店名 |
Soba Giridoushin'Ya(Soba Giridoushin'Ya)
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類型 | 蕎麥麵、烏龍麵 |
預約・查詢 |
03-3893-1879 |
可供預訂 |
可以預訂
時間帯による |
地址 |
東京都荒川区西日暮里6-52-6 |
交通方式 |
距离西日暮里 493 米 |
營業時間 | |
預算 |
¥1,000~¥1,999 ~¥999 |
預算(評價匯總) |
¥2,000~¥2,999¥1,000~¥1,999
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付款方式 |
无使用卡 无使用電子錢 |
個人包廂 |
不可能 |
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包場 |
不可能 |
禁煙・吸煙 |
嚴禁吸煙 |
停車場 |
可能的 1台 |
空間、設備 |
平靜的空間 |
酒水 |
有日本清酒,有燒酒 |
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此時建議 |
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冷たい雨が降りしきる勤労感謝の日、昼に向かったのは西日暮里の駅から5.6分のこちらの蕎麦屋。
最近はほとんど評判を耳にすることは無いが、きちんとした出自の蕎麦屋である。
開店から間の無い30年ほど前に一度寄った記憶が有るものの、正直言って最近は存在を忘れかけていたが思い立って足を運んでみた。
こちらのご主人は、20年ほど前まで南長崎に在った「休屋」と言う蕎麦屋で修業された方。
「休屋」の元々の店舗は名人高橋邦弘さんが「一茶庵」から独立して最初に設けた「翁」で、高橋さんが山梨の長坂に移る際にそこを引き継いで開業した店。
「翁」は私がまだ20歳代の頃に毎週のように通った思い出深い店で、その後の「休屋」にも何度か訪れたことが有った。(現在相模湖畔に在る「休屋」は道具類などを譲り受けた店だが、仕事面での直接の関係は無い)
場所は現在は拡張され上空に「舎人ライナー」が走る尾久橋通りを進み、脇に少し入った所。
周囲には新しいマンションなどが建ち並ぶ中、こちらだけが昔ながらの佇まいを残している。
店内は真ん中に大テーブルが置かれ、4人掛けのテーブルが左右に2卓ずつ配されている。
BGM代わりにラジオからFM放送が流れ、暖房には昭和の時代を彷彿させる石油ストーブが使われている。
年配のご主人夫妻が奥の厨房に、ホールは30歳前後の息子さんと思われる方が任されている。
11時半を少し回った頃に入店したが既に2組の先客が居り、一人の私はアクリル板で仕切られた大テーブルの一角に通された。
メニューを眺めると、一茶庵⇒翁⇒休屋と続く流れが明らか。
まずはビール(ヱビス中瓶)をもらう。
肴には10品ほどが並ぶ中から「天麩羅盛り合わせ」を注文。
それほど待つことなく登場した皿には、海老2尾・鱚・野菜6種(南瓜・蓮根・しめじ・インゲン・しし唐・大葉)が体裁よく盛られている。
衣は薄からず厚からずで揚げの技術は上々で、おろし入りの天つゆで食べさせる点も定法通り。
海老はまずまずの大きさで最上品では無いが旨味は感じられ、野菜もそれぞれの持ち味が楽しめる。
この内容とボリュームで1,100円は安い。
酒には燗酒を所望するが「朝日山」の一択で、1合のガラス瓶がそのまま燗につけられて登場。
銘柄は異なるがこの提供手法も、かつての「翁」と同様で懐かしい。
500円と言う値付けだが、燗にして実力発揮の純米酒といった感じで中々良い。
合わせて「焼き味噌」を追加。
当然ながら「一茶庵」の祖である片倉康雄さんが考案した、杓文字に塗り付けて焼き目を付けるスタイルで登場。
味は最近は色々なバリエーションが見られるが、西京味噌に蕎麦の実・葱・鰹節・柚子皮が混ぜ込まれた基本に忠実な仕事が好ましい。
そろそろ蕎麦をと思うが、こちらでは常時一般的な「せいろ」の他「生粉打ち・田舎そば・さらしな」、さらに季節ごとの「変わり蕎麦」も打っている。
変わり蕎麦の「柚子切り」も大いに気になるが、目に付いたのは「鴨汁せいろ」である。
最近は「鴨なんばん」や「鴨汁そば」に贅沢に厚めに切った抱き身を使う蕎麦屋が増えたが、「一茶庵」が鴨を種物に使い始めた頃はまだ合鴨が出回る前で、高価な抱き身は専門料理屋に回り蕎麦屋には安価なもも肉しか入って来なかった。
もも肉は味は良いが筋や脂身が多くて硬く、これを細かにカットしてそばつゆで十分に煮て旨味を抽出させた汁で、蕎麦を食べさせるスタイルを開発。
私が南長崎の「翁」で初めて食べた鴨汁そばも、このスタイルだった。
現在この手法は、一茶庵系の一派である「禅味会」所属の蕎麦屋で見かける程度になってしまった。
こちらでもそのスタイルであることは、820円という値付けから想像がつく。
これを私がその昔南長崎の「翁」で高橋さんに何度か頼んだと同様に、「せいろ」を「田舎」に替えて注文。
暫しの後に運ばれた姿は期待通りで、つゆは小振りの抹茶茶碗ほどの器にたっぷりと注がれており、箸で探ると小角切りの鴨もも肉と葱が結構たっぷり入っている。
先に一口含むと、元々濃い目のそばつゆに鴨の脂と旨味が加わり、濃厚なつけ汁に仕上がっている。
蕎麦は「田舎」と言う割には細目で、昔の一茶庵のやや武骨な噛みしめるタイプとは異なるが、啜れる点で私にとってはむしろ有難い。
先に少量を手繰ってみたが香りしっかりで、歯触りも良好。
つゆに浸すと言うより多少絡めるくらいで食べ進めることで、相性の良さを存分に堪能。
途中から卓上の七色を振り入れれば、さらに味が深まる。
蕎麦湯は当然ながら余分な手が加わらない、正統的な自然体。
塩分摂取を気にする人は別に小鉢を所望するかも知れないが、残すことなどもったいなくて出来ないため、私は直接鉢に注ぐ。
さすがに最初は濃いが少しずつ注ぎ足すことで味を調整しながら、全てを飲み干して充足感に浸る。
直近の情報が乏しかったのでそれほど大きな期待はしていなかったが、予想以上の結果にいたく満足。
個々の出来栄えと味の良さに加え、「一茶庵」の伝統の仕事が息づいていることは嬉しい限り。
勘定は3,500円ほどで、充実の内容からすれば申し訳ないような安さ。
接客担当の息子さんの、如才ない応対ぶりも好感。
後客は常連さんと思われる方々がほとんど。
子供を交えた家族連れの姿も見え、地元に愛されていることが窺える。
雨の中わざわざ足を運んだ甲斐の有る、気持ちの良いひと時を過ごせた。
目立たないが、きちんとした実力が備わった店。
これからは定期的に訪れたい。