いつものコース「弁天山美家古寿司」→「栃木家」→「いりむら」
十月中旬、いつものコース「弁天山美家古寿司」→「栃木家」→「いりむら」です。
この日、姉とふたりで緊急事態宣言が解除されて十月五日から営業を再開した「弁天山美家古寿司」のカウンターで 正統江戸前すしを食べた後、姉が「いりむらのお煎餅を買いたい。」と、言うので、台東区営「雷門地下駐車場」から La macchina を出し、駒形橋を渡り、「吾妻橋 やぶそば」を右手に見ながら向島へ向かいました。
私が「いりむら」の煎餅を初めて食べたのは、二十年前に墨田区吾妻橋近くに住む叔母(85)夫婦が我が家を訪れた時の手土産でした。
「oggetiさんはお煎餅が好きだと聞いていたので、私が大好きな いりむら で買ってきました。」
嬉しいです。煎餅の芯まで焼かれているので軽く噛み砕いた時にホロホロっと口の中に広がる食感は、硬目に炊かれた酢飯で握った「弁天山美家古寿司」や「鮨松波」のにぎり寿司のようでした。
その後、暫く間が空きましたが、このSNSでお付き合いのあった卍さんが、曳舟の「うを徳」訪問時にこの煎餅屋をアップしていたので思い出し、以後、私も贔屓にするようになりました。有難いことです。
最近、「いりむら」では、後継の息子さんが親方(父親)と一緒に手焼きをするようになったそうです。芯まで焼くには、姥目樫の備長炭を使って一枚を焼くのに凡そ百遍もひっくり返さなければならない手間の掛かる仕事ですから、焼き手によっては微妙な差が生まれると思います。焼き名人と言われるのを楽しみにしています。
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世の中便利になって失ったものがたくさんある。備長炭で焼く煎餅もそのひとつ
今、母(93)が読んでいる高峰秀子 著「わたしの渡世日記」に谷崎潤一郎と交流していた頃の話があり、「大きな目を更に大きくして煎餅を食べていた姿が忘れられない」と、書かれているそうです。
「似ているわよ。」
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元カノとの待ち合わせ時刻に遅れ、表参道の喫茶店に四十分も待たせたのは、四十八年も前(1973年)のことです。申し訳なさが募っていたのに「本を読んでいたから平気よ。」と、微笑んでくれた現ツマには今も惚れています。携帯電話の普及した現代は、銀の鈴広場やSL広場もしくは帝国ホテルのロビーで待ち合わせすることもなく、互いに勝手気儘な時間を過ごしながら「今、どこー?」「それじゃー、僕がそっちへ行くよー。」で済んでしまうのですが、来るのか来ないのか気を揉んで不安感で一杯になるという楽しみは無くなりました。「便利でイイじゃん。」と、言われるのを承知しているのですが、世の中便利になって失ったものがたくさんあるのではないかと感じています。(地図を記憶することのなくなった navigation system も然り)
【キッシンジャーの警句】
「…インターネットは人類の歴史を大きく変えてしまった…ボタンひと押しで多くの情報を得られるようになったが、情報を記憶する必要がなくなった。記憶しなければ、人は考えなくなる。その結果、知識を受容する能力が著しく損なわれ、何もかもが感情に左右されるようになり、物事を近視眼的にしか見られなくなってしまった。この問題を研究し、対策を考える必要がある」
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「いりむら」の煎餅は昔ながらの手焼きです。しかもお札を燃やしていると言われるぐらい高価な姥目樫の備長炭を使っています。多くの煎餅屋が自動の煎餅焼き機を使って焼いている現代、一枚当たり凡そ百遍もひっくり返しながら手焼きする煎餅のおいしさは格別です。パリッと壊れる食感は、上等な握り寿司の酢飯が口の中でポロポロと崩れていくのに似ています。
この煎餅を切らすと何となく口寂しく、電話を入れてから La macchina を飛ばして向島まで買いに行きます。昔の風情を残すこの界隈も失われたものはたくさんあるのでしょうが、人々の心意気まではなくなっていません。後継者も手焼きを守り、いつまでもおいしい煎餅を焼き続けていただきたいと願うばかりです。
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「いりむら」の煎餅を割りながら、小茂田 青樹「虫魚画巻」を開く。
江戸前の伝統を守る「弁天山美家古寿司」で食べる前に美しいイタリア女性 (la macchina) を伴い「いりむら」に寄りました。
【購入した煎餅】 各十枚
・みりん煎餅 海苔
・みりん煎餅 堅焼
・みりん煎餅 胡麻
・みりん煎餅 辛子
・生醤油煎餅
