ディープなネパールレストランならここだ! : Solti HALAL KHAJA

今日の昼は、美味しいネパール料理を口にしたくなった。
ネパールらしさを、感じる店ならなお良いだろう。ならばディープで風情ある、新大久保の“あの”店にしよう。

駅の改札とは反対側の舗道を歩き、新大久保方面へと歩いた。駅前のドラッグストア脇の路地に入ると、そこはディープな南アジアの雰囲気が漂ってきた。通称、ハラルストリートで、ハラルの食材が揃う市場、フードコートが並ぶ一画がある。

そのすぐ先にマンションがあり、外から伸びる階段を2階へと上がった。2階にはテナントがあり、その一つに食材売り場がある。今日の目的となる、ネパールレストランだった。店に一歩足を踏み入れ、すぐそばに座る南アジア系の男性に“食事をしたい”と話した。
男性は、店舗奥を指さした。

店内を奥に進むと、食材がびっしりと棚に並び、床に積まれている。
さらに奥に進むと、壁と柱に仕切られた小部屋がある。飲食出来る、ちょっとしたスペースだが、窓がない分息苦しさを感じる。

ランチタイムでは、ランチメニューにある料理は200円引きとなる。今日はちょっと贅沢して、メニューの中でもランチでは豪華な“ダイドーセット”にしよう。ダイドーセットの一番の特徴は、ネパールのダルバートではおなじみの、インディカ米のライスの代わりに、そば粉を練った穀類がついた。
他に、カレー、ダル、大根の漬物、野菜炒め、サラダ、パパドと言った料理が組合わされている。

10分ほどで、調理場から料理が提供された。
ちなみに調理場はイートインスペースの脇にあり、その出入口には暖簾が掛けられ中の様子は見えない。

お盆に並ぶ料理は、見るからに整然と並び、まるで料理の小宇宙といった感じだ。
ダイドーセットは初めて口にするので、ワクワクする。さあ、実食しよう…

お盆の中央には、赤飯色の蕎麦がきの山がある。
その周りには、ダルスープ、マトンカレー、サラダ、パパド、サグ、タルカリ、チャツネと囲んでいた。

まずはダルスープをひと口啜った。ヌメリがありスパイスは効いたが、辛さは全く感じない。

スプーンを、マトンカレーに移してみよう。
ガツんと来る辛さ、スパイスはしっかり効いて、サラサラではなく粘度は多少感じた。

スプーンで蕎麦がきを削り、口にした。まったりとした食感、滑らかな舌触りで食べごたえを感じる。ダルバートはライスも良いが、この蕎麦がきだと、また印象が変わって美味しく楽しめる。
ネパールの蕎麦がきは“ディード”と呼ばれ、ネパールの定食ではたまに見かけた。
途中、調味料のチャツネを付け、楽しんでみた。

タルカリはブロッコリで、スパイスが効いて好きなおかずだ。
パパド、サラダ、サグ、アチャールと、あちこち箸を付け、ネパールの“アレコレ”を楽しんだ。

最初から最後まで、他に客はイートインスペースには入っては来なかった。スタッフも注文と料理の提供意外には、接することはない。食事は始終、ひとりの時間を楽しんだ。窓がない分息苦しさはあったが、非日常の、のんびりした時間を楽しめたのは、間違いなかった。

その日のランチは、ダルバートの気分だった。
ネパールレストランは職場近くに、かなり点在している。問題は、どの店を利用するかだった。
そして久しぶりに雰囲気優先で、“あの”店に決めた。

北新宿１丁目交差点を、大久保通りに沿って新大久保へと歩いた。いつものように新大久保に近づくにつれ、ひと通りが一段と増えた。途中横断歩道を渡り、そのまま新大久保方面へと歩く。通りを隔て駅とは反対側の舗道は、まだ心持ち人の流れは少ない。

駅前のドラッグストアを目印に路地に入ると、ハラルの食材店が集まる。
この辺りは、新大久保でも有数のディープな一画と言えるはずだ。そのまましばらく歩くと、南アジア系のスーパーがあった。その隣のマンションの階段を、路地から2階へと上がった。直ぐにコリアンの美容室があり、その隣のネパール食材店が今日のランチの憩いの場だった。

