見目麗しき美食の交差点
平日のランチに伺いました。
広尾のスパニッシュバル『Gracia』を監修したジェローム・キルボフ氏による、モダンスパニッシュレストランです。そのジェローム氏が、本日厨房にいらっしゃるではありませんか。
ジェローム氏はフランス人です。サービスの方がお客様にシェフの出身地を尋ねられ、説明していました。
「フランスの方なのにスペイン料理を?」
「日本人シェフも、フランスで修行して帰国して、フランス料理店を開いたりするでしょう。」
毎日同様の説明をしていそうです。
広尾の『Gracia』は、フードコートの一角の、コンパクトでカジュアルなカウンター。お料理はバルの域を超えていた印象です。
こちら市ヶ谷の『Tinc gana』は、カウンターをメインにしながら、より洗練された空間。座席によっては厨房を垣間見られます。本日私は、その活気を見られる特等席。
厨房とサービスは適度に分業されていて、専任のサービスの方は実にスマートで安定感があります。この空間とサービスで、広尾で味わったようなお料理を頂けるなら、6,500円という価格はお値打ちだと思いました。
頂いたのは、ランチコース ”Olive” 税込6,500円です。
○チーズのコロッケ 鯵と大根のタルト
○パンコントマテ バゲット フレッシュトマト 3年熟成ハモンイベリコベジョータ オリーブオイル 塩
○サルモレホ 沖縄県産車海老 胡瓜 林檎
○帆立のソテー 豚の脂のテリーヌ ほうれん草 ラビオリ
○秋田県産比内地鶏の炭火焼 トウモロコシの天婦羅 フォンドボー 柚子胡椒のオランデーズソースのエスプーマ
○ジェロームチーズケーキ
○静岡県産マスクメロン ハンマサラ 塩バターキャラメル バナナミルクチョコレート ザクロのアイスキャンディー
まずは、訪れた皆様絶賛のパンコントマテ。バゲットにニンニクとフレッシュトマトを塗り、熟成ハモンイベリコベジョータをたっぷりと乗せ、オリーブオイルと塩のみで味付けしたもの。スペインの食のエッセンスを純度高く抽出した、お店のスペシャリテです。舌の体温で蕩けるハモンイベリコベジョータの旨さが口に拡がります。極上シンプルに唸らされました。
続いて、ガスパチョを優しくしたようなトマトのクリームスープ、サルモレホ。色彩豊かなビジュアルが美し過ぎて、スプーンを入れるのをためらいます。色使いの潔さは、スペインのイメージ通りです。爽やかな野菜の中に車海老の甘さが利いています。
帆立のソテーはシンプルな調理と見せかけて、添えられた謎の豚の脂のテリーヌが実に奥深いです。これを崩し添えながらいただく帆立の美味しさは重層的。
メインは鶏。それだけでも香ばしく旨い比内地鶏の炭火焼きに、柚子胡椒の香りを忍ばせたオランデーズソースが良く合います。
お料理は総じて、たくさんの野菜を生かしソースも鮮烈。それぞれが主役級に美味しいのに、動物性の肉と脂の、力のある旨味を引き立てもしていました。オリーブオイルと塩の効かせ方が格別です。オリーブオイルと塩の大切さを教えてくれるシェフは、どこまでも推したい気分です。
デザートも評判です。拘りが随所に見られました。提供の仕方も個性的で、最後までわくわくさせてくれます。シェフの名を冠した、クリーミーなチーズケーキも記憶に残る美味しさです。広尾の『Gracia』で魅了されたブランマンジェも、日によってはコースに組まれるようです。
美味しさに痺れました。そして「家族にも食べさせたいな。」という思いが湧きました。
ごちそうさまでした。
店名 |
Tinc gana(Tinc gana)
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類型 | 西班牙料理、西班牙酒吧 |
預約・查詢 |
050-5589-7402 |
可供預訂 |
可以預訂 |
地址 |
東京都千代田区六番町4-3 GEMS市ヶ谷 1F |
交通方式 |
JR市穀站3號出口步行3分鐘地鐵市穀站步行3分鐘都營新宿線市穀站步行3分鐘 距离市谷 326 米 |
營業時間 |