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昨年引っ越し、二度目の秋を迎えている我が家のベランダには、黒鳳蝶、蟷螂、蜥蜴などが檸檬の木に卵を産みつけたり、餌を食べるために集まってくるのですが、戸内で虫を発見することは少なく、昆虫好きの孫も嫌がるヌメっとした平べったい虫は一度も現れたことはありません。夏季に紀ノ国屋以外のスーパーマーケットで葉物野菜を買うと、どういう訳だか小蝿が飛ぶことがあります。彼らは赤ワインが好きなようで、グラスの縁に留まることがあるのですが、知らぬ間にいなくなります。
私は子供の頃から蜘蛛が好きで、夕刻になると軒先に大きな巣を張り始める鬼蜘蛛の動きをじっと観察していました。尾崎 一雄 著「虫のいろいろ」を読んだのは中学生の頃だったと思います。また最近は、埼玉県入間郡川越町生まれの日本画家 小茂田 青樹の「虫魚画巻」も購入しました。
パソコンを開いていると視界に小さく黒い蜘蛛が目に入ることがあり、これを大切に飼っています。この "アダンソンハエトリ蜘蛛" は巣を張ることもなく、どうやら目に見えない小さな昆虫類や小蝿を捕獲してくれているようです。動きが可愛いです。最近は姿を見せなくなり、我が家は餌が少ないのかなぁ と心配になるのですが、きっと「ボク、ここにいるよ」と、現れるに違いありません。
https://www.youtube.com/watch?v=WCi8t6at4NU
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いりむら→青柳正家
この日、公共交通機関を使わず車で買い物に出かけました。
先に「青柳正家」のレビューをあげましたが、訪れた順序は「いりむら」が先です。
【購入した煎餅】
・みりん煎餅 海苔
・みりん煎餅 堅焼
・みりん煎餅 胡麻
・みりん煎餅 ざらめ
・みりん煎餅 辛子
・生醤油煎餅
添付写真の四枚に煎餅の断面を載せました。味付けの醤油は表面だけに滲み、所々にあるひび割れから深く浸透している箇所もありますが、一枚焼くのに百遍もひっくり返して焼くため米粉が狐色になりメイラード反応が煎餅の芯まで達していることがお分かりいただけると思います。
飲食店に限らず、小さな商売であっても後継者が育ち、伝統の味(仕事)を引き継ぐ「いりむら」のような店が、こんな状況下では強いです。
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当初の予測通り二次感染・三次感染・四次感染拡大と続くと思われ、新型コロナウイルス禍 (china virus、https://www.youtube.com/watch?v=5wVeZUseL7E ) の終息にはまだまだ時間がかかります。十四世紀のヨーロッパに広がった「ペスト・黒死病」も中国からシルクロードを伝わったとのことですが、航空機の発達したグローバル化社会の現在における爆発的パンデミックは始まったばかりだと捉えるべきでしょう。これをストレスと思うからストレスになるので、開発中のワクチンの有効性が認められるまで "注意しながら気楽に" 耐えるしかありません。自然の営みはいつも通り進んでいるのですから。それにしても小説や映画が先行して警鐘を鳴らしていたにもかかわらず、「事実は小説よりも奇なり」です。
Biohazard:https://www.youtube.com/watch?v=Z5JUfEJXIvM
Inferno:https://www.youtube.com/watch?v=lNxgpWeskT0
Mission Impossible 2:https://www.youtube.com/watch?v=ONne1YQclbI
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禁断症状。「いりむら」の煎餅がないと何故か口寂しい。
私は、喫煙の経験がありません。
「そんなものは二十歳になったらやめるもんだ。」
「禁煙なんて簡単さ。私はもう何千回もやめてきたのだから。」(マーク・トゥエイン)
などのジョークを聞いたのは研究室の先輩たちからでした。
当時は「ハイライト」が主流の時代であり、次第に「セブンスター」へ切り替わっていましたが、中には茄子紺色の 「缶ピー」(缶入りピース、両切り、50本入り) や両切りで断面が楕円形の「ゲルベゾルテ」をマルクスの資本論と一緒に持ち歩いていた人、金がないからと言って端を潰してフィルターにする「あさひ」「わかば」を恥ずかしそうに吸っている人、もっと金がない人は "しけもく" はしないまでも「たばこある?」と「貰いタバコ」専門。これを嫌ってキツくて誰も吸わない「ロングピース」を持ち歩くもっと吝嗇な先輩。インドへ三ヶ月間の放浪の旅に出かけて帰国したらタバコの葉っぱをくるっと巻いて、握った薬指と小指に挟み、人差し指にできた隙間から煙を吸って「向こうではハシシ(Hashish)を葉っぱに混ぜてこうやって吸うんだ。俺はやらんがなぁ。」と、皆に指南していた大先輩。