店内に入りすぐのところに、南アジア系の男性スタッフが座っている。ちょうど受付窓口、そう言って良いかも知れない。男性に食事利用したいことを告げ、店内から見える別室へと向かった。入口直ぐのスペースは食材が並び、あるいは積まれて、いかにも店内で食事が出来るとは思えない雰囲気がある。
狭い部屋には、先客は…ない。結局、後にも客は誰ひとりとして来なかった。

ダルバートにしようと思ったが、メニューから安価で楽しめそうな“学生セット”を選んだ。日本語が通じないようなので、メニューを指さしすると分かったようだ。
“学生セット”は、ダルスープがない分、満足度は下がるかも知れない。セットの選べるカレーはマトンにした。

注文すると、男性は奥に引っ込んだ。調理場に入って、通ったばかりの料理を作るのだろう。
ちなみに入口の男性を含め、すべてのスタッフにユニフォームはない。

10分ほどで、料理が大きな皿に乗って提供された。ステンレスの皿でなく陶器の皿なのは、ダルバートと差別化しているのかも知れない。
ひとつの皿に料理はエリアごとに盛付けされ、ダルバートのいつもの盛付けは楽しめる。
ただやはり、ダル（豆）スープがないのは寂しい。

まずはおかず（タルカリ）から、口にした。ライスが進む味で、主としてジャガイモ、カリフラワーが楽しめる。
そんなライスはパサついたインディカ米ではなく、日本米に近くふっくらした食感だった。
途中酸味ある漬物、アチャルをフォークで口にして味変を楽しんだ。

チャツネはネパールの万能調味料だ。生野菜に付け口にしたり、ライスに塗ったりした。辛口なので、ライスと合わせ口にするのが自分流だった。

最後の最後に、マトンカレーを楽しんでみよう。ここのマトンは骨付きのはずだが、今回は付いてないに等しかった。色々なスパイスがブレンドされ、ドロんと濃密になったカレー…マトンの旨みが染み込み、なんとも言えない味だ。スプーンにライスに乗せ、ルーに潜らせ味わいを噛み締めてみよう。

楽しいひと時は、アッという間に過ぎさってしまった。
ご馳走さまと伝え、会計を済ませた。会計の男性は片言の日本語で、“ネパール料理を食べ歩きしてるか”、と聞いてきた。“もちろん”と返した。

あることを切っ掛けに、最近ご無沙汰していた南アジアの料理欲が再燃した。新大久保、大久保にはインド、ネパールの良店が点在していた。職場前にも、人気店があった。そんな中から、久しぶりにディープな、知らない日本人は足を踏み入れないネパールの飲食店を利用してみよう。

…★…☆…★…☆…★…☆…★…☆…★…☆…★…☆…★…☆…★…

ネパールは、多民族の内陸国家で、主としてヒンズー教を指示した。位置としてはインドと中国チベットに隣接し、エベレストの玄関口として登山家知られた。山を切り開いた傾斜の強い土地柄が災いして、文化、医療はかなり遅れている。そのため、世界の中でも、貧しい国ひとつとなっている。

…★…☆…★…☆…★…☆…★…☆…★…☆…★…☆…★…☆…★…

大久保駅から新大久保駅は大久保通りにあるが、直線では300mくらいの距離しかない。舗道は狭い上に、常に歩行者が横並びに歩き、自転車がよろよろと走り非常に歩き辛い。
この間は、人混みをすり抜け、時には車道を通って移動していた。

新大久保駅前のドラッグストアのある路地に入り、餃子の王将の隣のマンションに、本日の目的地がある。
外の階段を上がると、ネパール国旗が掲げれら看板はあるが、HALALの文字しか読み取れない。

店舗前にはショーケースが無造作にあるが、どうにも売り物とは思えない。店内に入ると、包装された食材か棚に並びに、…米、小麦粉だろうか…大量に積まれていた。
初めてだと入り辛く、独特の雰囲気を漂わせている。

店内にいるネパール人と思われる男性に、飲食をしたいことを伝え奥の仕切られたスペースへ入った。こじんまりとしたと言うより、狭い部屋で窓が一つもないので息苦さを感じた。
小さなテーブルが3つほどあり、今食事を済ませたばかりの女性が席を立って出ていった。その部屋には、必然、自分ひとりだけとなった。