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預算 |
¥15,000~¥19,999 |
預算(評價匯總) |
¥15,000~¥19,999¥15,000~¥19,999
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付款方式 |
可使用卡 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 无使用電子錢 无使用二维码支付 |
座位數 |
29 Seats |
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個人包廂 |
不可能 |
包場 |
可能的 可接受20人以下、可容納20~50人 |
禁煙・吸煙 |
嚴禁吸煙 |
停車場 |
不可能 |
空間、設備 |
時尚的空間,有吧檯座位 |
酒水 |
有葡萄酒,對葡萄酒講究 |
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料理 |
提供英文菜單 |
此時建議 |
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關於兒童 |
12歲以上兒童可享用與成人相同的套餐菜單。 |
網站 | |
開店日 |
2022.9.12 |
電話號碼 |
03-5357-1921 |
備註 |
支付方法僅限信用卡。 |
週末のディナーに伺いました。
老若男女、多国籍、そして和装の方もいらっしゃる、華やかな店内でした。進化版スパニッシュバルのような和やかさと活気に満ちていました。
一方で、ひとりで食事を楽しむ方や、常連様と思われる方もいらっしゃいます。雰囲気や話題性だけではない、味も支持されていることが伺えます。
前回の「家族にも食べさせたいな。」の思いを実現させに来ました。
定番の美味しいものが好きで、新しい味を好まない我が家族にとって、モダンスパニッシュは口に合うのか。視覚では間違いなく楽しんでもらえる自信を頼りに、伺いました。
季節のディナーコース 税込12,000円です。
○3種のアミューズ 海老のコロッケ ホタルイカのフリット ビーツのタルト
○パンコントマテ バゲット フレッシュトマト 3年熟成ハモンイベリコベジョータ オリーブオイル 塩
○マカジキのセビーチェ
○帆立のプランチャ 舞茸
○サメガレイのモレソース
○イベリコ豚のプルーマ 焼き林檎 青唐辛子
○ジェロームチーズケーキ
○小菓子
○ザクロのアイスキャンディー
家族の評価は「うん、美味かった。」でした。まずはほっとしました。
シンプルに見えて、長い熟成時間と吟味が施されたパンコントマテは、口に入れる前から美味しさを確信したようです。バゲットに生ハムとトマトと塩とオリーブオイルとニンニクだけ。手数だけなら自宅でもできそう。そう説明を受けた所で、「そういうのが一番美味いんだ。」と。けれど自宅では絶対に真似できない、素材の蕩ける美味しさに、今夜もまた一同唸りました。
それからも、耳慣れない料理名やソース名、意外な付け合わせの料理が登場しました。けれど、食材の良さを素直に生かした料理の数々は、初めての者にも美味しくないはずが無く、総じて満足してもらえたようです。
今回も、海老や帆立、イベリコ豚など、メイン食材の旨味が良く生きており、登場してビジュアルに歓声を上げ、口にして唸る、という美食のサイクルでした。
余談ですが、入口近くのカウンター席だった為、ジェロームチーズケーキのテイクアウトを引き取りに来た方が何人か見えました。フランス語で接客されていて、このバスクケーキだけでも人気なのだな、と実感していました。後に軒先のショーケース内の値札を見て、その価格に少々驚くことになる訳ですが。
誰と訪れても楽しめるお店でしょう。
カウンターにて目に映るもの、ライブキッチンの活気、料理のビジュアル、初耳の料理名、口に拡がる旨味。どれもが話題にできます。
勿論ひとりでカタルーニャ最高峰の味覚を噛みしめるのもまた良き。どちらも体験しました。
ごちそうさまでした。