私の嗜好に適う居心地の良い蕎麦屋。夜にも期待
2年ほど前に、白金に私好みの蕎麦屋が誕生したという情報は入って来ていた。
開店当初は夜だけの営業で、一度寄りたいと思いつつなかなか機会が無かった。
今年6月から土・日に限って昼も開けていることを知り、日曜日に時間を作って訪れる。
場所は白金から恵比寿に向かう通称「白金北里通り」の三光坂下の交差点から、北に少し入った所。
こちらでは以前ご主人のお父さんが和食割烹の店をやられていたが、亡くなられた後しばらく閉めていたとのこと。
かつて学芸大学駅近くに在り、現在はこちらからすぐの所に移転している「夢呆」とはご親戚で、ご主人はそちらで蕎麦打ちを学び、さらに幾つかの和食の名店で修業を重ねた後、こちらの店舗を再開させたそうだ。
一応事前に開いていることの確認と、席の確保の電話を入れてから訪店。
店内は奥に厨房があり、その手前のⅬ字型のカウンターに6席と、右手の半個室的なテーブル2卓に8席。
12時を少し回った頃に入店したが、先客は常連と思われる年配のご夫妻だけという状況。
40歳前後と思われるご主人と若い花番の女性(最初は女将さんと思ったが、そうでは無いとのこと)の2人で賄っている。
カウンター端の席を選ぶ。
品書きは昼も夜と共通で、料理も酒も一通りのものが並んでおりなかなか魅力的。
まずはビール(ハートランド中瓶)をもらうが、冷えた錫のカップが添えられるのが好ましい。
お通しは付かないようで、料理にはまず次に2品を注文。
「すじこ味噌漬け」は、筋子が少しの味醂を加えた味噌に漬け込まれている。
甘すぎない味とねっとりとした食感が秀逸で、添えられた大葉で巻いても美味しい。
「松茸土瓶蒸し」は、やはりこの時期に一度は試したい御馳走。
内側に紅葉の柄が施された、専用の設えで登場。
小振りの松茸一本分、小海老・銀杏・三つ葉が、やや濃い目の吸い地に揺らめいている。
松茸の香りと食感は期待通りで、その他の具材もそれぞれの味が楽しめる。
しかし最も美味しいのはつゆで、酢橘を少量垂らした味わいは格別。
酒は石川の「手取川 秋 純米辛口」をもらう。
洒落たグラスで供され、芳醇な味わいに満足。
料理はもう一品、名前から面白そうな「めひかり揚げ立て南蛮漬け」を頼む。
頭を外され2つにカットされた5尾分ほどが、軽く粉を塗されて素揚げされ、あたりの柔らかな三杯酢に浸されており、ブロッコリースプラウト・白髪ねぎ・茗荷の細切りが天盛りされている。
口当たりはソフトながら、しっかりとした旨味が感じられる。
めひかりは深海魚のイメージが強く東京では馴染みが薄いが、こんな上品な味わいに仕上げるご主人の腕前に感心。
酒の追加は、以前は蕎麦屋ではまず頼まなかった焼酎をもらう。
選んだのは「帰山 樽熟成」で、ロックでもらったが味に深みがありなかなか良かった。
蕎麦は基本の「せいろ」一枚。
微粉が'二八'で打たれた蕎麦は、シャキッとした歯触りと喉越しの良さが楽しめる江戸前伝統のスタイル。
香りも有り、噛みしめるとかすかな甘みも感じられる。
つゆは辛口でやや醤油が立っているが、清廉な味わいは好ましい。
薬味の山葵も上質。
蕎麦湯は多少の手は加わっているが、自然な濃さで気持ち良く〆られた。
実に快適な時間が流れた。
蕎麦の出来もさることながら、ご主人の和食料理人としての腕前も確か。
今回の3品からは、その片鱗が確認できる。
接客全般を担当する、愛想の良い花番さんの応対ぶりには好感が持てる。
さりげなく語り掛けながらの客あしらいに加えて、若いながら料理や酒についての造詣も深い。
店の印象に大きく貢献しており、居心地の面でも大いに満足。
この通りの北里大学の先には現在は広尾に移っている「三合菴」が、そのすぐそばに「吉更」も在った。
ともにミシュランガイドにも載ったことのある名店だが、いずれもここ2.3年の内に消えてしまった。
この辺りは昔からの住民も多い土地柄で、それに代わるこちらの誕生は歓迎されているようだ。
現に私の後からはご近所と思われる方が、ぽつぽつと入店。
本来は夜に再訪してから取り上げるべきだが、昼でも一通りの仕事ぶりが確認出来たためレビューさせて頂いた。
「夢呆」は蕎麦だけでも気軽に寄れる店だが、こちらはじっくりと「蕎麦屋酒」を楽しむための店。
私の嗜好に適う蕎麦屋として、これからも時々寄りたいと思う。
店名 |
Kyourin
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類型 | 日本料理、蕎麥麵 |
預約・查詢 |
03-5422-8829 |
可供預訂 |
可以預訂
仕入れの為、外出している場合がございます。ご予約のお電話は16時以降が繋がり易くなっております。 |
地址 |
東京都港区白金3-21-11 |
交通方式 |
從都營三田線/東京Metro地鐵南北線白金高輪站徒步8分鐘 距离白金高輪 371 米 |
營業時間 |
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預算 |
¥6,000~¥7,999 |
預算(評價匯總) |
¥6,000~¥7,999¥6,000~¥7,999