早速、メニューから、“ダルバートタルカリ”をカレーはマトンで注文した。
ちなみに“ダルバートタルカリ”とは豆スープ、ライスの組合せの定食で、タルカリとして野菜のカレー炒めに、酸味と辛味のある漬物が付くネパール定食を言った。

タールの上を見るとカトリ、それに料理の島は楽しめそうだ。タール（トレー）にカレーのカトリ（器）、それに料理の島を美しく盛付け出来る店の味は、間違いないと思う。

早速ダルスープを、ひと口啜ってみた。
多少濃度かあり、まったりとした舌触りが心地よい。トロんとして、あっさり目のスパイス感が心地よい。

タルカリはジャガイモを中心に、しっかりとスパイスで炒められた。ライスが進んだ。カリフラワーはここでは、使われてはいない。

チャツネは、ライスに合う調味料だ。箸に付け、口に含んでライスを楽しんでみた。

大好きなマトンカレーを、楽しんでみよう。
しっかりとブレンドされたスパイスが、鼻腔にふんわり漂う。ピリっとながら、辛さもある。濃密なカレーで、マトンの旨み成分が、口いっぱいに広がった。
骨付きマトンが、また旨い。ピースによっては、骨からスルっと剥がれ辛いものもあった。食べづらく、カレーで口の周りが汚れた。

パパドでせんべいの食感を楽しみ、サラダで口直しをして仕上げた。

結局食べ終わるまで、他には客は来なかった。
ディープな食材店の奥には、ディープネパールの美味しい料理が潜んでいる。ネパールの雰囲気を楽しむには、パスポートは要らない。

3度目の正直で、使うことが出来た。
まず飲食店があるとは到底思えない場所に、本日のお目当ての店があった。

ボクは雨が降る中、北新宿1丁目交差点から、JR大久保駅前左手を、さらに真っ直ぐ歩みを進めた。
JR新大久保駅を見ながら左手の道に入り、餃子の王将 新大久保店をさらに進んだ。

マンションの階段を外から上り、美容室の前を通り過ぎると、インドネパールの食材店がある。
外観からは到底飲食店があるとは思えないが、実はこの奥にコリアンタウンでも優秀な飲食店があった。

恐る恐る座っているネパール系の店員に食事をしたい旨聞いてみた。
店奥の暖簾を指さし、入店を促された。

店内はまるで楽屋の控え室、イヤそれ以上にせせこましい。
4人用の小さなテーブルが2つ、そしてそれに挟まれる形で2人用テーブルが2つあった。

2人用テーブルの一つに腰を下ろし、メニューをお願いした。
どうやら、ランチメニューは特になく、昼、夜共用のようだった。
ボクはメニュートップのセットものにし、カレーはマトンを選んだ。

入店の際は客はいなかったが、料理を注文する頃には同郷かと思われるグループが3人入った。
ひとりは席に腰を下ろすなり、ポケットからタバコを取り出し、火を着けた。
雰囲気からグループは、この店の常連のようだ。

決して広いとは言えないテーブルに、次々と料理が乗った。
見た目は貧弱ではないが、ボリュームがあるとは言えない。
食べる前からスパイシーな香りが、鼻腔をついた。
まずは、ダルから手をつけよう。

サラッとしていて、あっさり感のある味わいだ。
スパイスの強い料理に、つくづくダルが合うと思った。
ダルは美味しいので、お代わりした。

スプーンでカレーを掬い、ひと口舐める。
そして、またひと口…
かなり香辛料が強く、ルーが主張する。
味がシッカリとしていて、ボソッとしたネパール米に合いそうなルーだ。
さらにスプーンで肉を乗せ、口に入れる。
スパイシーなルーを纏ったマトンには、肉の臭みはなく、濃厚で豊潤な味わいを提供した。
カレーはサラッとしたタイプと、ドロッとしたものとの、ちょうど中間くらいだろう。
ライスとの相性はとても良かった。
ライスは大盛りにして、さらに追加した。

セット料理で特に良かったのが、スパイスで炒められたジャガイモだった。
他の料理は美味しいが、こちらの店でなくても味わえる付け合せにしか過ぎない。
それでも、美味しいことには、違いはない。

食事は概ね、満足いくものだった。
ただ界わいには、インドネパール系の料理を扱ったお店が多い。
セットものの価格からみて、そこそこのボリュームがあった方が満足感は高まると思った。

このなんとも不思議な空間で、ランチを楽しめたことは貴重な経験となった。