【暗闇を抜けると、そこは琵琶湖郷土料理の店だった】 : Soukotei Gennai

友人に連れられ滋賀の賤ヶ岳の麓に来た。
夜、辺りは真っ暗な闇。鹿もイノシシも走っていると言う獣道。車じゃないとイイおっさんも暗すぎて怖いくらい。道路も車が一台しか通れない狭い道路。対向車線が来ないことだけを祈る。

さて、その闇を抜けると仄かな明かり。「想古亭げんない」の看板。

ここは琵琶湖の魚、近江牛、鴨肉などを味わえるお店。
僕は未訪問だが余呉の徳山鮨に比べ洗練はされてはないが、昔ながらの琵琶湖郷土料理を味わえるのはこちらだとか。そもそも徳山鮨は琵琶湖でなく余呉湖ですね。
室内も釘隠しやら漆喰の壁やら見ていて飽きないし、なんだか気持ちも落ち着く。

料理。まずは滋賀県の郷土料理「鮒の子まぶし、自家製こんにゃく」…鮒の子まぶしとはフナの刺身の表面に塩水で茹でたフナの卵をまぶしたもの。昔はオスの鮒の身にメスから出た玉子という組み合わせだったそうだが、今はそこまでこだわらないらしい。
初めて食べた。味は正直想定内。

続いて
「焼き子持ちモロコ」…ふくよかな味わいで美味。少し甘いこの店特製の醤油で食べる。4月までは子持ちだそう。これ気に入った。

「ヘラブナ」…野性味溢れる焼きヘラブナ。
滋賀に来ると鮒寿司は食べるが、こうした形で食べたことはない。

そして今日のメインの「鴨すき焼き」…ネギやシラタキ、菜の花、鴨のロース肉、骨まで砕いて入っているツクネ、キモが具に入る。
琵琶湖にもたくさんの野生鴨はいるが1964年(昭和39年)から禁漁。鴨肉は石川県のものだそう。琵琶湖を飛び立って琵琶湖ではない隣の餌場に行ったら許された30分間だけ撃っても良いらしい。

鴨すき焼きは、煮込みすぎると肉が硬くなるので表面が少し白くなったらもう食べごろ。かなり美味しい。ネギの甘み、シラタキ、どれもがご馳走。

最後は「お新香」、「赤出汁」、「ご飯に赤紫蘇ふりかけのゆかりをかけて」いただくシンプルな〆。なんだか、ホッとする。

居心地が良くて、長居をしてしまった…。結局4時間超えの11時過ぎにお開き。店の大将も寝てしまったのか、最後は出てこなかったけど、素朴で良い方だった。見た目、ん？無愛想かと思ったら食材説明やヘラブナの焼き方も丁寧。いい感じのおじさん。

長浜市木之本と言うエリアもなんだか好きになってしまった。