「oggeti、お前吸わんのか?」
連れて行かれた喫茶店でハイライトに火を点けてスゥーッと肺まで入れた途端、胸がキュとなり頭にクラッと強い酒を飲んだ時のような衝撃があり、『ん〜、これに参っちゃうんだなぁ。危ない。』と気付き、これ以降タバコは一度も吸っていません。喫茶店を出ようとしても暫くは椅子から立ち上がれなかったことを思い出します。
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遠縁に中国古陶磁器や古代布に詳しい伯父がいて、チェーンスモーカーでした。左の頬っぺたにはタバコのヤニの痕がありましたが長命でした。たぶん咥えているだけで吸う量は少なかったのかもしれません。いわゆる「口寂しい」というもので乳幼児期における "口唇期" の感覚がなかなか抜けきらないのかもしれません。https://www.kanro.co.jp/sweeten/detail/id=1407
私は歯が丈夫ですから硬い食べ物でも難なく食べてしまうので意識してゆっくり噛んで食べるようにしています。チョコレートでもチーズでも舌と上顎の間に置いて溶かすようにして食べるのが好きです。食後に甘い物やケーキを食べる習慣のない我が家ではディジェスティーボとしてグラッパやウイスキーをニートで飲むのですが、それでも口寂しいときに「いりむら」の煎餅が欲しくなります。
食べる枚数は、いち日に二枚と決めているのですが、「うーん、おいしい!」と三枚目に手を出すこともあり、知らず内に煎餅保管ケースの中が空になり、青山へ行ったついでに向島まで足を伸ばし「こんにちは。」ということになります。この店の煎餅を食べたら他の煎餅を食べることができなくなりました。それらは何枚食べても満足できないのでカロリーの摂り過ぎになってしまうのです。おいしい食事をしている方ほど少量で満足できるため健康体であると言われています。
この日は途中の九段で寄り道をしたので、ついでに
「SWAN & LION」:https://www.swanandlion.com を覗きました。
ドアを開けるとイギリス人オーナーのイアン・ギビンス氏が日本語で「今は、注文分だけを作っています。」とにこやかに返事をしてくれました。おいしいミートパイをインターネット予約して、「いりむら」へ行った帰りに寄って貰ってこよう。
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向島歴史散策案内、四ツ木通りから見番通りを北へ進む
銀座の「ほかけ」で "すし" を摘み、隅田川を日の出桟橋から船で上り向島へ行こう。と、思ったのですが、ほろ酔い気分で川に落っこちると冷たいし、「東銀座」から都営浅草線に乗って「本所吾妻橋」で降り、プラプラと歩いているとタイムスリップしたような気分になって向島歴史散策も悪くないと思うのですが、一路 "見番通り" を「いりむら」目指して足を進めました。
途中、三囲神社(みめぐり)に留まり、略縁起を読んでいると、隅田川を挟んだ対岸に位置していた向島の地はのどかでありながら風流を楽しむ江戸文化発祥の地ともいわれることが分かります。歌舞伎・文学・浮世絵・落語など文化・芸能の舞台としてたびたび登場する向島を「改めて一日掛かりで訪れる価値あり」と、思うのでありました。
http://umebachiya.com/edokaiwai/mimeguri/mimeguri.htm
「此御神に 雨乞する人にかわりて 遊ふ田地(夕立)や 田を見めぐりの 神ならば」 ー三囲神社 宝井箕角の句碑よりー に因んだ「梅鉢屋」の菓子 "こんにゃく水ようかん「夕立」" が販売される夏季も隅田川を渡る風を感じることができるでしょう。
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私は前回の「ほかけ」レビューで「寿司にしても煎餅にしても日本最高級、否、世界最高級の味を作り上げる親方たちの味覚と技は、その方々の人生の中でどのように培われるものなのでしょうか。」と、書きました。天ぷら屋「天重」のレビューにも江戸職人たちが作った普請の素晴らしさを写真に捉えました。
天災と戦災によって幾度となく壊された街並みを古都京都や奈良に比べると、現代の向島が江戸時代の風景を100%残しているとは言い難いのですが、ここに暮らす人々の心の中には小粋で心優しい向島の意気が脈々と流れているに違いありません。
さて、今回いただいた三種類の煎餅 (胡麻、辛子、堅焼き) について書きますと、
・胡麻 パリッと壊れた時に広がる胡麻の香りと噛み締めた時の甘みは、胡麻の最適な配分による
・辛子 ポロポロと崩れる煎餅に隠された唐辛子の辛味が程良い刺激を楽しませてくれる