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付款方式 |
可使用卡 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 无使用電子錢 |
服務費收費 |
サービス料5%、チャージ料なし |
座位數 |
14 Seats ( 吧臺6席,餐桌8席 (4人座×2)) |
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個人包廂 |
不可能 |
包場 |
可能的 可接受20人以下 |
禁煙・吸煙 |
嚴禁吸煙 外面有吸煙區 |
停車場 |
不可能 附近有投幣式停車場 |
空間、設備 |
時尚的空間,平靜的空間,座位寬敞,有吧檯座位 |
酒水 |
有日本清酒,有燒酒,有葡萄酒,對日本酒講究,對燒酒講究 |
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料理 |
對蔬菜菜式講究,對魚類料理講究 |
此時建議 |
許多人推薦的用途。 |
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位置 |
神秘不為人知的餐廳 |
關於兒童 |
請咨詢。 |
開店日 |
2017.9.7 |
店鋪公關 |
【白金高輪站8分鐘】 石臼磨制的正宗手搟蕎麥面,和使用時令食材點綴的日式絕品
為了繼續磨練我們的日語技能,我們於2017年9月開設了“Sorin”,在這裡您可以享用正宗的手工石磨蕎麥麵和時令日本料理。您可以在白金高輪的高級日式空間中以合理的價格享用正宗的蕎麥麵和日本料理。我們的目標是成為一家可以一邊享用飲料一邊配菜放鬆的餐廳。 |
新規に訪れたい蕎麦屋が何軒も有る一方、かなりご無沙汰してして再訪せねばと思う店も目白押しの状態。
そろそろ気に入った蕎麦処100軒ほどに絞って、定期的に巡り歩く安定した生活に移行したいと思いつつ、中々捗らないもどかしさは募るばかりである。
こちらも4年近く間が空いており、前回は休日の昼に訪れ、快適な蕎麦屋酒の印象が残っている。
今年度のミシュランのビブグルマンに選出されたことも気になり、寄りたい気持ちを抱き続けていた。
コロナ禍の後で営業日時が変更になっている可能性も有るので、2.3日前に電話を掛けたところ、以前と変わらず土・日の昼は12時から開けているとのこと。
土曜日の口開けの予約を入れて、懐かしい白金高輪の駅から向かう。
定時に暖簾が掛かり、待っていた数人の方々と入店。
私には前回と同じ、Ⅼ字型のカウンター端の席が用意されていた。
ご主人と女性スタッフの2人体制も変わっていない。
まずはビール(赤星中瓶)で始める。
肴は垂涎もののばかりで迷うが次の3品を注文。
「かつお漬け」:刺身よりもやや薄めにスライスした鰹が重ねて盛られ、添えは大葉や茗荷などの香味野菜、さらに揉み海苔が振りかけられている。
薬味は定番の生姜や大蒜ではなく、敢えて摺り山葵である点が面白い。
決して悪くは無いが、このスタイルならば練り辛子も合うと思う。
「鯛酒盗とクリームチーズ」:鯛のワタを使った酒盗と角切りのクリームチーズを合わせている。
鰹の酒盗やイカの塩辛をクリームチーズと合わせる手法は、蕎麦屋では昔から時々見かけるが、クセが有ったり塩気が強すぎて上手く合わないケースも見られる。
こちらの鯛の酒盗は塩分がきつくなく味も穏やかで、クリームチーズとも良く合って肴に好適だった。
「車海老と葱のかき揚げ」:形状はやや横長の6㎝×4㎝ほどで厚みも3㎝ほどのひと塊で、表面はサクッとしている。
突き崩すと大きめにカットされた3尾ほどの車海老がコロコロと現れ、葱が水っぽいため中は多少柔らかいが上手な揚げ上がりと言える。
海老の旨味がしっかり感じられ葱の甘味も好ましく、塩でもおろし入りの天つゆのどちらでも美味しい。
酒の銘柄は多くは無いがこの時期に相応しいラインナップで、まず「楯野川 爽流」をグラスでもらうが、フレッシュな香気とすっきりとした飲み口の夏向きの味わい。
次いで「山本 純米吟醸」を徳利でもらうが、優しい口当たりの後に広がる旨味が秀逸。
これらで暫しの蕎麦前を堪能。
蕎麦は久々なので、基本の「せいろ」を選択。
笊盛りで登場した蕎麦は、中太に綺麗に揃い配合は'二八'くらいと思われるが、香りも食感も程よい東京人好みの仕上がり。
つゆは直接猪口に入っているが、濃い目だが出汁と返しのバランスの取れた安心感のある味わいで、どっぷり浸すことなく啜れば爽快な喉越しが楽しめる。
敢えて少し残しておいた天ぷら入りの天つゆに絡めても、もちろん美味しい。
蕎麦湯は正統的な釜湯のままの自然体。
すっきりと伸びるため、後味が清々しい。
期待通りの、満足度の高い蕎麦屋酒が楽しめた。
安定した仕事ぶりが貫かれていることを確認。
ミシュラン掲載後は夜は予約必至のようだが、昼は休日のみの営業のためそれほど混んでおらず、穴場的な店と言える。
勘定は8,000円ちょっとなので、内容からすればリーズナブル。
これだけ間が空いたのに覚えていてくれた、女性スタッフの応対ぶりも好感。
多くの方にお勧めしたい信頼のおける蕎麦屋である。
これからも季節を変えて、定期的に訪れたい。