活鰻の串を素焼きして、蒸し器で蒸すのだろうなぁ…時間かかるかなぁ…などとわくわくしながら観ていたら、ありゃ、すでに素焼き～蒸しまで終わっている仕込み済みの串を、別場所から取り出してガス台で焼き始めた。ん～ちょっとがっかり。

供された鰻重・肝吸い・香の物。いずれも可も無く不可もなくといったところ。蒲焼はやはり芯の部分が熱くないのと、素焼きから時間を経ているのでふっくら感に欠けるのが致命的に思う。ご主人の職人仕事を拝見して期待値が高まっていただけに少々肩透かしをくらったような感慨。

以上お勘定4,670円（税込み）は昨今の鰻事情を鑑みればかなり頑張られているお値段と思う。後で計算したら微妙にお安い方に計算間違いされていたかも。（品書きには鰻重3,500円、肝焼700円、ノンアルコールビール400円【税別】と記載）

いい風情だし、ご主人の技術もきちんとしているし、秘めたポテンシャルはあろうかと…。もう少々お高くてもいいので、提供時間はかかっても、注文を受けてから素焼き～蒸しの行程を経て供されたら、かなり人気のお店になろうかと思うのだけれど…などと老婆心甚だしいね。

なんとなく忸怩たる思いに駆られつつお暇。