・堅焼き 名の通り歯応えを感じるが、決して歯が毀れるような堅さではなく、芯まで焼けている "こわれ" の妙味
私は、今回いただいた以外の "生醤油" 、"ざらめ" 、"海苔" を含めた六種類全てを好みます。それぞれ甲乙付け難く、茶を飲みながらゆっくり味わっていると、姥目樫の備長炭を熾してこれを丁寧に焼いているご主人と奥さんの優しさが心に染みてきます。大量に焼かれる工場生産ではない向島の心意気が詰まった世界一の煎餅です。
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食事における贅沢とは何も高価な食材を食べることではないのです。 (©︎WIENの森の物語さん)
前回購入した煎餅の一包みをトリノに住む娘家族に郵便局からEMSで送ったところ、昨日 WhatsApp に「パパ、今、着きました。ありがとう。」と、メッセージが入りました。今回は約二週間で配達が完了したのですが、イタリアの郵便オペレイションは日本やドイツに比べると信じられないくらい悪く、ひどい時には二ヶ月間ぐらい掛かることがあります。日本からイタリアへは3〜4日で到着するのですが、イタリア国内で放って置かれてしまうからです。今回は内容物の表記を英語ではなく、イタリア語で記したことが良い結果を生んだのかもしれません。(イタリアで英語が通じ難いのは日本と同じ)
・いりむらの煎餅 → Crostini giapponesi
・箱入りキユーピーあえるパスタソース たらこ → Salsa di pasta giapponese
(イタリアにボッタルガはあるのですが、娘は たらこ が大好きです。私は食べたことがありません。)
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今年の "初外食" は「弁天山美家古寿司」であったと書いたばかりですが、今年二度目の "外食" が同じすし屋になるとは思ってもいませんでした。妻にとっては一月下旬の "初外食" です。貝好きの妻が頼んだものは、赤貝二貫、北寄貝二貫、赤貝の紐一貫、墨烏賊一貫、鮃の昆布〆一貫、小鰭一貫、煮蝦蛄一貫、平貝の磯辺焼き、自家製海苔の佃煮まぐろ添え、ヌタ(墨烏賊、赤貝、葱、若布)、酒二合、鉄火巻き一本 です。"おこのみ" で食べて、正統な江戸前の美しく、おいしい握りすしが凡そ五百円/貫というのは、このご時世とてもリーズナブルだと思います。私は妻の横で酌婦(夫)です。
浅草へ行ったら隅田川を渡って向島へ行くのが最近のおきまりコースでして、弁天山美家古寿司の暖簾をくぐる前に「いりむら」へ電話を入れ、自分の食べる分だけを取り置きしておいてもらいました。
・みりん煎餅 堅焼
・みりん煎餅 胡麻
・みりん煎餅 辛子
・生醤油煎餅
何度も書いて「まただよー。」「こーだよ。」と呆れられてしまいますが、備長炭を使い一枚あたり百回もひっくり返しながら焼くこの煎餅の特徴は壊れ具合にあり、口の中でパリッと煎餅らしい抵抗を示しながら崩れていきます。「鮨 松波」や「弁天山美家古寿司」の硬めに炊かれた酢飯がポロポロと口の中で解れていくのに似ています。
添付写真の最後二枚に煎餅の断面を載せました。味付けの醤油は表面だけに滲み、所々にあるひび割れから深く浸透している箇所もありますが、米粉が狐色になりメイラード反応が煎餅の芯まで達していることがお分かりいただけると思います。
炭火を使って焼いていても表面に "焦げ" ができているだけで芯まで焼けていない煎餅が多く、これに醤油だれを塗って乾燥させてお終いというものは硬いだけで味わいが薄いです。
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ウィーンの森の物語さんがコメントに書かれた「食事における贅沢とは何も高価な食材を食べることではないのです。」の通りであり、丹波の松茸、間人の焼き松葉蟹、くちこ、唐墨、天然虎河豚の白子、三田牛のサーロイン、やま幸の大間鮪、これにフォアグラ、白トリュフ、ベルーガキャビアを重ねた物ばかり食べて味覚が肥えてしまった方には、海苔の代わりに金箔でも巻いて食べていただくと良いかもしれません。(仮に一枚三千円、https://www.kinpaku.co.jp/shopping/product/sw_price_syokuyo.html )
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年明け "初外食" の後、向島へ寄る
東京都卸売市場の「市場開場日・休業日年間カレンダー」を見ると1月5日が初市(初競り)ですが、漁師は海に出ていませんので昨年暮れからの保冷品もしくは生簀で泳がしている魚介を捌いているに違いありません。おいしいすし屋が店を開くのは早くて1月10日、成人の日の連休明けというところもあります。
連休過ぎのこの日「弁天山美家古寿司」で "初外食" を済ませ (逐一レビューはあげません) 、おいしくて二貫ずついただいた "鮃の昆布〆" 、 "墨烏賊" 、 "赤貝" の「食感」と「香り」を脳の味覚野にしっかり刻むようにして車を向島へ走らせました。
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2019年に食べたもので印象に残っているものは、
1、「レストラン 代官山小川軒」のマロンスフレ
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2、「Cantine Barbaroux」の I Nostri Salumi del Piemonte
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3、「ほかけ」の能登半島七尾の蝦蛄
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と、何処かでコメントしましたが、
4、「いりむら」の備長炭で焼く煎餅を忘れていました。
レビューをあげるのは三回目ですが、昨年9月の初訪問以降、今回を含め七回も訪れています。
(以前には吾妻橋に住む叔母から何度もいただいていました)
備長炭を使い一枚あたり百回もひっくり返しながら焼くこの煎餅の特徴は壊れ具合にあり、口の中でパリッと煎餅らしい抵抗を示しながら崩れていきます。「鮨 松波」や「弁天山美家古寿司」の硬めに炊かれた酢飯がポロポロと口の中で解れていくのに似ています。日本一おいしい!ということは世界一おいしい!煎餅ということです。
店の筋向かいが検番「向嶋墨堤組合」https://mukoujima-kenban.com、交差点を渡って「料亭 美家古」、歩いて3分以内に「長命寺 桜もち」「言問団子」のあるこの界隈が "静かに" 賑わいながら、いつまでも日本の伝統文化を守ってくれることを切に願います。
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この日、購入した煎餅をトリノに住む娘家族に郵便局からEMSで送りました。
先日届いた Pandoro e Panettone ↓ のお返しです。
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前回 (そば屋 → いりむら) 、今回 (いりむら → そば屋)
前回訪問時に買えなかった "生醤油煎餅" を買うことを目的にだけ向島まで行くのは、時間と交通費が勿体無いので「並木藪蕎麦」とセットにしました。(前回は「吾妻橋 やぶそば」)
”生醤油煎餅” と "みりん煎餅堅焼" との違いは、文字の通り "みりん" が入っているか入っていないかだけですが、前者の方が人気のようです。店の奥に置かれたガラスケースの中には、たくさんの ”生醤油煎餅” と札の付いた贈答用の包みが置かれていました。
両方食べ比べてみて「甲乙付け難し」の感を持っている私ですが、”生醤油煎餅” の方が塩っぱい味が口に広がります。それにしても備長炭で手焼きしたこの煎餅の壊れ具合というのは「よっ日本一!」と、声を掛けたくなるぐらい素晴らしいです。堅いのだけれど歯を食いしばるほどではなく、パリッと煎餅らしい抵抗を示しながら崩れていきます。
江戸前すしの形の良い酢飯がポロポロと口の中で解れていくのに似ています。
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「あっ、これは、本物だ。」と、妻が云い。
吾妻橋に住む叔母(四姉妹の末っ子、83歳)の家を訪ねると、いつも土産として向島「いりむら」の煎餅が用意され「oggeti さんは何がお好き? 私はザラメ煎餅なのよ。」と、手渡してくれます。この日は、駒形橋の袂にある「吾妻橋 やぶそば」で蕎麦を手繰り、そのまま車を走らせ向島で"すみ火の手焼煎餅" 五種×各五枚を買い、家に戻って少しずついただきました。パリッと割ると備長炭で焼かれた米と醤油の香ばしい匂いが広がり、
「あっ、これは、本物だ。」
と、一欠片を口に含んだ妻が云いました。
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フランスのように夫婦であってもそれぞれ伴侶以外の恋人がいて自由恋愛の国もあり、フランス大統領がエリゼ宮からスクーターに跨ったヘルメット姿で愛人の待っている館に忍び込んでも「イイじゃないの。」と、寛容なのは結構なことです。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO16570440Y7A510C1000000/
日本の政治家の中には女性スキャンダルで総理在任期間僅か69日で退任せざるを得なかった人もいましたが、これは "重箱の隅っこを突っついて" "他人の足を引っ張り引き摺り下ろす" イジメが好きな日本の国民性を表しています。
前出の叔母が幼い頃、彼方此方から三味線、長唄、常磐津、お囃子の音が流れてきて、小学校の同級生の中には授業の後にお師匠さんの待っている稽古場へ急ぐ少女もいたとのことです。そんな風情のある街にはたくさんの料亭があり、「いりむら」の煎餅も手土産として珍重されたことでしょう。粋な政治家、大旦那、旦那衆が少なくなり、向島を何方が守っていくのでしょうか。
私が「食べログ」を始めた2013年からお付き合いのある "卍さま" のあげたレビュー↓
https://tabelog.com/tokyo/A1312/A131203/13119629/dtlrvwlst/B111381050/?lid=unpickup_review にもこの辺りの事情が書かれています。未読の方は、ぜひお読みいただきたいと願っております。
・みりん煎餅 海苔
・みりん煎餅 堅焼
・みりん煎餅 胡麻
・みりん煎餅 ざらめ
・みりん煎餅 辛子
・生醤油煎餅
の六品がこの店で焼かれたものです。生憎、一番下の "生醤油煎餅" は切れていて「今日これから焼きますので、明日になればご用意できます。」とのこと。
硬いスルメを前歯でカッチと喰い千切ることのできる丈夫な歯を持った私ですから、煎餅をバリバリと食べるのは朝飯前ですが、糖質でありますのでおいしいからと言って、茶を啜りながらイイ気になって食べているとお腹も心も満たされてきます。
『この店が焼いたこの煎餅は「日本一」じゃないかなぁ。』 おいしい!!!!!
叔母の元気な顔を見に来た時にまた寄らしてもらうことにして、店を後にしました。
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店名 |
Iri mura
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類型 | 仙貝 |
03-3622-5782 |
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可供預訂 |
無法預約 |
地址 |
東京都墨田区向島2-15-5 |
交通方式 |
距离東京晴空塔 631 米 |
營業時間 | |
預算(評價匯總) |
~¥999
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付款方式 |
无使用卡 无使用電子錢 |
個人包廂 |
不可能 |
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包場 |
不可能 |
禁煙・吸煙 |
嚴禁吸煙 |
停車場 |
不可能 |
此時建議 |
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位置 |
神秘不為人知的餐廳,家庭式餐廳 |
服務 |
提供外帶服務 |
備註 |
持ち帰りのみの煎餅店 |
今年に入って訪問していない贔屓の店がたくさんあります。
"まん延防止等重点措置" が実施され、営業していない、もしくはアルコールの提供のない店もあり、"内食" が主体でもあり、もとより出不精なもので "外食"と "外出" が極端に減っています。
昨年、名古屋に転勤していた甥っ子が東京に戻ってきて、落ち着いた今月、挨拶の手土産として持ってきてくれました。
「叔父さんは、"ほんもの" のおいしい店をたくさん知っていますね。」
「東京で住む場所も決まり、オフィスの皆に東京らしいお菓子として いりむらの煎餅を買って行ったらとても喜ばれました。」
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【いただいたもの】
・みりん煎餅 海苔
・みりん煎餅 胡麻
・みりん煎餅 辛子
・生醤油煎餅
姥目樫の備長炭を使って一枚当たり凡そ百遍もひっくり返しながら手焼きする煎餅のおいしさは、堅いのだけれど歯を食いしばるほどではなく、パリッと煎餅らしい抵抗を示しながら崩れていきます。例えれば一流のすし職人が握る江戸前すしの酢飯がポロポロと口の中で解れていくのに似ています。
最近あげるレビューで iPhone 13mini による写真撮影の違和感について何度か述べていますが、皆さんは「変だなぁ」と、感じることはないでしょうか? もし無いのであれば、あなたが"新人類"(死語) なのか、私が化石です。
参考:SUMMILUX 1:1.7 28 ASPH:https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/706222.html (2015/6/10の記事)
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